2020年10月20日 決算特別委員会
保健福祉部に対する質疑(大要)
・PCR等検査体制の強化について
【斉藤委員】
PCR等検査の検体採取、検査実績はどうなっているか。
【医療政策室長】
10月19日現在、PCR検査と抗原検査の合計で4920件の検査を実施している。環境保健研究センターにおけるPCR検査が1290件、民間検査機関および医療機関におけるPCR検査(ランプ法含む)が3119件、医療機関における抗原検査が511件となっている。
【斉藤委員】
検体採取の状況はそれぞれどうなっているか。
【医療政策室長】
検体採取に関しては、基本的に鼻咽頭ぬぐい液で検体を採取するが、中には唾液でのPCR検査も含まれており、400件ほどある。
【斉藤委員】
帰国者・接触者外来、地域外来・検査センター、その他、どういうところで検体採取されているか。
【医療政策室長】
帰国者・接触者外来だけでのものはなく、県内の医療機関で1144件、地域外来・検査センターで受け付けた分が764件となっている。
【斉藤委員】
岩手県は、濃厚接触者に限らず、疑いのある方々もかなり広くPCR検査をやっているが、濃厚接触者は全額国庫負担、しかし県が独自にやっているのは2分の1自治体負担ということになっていますね。
【医療政策室長】
濃厚接触者、濃厚接触者以外の接触者についても、すべて国庫負担の対象となっており、負担率は2分の1になっている。
【斉藤委員】
濃厚接触者も2分の1負担ですか。
全国知事会は、この2分の1の負担を全額国庫負担にすべきだと要求しているが、取り組み状況はどうなっているか。
議会事務局を通じて、第一号補正は2月議会で採択されたものだが、感染症予防費の中身は、PCR検査等の公費負担、請求後執行と書いているが、執行率は3.7%となっている。これまで4920件も検査されているのに執行率はこの数字にとどまっているのか。
【医療政策室長】
PCR検査の負担については、全国知事会等を通じて全額国庫負担について要望を行っており、県としても全国知事会と連携して取り組みを進めていきたい。
費用の公費負担については、各医療機関から実績に応じて検査実施月のおおむね2ヶ月後以降に、各保険者を通じて請求されているものである。診療報酬と一緒であるので、順次予算執行しているところである。
令和2年度の公費負担分にかかる予算執行状況については、10月19日現在814件、金額で339万円余、予算執行率は5.3%となっている。これは行政検査委託医療機関と地域外来・検査センターにおけるPCR検査および抗原検査の件数を最大限見込んでおり、13000件以上ということで予算措置しているためである。
【斉藤委員】
これは申請が遅くなるということで、データを見て大変驚いた。
・インフルエンザと新型コロナの同時検査について
【斉藤委員】
今までも議論があり一般質問でもお聞きしたが、インフルエンザと新型コロナの同時検査体制の整備は本当に重要で、新型コロナの陽性者早期発見という点でも、今までとまったく違ったレベルの取り組みになるのではないかと期待している。
県医師会は10月15日を第一次の集約としているが、この状況は把握されているか。
【医療政策室長】
現在、県医師会において各二次医療圏で発熱患者の診療・検査が可能な医療機関を募っているところであり、これらの応募状況を踏まえ、まず15日を期限として一旦取りまとめたが、まだ数字が動いているような状況であり、現在も診療検査体制について調整を図っている状況である。10月末までにきちんとした形で指定を行い国に報告したい。
【斉藤委員】
そうすると、10月末に体制が一気に出ると。せっかく第一次の集約をしているのだから、途中経過を示した方が県民は大変分かりやすいと思う。
地域外来・検査センターで同時検査すると表明したところもあるが、この状況はどうなっているか。
【医療政策室長】
地域外来・検査センターの中で両方の検査をすると表明されたところはあると聞いているが、件数までは承知していない。
【斉藤委員】
10月もあと10日しかないので、日々の進行状況については、もちろん把握していると思うが、公表できないのだと思うが。
これまでのインフルエンザの検査件数はどうなっているか。
【医療政策室長】
昨年度までの4ヶ年の平均で、約23万件程度となっている。
【斉藤委員】
同時検査ということになるとそういう規模を想定し、これは抗原検査になると思うが、この抗原検査は無料か。
【医療政策室長】
新型コロナウイルスの抗原検査は無料である。
【斉藤委員】
抗原検査は無料だと。ただ規模が大変なものになるので、本当に受け皿をしっかり整備していただきたい。
・インフルエンザワクチンの確保状況と市町村の助成状況について
【斉藤委員】
全体として今インフルエンザの発生は極端に少ないと言ってもいいような状況だと思う。そういう症状が出ない、インフルエンザが広がらないということは、新型コロナも抑えられるという効果があるのではないかと。
それで、どのぐらいのインフルエンザワクチンを確保しているのか。そして市町村は思い切ったインフルエンザワクチンへの助成を行っているが、その状況はどうなっているか。
【医療政策室長】
ワクチンの確保状況は、医薬品卸等との関係機関と情報共有を図っている。今般、国から当該ワクチンの都道府県別供給本数の目安が示され、本県の目安は34万本、成人にすると68人分ということで示された。
