2020年10月21日 決算特別委員会
千田美津子県議の商工労働観光部に対する質疑
(大要)


・正規雇用の拡大等、安定的な雇用の促進について

(千田委員)
 雇用対策について3点お聞きします。安定的な雇用の促進について元年度の政策等への反映状況報告書を見ますと、県内企業の雇用条件や待遇面について、県外企業との差が見られる部分もあることから、企業の収益力等の向上等を支援する、そして正規雇用の拡大や県内企業の働き方改革の取り組みなど雇用や労働環境の整備を促進していく必要があると。今後の方向としては、人材育成や補助等を通じた企業の生産性向上、そして第四次産業革命技術への対応を促進する、岩手労働局と連携し非正規労働者の正社員転換、待遇改善について要請行動を行う等がありますが、この状況について説明願います。

(田中雇用推進課長)
 正規雇用の拡大についてです。県では県内企業の生産性向上や高付加価値化をすすめ、雇用の拡大が図られるようIOT、AIの導入や活用を支援する中小企業総合的成長支援事業や、岩手ものづくりイノベーション推進事業などを実施しています。
 また岩手労働局等と連携し、毎年5月に県内の経済団体7団体に対して非正規雇用労働者の正社員転換、待遇改善の取り組みについて要請しております。
 今後においても、雇用の質を高め、安定的雇用が確保されるよう国等と連携を図りながら取り組みを進めていきます。

(千田委員)
 これまでの産業といえば、大量生産や大量消費を中心に考えられてきたと思いますが、これからはデジタル技術を通して、その図式が大きく変化していると痛感します。先ほど県外企業との差が見られる部分もあることからと言いましたが、労働時間が全国平均と比較して長いということもありますが、その他、賃金の部分でも全国平均と比べてもかなりの差がありますが、これらを改善しないことには県内の就職率を高めるということにはならないと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

(金野労働課長)
 賃金改善等のことでございます。従業員をしっかりと養うためには、相応の賃金を支払う必要があると考えてございます。また一方で、賃金を払えるだけの企業の生産性、それから体力、こういったものをつけていくとことも必要と考えております。そうしたことから県としては、様々な企業の経営力の強化への支援と併せて、長時間労働の削減とか生産性の向上を目的とした、働き方改革の推進も進めているところです。
 そうしたことにより、企業にしっかり魅力を発信していただき雇用、採用といったものにつなげていただくような取り組みを推奨、支援してまいります。

(千田委員)
 コロナの元でやはり企業はますます大変な状況になっていると思います。知事を先頭に要請活動も行なっていますが、その手応えはどのように感じていますか。

(田中雇用推進課長)
 今年度の要請は、新型コロナウイルス感染症拡大 により非常事態宣言を出されたことを受け、4月に緊急要請ということで、雇用維持について実施しました。その後5月に要請し、その後もコロナウイルス感染症の収束が見通せなかったものですから、7月にも働こう協議会の団体に対し要請したところです。各団体からは各団体の会員の方に周知をしていただき、趣旨はご理解をいただいているものと考えております。

・雇用労働環境の整備促進について

(千田委員)
 引き続き取り組みをお願いします。
 次に雇用労働環境の整備促進についてですが、実労働時間は全国平均と比較して長いということもありますが、年次有給休暇取得率も全国平均と比較して低い状況です。この取得率向上も必要だと思います。それから65歳未満の年齢調整死亡率が全国に比べて高いという表現がありますが、この状況を今後どのようにしようと考えていますか。

(金野労働課長)
 雇用労働環境の整備促進についてですが、総労働時間が長いということについては先ほどの答弁と重なる部分がありますが、「いわて働き方改革推進運動」を通じて、長時間労働の削減と、生産性の向上と処遇改善等の働き方改革の取組を推進しているところです。
 また企業の業務効率、休暇促進等の取り組み、いわゆる働き方改革の取組について補助金により支援している他企業の意識改革や、具体的な取組を支援するため様々な研修会や勉強会を開催しているところです。
 65歳未満の年齢調整死亡率が特に男性の方で本県の場合、全国よりも高い状況になっています。そういうところもあり、企業の健康経営という視点も必要であり、保健福祉部の方で「いわて岩手健康事業所」の認定とか、「健康経営アワード」、こういった取り組みも行っております、企業の従業員の健康保持、健康増進の取り組み等についても県として推奨・支援しており、引き続き、働き方改革、健康経営も含めて一体で取り組みます。

(千田委員)
 安心して働ける環境を作っていくということは、急務だなと思います。特に男性の死亡が多いということですが、健康でしっかり働いてもらうという状況を作るうえでも健康経営ということで、保健福祉部等々と連携してしながら是非そういう職場づくりをしていただきたいと思います。

・女性や若者、障害者などへの職業能力開発への支援について

(千田委員)
 3つ目ですが、女性や若者、障害者などへの職業能力開発への支援についてお聞きします。企業ニーズを踏まえた職業訓練の実施や、女性に配慮した託児サービス付き職業訓練の実施など、離職者等の再就職を支援して来られました。それから在職者の技能向上に向けた職業訓練や、障害者の対応に応じた多様な職業訓練の実施など、本当に多様な支援が行われてきました。
 県立職業能力開発施設では、高度な技能を継承する技能者を育成する、そして学生の県内就職を促進する取り組みを行ってきていますが、これらの成果についてお聞します。

