2020年10月15日 決算特別委員会
総務部に対する質疑
(大要)


・県庁の昼休み時間の柔軟な運用について

【斉藤委員】
 先日、内丸第一・第二町内会と東大通商店街の皆さんが、県職員の昼休み時間の柔軟な運用を要望し、10月から11時半〜1時半という形で昼休みの柔軟な運用を実施されたことに心から敬意を表したいと思う。
 県職員の反応、地域の商店街の反応など把握していれば示していただきたい。

【人事課総括課長】
 10月5日から昼食時間の弾力化ということで、前後30分ずつずらして3パターンで昼休み時間を取れるように見直しをしている。私の周囲にも利用した職員がいるが、「いつも混んでいるお店が、すごく早く出してくれて、いつも1時ぎりぎりに帰ってくるのが30分で帰ってきました」とか、そうした声があり、非常に良いと言う声が職員からは出ている。
 県議会の定例会中の期間ということもあり、職員もなかなか休み時間をずらしがたい環境に若干あるかもしれないが、そうした声が職員を通じて伝わっていくと利用がさらに促進されると思っている。
 制度はスタートしたばかりなので、前後に30分ずらしたというのが適切な時間設定なのかということもあるので、利用の状況を見ながら検討していきたい。

【斉藤委員】
 商店街の方々は、今までだと12時〜12時半の1ラウンドしか利用できなかったものが、2ラウンド3ラウンド利用できるようになったということで歓迎されているので。

・消費税増税の影響について

【斉藤委員】
 昨年10月から消費税が10%に増税となった。国民総生産が大幅に低下する事態となっているが、10%増税の県民一人当たりの負担増、県民全体の負担増はどうなるか。

【税務課総括課長】
 国・地方合わせて消費税率が8%から10%に引き上げられたことによる負担増は、政府試算に基づき推計すると、県民一人当たり年間約27000円、一世帯当たり年間約62000円、県民総負担額は年間約327億5000万円と推計される。

【斉藤委員】
 わずか2%の増税でも、総額だと327億5000万円という大変な影響だった。
 安倍内閣の下では二度増税があり、5%から10%に増税となった。安倍内閣による増税の影響額はどうなるか。

【税務課総括課長】
 5%から8%への引き上げ分としては、地方消費税にかかる平成25年度と28年度の決算に基づき推計したものに、先ほど申し上げた8%から10%引き上げ分の推計を加算したところによると、県民一人当たり年間約79000円、一世帯当たり年間約17万8000円、県民総負担額は年間約958億2000万円と推計される。

【斉藤委員】
 この消費税増税によって、県民の暮らしも日本全体の経済、岩手の経済も落ち込んだということを厳しく指摘しておきたい。
 そしてこの消費税増税の負担増に新型コロナの新たな負担が重なっているということもしっかり見ていく必要がある。

・2019年台風19号災害の検証について

【斉藤委員】
 昨年の台風19号災害から約1年が経過した。岩手県内では、沿岸を中心にして400ミリ前後の今までに経験のない大雨洪水となったが、特に夜間に9000人余が避難するという問題が予算特別委員会でも議論された。岩手県も「令和元年度台風19号災害対応振り返り報告書」というのを出しているが、どのように検証され課題を明らかにしているか。

【総合防災室長】
 県の防災対応力のさらなる向上を図るために、県・市町村・防災関係機関・有識者等による検討会を開催し、課題と今後の対応策について検討を重ね、地域防災体制、社会福祉施設等防災、河川土砂災害防災等の課題と今後のあり方について取りまとめた。
 課題としては、地域防災体制については、「市町村における避難指示(緊急)の発令が夜間となった」こと、「住民に、避難勧告とは『全員避難の意味であるということ』が正しく伝わっていない」などの意見を整理した。
 今後の県の防災対応のあり方としては、「安全かつ速やかに住民避難を促すため、市町村における避難勧告等発令の支援が必要であること」、「住民の適切な避難行動につなげるための平時からの取り組みが必要であること」などについてその対応策を取りまとめた。

