2020年10月16日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・爆破予告事件について
【斉藤委員】
一般質問でも取り上げたが、答弁では「この1年間で6件爆破予告事件が県内であった」と。ところが10月10日に、盛岡・大船渡・花巻・陸前高田・八幡平の各市に爆破を予告するメールが届いた。「『13日の午後4時に、トイレと書庫に仕掛けた爆弾を爆発させる』というもので、市役所内での銃乱射をほのめかす内容も含まれていた」という内容で、きわめて悪質な事件だと思うが、これはどういう犯罪か。県警は本当に捜査しているか。
【刑事部長】
個別時案の内容については答弁は差し控えさせていただくが、一般論としては、脅迫罪・強要罪・威力業務妨害罪などが考えられる。
捜査については、管轄警察署と警察本部が緊密に連携を図りながら鋭意捜査を継続している。警察庁とも情報を共有して連携を図っている。
【斉藤委員】
岩手県で1年間で6件、10月10日には5市に同時に爆破予告メールが出された。一関市には7月26日に「7月28日、午後2時半に一関市役所2階の女子トイレに仕掛けた爆弾を起動させ職員を殺害する」と。さらに「爆発後、駐車場から市長室と正面玄関めがけ小銃を乱射する」という中身である。こういう爆破予告を野放しにしていいのか。本当に県民を不安に陥れる凶悪な犯罪行為ではないか。
岩手でもこれだけ起こっており、全国的にはこの1年間でどのぐらい爆破予告事件があったのか。
【刑事部長】
具体的な数字は用意していないが、全国的にも同様の事案が発生しているということは承知している。
【斉藤委員】
メールで来るので、追跡して、例えばいろんな機関からの協力をいただければ、なぜこれが摘発できないのかと。全国的に摘発された例はあるのか。
【刑事部長】
具体的なものは把握していないが、類似かどうかははっきりしないが、この種に関する摘発の事例はあるものと承知している。
【斉藤委員】
残念ながらリアリズムに欠けるが、摘発事例があるなら、どうやって摘発したのか。本当にこういうものを絶対に許さないということで、本部長は全国でいろんな経験があると思うが、これは摘発できないものなのか。
【警察本部長】
一般論として申し上げれば、犯罪があると思料したときは法と証拠に基づいて警察は捜査する。ただ、この手の犯罪というのは、捜査の中身にわたるので詳細な答弁は差し控えさせていただくが、一般的に追跡が不可能な形でのものが多く、物理的に難しいものはある。
【斉藤委員】
このデジタル社会というのは、そんな脆いものなのかと思う。菅政権はデジタル化というが、メールによる爆破予告1つ追究できないデジタル社会でいいのか。
・あおり運転防止への取り組みについて
【斉藤委員】
あおり運転の通報・検挙状況について示していただきたい。
【交通部長】
あおり運転や妨害運転の通報受理状況は、「あおられた」「車間距離を詰められた」「急ブレーキをかけられた」などの110番の通報件数は、8月末現在で356件あり、このうち3割は高速道路におけるものである。
検挙状況は、昨年になるが、高速帯において前照灯を蹴って破損させた器物損壊罪で現行犯逮捕した事案、同じく高速帯においてあおり行為により車間距離保持義務違反で反則切符処理した事案、花巻署においてあおり行為そのものを実行行為とした暴行罪で現行犯逮捕した事案の3件がある。
なお、改正道交法が施行された6月30日以降、現在までの検挙はない。
あおり運転につながる道交法違反については、本年8月末現在、車間距離保持義務違反268件、進路変更禁止違反1件を検挙している。
妨害運転の防止の取り組みについては、運転者に対する安全教育や広報啓発が重要であることから、安全運転管理者講習や運転免許更新時講習において、妨害運転の危険性や未然防止の内容を組み入れており、県警ホームページや交通部公式ツイッター等で広報しているほか、妨害運転につながる車間距離保持義務違反の取り締まり活動を強化するなど、未然防止対策を進めている。
【斉藤委員】
今年の8月末までで356件通報があり、3割が高速道路と。高速道路でこういうあおり運転をされたら本当に命の危険に関わり、これは重大な社会問題になっている中でも全国的に発生している状況だと思う。
道路交通法が改正された状況を踏まえて、根絶に向かってあらゆる手立てを講じていただきたい。
・県警の児童虐待への対応状況について
【斉藤委員】
児童虐待取り扱い件数と事件検挙の状況はどうなっているか。
【生活安全部長】
過去5年間の取り扱い件数で見ると、増加傾向が続いており、昨年は前年比46件増の489件となっている。
事件検挙については、取り扱い件数と同様に増加傾向にあり、昨年は前年比3件増の10件となっている。
【斉藤委員】
児童相談所に対する通告状況と虐待の中身を示していただきたい。
心理的虐待が急増しているが、面前DVかと思うが、DVへの対応も含めて示していただきたい。
【生活安全部長】