市町村の助成状況については、法令に基づく定期の予防接種については、対象者の接種料を全額補助しているのが6市町村、一部負担が26市町村である。昨年度比で6市町村が拡充している。
法令に規定のない任意の予防接種については、子どもを対象とする予防接種は県内全ての市町村が費用助成を実施している。妊婦に対する費用助成を実施しているのが7市町村、全住民に対する費用助成を実施しているのが5町村ある。これも昨年度比で12市町村で拡充している。
【斉藤委員】
高齢者の場合には、いただいた資料だと23市町村が無料。全住民を対象として無料が6市町村ということで、かなりインフルエンザ対策を今年は強化しようとしている。
34万本ということで、そういう体制もしっかり強化・援助していただきたい。
・医療・介護等従事者に対する慰労金、危険手当について
【斉藤委員】
申請と給付状況はどうなっているか。
【企画課長】
慰労金については、7月下旬から申請受付を開始し、9月給付分までの累計で申請件数は2141件・13億1230万円、給付人数は24650人となっている。
内訳については、救護施設においては、申請件数2件・415万円で83名に給付、障がい福祉サービス等の事業所においては、申請件数282件・1億2085万円で2417人に給付、介護サービス事業所等においては、申請件数1097件・6億8435万円で13687人に給付、医療機関等においては、申請件数760件・5億295万円で8463人に給付されている。
【斉藤委員】
全体で見込みのどのぐらいの申請・給付の実績となるか。
【企画課長】
慰労金については、4事業の合計で88億1300万円余を予算計上しており、執行率は14.9%となっている。
【斉藤委員】
これからも慰労金が出てくると思うが、この慰労金も一回限りでは、感染の危険を抱えながら頑張っている方々に対応できないのではないかと思う。継続した慰労金の支給が必要ではないか。
例えば、県立病院や市立病院の場合には、直接接する医師・看護師等には危険手当が出る。一日4000円だと思うが。ところが民間病院で帰国者・接触者外来をやっているところはこの財政措置がない。公立病院の場合、この危険手当の財源は何か。そして民間病院が自腹を切ってやっていることではいけないと思うが、民間病院の危険手当もきちんと措置されるべきではないか。
【医務課長】
診療報酬において、中等症や重症のコロナ感染症患者に対する一定の診療への評価を引き上げるということと、感染症患者と直接向き合う医療従事者への危険手当の支給ということを念頭に診療報酬が引き上げられたと認識しており、基本的には診療報酬の引き上げを原資として各医療機関において支給しているものと認識している。
【斉藤委員】
診療報酬のわずかな引き上げ程度では医療機関の減収さえ補てんできないのが実態である。それでも県立病院や市立病院は出す。しかし民間病院にはそういう手立てがないと指摘したので。
・岩手医大移転後の状況について
【斉藤委員】
岩手医科大学移転から1年が経過したが、地域医療への影響、救急患者の動向はどうなっているか。
【地域医療推進課長】
盛岡地区広域消防組合の資料によると、昨年9月の岩手医大移転後、数ヶ月間は盛岡保健医療圏域内の他の医療機関において、移転前に比べ救急搬送患者数に増加が見られたが、令和2年2月頃からは患者数は抑えられている。
救急搬送件数の割合については、岩手医大付属病院では盛岡圏域の救急搬送の約2割を受け入れており、月ごとに若干の増減はあるが、移転前後で大きな変化はないものと認識している。
盛岡圏域における救急医療提供体制の状況や課題等については、定期的に開催している盛岡地区二次救急医療対策委員会等の場において共有し、医療機関間の適切な役割分担について協議いただいている。
県としては、今後とも引き続き関係機関と連携し、患者の需要動向やこれにともなう課題の把握等に努め、新型コロナ感染の収束後も見据えた救急医療提供体制の充実・強化に取り組んでいくこととしている。
【斉藤委員】
よく分析してほしいのだが、1つは、令和元年8月の救急患者は全体で1478人だった。令和2年9月は1051人と400人以上減っている。減っている原因は新型コロナなのか。
もう1つは、県立中央病院が令和元年8月は40.3%だったが、令和2年9月は47.6%である。だから中央病院にかなりの程度集中しているのではないか。医大移転直後は市立病院が結構受け入れていたが、ただ市立病院は指定感染症病床を抱えているので、そのことがあって今は市立病院が若干抑えられているのではないのか。
【地域医療推進課長】
令和元年8月と2年9月の差については、コロナの影響なのかどうかというのは分析しきれていないが、状況として考えられるのはコロナの関係で受診控え等が起きているのではないかと推測されているが、詳しい分析は現時点ではできていない。
一時的に中央病院や市立病院に患者が集中したというお話があったが、盛岡地区二次救急医療対策委員会を主催している盛岡市医師会に状況を確認したが、2月以降については、受療動向についてある程度収まっているのではないかということで、それ以降はたしかにコロナが発生したということもあるので、どちらかといえば議論がコロナの関係に移ってきている状況があるという話も聞いているので、引き続き関係機関と連携して情報を把握しながら対応していきたい。