【斉藤委員】
 台風等の場合には、進路情報が気象庁から随時、予測も含めて示されるので、風水害対策チームがこの時に指摘したように、日中の避難を原則にして、夜間の危険なときに避難ではなく、日中に避難できるような徹底を図るべきだと思う。
 実は昨年どういうときに避難勧告等が発令されたかというと、47万8775人に避難準備、24万6594人に避難勧告、19万3865人に避難指示が出された。避難勧告までは日中に出されたが徹底されなかった。そして未明に避難指示が出された。残念ながら夜中に約9000人が避難するということになった。大雨特別警報は13日の0時40分に出された。特別警報というのは、もう災害が発生している、命に関わる事態が発生しているということである。そういう時間帯に多くの方が避難せざるを得なかったということは、本当に深刻に受け止めなければならない問題だと。
 もう1つ、これだけの方々に避難勧告・避難指示が出されているが、それだけの避難場所はないと思う。それだけ出すのだったら、それを受け入れる避難場所の確保が前提になるのではないか。その点は検討されなかったのか。

【総合防災室長】
 ご指摘の通り昨年の台風19号においては、市町村による避難指示(緊急)が夜間になったということで、多くの人が夜間に避難したと見られることが課題となって顕在化したところである。
 県としては、市町村における避難指示(緊急)の発令を支援するために、岩手県風水害対策チームを引き続き運用していくとともに、できるだけ早期の避難指示の発令と日中の避難完了に努める旨を、県の地域防災計画に追記したところである。
 避難場所の収容能力については、市町村においては、あらかじめ指定避難所を指定している。当然そこには収容能力の限度があるが、コロナ禍における分散避難ということもあり、いま市町村においては、指定避難所以外にも親戚宅やホテル・旅館等、自身の所が安全な場所である場合には無理に避難しないという呼びかけもしているので、そういった形で市町村としては住民一人一人の安全な避難に向けて取り組んでいる。

【斉藤委員】
 報告書を見たが、残念ながら避難場所については検討されていなかった。避難場所があって安心して避難する。特に高齢者・要支援者の方々は、体育館の雑魚寝だったらかえって大変だというのでたじろいでしまう。ましてや今や新型コロナで、おそらく今までの定員の半分も避難できないのではないか。これは熊本の豪雨災害でもはっきり示された。いま検証した避難指示を実行するためには、きちんとした受け皿、安全・安心な避難場所を確保するということに真剣に取り組むべきだと思う。
 国は「ホテル・旅館等も活用できる」「交付金の活用もできる」と。だから財源も示して、これから大規模な台風等の災害のときには、ホテル・旅館ときちんと契約をして、積極的に活用することができると。できればその際に、高齢者・要支援者・障がい者などを優先してそういうところに避難させる必要があるのではないか。

【総合防災室長】
 非常に重要なご指摘があったと思う。
 新型コロナ感染防止対策のために、先般市町村に対して避難所の増設状況を確認し、8つの市町村において新たに避難所を増設したということで、具体的にはホテル・学校・公共施設を指定して、より多くの方に避難していただけるような体制をとったと認識している。また、避難所を増設しない市町村においても、すでに避難所として指定している学校等において、従来であれば体育館のみを指定していたが、そこを拡大し、空き教室や会議室も柔軟に避難所として利用するという市町村も増えてきているので、そういった取り組みをまとめたものを市町村にフィードバックしているので、そうした先進的な市町村の取り組みをさらに県内にも広げていきたい。

【斉藤委員】
 ホテル・旅館を活用できるという通知は今年の4月5月に出ているので、これは徹底していただきたい。実は台風10号災害のときに、岩泉町はホテル・旅館を活用した。だからすでに積極的に先行的にやっているところもあるし、東日本大震災津波のときに岩手県はホテル・旅館を活用して避難者を受け入れた。そういう経験を岩手県は持っている。そういうところを生かして、今後の避難対策・避難場所の確保を、そういう経験を生かせば時間をかけなくても具体化できると思うので、よろしくお願いしたい。
 台風19号災害の特徴は、全国の死者84人、うち65歳以上が65%、自宅での死者34人のうち高齢者が79%で、高齢者の犠牲者が多かった。これは振り返り報告書にもあるが、避難行動要支援者の個別計画は2割しかできていない。そして、地域に名簿を提供されているのは4割。困った人を助けられない体制になっている。皆さんもこれは検証したことだから、100%やっている自治体もあれば0というところもある。改善されずずっとそうなっている。一番危険なのは自力で逃げられない方々である。全市町村が責任を持って要支援者名簿を作る、個別計画を作るとなっていても、それが作られていない。この点についてどのように取り組む予定か。

