2020年10月16日 決算特別委員会
復興局に対する質疑
(大要)


・東日本大震災津波追悼式について

【斉藤委員】
 丸10年を迎える中で追悼式の開催について、おそらく来年は陸前高田市の番になるのではないか。先日戸羽市長に会ったときに、「国営追悼施設を使ってぜひ開催したい」ということだった。ただあそこは狭いので、二元中継で別の会場に多くの人が集まれるような、できれば政府と三元中継という話もあったが、そうしたせっかく整備された国営追悼施設を活用するというのは大変大事なことではないか。
 もう1つ、今年釜石で開催された追悼式はちょっと自粛しすぎだったのではないかと思う。いまプロ野球も収容人数の半数、今度は全部入れて検証してみるということなので、やはり感染対策をしっかりとって、岩手の状況もしっかり踏まえて、丸10年にふさわしく、復興の姿を全国に発信できるような追悼式に、そして全国に感謝を伝える追悼式にすべきではないか。

【復興局長】
 昨年度の追悼式も、コロナの中でかなり頑張ってやらせていただいたところだが、わりと順繰りに市町村を周り歩いて合同で追悼式をやってきたので、そういった意味では陸前高田市というのも有力な選択肢の一つと考えている。その1つの要素としては、やはり復興祈念公園が年度末にオープンになる予定ということもあり、非常にタイミング的には良いのではないかと思っているが、なにぶん非常に風が強くて外でやるということもあり、そういった気候の関係や、ICT等の技術を活用した形でもいろんなことができるのではないかとは思っている。そういった部分も、関係した市町村と十分協議を進めながら、きちんとした形で追悼式を開催していきたいと考えている。

・復興局の今後のあり方について

【斉藤委員】
 総括質疑で岩渕委員の質問に知事が重要な答弁をした。「復興を県の最重要課題と位置づけ、復興の着実な推進や震災の教訓を踏まえた危機管理対策の強化につながる新たな組織再生の整備について、12月議会にお諮りできるよう検討していく」と。大変重要な答弁だったので、復興局も総務部と一体で検討していると思うが、どういう検討をし、今後の復興局のあり方も含めて検討されているか。

【復興局長】
 まず「復興」を今まで10年やってきたわけだが、ハード事業はそれなりに形はできているが、まだまだ心のケアの関係やコミュニティの育成という部分で足りない部分があるのではないかと思っている。こうした部分は当然ながら復興局という形―復興を担当する部署ということでこれまで通り一生懸命やらせていただくことになろうかと思う。災害との関係では、実は大震災津波の後にいろんな課題があった。例えば、その後に発生した台風10号、被災地に再び災害がきた時の仮設住宅の取り扱い、そういった部分がある程度1つの組織ということであれば、わりと有機的に連携したうえでできるのではないかという期待を持っている。
 それから被災者の支援の関係でも、例えば防災の関係は総務部で総合防災室が所管しているが、被災者支援の関係=災害救助ということで保健福祉部が担っているという部分もあり、そういった部分を横串をさせるような形でやれば、かなり初期動作が上手くいく面があるのではないかと考えているので、そういったことに上手く対応できるように取り組んでいきたいと思っている。

【斉藤委員】
 事前防災から災害対応、その後の復旧・復興、一体的に対応する体制というのは大変大事だと。災害の度ごとに対応するのではなく、どんな災害にも機敏に、今までの経験・制度を活用して対応する体制の確立を期待したい。

・被災者の住宅再建・確保の状況について

【斉藤委員】
 被災者生活再建支援金・基礎支援金受給者の住宅再建の状況はどうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 9月末現在の受給者は23179世帯、うち建設・購入の区分で受給された方が10815世帯、補修3017世帯、賃貸961世帯となっており、14793世帯が加算支援金を受給して住宅を再建した。これに災害公営住宅や公営住宅への入居をされた4260世帯、施設等に入所された2298世帯を加えると21351世帯が住宅等を確保したと見込んでいる。

【斉藤委員】
 公営住宅は5167世帯ではないかと思うが、ズレはどこにあるのか。
 21351世帯と支援金受給者23179世帯との差について、ここがまだ住宅を確保されていないということになると思う。そこの動向は把握されているか。

【生活再建課総括課長】
 はじめの5167世帯との差については、加算支援金を受給された方のうち災害公営住宅に入居された方として市町村から聞き取りした数が4260世帯となっているが、この差については、加算支援金は罹災証明書1つで1世帯でしか受けられないが、その後、親世帯や子世帯で世帯を分離してそれぞれが災害公営住宅に入居したということも考えられるのではないかと見ている。
 基礎支援金受給者と21351世帯の差が1828世帯となるが、このうち、亡くなられた方や行方不明になられた方ということで把握している数が1521世帯になり、それを除くと残り307世帯が今後住宅の再建準備中と把握している数となる。

【斉藤委員】
 残された307世帯をしっかり、できるだけ早く住宅が再建・確保できるように取り組みを強めていただきたい。
 住宅再建の沿岸被災地での再建状況はどうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 沿岸で被災された方の建設・購入にかかる加算支援金の受給件数は10485件で、そのうち沿岸地域で再建された方は9060件・86.4%となっている。

