2020年10月21日 決算特別委員会
環境生活部に対する質疑
(大要)


・台風19号災害への対応について

【斉藤委員】
 災害廃棄物処理の進捗状況はどうなっているか。予算特別委員会のときには「今年の秋頃までには」という答弁だったが見通しはどうか。
 水道管の耐震化を含めた復旧の進捗状況はどうか。これは「令和3年度までに」ということだったがどうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 台風19号で発生した約5万トンの災害廃棄物について、被災した10市町村で処理が進められており、9月末現在で6市町村において処理が終了している。残る4市町については、家屋解体や廃棄物混じりの土砂の分別・処理などに時間を要する状況にあるが、市町からの情報によると、処理は今年度末までに終了する見込みと聞いている。
【県民くらしの安全課総括課長】
 水道施設については、被災した7市町村のうち、岩泉町および田野畑村は令和元年度中に事業が完了し、久慈市・釜石市・山田町・普代村は今年度中に事業完了の見込みである。被害がもっとも大きかった宮古市については、令和3年度中の事業完了の見込みというところである。
 なお、水道施設の耐震化については、災害復旧事業の対象とされている。

【斉藤委員】
 宮古市は令和3年度まで水道管の復旧がかかるのは少し残念だが全力で取り組んでいただきたい。

・県央ブロックごみ処理広域化計画について

【斉藤委員】
 進捗状況はどうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 ブロック内8市町で構成する県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会により検討が進められており、4カ所の整備候補地のうちから、本年2月21日に開催された協議会において、「もっとも有力な候補地である『盛岡インターチェンジ付近』について、地域とも協議を継続することとされた」と聞いている。

【斉藤委員】
 2月21日の推進協議会以降の動きは全くないということか。

【資源循環推進課総括課長】
 その後推進協議会は開催されていないと聞いている。

【斉藤委員】
 行き詰まっているような感じを受けるが、私は予算特別委員会でも紹介したが、八幡平市の市長は市議会で「岩手県に対して『20年以上経って進まないのだから見直すべきだ』と何度も言っている」と答弁している。そして盛岡市の事務局は「8市町が納得しているわけではないことは理解している」と。いま8市町の首長の中でも一枚岩ではない状況だと思う。そして谷藤市長はこの広域化計画について「住民の合意を得て進める」と。
 当初4カ所の計画だったのが盛岡インターチェンジ付近に絞られたのは、その他の3カ所で反対運動が広がったからである。この認識で間違いないか。

【資源循環推進課総括課長】
 広域化による施設整備に対しては、理解を示す意見と反対する意見など、さまざまな意見が出されていると聞いている。今後とも事業主体である盛岡市が地域住民に対し丁寧に説明して用地選定を進めていくものと考えている。

【斉藤委員】
 住民合意が得られずに4カ所のうち3カ所は外されたと。そして1カ所残った盛岡インターチェンジ付近はどうなのかと。地元の前潟地区で反対署名が1142名、これは盛岡市に提出されている。隣の太田地区は827筆の反対署名が提出されている。盛岡インターチェンジ付近も反対の声が大変大きいのではないか、無視できないのではないかと思うがいかがか。

【資源循環推進課総括課長】
 先ほどお答えしたように、盛岡市が地域住民への説明を行い、今後の用地選定を進めていくものと考えている。

【斉藤委員】
 そもそも県央ブロックごみ処理広域化計画というのは、県が作成した計画を踏まえて進めている。盛岡インターチェンジ付近はどういうところかというと、交通の要所である。秋田に向かったり、西バイパスで盛南地区に行ったりする。小岩井農場という観光地もある。何度も言っているが、イオンが出店する時に大問題になり、道路を拡幅して右折路を増やした。そんなところに、大規模なごみ処理施設を整備すること自身が常識的に違うのではないか。そういうことを県として考えたことはあるか。

【資源循環推進課総括課長】
 盛岡インターチェンジ付近の交通渋滞問題についてだが、交通事情も含めて盛岡市が最有力候補として、地域住民に対して調査結果等を丁寧に説明していくものと考えている。

【斉藤委員】
 交通渋滞解消の計画は出されたのか。私は聞いたことがないが。そんな調査はしていないのではないか。そんな議論もされていないのではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 県としては報告を受けていないが、盛岡市が今後もその点も含めて進めていくものと承知している。

【斉藤委員】
 やってもいないような調査があったような話をしてはいけない。シビアな問題なのだから。
 いま地元の商業者は「ごみ処理施設なんか来たら地価が下がってやっていけない」と言っている。地権者も商業者もそう言っている。そしてあの地域は住宅地としては一級だと。住宅開発をしてほしいという声もある。本当に盛岡のまちづくりを考えるんだったら、あんなところにごみ処理施設を持ってくるなどということは、排ガスの量は盛岡クリーンセンターの2倍である。10年20年蓄積したら、あの界隈に大変大きな影響を与える。
 9月10日付の新聞報道で、上厨川区画整理組合が破産したと。実はこの破産した区画整理の場所に持ってこようとしている。これは「後始末」ではないか。盛岡市が後始末しようとしているのではないかと。よこしまな狙いではないかと考えられても仕方がないのではないか。区画整理の破産についてどう受け止めているか。

