2020年10月21日 決算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)
・東日本大震災津波からの復興状況について
【斉藤委員】
9年7ヶ月余が経過したが、商工業の復興状況はどうなっているか。
【経営支援課総括課長】
被災市町村における商工団体会員事業所の被害状況調査によれば、令和2年9月1日現在の状況は、被災事業者は4341者のうち、営業継続再開2987者、営業未再開16者、休業26者、転出77者、廃業1224者となっている。
【斉藤委員】
できれば前年比も示していただきたかったが、営業再開も減少していて、廃業が増えていると。厳しい状況となっており、一度再開しても廃業になっていると思うが、すぐ示せるか。
【経営支援課総括課長】
ご指摘の通り、令和元年9月1日と比較し、営業継続再開は47者減少、廃業は49者増加しており、こういった数字をとらえると、営業再開したとしても何らかの事情で廃業に至っている事業者はいると認識している。
【斉藤委員】
グループ補助の実績と今後の申請の見通しはどうなっているか。また、グループ補助は11年目以降も必要があれば継続すべきだと思うがいかがか。
【経営支援課総括課長】
これまで延べ1562事業者に対して915億円を交付決定している。
今後の見通しについては、10月9日まで受付した第25次の公募では8件の申請があった。県では、市町村や商工団体を通じて補助金の需要把握に努めているところであり、現時点では令和3年度に21件の申請を見込んでいる。
グループ補助金の11年目以降の継続については、昨年閣議決定された復興創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針において、グループ補助金の継続については「復旧に必要な土地造成が復興創生期間の最終年度に完成する地区など、事業者の責に帰さない事由によりこれまで復旧できなかった事業者に限り支援を継続する」とされている。県では本年9月に、グループ補助金の事業継続と必要な予算措置を要望したところであり、令和3年度復興庁予算の概算要求としてグループ補助金に129億円が盛り込まれており、県としては今後の予算措置の状況を注視していく。
【斉藤委員】
今年度のグループ補助の見込みは37件となっていた。今年度の第一次で14件なので、残りは第二次でということでよろしいですね。
仮設店舗の本設・譲渡・廃業の状況について示していただきたい。
【経営支援課総括課長】
令和2年6月末現在で、仮設店舗に入居している商業者は25者となっている。商業者の仮設施設からの入退去の状況については、これまでの入居実績は731者、退去者は706者となっている。退去者のうち、仮設施設の再譲渡を受けた商業者を含め、本設に移行した商業者は557者となっている。廃業等その他により退去した商業者は149者となっている。
【斉藤委員】
6月末現在で25店舗が残っていると。最後まで本設への移行を支援していただきたい。
・新型コロナ禍の下での事業者への支援について
【斉藤委員】
先ほどの答弁で、感染対策の補助が1435者の申請で1008件、家賃補助は3109件の申請で2769件の支給ということだった。感染対策の補助は全ての事業者=3万事業者が対象で、だから本当に今すぐやれるし、やらなくてはならない対策、それが申請で1435にとどまっているのはなぜか。感染対策の入り口で進んでいないのではないか。家賃補助も県は9000件が対象になるといっていたので、まだ申請が3分の1にとどまっている。この点の問題点と打開策について示していただきたい。
【経営支援課総括課長】
感染症対策については、事業者にとって非常に重要なところと認識しており、Go Toイートの登録店舗も感染症対策をすることが条件である。したがい、Go Toイートの受託事務局と連携しながら、補助金の申請手続きについても案内をしているところであり、これまでもいろいろ広報等を行っている。県の広報媒体や同業者組合と連携してDM等を打っている。事業者がいま申請の準備をしているというところも商工団体から聞いている。したがい、事業者の皆さんが申請できるように商工指導団体と連携し支援していきたい。
【斉藤委員】
感染対策の補助金は10万円で、手続きも全然難しくない。そしてこれは感染対策の入り口なので、これが速やかに広がっていくということで事業者のコロナ対策になるので。本当にスピード感を持ってやっていただきたい。大事なのは、県の支援策がどれだけ早く届くかである。そういう角度でやっていただきたい。
・宿泊、観光支援の取り組みについて
【斉藤委員】
地元割は16万2千枚クーポンが配られ、8万6千件・53%活用されたと。もっと伸びるとは思うが、しかし全て活用されない問題点は何か。この活用を進める第二次のクーポンをやっているわけだが、どういう分析・対策を講じているか。
【観光プロモーション室長】
地元割クーポンが8万6千枚にとどまっている問題点については、制度が7月からスタートして9月末までという期間だったので、制度の周知の仕方や活用についてもというところがあったので、こういったクーポンの部分については、市町村割の分もあり、国のGo Toトラベル等もあるので、そういったものを使うとより身近なところがインセンティブが働くような制度になっているので、そういったところをPRしていく必要があると思っており、問題点としてはやはりこういったところをしっかり周知しながら、せっかく応募していただいて利用していただくようなクーポンであるので、そうしたところを課題としてとらえている。
