2020年10月23日 決算特別委員会
千田美津子県議の県土整備部に対する質疑
(大要)


・水防計画における県と市町村との連携、水防団の待機水位規準について

(千田委員)
 岩手県水防計画と県内市町村との連携、水防団の待機水位についてお聞きします。
 近年、局所的な洪水が多発しており、これまでの記録を超える降雨量が各地で観測されておりいます。また堤防の破壊が多数発生しています。さらには流域が比較的小さい中小河川での洪水や土砂災害の増大などで洪水予測等がこれまでやられてこなかったような中小流域での情報提供の充実を始め、迅速な警戒・避難体制の充実が課題となっています。
 このような点からも、県や市町村、そして水防関係者等がこれまでより一層連携して取り組む必要があると思いますが現状についてお尋ねします。また水防団の活動の基本は増水した時ですが、水防団待機水位の設定の状況についてもお聞きします。

(上澤河川課総括課長)
 水防計画に関する県と市町村の連絡体制がどうなっている方のお尋ねでした。平成28年の台風10号災害を含めて県防災幹事会の分科会において、毎年出水期前に土木センター、各公所ごとに管内の市町村の消防担当部局等を対象にして、水位周知河川等の防災に資する制度等を相互に確認する場を設けており、様々な連携を図っています。また県が水位周知河川等の設定にあたり水位等について関係市町村と協議し設定しています。

(千田委員)
 水防団の待機水位についてもお尋ねしたのでお願いします。

(上澤河川課総括課長)
 手元に資料がございませんので後ほどお答えいたします。

(千田委員)
 実はこの点が私の質問で大事なとこです。今年7月の大雨の際に問い合わせがあったのは花巻でしが、豊沢川の不動橋付近で増水をしたと。その時に水防団が出動したわけですが、この時に水防団の待機水位、花巻市は2.0mと花巻市の水防計画で定めておりますが、県の定めが2.5mということで現場が混乱しました。一体何が正しくて、なぜこのような齟齬が起きたのかという問い合わせがありました。この点についてお聞きします。

(上澤河川課総括課長)
 委員ご指摘のとおり、豊沢川の不動橋水位局においては各水防団が水防態勢に入る目安となる水防水位を設定しておりました。県が管理する岩手県河川情報システム、その水位の値が間違って表示されていました。今年度に入り花巻市から県に確認があり、その表示が誤りだったため、直ちに県の水防計画に定めた正規の値2mに河川情報システムの表示を修正いたしました。先ほど話しましたが、県と市町村においては出水期前に防災体制を共有するということで水位周知河川等の制度を相互に確認する場を設け連携を図っておりましたが、今後このようなことがないように万全の体制で取り組んでまいります。

(千田委員)
 そうすると県が間違っていたということになりますね。この問い合わせがあったのは9月でしたが、その時県の担当にこの事実関係を確認した際、この値は変動するので県が正しいという説明を受けました。もし県が修正したのであれば、そのことをきちんと関係者に周知すべきだと。50pですがこれは大変なことです。水防団が待機する水位が50p も違うということは次の増水した時の対応が全く違ってくる、そのようなことは絶対起きてはならないし、間違っていたらきちんと周知して対応をしていくことが求められると思います。是非それをお願いしたいのと、ほかにこのような例はないのか。

(上澤河川課総括課長)
 県の水防計画には正しい記載となっており、これが河川情報システムに表示されている部分が2.5mと誤って表示をされていましたので県の情報システム、これを修正した場合には速やかに関係者に周知すべきであったと考えていますのでそれを徹底してまいります。また今後、このようなことがないように取り組んでまいります。

(千田委員)
 県の計画そのものが間違っていたのではなく、河川情報システムの間違いだったと。いうれ間違っていたというのはそのとおりなので是非対応をお願いしたいと思います。
 実はこの水防計画は膨大な中身なのですが、水防団の待機水位とか、氾濫注意の水位等で見てておかしいなというところが何点かありましたのでお聞きします。今までの過去の最大水位がありますね。それぞれの観測地点で。それに基づき通報水位とか警戒水位がいろいろな判断のもとに設定をされいると思いますが、実はこの水防計画の中に表れている数値はこれまでの最大水位よりも警戒水位が高く設定をされているところが、豊沢川の不動橋はじめ県内で7箇所ありました。なんらかの整備がなされて過去の最大水位よりももっと高くても大丈夫だという判断でそうしたのであればいいのですけども、今の災害というのは過去の最大水位を超えるような、想像できないような水位になる、そういうことから危険水位等の設定はきちんとやる必要があると思います。この県内の7箇所については分かっていますか。

(上澤河川課総括課長)
 その7箇所については確認が取れておりませんでした。ただこの水位につきましては、河川改修が入っていたりして河川の断面が変わり、その河川状況が変わればその度にそういった水位の見直し等は変えていくものであります。

