2020年10月15日 決算特別委員会
政策企画部に対する質疑
(大要)


・新型コロナ対策における知事の提言について

【斉藤委員】
 新型コロナ対策が昨年度から今年度にかけて国政・地方政治の最大の課題になったが、知事として政府や全国知事会に対し行ってきた提言・要望の内容、その成果について、私は大変見るべきものがあったと思うがいかがか。

【政策企画課総括課長】
 全国知事会では、令和2年2月に新型コロナウイルス緊急対策本部を設立しており、これまで12回にわたる本部員会議を開催している。この会議の中において達増知事は、地域の医療提供体制の脆弱性や厳しい経済状況等の地域事情を考慮した国の予算の増額、あるいは売り上げが減少した事業者に対する家賃補助や官民ファンドを通じた資本投入、無症状や軽症のまま感染を広げかねない若年層に対する啓発など広報の強化、感染者や帰省者の誹謗中傷・差別の防止などについて、提言に盛り込み国に提言するよう発言している。
 このほか、積極的感染防止戦略による経済社会活動の正常化に向けて、18道県の有志知事による緊急提言、さらには、13県の知事と産学官金の有志114名の連名による緊急提言に賛同し、国への要望を行ったところである。
 特に18道県の有志知事による提言については、日本記者クラブでの会見が開催されており、会見に出席した5人の知事の一人として達増知事も同席し、提言の重要性について訴えている。
 こうした全国知事会等と連携した取り組みにより、国の第二次補正予算においては、地方創生臨時交付金の増額、家賃支援給付金の創設、中小企業再生ファンドによる支援などが盛り込まれ、提言の内容が反映されたものと認識している。
 また、誹謗中傷・差別の防止については、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会に、偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループが設置されており、実態の把握や対策が検討され、提言の成果が表われていると認識している。

【斉藤委員】
 新型コロナ対策の中で、全国知事会の対応というのがテレビ・新聞等で報道され、絶えず達増知事の発言の姿、提言の姿が全国にも大変注目されて受け止められたのではないかと思う。
 特に、5月11日の「感染拡大を防止しながら一日も早く経済社会活動を正常化し、日常を取り戻すための緊急提言」―この中身は、積極的な検査戦略の転換ということをこの時期に提起したということで、これは本当に我々も注目をした提言であった。政府の新型コロナウイルス対策の最大の弱点は、検査体制がなかった、きわめて限定された、このことが最大の弱点だったが、そこの抜本的転換を求めてきた。7月1日の13県知事・産学官金の114名による提言は、これはかなり詳しいものだったが、同じ中身である。「積極的な検査体制を確立して、早期に陽性者を発見することが感染防止にとっても経済活動にとっても重要なカギを握る」と提起している。
 幅広い方々と共同してこうした提言を行ってきたというのは、大変大事だったし、その結果、やっと政府も、感染が拡大しているところに限定しながらも面的・網羅的な検査を認めるところまできた。実は先日世田谷区が、医療介護の関係者の社会的な検査を始めた。これに国も責任を持って財政措置をとるというところまできたので、そういう大きな役割を果たして政府を動かしてきたのではないか。

・医師確保等の課題での知事の提言・要望について

【斉藤委員】
 新型コロナウイルス対策だけではなく、昨年から今年にかけて医師確保の課題でも達増知事が、医師確保・医師不足の共通する各県に呼びかけて知事の会議をつくり、政府に緊急提言を行ってきたと思うが、その内容・成果を示していただきたい。

【政策企画課総括課長】
 医師確保については、これまで全国知事会において国への要望を行ってきたところだが、ご紹介の通り、達増知事の呼びかけにより本県と同じ医師少数県である新潟県など6県知事が発起人となり、令和2年1月に12県で構成する「地域医療を担う医師の確保をめざす知事の会」が設立された。この会では、医師確保と偏在解消に向けた提言を取りまとめ、8月に国への提言活動を実施したほか、自民党の「医師養成の過程から医師偏在是正をめざす議員連盟」において、達増知事と新潟県知事が提言内容に関する講義を行っている。
 知事会の提言のうち、医学部臨時定員増の継続については令和4年度まで継続されることが決まったほか、現在提言のさらなる実現に向けて、知事会構成県と厚労省により事務レベルでの意見交換を実施している。

【斉藤委員】
 12県で「知事の会」を発足させたと。地方は共通して医師不足に直面しており、提言では「今日わが国の地域医療の現場では、医師の絶対数の不足や地域間、診療科間の偏在がきわめて顕著となり、いわば地域医療崩壊の危機的状況にある」という現状認識から医師の増員を提起しているが、やはり1県2県というより12県という形で固まって提言してきたこと、それも岩手のイニシアチブでやってきたことは大変大事だと。この活動をさらに前進させていただきたい。

・知事・副知事と市町村長との意見交換・懇談について

【斉藤委員】
 知事・副知事と市町村長との意見交換・懇談の実績について示していただきたい。

【秘書課総括課長】
 知事については、令和元年度は秘書課として把握している分で、11回・延べ19市町村長と懇談を行っており、そのうち30分以上の懇談は7回となっている。今年度は9月末現在で6回・延べ6市町村長との懇談を行っており、そのうち30分以上の懇談は4回である。
 副知事については、令和元年度は両副知事あわせて34回・延べ34市町村長との懇談を行っており、そのうち30分以上の懇談は18回である。今年度は9月末現在で、両副知事あわせて38回・延べ38市町村長との懇談を行っており、30分以上の懇談は6回という状況である。

【斉藤委員】
 昨年度は11回ということで回数は少ない感じがするが、参院選・知事選があったので、それはやむを得ないところがあったのではないか。答弁あったように、30分以上の懇談が7回、うち6回は被災沿岸市町村との懇談ということで、中身は充実しつつあるのではないかと思う。ただ、先日陸前高田市にも行ってきて、この間沿岸の首長さんに会ってきたが、だいたいじっくり話すとなるとやはり60分は必要である。その点では、地方政治の最前線で苦労している首長との懇談をぜひ重視して進めていただきたい。
 あわせて、副知事が知事を補完する役割を果たしてきているのだと思う。昨年度、保副知事は20回各首長と懇談しているが、だいたい30分〜60分じっくり懇談し、必要なら夜の懇談もやるということで聞いているので、やはり副知事2人体制でしっかり知事を補完して、ある意味副知事の方が本音を率直に言いやすいということがあると思う。そういう意味では副知事2人体制を機能させて、首長との懇談をさらに充実させていただきたい。

【秘書課総括課長】
 昨年は知事選挙期間があったこともあり、懇談回数こそ例年より減少しているが、例えば、ラグビーワールドカップ釜石開催だとか、三陸防災復興プロジェクト2019の開催にあたっては、知事・副知事と関係市町村長が懇談を重ねて成功に結びついたものと受け止めている。また台風19号災害の際にも、知事・副知事が分担して現地視察を行い、市町村長との意見交換を行うなど、必要に応じて臨機応変に対応してきた。
 今後においても、引き続き各部局と連携し、さまざまな機会をとらえて市町村長との懇談の機会を確保していくよう努めていく。