【総合防災室長】
 やはり高齢者等、自ら避難が困難方、特に避難において支援が必要な方、避難行動要支援者の方々の避難については、とても重要な課題と認識している。
 ご指摘の通り、各市町村においては名簿の作成が義務づけられており、一方で、個別計画については未策定の市町村があるという現状である。未策定の理由が、やはり対象数が多いということ、実際避難時に支援する方の確保が難しいこと、移動手段の確保にも課題があるようであり、また名簿の提供にあたってどうしても個人情報の部分が課題となっているという声も聞いているので、こういった部分については、担当課である保健福祉部等とも連携しながら、市町村に働きかけていきたい。

【斉藤委員】
 避難行動要支援者名簿と個別計画の策定状況は、何度も予算・決算特別委員会で議論されている。しかし改善されていない。厳密には、個別計画は22.4%、ただ5市町村は100%やっている。やれない理由はない。それは本当に自治体のこの問題に対する姿勢が表われているのではないか。県が本気になって取り組んでいただきたい。

・会計年度任用職員制度について

【斉藤委員】
 会計年度任用職員制度が今年度から導入された。昨年の臨時職員がどのように会計年度任用職員にフルタイムやパートで移行されたのか。
 昨年働いていた方々で、希望した方々は基本的には採用されたのか。

【人事課総括課長】
 制度導入にあたり、昨年度までの臨時職員や非常勤職員が、具体的にどのような会計年度任用職員に移行したかという職員個々の状況についてまで把握というのはなかなか困難な状況にあるが、全体の職員数に着目した場合、本年度の会計年度任用職員数は、昨年度の臨時・非常勤職員の数と比較し、一部の部局において事業費の減や育休の代替職員が常勤職員に振り返られたことにともなう減などはあるが、それを除けばおおむね同程度は確保されているものと考えており、皆さんがすべて移行されたかどうかまでは分からないが、おおむね移行されたのではないかと考えている。

【斉藤委員】
 予算特別委員会でも指摘したが、フルタイムで働いていた臨時職員571人が、会計年度任用職員ではわずか31人に減らされた。月収がそれで減ってしまった。一時金が出るから変わらないというが、これでは改善にならない。
 会計年度任用職員、これは臨時職員の安定的な雇用確保のためである。これは希望したら1年限りで切られるということがあってはならないと思うがいかがか。

【人事課総括課長】
 会計年度任用職員については、任用回数に関する制限は設けていないので、1回で終わりということはない。任期ごとに選考はするが、単純に回数でこれ以上任用できないということはない。

・受動喫煙防止対策について

【斉藤委員】
 議会棟に喫煙室を整備したが、日本たばこ産業株式会社からの寄付だった。しかし、たばこ枠組み規制条約―これは日本政府も加入しているものだが、たばこ会社は寄付行為は禁じられているというのが国際条約である。それを知って寄付を受けたのか。

【管財課総括課長】
 議会棟にある喫煙室の設置については、当時、議会からの申し入れにより喫煙室を設置するべく準備を進めていたところ、日本たばこ産業株式会社から寄付の申し出があり、部内で検討した結果、寄付により設置するということで、寄付で設置したものであるが、当時の寄付権を行うに当たり、今回の喫煙室の設置については、「分煙換気への整備への寄与」という目的ということがあったので、たばこを吸う人・吸わない人の双方に配慮した環境の整備ということで、これに寄与する寄付ということで寄付目的については問題ないものとして判断し、寄付を受けることとした。

【斉藤委員】
 結局あなたは、たばこ枠組み条約を知らないでやったということである。
 それで覚書には「供用期間5年」とある。日本政府も参加している世界の枠組み条約に基づいて再検討すべきである。条約の精神に立って再検討すべきではないか。

【総務部長】
 この件について、昨年の議会運営委員会等での議論についても承知している。
 当時の寄付目的について総括課長から説明した通り、受動喫煙防止という観点から分煙環境の整備ということで、これは公共目的にも資するということで寄付目的にあったということである。
 枠組み条約については、改めて確認したが、その際に条約の中では、「国内法にしたがい」ということで、具体的には国内法でしっかり定めてくださいとなっており、運用上細かい点についてはガイドラインで示されているということである。
 委員ご指摘の通り、趣旨は踏まえないといけないところではあるが、国内法をまずは国の方でしっかり定めていただけなければいけないと思ったところである。一方で、国内法を考えたときに、やはり受動喫煙防止というところの義務、努力義務ということで自治体にも課されているので、そういった意味からも引き続き分煙環境の整備ということの基本目的、公の目的ということで満たしているということで考えている。
 ご指摘の通り供用期間5年ということだが、議会事務局でも議論いただいた通り、引き続き議会の方でさまざま議論いただいたところについて、我々もしっかり検討していければと考えている。