2020年10月15日 決算特別委員会
議会事務局に対する質疑(大要)
・議会における受動喫煙防止対策について
【斉藤委員】
全国都道府県議会、県内市町村議会における受動喫煙防止対策はどうなっているか。
【議会事務局長】
まず全国の都道府県議会における受動喫煙防止対策の実施状況は、令和2年9月9日時点で、敷地内全面禁煙は6道府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありが11府県、建物内禁煙10都県、建物内禁煙で喫煙専用室ありが20県となっている。
県内市町村議会においては、令和2年4月1日時点で、敷地内全面禁煙は14市町、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありが19市町村となっている。
【斉藤委員】
敷地内・建物内の禁煙が全国で27都道府県ということになり、県内ではすべての市町村議会が敷地内・建物内禁煙を実施している。
東北で喫煙室を設けているところはあるか。
【議会事務局長】
東北では本県のみである。
【斉藤委員】
東北6県の中で、宮城県は設置しようとしたが県民の批判があり廃止した。東北では岩手だけが残った。きわめて異常な事態ではないかと思う。
議会棟の喫煙室が整備された経過について調べているか。
【議会事務局長】
現在議会棟に設置されている喫煙室については、議会運営委員会において平成22年度から議会棟内の全面禁煙・分煙にかかる協議が継続的に行われ、平成26年7月1日の議会運営委員会において、喫煙室の設置場所が決定されたところである。さらにその方針を踏まえ、議会事務局から庁舎管理者である管財課に喫煙室の設置を依頼したものである。
その後の日本たばこ産業株式会社からの寄付について総務部に確認したところ、日本たばこ産業株式会社から寄付の申し出があり、総務部で寄付の妥当性等について検討したうえで、正式に寄付を受けることとしたとのことであった。その後管財課からは、日本たばこ産業株式会社からの寄付行為により設置する旨を報告を受けたところである。
【斉藤委員】
これは日本政府も参加している国際的な「たばこ規制枠組み条約」、この13条では、いわゆるたばこ会社が社会貢献活動や寄付をやってはならないとなっている。議会事務局長は承知しているか。
【議会事務局長】
これまでの議会運営委員会等での議論の経過等の中からは承知している。
【斉藤委員】
管財課が日本たばこ産業の寄付行為を受けたことは間違いだったと思う。たばこ規制枠組み条約に反することだったと。だからこれは見直しすべきである。
寄付をされたものは、工事費概算額で税込193万9680円だったが、覚書が交わされている。覚書を把握しているか。
【議会事務局長】
承知している。
【斉藤委員】
覚書の第8条の供用期間はどうなっているか。
【議会事務局長】
第8条供用期間では「甲は、甲乙協議のうえ定める本喫煙施設の供用開始日から5年間は自己の責任と負担により、本喫煙施設を継続して維持管理するとともに、喫煙施設として本物件の利用者の供用に付するものとする」とされている。
【斉藤委員】
供用期間は5年であり、もう5年経過したと思う。だからこれはきちんと日本たばこ産業株式会社と協議して、たばこ規制枠組み条約の精神に立ち返って、この条約に反する寄付行為はなくしてもらうということが必要ではないか。あり方を真剣にいま再検討すべきではないか。
【議会事務局長】
今回の議会棟の喫煙室については、基本的に寄付の受け入れ、あるいは覚書の締結についても総務部の方で行われた内容であるので、その内容については総務部に伝えたい。
【斉藤委員】
喫煙室の設置を決めたのは県議会で、渡り廊下といえども設置場所は県議会棟で、県議会の施設なのだから。覚書を締結したのは総務部と日本たばこ産業株式会社で、供用期間の5年を過ぎているとしたら、この覚書に基づいて再検討すべきだと強く求めたい。
そこで、この議会棟の喫煙者は、県議会議員以外もどういう方が利用できるのか。
【議会事務局長】
議会棟の喫煙室は、会派控室を禁煙とすることの代替として設置されたものであることから、その利用者としては「議員および議会棟へ用事があって来訪した者」を想定している。
【斉藤委員】
議会に用事があって来た方は使えると。例えば県庁の職員、特に幹部職員、県庁は敷地内全面禁煙になっているが、こういう方々の利用は県庁の全面禁煙措置に反するのではないかと思うがいかがか。
【議会事務局長】
先ほど申し上げたように、議会棟の喫煙室の利用者としては「議員および議会棟へ用事があって来訪した者」を想定しているので、その中に県庁職員が議会棟に用事があって来訪したということであれば、基本的に利用することには問題ないと考えている。
