2020年10月13日 9月定例県議会本会議
請願の不採択に対する千田美津子県議の反対討論
<くらしを守る対策として消費税の減税を求める請願>
日本共産党の千田美津子です。
私は、請願陳情第24号について、委員長報告に反対の討論をいたします。
請願陳情第24号「くらしを守る対策として消費税の減税を求める請願」でありますが、私は総務委員会で不採択とした事に反対いたします。
安倍晋三前政権が消費税の税率を8%から10%に引き上げてから1年が経過しましたが、景気が下り坂に入った時期に強行された消費税増税は、経済を急速に冷え込ませました。いまの日本経済の危機的な状況を招いた原因は、新型コロナウイルスの感染拡大だけでは説明できず、暮らしと経済を立て直すためにも、消費税率を緊急に5%に引き下げることをはじめ、思い切った経済対策に踏み切るべきだと考えます。
昨年10月からの消費税率引き上げは、安倍政権下での2014年4月の5%から8%への引き上げに続き、2回目のものであり、日本経済は8%増税で長期にわたる不況が続き、米中貿易紛争による世界経済の悪化もあらわになる中、10%への増税を行えば取り返しのつかない状況になるとの警告が相次いでおりました。ところが安倍政権は、「戦後最長」の景気拡大が続いているとして、増税を強行しました。しかし、景気拡大は「虚構」であり、増税の1年も前の2018年10月に景気拡大局面が終了していたことを政府は今年7月末、公式に認めています。これらのことからも、増税が経済失政であったことは、もはや隠しようがありません。
安倍政権は増税にあたって「万全」の対策をとるとして、複数税率の導入やキャッシュレス決済へのポイント還元を行いました。しかし、負担軽減や消費拡大の効果はありませんでした。
消費税の10%増税後、消費不況が顕在化し、国内総生産(GDP)は昨年10月から12月期に大きく落ち込みました。それ以降、GDPは今年4〜6月期まで、3四半期連続でマイナスとなり、しかも4〜6月期は前期に比べ年率で28.1%も落ち込みました。このように、リーマン・ショック直後の2009年1〜3月期の17.8%減を上回る戦後最悪の下落幅になったのは、消費税増税で弱体化していた経済に、コロナが追い打ちをかけたためであります。
ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン(ニューヨーク市立大学教授)は、最近出版された著書「コロナ後の世界」の中で、日本の消費税について「ハッキリ言って増税すべきではありませんでした」と指摘し、経済政策の転換の必要性を語っています。
安倍政権による2回の消費税増税の際、官房長官として内閣の要にいたのが、菅よしひで首相であり、失政の責任を免れることはできません。しかも菅首相は、消費税は「社会保障の貴重な財源」だと述べて、税率引き下げを拒否するだけではなく、将来の増税についてまで発言する有様です。消費税頼みの政治では、暮らしも経済もますます破壊されます。
コロナ禍の中、経済は休業者や失業者が増え、企業の倒産や廃業も相次ぐなど、いよいよ底なしの様相を呈しています。くらしと経済を支えるには、コロナ対策と並行した消費税率引き下げ等の抜本的な経済対策がいよいよ不可欠となっています。
ドイツでは今年7月から12月にかけて、消費税率を19%から16%に引き下げ、食料品に対する消費税も7%から5%に引き下げを行っています。またイギリスも飲食や宿泊、娯楽などの業種で7月15日から来年1月12日まで、付加価値税の税率を20%から5%に引き下げる政策を開始しています。その他、多数の国で時限的な消費税の減税が行われています。
今必要なことは、消費税に依存する財政を見直し、大企業や富裕層を優遇する税制を是正するとともに、国民が願う社会保障や地域経済振興に優先して税金を使い、経済を支える個人消費を伸ばすことが求められています。
以上のことから、請願陳情第24号は採択すべきであり、総務委員会の不採択に反対するものです。
以上で反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。