2020年10月20日 決算特別委員会
医療局に対する質疑
(大要)


・県立病院の経営計画と医師・看護師等の増員の実績について

【斉藤委員】
 経営計画の増員計画と医師の増員の実績はどうなっているか。

【医師支援推進監】
 現行の県立病院等の経営計画2019-2024では、令和元年度〜6年度までの6ヶ年で81名の増員を計画している。
 令和元年度は、常勤医師13名の増員計画に対し、配置実績は計画通り13名の増員となった。
 今年度は、常勤医師11名の増員計画に対し、9月1日現在で17名の増員となっている。
 医師数が増加している主な要因としては、県立病院で義務履行を行う奨学金養成医師の配置が、令和2年度は73名と令和元年度と比較して23名増加し、養成医師の配置が始まった平成28年度以降年々配置数が増加していることや、常勤の即戦力医師の招へいが令和元年度は7名と、平成30年度と比較し4名増となっていることによるものと考えている。

【斉藤委員】
 私がいただいた資料では、医師は24人の増員計画に対し30人(+6)と。ところが初期研修医が4人増員に対し-13人で-17人となり、合わせると28の増員に対して-11という結果である。だから、医師数という点からいくとマイナスという結果ではないか。

【医師支援推進監】
 研修医のところを合わせるとたしかにそのような状況になっている。

【斉藤委員】
 いただいた資料で聞いているので、増員とマイナスでは評価が違うので。
 初期研修医が計画に対して-17人になった要因は何か。対策はどうとられているか。

【医師支援推進監】
 臨床研修医が計画を下回った要因は、さまざまな要因が複合的に影響しているものと考えられるが、一因としては、医学生が臨床研修後の専門研修を見据え、専門研修の指導体制やカリキュラムが充実している都市部の病院や大規模病院を志向していることが考えられる。

【斉藤委員】
 対策の答弁がなかったので残念だが、やはり初期研修医の確保というのは大変重要な課題で、ここが計画に対してマイナスにならないように頑張っていただきたい。
 正規の医師は計画に対して30人と6人増えているが、この間73人の奨学生養成医師が県立病院に配置されている。これまで73人配置されているわりには増員に十分結びついていないのではないか。73人の医師は、基幹病院・地域病院どのように配置されているか。

【医師支援推進監】
 令和2年度においては、基幹病院に65名の配置、中小病院に8名の配置となっている。

【斉藤委員】
 地域病院にも8名配置されてきたことは評価したい。医師の確保というのは、病院経営にとっては中核中の中核的課題なので、計画は88人増というものなので、本当に執念を持って取り組んでいただきたい。
 次に、看護師の増員計画と実績はどうなっているか。

【職員課総括課長】
 令和2年度の看護師の配置実績は、医療の質の向上ということで、13人の計画に対して14人の配置、産育休に対する代替職員確保で15人の配置計画に対し18人の配置となり、全体で28人の配置計画に対して32人の配置をした。
 一方で、病床適正化による10人減員する計画に対しては、今年度は実施しなかった。
 また、令和元年度から2年度までの増員実績は、医療の質向上で23人の配置計画に対して21人の配置、産育休に対する代替職員確保で30人の配置計画に対し33人の配置、病床適正化の23人の減員に対して13人の減員となり、全体で30人の配置計画に対し41人の配置となり、11人上回っている。

【斉藤委員】
 30人の計画そのものが今の看護師の実態から見たらまったく少ない。計画を超えて41人の配置がされたことは評価するが、そもそも計画の数が少なかった。
 どういう実態かというと、県立病院における月8回を超える夜勤者の発生状況は、令和元年度は1157人、中央病院は346人と大幅に増えている。8日以内が原則なのに、なぜこれだけ9日を超える夜勤が増えているのか。

【職員課総括課長】
 令和元年度における月8回を超える夜勤については、ご指摘の通り1157人と平成30年度と比較し450人ほど増加している。
 新採用職員の配置、中央病院の患者数の増加による夜勤体制の確保、病気休暇等の急な取得によるものが原因と考えている。

【斉藤委員】
 毎年残念ながら増え続けている。看護師は本当に絶対的不足だと思う。こういう厳しい中で、普通退職・中途退職が昨年度は85人も出ている。県立病院で看護学生が実習すると、本当に県立病院が選ばれない病院になってしまいかねない。やはり増員計画、私は計画そのものを見直すべきだと思うが、大幅に増やすべきだと指摘しておきたい。

・県立病院におけるインフルエンザと新型コロナの同時検査について

【斉藤委員】
 インフルエンザと新型コロナの同時検査を県立病院としてどう実施する体制か。昨年のインフルエンザの検査実績も含めて示していただきたい。

【業務支援課総括課長】
 令和元年度のインフルエンザの検査実績は、25285件実施している。
 同時検査の検査体制については、例年季節性インフルエンザの流行期には多数の発熱患者が発生しているところだが、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、咳・鼻水・発熱・全身倦怠感などのいわゆる臨床的な症状から診断を下すことが難しいとされている。このことから、発熱患者を受け入れる際には、これまでも行っているところだが、基本的には個人防護具の適切な使用や手指消毒の徹底を図るとともに、一般の患者とは別のルートで受け入れて、診察するときにも別の診察にて対応することとしている。
 季節性インフルエンザ流行期の対応については、発熱患者等からの相談・受診について、保健福祉部において医師会と連携し、かかりつけ医等の地域の身近な医療機関において検査等を受けられる体制整備を進めていることから、県立病院としても各地域の実情に応じた役割を果たせるよう体制を整えることとしている。
 なお具体的な検査方法として、検査時の患者の負担軽減や医療従事者の感染リスクを最小限とするため、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の両方を一度の検体採取により同時に検査可能な抗原簡易キットを用いて検査することとしている。