一方で、総務部の所管にはなるが、地方公務員法上は「県職員は職務に専念する義務」が課せられていることから、勤務時間中の場合は服務上の問題が生ずるものと考えている。
【斉藤委員】
県庁がせっかく敷地内全面禁煙をしているときに、特に幹部職員だと思うが、議会に用事があるかないか分からない形で使われているのではないか。問題はそういう疑念を持たれるような喫煙室でいいのかということである。
もう1つ、マスコミ関係者はフリーなのか。
【議会事務局長】
喫煙室の利用者の範囲は「議員および議会棟へ用事があって来訪した者」を想定しているので、職務等に関係なく「議会棟に用事があって来た者」であれば基本的に利用は可と想定している。
【斉藤委員】
マスコミ関係者に言いたいが、こういう枠組み条約に反するような事態について、マスコミ関係者が利用するというのだったら、まともな批判もできなくなると、そのことは厳しく指摘しておきたいし、そういう疑念が広がるような喫煙室を、議会棟に東北ではただ1つ岩手県議会だけ残しておくということは、根本的な再検討・見直しが必要だと。5年間の供用期間が切れたということも含めて、しかるべきところで議論していただきたい。
・県議の海外視察の実施状況について
【斉藤委員】
2019年度2020年度の実施状況はどうなっているか。
先ほど決算の説明で、議会費で6000万円余の減額補正となっていたが、この中に海外視察の減額分も入っているのか。
【議会事務局長】
2019年度における全国の都道府県議会の海外行政視察の実施状況は、実施が21県、実施せずが本県を含め26都道府県となっている。
2020年度は、8月1日現在で、実施は0、実施せずが本県を含め22府県、未定が25都道府県となっている。
海外行政視察の経費の減額については、ご指摘の通りである。
【斉藤委員】
今年は実施はゼロだと。新型コロナ感染拡大の中で当然だと思う。そして、いま欧州では第一波を超えるような感染拡大となっている。アメリカは引き続き感染拡大しているという中で、もう来年度も実施する客観的条件はないのではないかと思うがいかがか。
【議会事務局長】
来年度については、新型コロナ感染症を取り巻く今後の状況を見通すことはなかなか困難だが、平成14年に議会運営委員会で決定した「議員派遣の運用について」に基づき、海外行政視察議員派遣提案書が提出された場合に、迅速に対応できるよう準備は進めてまいりたいと考えている。
【斉藤委員】
国内では早々に7月8月に第二波、おそらくこれから第三波が来る可能性が大きいと思う。そしてヨーロッパは第一波を超えるような第二波を迎えている中で、新型コロナ対策に県議会も集中すると。必要な予算はそういうところにこそ県議会が先頭になって振り向けるべきだと思う。
・政務活動費の領収書のホームページでの公開について
【斉藤委員】
全国都道府県議会、県内市町村議会の動向はどうなっているか。
【議会事務局長】
私どもの調査で本年9月30日現在、都道府県議会では大阪府・兵庫県など21都府県において公開しており、昨年と比較し3県増となっている。
県内市町村議会では、盛岡市・宮古市など11市町において公開しており、昨年と比較し増減はない。
【斉藤委員】
以前の県議会でも領収書のホームページでの公開が議論になったと思うが、前の議会の議論の経過はどうなっているか。
【議会事務局長】
平成28年11月に、日本共産党県議団から議長にたいし、収支報告書とともに領収書等もホームページで公開するよう「政務活動費の情報公開に関する申し入れ」が提出された。この申し入れを受け各会派で協議を重ねてきたところだが、その検討の結果、平成29年1月に「当面は現状通りとし、全国の状況等について情報収集しながら、その動向を注視すること」とされた。
【斉藤委員】
当面は現状通りになったというだが「当面」なので、全国で21都府県、県内でも11市町議会がホームページで公開していると。これは情報公開の課題だと思う。ここまで全国や県内でやられているときに、岩手県議会も当然踏み込むべきである。
議会事務局として、事務的にホームページに領収書を添付するにあたって障害や課題はあるか。
【議会事務局長】
政務活動費の領収書等をホームページで公開するためには、PDF等のデータファイルを作成する必要がある。このため、議員から提出された全ての書類についてスキャンし、大量のデータファイルを作成する作業が生じることから、課題としては職員の業務量が増加することとなると考えている。
【斉藤委員】
これは一度やってみれば、他の21都府県でやられていることなので。
食糧費の問題が起きた時には、政務活動費の全面的な公開の一歩を踏み出したのは岩手県議会だった。いまや情報公開は後進県になってしまった。領収書のホームページでの公開はある意味全国の流れで、岩手県議会が遅れをとることなく公開に踏み出すべきである。改めて議長にも申し入れをしたいと思う。