【斉藤委員】
 86%の方々が沿岸被災地で再建されたと。これは大変沿岸被災地が頑張った成果ではないかと思う。
 今後の住宅再建について、まだ307世帯残っているが、被災者生活再建支援金加算支援金、県の100万円補助は、10年を過ぎても必要な世帯があれば継続するということでいいか。

【生活再建課総括課長】
 これらの支援金については、面整備の進捗状況や市町村の意向を踏まえ申請期間を延長してきたところである。
 被災者生活再建支援金については、本年9月に陸前高田市の加算支援金にかかる申請期間について、事務を取り扱う公益財団法人都道府県センターに、令和4年4月10日までの延長を要請した。
 被災者生活再建住宅支援事業については、加算支援金の延長を踏まえ、来年度以降の実施について検討しているところである。

【斉藤委員】
 陸前高田市については令和4年4月10日まで延長要請していると。先ほど307世帯が住宅確保されていないということで、全てが陸前高田市ではないと思うが、その点はどう対応するのか。

【生活再建課総括課長】
 307世帯のうち69世帯が南青山の災害公営住宅に入居する予定と聞いている。残りの方々は、おっしゃるとおり陸前高田市の方が全てではないので、その方々については、各市町村でも名簿化しているので、期限である今年度中に申請をしていただけるように申請勧奨しているところである。

【斉藤委員】
 SDGsの精神で「誰一人取り残さない」と。全ての人に必要な支援が届くと。ここまで待っている方々なので、きちんと支援が受けられるような手立てをしっかりとっていただきたい。

・災害公営住宅でのコミュニティ形成について

【斉藤委員】
 災害公営住宅でのコミュニティの形成、集会所への支援員の配置と活用はどうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 災害公営住宅におけるコミュニティの形成については、災害公営住宅コミュニティ形成支援事業により、コミュニティ形成支援員を災害公営住宅に派遣し、相談対応や自治会運営のサポートを行っているほか、被災地コミュニティ支援コーディネート事業により市町村と支援団体とを調整するコーディネーターを配置し、体制づくりや人材育成に関するノウハウ等について助言するなど、市町村のコミュニティ形成の取り組みを支援している。
 それらに加え本年度においては、集会所等において、本県の地域資源である郷土芸能の発表の場を設定し、出演者や入居者等が交流することによるコミュニティ形成の取り組みを進めている。
 災害公営住宅の集会所等において、相談対応等の個別支援員やサロン活動等の地域支援を実施している地域見守り支援拠点については、令和2年8月時点で4市町6カ所が開設しており、それぞれ生活支援相談員が1〜3名配置され活動している。
 集会所の利用状況は、団地により異なるが、自治会が組織されている団地では住民が主体となり「お茶会」等が開催されているほか、自治会が組織されていない団地においても社協や民間団体等がイベントを開催するなど、住民同士の交流を図る場として活用されているとうかがっている。また、市町村が実施している高齢者向けの体操の場に利用されるなど、活用の幅も広がっていると承知している。

【斉藤委員】
 被災者のコミュニティ形成が大事だと復興局長も話されました。そして災害公営住宅というのは一人暮らし世帯が33%である。高齢化して孤立化している。災害公営住宅の集会所は今年どうなっているかというと、ほとんどが月1〜2回しか使われていない。新型コロナのもとできわめて残念である。やはり適切な規模で、コミュニティのために、集会所を使って孤立化しないように取り組んでいくことが今ほど必要なことはないと思う。予算特別委員会でも集会所が活用されていない問題を指摘したが、新型コロナのもとでほとんど活用されていない。
 今回4市町6カ所に支援員が配置されたということだが、それだけでは足らないと思うし、新型コロナに負けないような、一人一人の高齢者を結びつけるコミュニティ形成の取り組みを本気でやっていただきたい。現状認識がずれていると言わざるを得ない。しっかり保健福祉部とも県土整備部とも連携して、災害公営住宅で孤独死を一人たりとも出さないという形で、新型コロナに負けないコミュニティ形成の取り組みをしっかりやっていただきたい。

【生活再建課総括課長】
 新型コロナの影響で、非常に活用が滞ったということはうかがっている。現在のところは、生活支援相談員のマニュアルをつくり、徐々に新しい生活様式を実践しながらお茶会等が再開されていると聞いており、集会所利用ではないが屋外でできるラジオ体操とかそういった取り組みも進められているとうかがっているので、いずれ災害公営住宅の中から高齢者の方々をできるだけ外に出して、みなさんが交流できるようないろいろな取り組みを考えていきたい。

・第二期復興創生期間における復興事業費について

【斉藤委員】
 第二期復興創生期間における復興事業費、本県の総事業費、各事業ごとにどうなっているか。

【復興推進課総括課長】
 第二期復興創生期間における今後5年間の事業費については、この期間において本県および市町村が必要と見込んでいる復興事業費は総額約920億円となっており、内訳は被災者支援で約90億円、住宅再建・まちづくりで約500億円、産業・生業の再生で約270億円などとなっている。