10月以降については、10月〜3月までという期間の中での発行になっているので、ある程度期間を長くした中での利用促進を図るようPRしていきたい。
【斉藤委員】
これは大変直接的な効果が出るものなので、今回の第二次クーポンはもう15万枚が配られているので、これが本当に使われるように取り組みを強めていただきたい。
・雇用調整助成金、休業支援金について
【斉藤委員】
雇用調整助成金と休業支援金の申請・支給の実績、私はまだまだ不十分だと思うがいかがか。
【雇用推進課長】
岩手労働局によると、雇用調整助成金については、10月16日現在の支給申請書受理が2368事業所から延べ8018件、支給件数が2259事業所の延べ7762件とうかがっている。
休業者本人に支給される新型コロナウイルス感染症対策休業給付金は、申請423名から延べ1134件あり、支給決定は909件、金額は6372万6220円と聞いている。
雇用調整助成金については、これまでも国において申請手続きの簡素化や上限額の引き上げを行ってきたところだが、それでもなお手続きの煩雑さが課題として残っているものと認識している。これは県内の商工団体にもうかがい、まだそういう事業者が多いということはうかがっている。
一方で休業支援金については、支給申請件数の1134件は、9月18日時点から78%の増加となっており、制度の周知が図られてきているというところがあり、それにともない利用も進んできているものと考えている。
・TKR東北工場の閉鎖について
【斉藤委員】
紫波町のTKRマニュファクチャリングジャパンが吸収合併になり、令和3年1月1日に工場閉鎖になると。この状況と雇用対策、今後の見通しを含めて県がどう対応されているか。
【ものづくり自動車産業振興室長】
TKRの今回の生産拠点の集約については、まずグループ会社の再編にともなう国内の事業体制強化のために、令和3年1月1日までに子会社であるTKRマニュファクチャリングジャパンの東北工場、これは紫波町にあるが、これを親会社であるTKRの水沢工場に集約し経営効率化を高めるためのものと聞いている。
従業員への影響については、東北工場の全従業員を水沢工場に配置転換することを前提に意向調査が実施されたということで、現時点で131人中41人が水沢工場への意向を示していると聞いている。残り98名については、会社として引き続き従業員の意向を確認しながら、離職の場合であっても生活の安定に向けた再就職の支援を行う旨確認している。
【斉藤委員】
紫波町にとっては139名の従業員というのは大変大きな規模であるので、98名の再就職に全力をあげて取り組んでいただきたい。また、そういう企業の社会的責任を果たさせていただきたい。具体的な見通しはあるか。
【雇用推進課長】
本日もTKRマニュファクチャリングジャパンさんに向かい状況をうかがっており、今後、最終的な意向確認終了後、紫波町やハローワーク盛岡と連携のうえ早期の再就職の支援について取り組んでいきたいと考えている。
・県の労働委員会労働者委員の任命問題について
【斉藤委員】
先ほど労働委員会でお聞きしたら、15名中女性は2人。そして労働委員は全て連合の推薦ということで、労働者委員は女性はゼロである。きちんと推薦もあったが、連合独占という問題と女性が選任されないという二重の問題があるのではないか。選考基準は何だったのか。なぜ選任されなかったのか。
【労働課長】
本年10月からの第48期の労働委員会においては、女性の労働者委員の任命はご指摘の通りゼロとなっている。今回労働者委員には、女性の方の推薦もいただいたところだが、県として女性委員の登用も選任にあたって重視すべきという視点で位置づけているが、労働組合における活動の経歴や活動の公益性といったところにより選任したところである。結果、選任に至らなかったところである。
また、労働者委員の任命にあたっては、労働組合法の規定に基づいて、労働組合から推薦のあった方の中から、労働組合における活動の経歴や公益性等の視点により労働者全体を代表する方であるかというところを総合的に判断し、適任と認められる方を選任したものである。その結果、連合からご推薦いただいた方が委員となったというところである。
【斉藤委員】
選任基準が全く不明確である。そもそも15人の労働者委員のうち女性はたった2名。岩手県の方針は3割以上にするということである。そして労働委員会の審査で聞いたが、労働相談の52%は女性労働者からである。セクハラなどの問題を対応するときに女性の労働者委員が大事だと事務局長は言っていた。そして女性2人の推薦は、パート労働者の責任者であり、県立病院の労働組合の委員長である。どこに経歴が問題あるのか。
連合独占という名簿を出したのは誰か。知事か、商工労働観光部か。
【商工労働観光部長】
労働者委員については、労働組合法の規定に則り、労働組合から推薦のあった方の中から委員として適任と認められる方を、これは系統の別によらずに総合的に判断しているところである。女性の委員の選任についても重要な視点と考えているが、そのことも含めて総合的に判断したということである。
排除した名簿とかそういうものはなく、全ての推薦者を一覧のものとして選任の手続きをさせていただいている。
【斉藤委員】
連合ができる前までは、総評・同盟からそれぞれ労働組合の構成に基づいて選ばれていた。
連合がつくられてから独占している。しかしいま11都道府県で全労連系の委員も選任されている。岩手県は本当に全国の流れから立ち遅れた、達増県政の汚点だと、このことを指摘しておきたい。