【斉藤委員】
 昨年度のインフルエンザ検査件数が25100件余で、この程度の同時検査は県立病院でも実施する必要があるのではないか。基本的には県立病院で実施すると受け止めていいか。

【業務支援課総括課長】
 今年度においても、インフルエンザ・コロナの検査については、必要に応じて同程度実施を考えている。

・遠野病院の超過勤務手当未払い問題について

【斉藤委員】
 重大な超過勤務手当の未払いが発生した原因と責任はどこにあったか。

【職員課総括課長】
 超過勤務を適正に把握し管理していくためには、事前に命令して事後に確認するという手続きの原則や、超過勤務として行う必要がある業務の内容等について、職場内での十分な理解と共通認識のもとに、必要な超過勤務についてしっかりと認めるということが重要であり、適正な申告がなされるように普段からのコミュニケーションをとり、各職員が必要な超過勤務における業務内容および勤務実態について相談しやすい職場づくりに努める必要があるものと認識している。
 看護科の全職員を対象とした聞き取りにおいては、「超過勤務を申告しづらい雰囲気がある」といった声がある一方で、「短時間の超過勤務は申告するまでもないと思っていた」「自己研鑚だと思っていた」など、超過勤務についての認識が職員により異なっていたことを確認したところである。看護科の業務の命令権者をはじめとした管理者等が、勤務管理上必要な取り組みを怠り、看護科内において超過勤務を申告しづらい雰囲気が形成されていたこと、超過勤務時間にかかる認識が不十分のまま、管理者等が実態を適切に把握できておらず、また必要な指導を行っていなかったことなど、勤務時間管理が不適切であったことによるものと認識している。

【斉藤委員】
 どれぐらいの未払いだったかというと、全体で9310時間、2430万9731円、88人中87人の看護師が未払いだった。
 あなた方がどういうヒアリングをやったかを出してもらったが、だいたい30分〜1時間ヒアリングして、あなた方が書いているのは1〜2行である。その1〜2行のヒアリング結果を見ても、88人中33人が「超過勤務をつける雰囲気ではなかった」と言っている。少し紹介すると、「一定時間以上超過勤務をつけると後で怒られると聞いた」「この病院ではみんな超勤をつけていないので、空気を読んでつけなかった」「昨年は書けない雰囲気だった」「書きにくい雰囲気、周りの人で渋い顔をされた人がいる」と。「書きにくい雰囲気」というのは33人書かれている。「時間で帰るように言われたが超過勤務を申告しないように圧力をかけられた」「申告しても認められないだろうと思って」「申告したら理由を聞かれるのが面倒」「異動前に『遠野は書けないよ』と言われた」。もっとひどいのは、これは退職者の方だが「時間になったらタイムカードを打刻するように言われていた」「始業時間の15分前以降、業務終了時間より15分以内に打刻するように言われていた」と。
 総看護師長が赴任するまでは、1人平均月9時間申請されている。赴任した年は1人平均2時間。昨年問題になるまでは0.4 時間だった。総看護師長が遠野病院に来てからそういう雰囲気がつくられた。以前からあったのではない。だからこんな異常な事態が起きたのではないか。
 ヒアリングの簡単なものだけ紹介したが、医療局長、原因ははっきりしているのではないか。なぜ超勤が申請できない雰囲気になったのか。タイムカードの打刻を指示されたのか。どのように受け止めているか。ヒアリングの中身を詳しく見たか。

【医療局長】
 ヒアリングの結果については、逐次報告をいただき確認している。今回、退勤時刻の記録と電子カルテのログイン・ログアウトの時間の相違する時間について、職員からの聞き取り調査を行ったところである。明確に覚えている職員は少なかったところだが、やはり超過勤務をやっていた、やっていないという断定もできない、やっている可能性が高いということで、労働基準監督署と協議し超勤の追給を行った。
 課長申し上げた通り、委員からもお話あった通り、いろいろ超過勤務に関して職員間でさまざま受け止めがあった。やはりそこは超過勤務の事前命令、事後申告、その徹底が管理者がなされていなかったというところに問題があると思っており、そこは適正な管理が行われていなかったところに責任があると思っている。
 一方で、特定の職員が超過勤務を付けさせない、付けた者を認めないといった法令に違反する行為を行った・命じたという事実は聞き取り調査では確認できなかった。

【斉藤委員】
 だいたい打刻の指示というのは違法である。そして超勤を申請すれば、詳しくその理由を聞かれるから諦めて申請していない。ひどいのは、439時間未払いで142万円支払われた。300時間超えた人もいた。142万円といったら給料の数ヶ月分である。数ヶ月分タダ働きされても超勤申請させない。しなさいとも言わない。こんなことは異常だと思わないか。300時間を超えた人は2人いた。こういう人たちも含めて申請できなかった。これが異常だと感じなかったらおかしいのではないか。
 そしてこの総看護師長が赴任するまでは月平均9時間だったので、この未払い額が払われてどうなったかというと9.8時間である。元に戻ったのである。その責任ははっきりしているではないか。それを「訓告処分」という懲戒処分にもならないようなやり方で隠ぺいすると。これでは職場は変わらないし、あなた方はこれだけの未払いについて謝罪したか。

【医療局長】
 謝罪ということだが、労働基準監督署からの指摘、そして調査を行い、各職員からの聞き取り調査を経て追給させていただいたところである。
 いずれその追給の過程において、職員からの考え等を十分お伺いし、最終的な漏れがないかどうか全てチェックした上で追給したところである。