昨年の児童相談所への通告人数は、前年比157人増の768人となっている。対応としては、心理的虐待がもっとも多く全体の約8割を占め、次いで身体的虐待が2割弱となっており、例年と同様の傾向にある。
心理的虐待のうち、児童の面前で行われたDVへの対応については、一般的にDVについては被害者等の安全確保が最優先ということであるので、危険性や切迫性をきちんと判断し事件性について検討するとともに、配偶者暴力相談支援センターなど関係機関と連携してシェルターを利用した被害者の避難の措置を講じる等、必要な安全確保に努めている。もちろんそれ以降においても、安全が確保されるまで連携をとりながら確認を進めている。
【斉藤委員】
DVの相談件数、県警の対応件数、検挙件数を示していただきたい。
【生活安全部長】
DVの取り扱いについては、ここ5年を見ると、30年は300件台であったが、それ以外は400件台で推移しており、昨年は416件の取り扱いだった。
検挙に関しては、30年は20件台だったが、30件台で推移しており、昨年は36件をさまざまな法令で検挙している。
・捜査報償費について
【斉藤委員】
捜査報償費の決算額の推移はどうなっているか。5年前と比べてどうなっているか。
【警務部長】
平成27年度1072万4千円、28年度1040万7千円、29年度864万6千円、30年度700万1千円、令和元年度538万円となっている。
平成27年度と令和元年度を比較すると約534万4千円減少している。
【斉藤委員】
毎回捜査報償費の問題を取り上げて、成果が上がったなと思っている。5年前と比べて半分に減っている。
捜査報償費というのは、具体的に何に使われているのか。5年前と比べて半減しているが、大幅に減少した要因は何か。
【警務部長】
捜査報償費は、捜査協力者や情報提供者への謝礼、これら捜査協力者等との接触に際しての交通費、聞き込み、張り込み、尾行等に必要な交通費、通信費などに使用している。
減少している要因については、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などのさまざまな要因によるものであり、執行額の増減は事件捜査を行った結果である。その理由については、個々の捜査の内容を明らかにすることにつながることから、答弁は差し控えさせていただく。
【斉藤委員】
捜査協力者への謝礼―実はこれが県警の裏金になっていたということで繰り返しこの問題を取り上げ、5年前の半分までになったと。適正な予算化を求めておきたい。
・パワハラ事案で本部長注意処分となった件について
【斉藤委員】
2019年3月25日付のパワハラ事案で本部長注意処分の件について、パワハラの内容、なぜ懲戒処分にならなかったのか示していただきたい。
【首席監察監】
まずパワーハラスメントの内容については、平成30年5月頃から同年12月頃までの間、部下職員に対し「立たせたまま叱責」したり、「平手でたたく」などの行為を行ったものである。
本部長注意の措置については、事案の内容および全国におけるこれまでの先例等を踏まえて厳正に対処したものである。
【斉藤委員】
この事件は新聞でも報道されたが、これは盛岡東署の巡査部長で、略式起訴され、盛岡簡裁で罰金20万円となった。それが「本部長注意」である。そして同月末でこの方は退職した。退職するほどの処分を受けているのに、懲戒処分にならずに本部長注意処分というのは、恩情して退職金を丸ごと払ったということではないか。これは適正だったのか。
【首席監察監】
処分が軽いというご質問だが、繰り返しになるが、本件事案についての措置については、事案の内容および全国におけるこれまでの先例等を踏まえ厳正に対処している。
【斉藤委員】
略式起訴されて罰金20万円の略式命令を受けて、同月末で退職している。退職するほどの事件だったということではないか。それがたったの本部長注意処分、これは懲戒処分にならない。だから退職金を丸々もらえるということになる。そういう恩情だったのではないか。なぜ辞めたのか。
本当にこういう不祥事については、厳正に対応してこそ、こうしたことを根絶できるのではないか。
【警察本部長】
ご指摘の量刑については、わたくし他県でも警務部長等を務めているが、全国の先例等に従って、それぞれの事案に応じて適正に判断しており、決して甘いという認識はない。
この手の事案は、重大な人権侵害であることはもとより、職員が職務に専念できる勤務環境を悪化させるきわめて憂慮すべき問題であると考えている。ハラスメントのない良好な勤務環境を確保するために、研修会をはじめとした各種防止対策に加え、職員からの相談窓口を拡充するなど、その根絶に向け取り組みを進めている。引き続き事案の根絶に向けた取り組みを強化するとともに、警察諸活動の推進を通じて、県民の皆様方の期待と信頼に応えられるよう力を尽くしてまいりたいと考えている。
【斉藤委員】
これだけの事件で辞めざるを得ないほどのものが懲戒処分にならないと。これが甘いと言っている。全国がそうだというのは全国が甘いということである。こういうものはしっかり正していただきたい。