2020年10月16日 決算特別委員会
千田美津子県議の警察本部に対する質疑(大要)
・信号機の設置、及び更新の現状について
(千田委員)
信号機の設置、及び更新の現状についてお聞きします。更新基準を超えた信号機等の実態と更新についてですが、この間警察庁の調査で、全国で老朽化し更新基準を超えた信号機が2割以上にのぼっていることが明らかになりました。そこで県内の耐用年数を超えた信号機がどれくらいあるのか、また今後の更新方針、更新計画についてお尋ねします。
(佐々木交通部長)
耐用年数を超えた信号機について、信号機は主に制御機、柱、灯器で構成されており、これらについて令和元年度末の状況をお答えします。制御機の耐用年数は概ね19年で、設置数1880基の内408基(21.7%)、コンクリート製柱信号機の耐用年数は42年で、設置数3303本の内1086本(32.9%)、電球色灯器の耐用年数は概ね30年で、車両用5280灯のうち103灯(2.0%)、歩行者用4086灯のうち30灯 (0.7%)が耐用年数を超えております。
更新の方針についてですが、耐用年数を超過したものを更新の基本としているものの、設置環境によっては老朽化の進度が異なり、日々の警察活動や年に1度業者に委託している保守点検の結果等を踏まえ、総合的に判断し必要性の高いものから優先的に更新をしております。
更新計画についてですが、交通安全施設の更新については計画的な更新が重要であると認識しており、昨年3月に岩手県交通安全管理計画を策定しております。具体的には1年間に信号制御機は70基、コンクリート製信号機は20本、電球式車両用灯器は60灯、 電球式の歩行者用灯器は64灯の更新を計画しております。
(千田委員)
今の方針から言えば、信号機の心臓部ともいえる制御機は408基が対応年数を超えているわけですから、年間70基を整備すると5年から6年ということで更新されます。ただ問題なのはコンクリート柱信号機で、これが1086本、3303本のうち3割以上が42年を超えているということで、これが最も危険だと思います。さらに50年を超えたものはどのくらいあるのか。コンクリート柱を10年以内に更新しないと地震などに耐えられないのではないかなと思いますが、お聞きします。
(佐々木交通部長)
コンクリート制信号柱は設置から50年経過をしたものが5基となっております。コンクリート制信号柱の更新については耐用年数が42年という目安がありますが、設置環境によっては老朽化の進度が異なることから、日々の警察活動、それから年に一度業者に保守点検を委託して安全施設の状況を確認しており、その結果を踏まえ、必要の高いものから更新をしております。管理計画に基づく更新をと基本としておりますが、必要があればさらに多くのものを更新対象としていきたいと考えております。
(千田委員)
必要があれば、との答弁ですが、事故が起きてから倒壊してからでは遅いと思います。この信号柱が倒れたことにより、全国でも色々な事故が起きています。警察庁がこういう調査の結果を明らかにし、計画を立てろと言ったわけですから、その計画があまりにもひどすぎます。今後、50年もかかるような信号柱の更新計画は到底認め難いと思います。もっと前倒しをして行うべきだと思います。先ほど答弁では、設置環境によっては老朽化の進度が異なるという話でしたが、どういう状況が具体的にあるのかお聞かせください。
(佐々木交通部長)
コンクリート柱一つ一つ、天候であったり、雪の多い県北、沿岸部の塩害など、後は湿気だとかさまざまな要素があり、その場所その場所で違っている状況です。引き続き業者の点検、日常の警察活動の中で確認を進めてまいります。
(千田委員)
日常点検をしっかりやっていただくのはもちろん大事であります。予算を聞きましたらコンクリート製の信号柱は154万円で取り替えることができると。県民や子供達の命を守るという信号機を変えることは大事だなと思います。いろんな環境があって耐用年数とか事情が違うと言われましたが、岩手県においては決して良い状況とは言えないと思います。これについては善処していただきたいと思います。その点本部長にお聞きします。
(大濱警察本部長)
交通安全施設の老朽化対策についてですが、老朽化を原因とする信号機の故障や倒壊などの発生が起きますと、交通の安全と円滑に大きく影響を及ぼすこととなります。こうしたことを未然に防止するということは極めて重要な取り組みであると認識しております。県警察としましては岩手県交通安全施設管理計画に基づき適切な維持管理に努めてまいります。
(千田委員)
警察庁は信号機設置の一層の合理化を呼びかける警察庁交通局長通達を昨年3月に出しました。これへの対応について県警としてどのようになされているのかお聞します。
(佐々木交通部長)
信号機の設置合理化への対応についてですが、昨年3月警察庁通達が示され、設置当時から交通実態が大きく変化するなど、設置の合理性について重点的に点検する重点点検信号機を3割程度選定すること、必要性の低下した信号機の撤去等を検討することなどについて指示されたところであります。