【資源循環推進課総括課長】
 新聞報道は拝見したが、盛岡市等からの詳しい報告は受けていない。

【斉藤委員】
 岩手県の広域化計画に基づいて、盛岡インターチェンジ付近に最終的に絞って大型のごみ焼却施設、これは日量500トン、それを整備しようとしている。場所としても論外だし、こういう区画整理破綻の後始末のような開発をするべきではない。そして重要な商業地域、交通の要所でもある。どこから見ても、県の方から「この場所はいかがなものか」と言うのが県の指導・助言ではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 その点も含めて盛岡市とは情報交換をしていきたい。

【斉藤委員】
 きわめて重要な答弁だった。しっかりやっていただきたい。県がミスリードすることがないように。

・吉浜太陽光発電事業について

【斉藤委員】
 大船渡市吉浜地区の太陽光発電事業も、吉浜地区の7割を超える住民が反対している。この計画の内容はどういうものか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 当該事業については、大船渡市から令和2年3月に説明会の資料をいただいており、この資料によれば、当初は荒金山と大窪山に太陽光パネルを設置する計画だったが、大窪山のみに太陽光パネルを設置する計画に変更されたと認識している。

【斉藤委員】
 計画が変更されたということになると、これは経産省の認可を受けていると思うが、再申請・再許可が必要になってくるということですね。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 事業内容の見直しにともない、東北経済産業局に対して、固定価格買取制度の変更認定の手続きが必要なる。東北経済産業局からは、事業者による変更手続きがまだ行われていないと聞いている。

【斉藤委員】
 これは経産省の対応によっては、国や県の環境アセスメントが必要になってくると思うがいかがか。

【環境保全課総括課長】
 おっしゃる通り、新しい事業内容について確定した段階で、環境アセスについては検討が必要と考えている。

【斉藤委員】
 これも大船渡市長は「住民の合意を得て進める」と繰り返し言明していた。だとしたら、吉浜地区の7割が署名も集めて反対を表明している。こんなものを絶対にごり押しすべきではないと思う。
 同時に、大窪山というのは県立自然公園内にある。県立自然公園というのはどういう意味を持っているか。こういうところに簡単に開発できるのか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 地区の住民の大部分が反対しているということだが、この事業については、令和元年度に1300人を超える反対署名があったということと、令和2年度に開催された住民説明会でも反対意見が多かったと認識している。
 太陽光発電事業の実施にあたっては、事業認定する経済産業省が定めている「事業計画作成ガイドライン」に基づき事業を行う必要があるが、このガイドラインでは「地域への説明会を開催するなど、事業について理解を得られるように努めること」とされている。大船渡市と事業者による住民への丁寧な説明が必要と考えている。
 県立自然公園に太陽光発電設備を建設することについては、太陽光発電事業者が施設を建設する場所の選定にあたっては、関係法令および条例が適用される場合には、各法令・条例の制定の趣旨を理解し、必要な手続きを行い、適用される基準を順守するということが求められている。県立自然公園であっても、県立自然公園条例やその他の関係法令に基づく手続きが適切に行われれば、太陽光発電の建設は可能となるものである。

【斉藤委員】
 県立自然公園というのは、保護すべき自然があるから指定されている。そしてここは市有地である。民有地ならともかく、県立自然公園の中で市有地で、特別の事情がなかったら開発すべきものではないと思う。
 いま「適正な手続き」と述べられたが、実は再申請のために、大船渡市と事業者が土地の賃貸借変更契約を結んだ。いま問題になっている「印鑑」は3月31日付である。実際にやったのは4月に入ってからだと。こんなデタラメなことをやっている。
 こういう意味でも、住民の圧倒的多数が反対する大窪山への太陽光発電というのは中止すべきである。

・岩泉町の風力発電計画について

【斉藤委員】
 実は現在、岩泉町の有芸地区の風力発電計画が大詰めを迎えている。ここでイヌワシの重要繁殖地に関わる開発である。この計画地の牧野周辺では、近郊3カ所の繁殖地のイヌワシが高頻度で確認され、重要な狩場であることが判明している。専門家は、イヌワシの計画地内飛来数を年間に換算すると約400回になると。これは、岩手県がレッドデータブックで守るべき、岩手の象徴と言うべきイヌワシ、こういうところに風力発電を許してはならないと思うが、県はどのように対応しようとしているか。

【環境保全課総括課長】
 こちらは、法律上の環境アセスの対象となっているところであり、開発許可、いわゆる環境アセスは、大規模開発に基づく開発行為を環境保全の視点で調整するというものだが、この事例の場合は、委員おっしゃる通り大変貴重な動物等が生息しているエリアであるので、その旨については国の方に県として意見を出している。その意見に対して今後国が判断するという流れになっているが、できる限り貴重な動植物を守るという位置づけについては、環境省と経産省で話し合いを持っていると聞いている。

【斉藤委員】
 確認するが、知事がそういう意見書を出しているということですね。守るべき地域だと。

【環境保全課総括課長】
 その通りである。