(千田委員)
 そのようなことがあるかもしれませんが、7箇所を見て必ずしもそうではないような箇所も見受けられましたので、是非あとで全部見て点検をしていただきたいと。本当に住民の安全を守るという点では、ちょっと間違っていたでは済まない問題でありますので、その点お願いをします。
 もう一点ですが、奥州市胆沢の前川というところの通報水位と警戒水域が全く同じ水位になっています。通報水位というのは水防団が待機する水位で、警戒水位は本当に危険な水位という状況になると思います。それが全く同じだと大変な状況になるのではないかなと思いますが、これも是非調査をしていただき対応をお願いをしたいと思います。

(上澤河川課総括課長)
 大変重要な指摘をいただきました。確認の上適切なものに対応させていただきます。

・汚水処理の現状と課題、県内市町村の実態

(千田委員)
 つぎに汚水処理の現状と課題、県内市町村の実態ですが、元年度の状況を踏まえて今後どう進めていく考えかお聞きします。

(水野下水環境課総括課長)
 県内の汚水処理等の現状でありますが、県内の汚水処理人口普及率は令和元年度末現在で82.6%、全国平均91.7%に対して9ポイントほど低く、汚水処理の遅れが課題と認識しています。また県内の市町村の実態として、市街地など人口密集地域では普及が進んでいますが、郊外やあるいは中山間地域の口密度の低い地域では普及が遅れている状況でごす。このため県では市町村への支援として、下水道事業債償還金費補助、浄化槽設置整備費補助などの県単独費による財政支援を実施しております。
 今後の取り組みとしては、県では汚水処理施設の早期整備による普及率の向上と、持続可能な汚水処理事業の運営を図るため、平成30年1月に「いわて汚水処理ビジョン2017」 を策定して、令和7年度末までに汚水処理人口普及率91%とする目標を掲げるとともに人口密度の低い地域での整備促進を図るため、浄化槽の整備割合を増やすよう整備計画を見直し、市町村や関係機関と連携して取り組んでいるところです。

(千田委員)
 全国と比べても9ポイント低いということで、財源の問題もありますが市町村としっかりと連携して取り組んでいただきたいと思います。

・胆沢川への稚魚放流にあたり、支障となる立木の伐採について

(千田委員)
 次に移ります。河道掘削や立木の伐採等他の委員からも質問がありました。まだまだ整備するところがあると。そういう状況は分かりました。そこで一点質問します。
 他の事業との関連性で優先してやるべきところがあるとのではないかなと感じております。例えば胆沢川で、この間県の補助を得て胆江河川漁業組合が稚魚の放流をずっと継続してきました。ただ、あまりにも立木が伸びすぎて川に入れなくなってしまい、ほとんど上流のあまり効果がないようなところでしか放流できないという現状があります。本来であれば稚魚の放流は漁業組合で下流のほうが良いということでやってきたようですけが、今はとてもとても入れない、そういう状況になっているということが実際にあります。
 伐採するところはたくさんあると思いますが、様々な状況を勘案しながら優先度を決め対応していく必要があるのではないかと考えるわけですがその点お聞きいたします。

(上澤河川課総括課長)
 河道掘削、立木伐採についてですが、必要な箇所については定期的な河川巡視や洪水後の住民の方からの情報により把握しており、緊急性があり事業効果が高いところから実施しています。一方で対象の箇所が民地の場合は地権者の確認など、慎重な対応をする必要があることから、指摘いただいた箇所については県南局土木部とも協議しながら、現地の状況を慎重に確認し、どこまでの対応が可能か検討してまいります。

・土砂災害警戒区域の指定等について

(千田委員)
 よろしくお願いします。次に土砂災害警戒区域についてお尋ねします。元年度末までの土砂災害警戒区域及び特別警戒区域の指定ですけども、頑張っているなと思います。基礎調査は元年度末で終了するということでありましたがどのような状況かお聞きします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 土砂災害危険箇所の基礎調査の状況です。委員から話がありましたとおり令和2年3月末までに、土砂災害防止法に基づく危険箇所の基礎調査が完了しまして土砂災害警戒区域に指定する必要があります。その数は13,316箇所、そのうち土砂災害特別警戒区域につきましては12,338箇所になりまして、その結果については市町村に通知するとともに、県のホームページでも公表しているところです。

(千田委員)
 13,316箇所ということで、2月議会の答弁14,348箇所よりも1、000箇所近く減ったわけですが、これは調査をされた結果ですが、これがこれからの基本になるのだと思いますがお伺いします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 お話ございましたとおり、土砂災害危険箇所はこれまで14,000箇所余りでしたが、基礎調査を行いました結果、地形要件を満たさない、勾配が緩いとかということで要件を満たさなかったということで1、000箇所余り減ったということです。今後は先ほど申し上げました、土砂災害警戒区域に指定する必要がある13,316箇所について順次指定を進めていくということです。

(千田委員)
 基礎調査がしっかりなされ、これから指定率が上がっていくと思いますが、是非住民の安全のためにもさらに頑張っていただきたいということを申し上げて終わります。