当県では平成30年度末の信号機総数が1902基の内535基(28.1%)を重点点検信号機に選定し、令和元年度から5年間で集中的に点検することとしております。点検の結果、信号機の必要性が低下したと認められる場合は、その理由や撤去を行った後の安全確保方策を地域住民や道路管理者等に丁寧に説明した上で、十分な検討を行い撤去することとしております。
(千田委員)
30年度末の信号機1902基の内28.1%、535基を5年間で点検していくということですね。元年度の点検結果で撤去すべきと判断されたのはありますか。
(佐々木交通部長)
元年度の点検結果についてですが、94基の内、現状で撤去することが妥当であるという信号機が32基ございます。
(千田委員)
そうしますと約1/3が撤去すべしという結論を出したということですね。最終的には先ほど説明がありましたとおり、地域住民の方々に様々丁寧に説明をしながら最終的には合意形成したものを撤去することになると理解をしました。それは必要なことですが、しかし住民説明は撤去する時だけであり、住民は信号機をつけて欲しいという願いが非常にあります。その設置については要望してもなかなか実現しない。設置率は精選されて県警本部に上がっても1/3くらいしか設置がされていません。そういう中で撤去する時だけの住民説明ではなくて、是非、日頃から地域に入りながら住民の要望やそういう状況や交通の状況について耳を傾けるそのことが必要だと思いますがいかがですか。
(佐々木交通部長)
これまでも各警察署、本部においても、様々な信号機、交通規制等の要望をいただいておりますが、委員ご指摘のとおり、撤去の部分はしっかりと説明を尽くさなければならないと思っておりますが、警察においては、これまでも撤去時のみならず、設置あるいは設置の場所的な問題、いろいろな規制の種類もありますので可能な限り設置、撤去する時のみならず、広く新設・変更とも含めて十分に説明をしてきているつもりでございますので引き続きしっかりと説明をしていきます。
・交通事故の抑止対策について
(千田委員)
二つ目、交通事故の抑止対策についてです。信号機のない横断歩道での一時停止の現状と対応についてお聞きします。横断歩道では自動車が手前で一時停止することがルールですが、実際には停車しない車が多く横断歩道を人が渡ろうとした時にどのくらいの車が止まるのか、日本自動車連盟(JAF) が全国調査をしています。その結果、一昨年は34都道府県で9割が停止しなかったと。昨年の調査では停止率が17.1%になりましたがそれでも8割以上が止まらないということで、大変な状況だと思います。そこで県内の横断歩道での一時停止の実態をどのように把握をされ、対応されているのかお聞きします
(佐々木交通部長)
信号機のない横断歩道での一時停止の現状についてですが、近年、歩行者事故が多発傾向にあることや、横断歩道における一時停止率が低調であるとのJAFの調査結果などから、歩行者対策の必要性、重要性を再認識しているところであります。その対応についてですが、横断歩道チェック・ストップ運動をより効果的に推進するため、安全モデル横断歩道の指定を計画的に見直し、昨年より多い現在94箇所を指定しており、引き続き横断歩道での事故の防止・抑止に努めてまいります。
(千田委員)
安全横断モデル歩道を多く指定し、取り組まれているということは結構ですが、JAFのアンケートの際に、運転手の気持ちとして道交法38条の横断歩道における歩行者優先の理解が法的に決まっているのに、マナーという捉え方があるんですが。そういう事に対する取り組みが必要だと思います。それから青森県では民間と一緒になり、横断歩道前での停止率がワースト2位という汚名を挽回をしようと、チャレンジ2025プロジェクトを展開したと。これは自治体や企業・団体などにも呼びかけ、官民あげての取り組みを広げているということですが、効果の上がる取り組み、県民にそういう状況にあるということがしっかり理解できるような取り組みを岩手県でも必要なのではないかと思いますがいかがですか。
(佐々木交通部長)
委員ご指摘のとおり、なかなか様々活動を横断歩道の安全確保、渡る人優先の意識をしっかり取り組んでいるところではありますが、なかなか成果として直ちに出ていないという現状にもあります。青森の施策については隣ということでもあり、いろいろ情報を共有しながら取り組んでおり、中身も承知しております。先進的に取り組まれている他県の例も参考にしながらしっかりと取り組んでまいります。
(千田委員)
信号機のない横断歩道での停止率を高めるということで「ぴかっとわたるくん」というのがありますが、これは横浜市などで導入されています。これは押しボタン式の歩行者信号機のように、横断する際にボタンを押すとLEDランプが点滅してドライバーへ横断者がいることを知らせてくれると。これは押しボタン式信号機よりコストが非常に抑えられて導入6ヶ月後の一時停止率が6割から7割までに向上したという事例もあります。設置前に比べると約6倍の結果が得られたということで、初期導入のコストがありますが検討したらいかがでしょうか。
(佐々木交通部長)
委員が紹介された事例は承知しておりませんでした。直ちに確認をします。いずれ交通安全施設広く、いろんなもの例えば横断歩道の標識が常時下を照らしているものとかいろんなものがございます。通常の標識・表示より当然、金額が張ってくるということはありますが限られた安全施設整備の中でしっかりと検討をしていきます。