(金野労働課長)
 女性、若者、障害者などへの職業能力開発の支援についてです。県の取組については委員から紹介をいただいたとおりですが、女性の職業訓練については、令和元年度の就職率が76.6%と目標の84%には達しなかったところです。有効求人倍率が高く、訓練を受けずに就職する方も多いという状況もありましたが、受講者一人一人の状況、それから志向も踏まえた、きめ細やかな対応が必要だと考えております。また在職者を対象とした訓練、これについても企業の多忙化等もありま、受講者数が1965人となったところです。引き続き企業ニーズに合致した訓練内容ですとか、企業から派遣いただきやすいような日程設定をするなど、受講者の増加を図ってまいります。
 障害者の職業訓練ですが、就労を希望する障害者の方が、本県のほか国とか他の機関の障害者の就業支援制度といったものの中から、自分に合ったメニューを選んで選択していただくとことになっており、本県の受講者においては、就業の困難度が高い方が多かったということもあり、就職率が55.0%となったところです。
 県立職業能力開発施設における県内企業への就職率ですが、58.7%にとどまっております。産業短期大学校においてこれまでの訓練科別に行っていた県内企業への説明会、これに加えて昨年度から多くの県内企業が参加し、訓練科を分けずに行うという、いわゆる企業キャラバンという取り組みも昨年度から行なっております。学生が県内企業に接する機会を増やし、学生が県内の企業をよく知った上で就職活動を行えるよう取り組みを行なっております。引き続きこのような取り組みを進めていきたいと考えてございます。

(千田委員)
 様々なコースを設定してそういう点では非常にありがたいと思いますが、気になったのが母子家庭の母親等の再就職支援の4つのコースが設定をされて、希望するところがなかったのかもしれませんが、定員が45名に対して利用者が3名だったとのことですが、どういう希望があるかということを事前に、丁寧に聞き取りをしながら有意義な支援になるように、一人ひとりの状況をつかむということでしたが、是非やっていただきたい。
 それから学生の県内就職率向上のために行ってきた職業能力開発施設での訓練ですが、短大については伸びていますが、高等技術専門校は過去5年間の中で最低となっておりどんどん県内就職率が減っている。これについてはどのように見ていますか。
 それから障害者の方については、困難度が高い方がいたので達成度がDになったとありますが、最初から障害者の方々が本当に就職するということが大変なことだと思います。そういう中どうやって支援していくか、こういう切り捨てるような評価ではなくて、きちんと支援をしていくことが必要ではないかなと思います。その点もう一度お聞きします。

(金野労働課長)
 まず高等技術専門校の就職率ですが、自動車システム科が3校にあります。金型技術科が宮古あります。建築科が二戸にあります。自動車システム科は、いわゆるディーラーからの求人が非常に多く、県内、県外問わず就職している状況ですが、県外からの求人が非常に多い状況です。金型技術科は、企業派遣を中心に行っておりましたが、派遣者が非常に少ないという状況になっています。就職率という所になじまない数字が出ています。
 短大の就職率でございますが、やはり県内の企業をよく知ってもらうといった取り組みがこれまで以上に必要と考えております。そういうところから県内企業と学生の設定を増やすという取り組みを強めているところです。
(田中雇用推進課長)
 障害者の職業訓練についてです。これについては、障害者職業訓練コーディネーターという職員を配置して支援をしており、これまでも障害者の方に寄り添った支援をしながら就職につなげていこうと取り組んできましたが、スキルアップのための研修等を行い、これまで以上に障害者の方々の状況を勘案した支援に取り組んでまいります。
(金野労働課長)
 母子家庭の母等を対象とした訓練ですが、一般的に母子家庭の母親の方々は職業に一旦ついてから、子育て等で家庭に入られて就業のブランクが大きいということもあり、訓練に入る前に若干の準備訓練を行うメニューを入れております。ただこれについては実際、訓練を受けられる方々の選択であり、予備訓練を受けずしっかりとした訓練に入られるという方も多かったところでございます。結果的にはそういうことで数字的に伸びてこなかったというところであり、母子家庭を対象とした訓練のメニューというものをしっかりと準備していく必要があると思っており、引き続きこういった対応をしてまいります。

・伝統工芸産業、漆産業等への支援について

(千田委員)
 伝統工芸産業、漆産業、アパレル産業への支援についてお聞きします。特に漆の部分では、漆の生産拡大など、漆振興に取り組むために岩手漆振興実務者連携会議が開催されておりますがその状況を、また、新商品の開発や、販路開拓の支援を行うために岩手県伝統工芸産業アドバイザーを派遣していますがその状況についてお知らせください。

(竹花地域産業課長)
 初めに岩手漆振興実務者連携会議の開催状況についてであります。この会議は関係団体が連携して、漆関係産業の振興を目的に平成29年度に設置し、元年度までに9回の会議を開催してきました。現在、この会議には漆の生産者団体や研究機関、市・町、県の関係課など19団体が参加している他、林野庁、文化庁がオブザーバーとして参加し、参加団体の取り組みに関する情報共有、漆の増産、漆器の販路拡大、インターンシップの実施など、具体の取り組みをするための連携の場として機能しているところです。
 次に岩手県伝統工芸産業アドバイザーの派遣状況についてですが、このアドバイザー制度は令和元年度に創設し、デザイナーなど2名の専門家が、事業者からの新商品開発や販路開拓等の相談に対し支援を行っております。令和元年度は10の企業団体に対して15回派遣を行っており、相談内容は商品開発に関するものが12件、販路開拓に関するものが2件、イベント開催等に関するものが1件となっています。

(千田委員)
 特に漆振興実務者連携会議に関して、二戸市では地域おこし隊。「漆掻き職人」(うるしびと)を採用したとか、岩手大学からは漆苗の研究報告がされるなど、いい会議だと思います。是非これからも充実をさせていただきたいと思います。それから伝統工芸アドバイザーの派遣ですが、支援内容見ますと岩谷堂箪笥とコラボした新商品のブランド化や、アパレルの新商品開発など、非常に期待されています。これも是非継続して成果を上げていただきたいと思っております。