2020年12月4日 文教委員会
再発防止「岩手モデル」策定委員会の設置に関する質疑(大要)
【斉藤委員】
再発防止「岩手モデル」策定委員会、このタイトルだと何の再発防止なのかというのが分からない。名称がこれでいいのかというのが1つ。他の人から見て、経過が分かっている人は分かるが、そうでない人には分かりにくい名称ではないか。
7月22日に第三者委員会の調査報告書が出され、私も熟読し、議会でも取り上げてきた。あれ以上の調査はないわけだから、速やかに当該教員の処分をしっかりすべきだと思うが、この見通しはどうなっているか。
【県立学校人事課長】
現時点でいつまでにということは申し上げられないが、教育委員会として事実確認や処分内容の検討を行い、適切に対応していきたい。
【斉藤委員】
あれだけの長期にわたる調査を行って結果が出たわけだから、県教委が事実確認するということはそんなに難しいわけではない。あなた方が別な調査をするわけではないので。調査報告書であれだけの具体的な事実経過と要因、今後の対応まで含めて出された。しっかりと受け止めて、しっかりした処分もするということが大事だと思うが教育長いかがか。
【教育長】
7月22日に第三者委員会から調査報告書の提出を受け、そして我々も岩手モデルの提言について早期に立ち上げて検討を進めたいということで、9月末までにでも設置をして検討を始めたいという話をさせていただいていた。その後外部委員の選定にあたり、いろんな方面の方々にも打診したりしたが、なかなか折り合いがつかなかったり調整に時間がかかったところだが、うまく今回ご報告できるような形で、各委員さんからの協力をいただき立ち上がるというところまできた。
処分については、県教委として処分をしなければならないので、私どもとしても、報告書をいただいているわけだが、教育委員会としての調査等をしっかり行ったうえで適切に対応していきたいということで、こちらの方は慎重に調査等を進めているところである。
【斉藤委員】
今の答弁で不可解なのは、県教委としても調査しなければならないと。第三者委員会の調査結果と県教委が行おうという調査は何なのか。必要なのは本人確認だと私は思う。本人に対して調査結果を確認するということは必要かもしれないが、第三者委員会の調査報告書以外に県教委が調査することはないと思う。あなた方が委託したのだから。あれだけ長期にわたり丹念な事実経過と要因まで明らかにされた。必要な調査があるというのならその中身を示していただきたい。
【教職員課総括課長】
懲戒処分にあたっては、事実関係の確認、関係者からの聞き取り、本人からの聞き取りなどを懲戒処分の前提として行わなければならない。
調査報告書は、調査報告の立場で調査していただき、その報告はいただいているが、懲戒処分をするにあたっては、やはり我々として事実関係の確認をしっかりしなければならないので、本人への確認も含めて必要な調査を行わなければならないものである。
【斉藤委員】
事実関係の調査は第三者委員会に依頼したのである。あれだけの調査報告書を受けて、必要な調査というのだったら、最小限、調査報告書を本人が認めるかどうかだと思う。それ以外の調査はないのだと思う。みなさんが第三者委員会に依頼して徹底した調査をしたわけだから。そういう意味でいけば、しっかり調査報告書を受け止めて、速やかに最小限の調査は行って、速やかに処分もすると。そこに県教委の姿勢が問われていると思う。処分に逡巡するような曖昧な姿勢は一番良くないと思う。
再発防止「岩手モデル」策定委員会の設置だが、名称については先ほど述べたとおりで、協議事項で一番重要なポイントは”E”だと思う。「今回の事案に関わって、問題がある指導について正確な事実認識、適切な対応・評価、的確な情報共有ができなかった理由を解明し、正確な事実認識、適切な対応・評価、的確な情報共有を確実に遂行できる方法・体制を構築すること」とある。だから、なぜああいう事件が起こったのかということを調査報告書を踏まえて、あなた方自らが検証するというのが策定委員会での一番大事な仕事だと感じるが、これは策定委員会でなされることで、県教委はこの調査報告書を受けて、検証を行ったということはあるか。
【教職員課総括課長】
報告書を受けて、委員会の設立に向けて準備を進めてきた。委員会を設立し、今回部会も設置し、このEのテーマも含めて具体的にこれから検討を進めていく。
【斉藤委員】
先ほど高橋委員から”A”が大事だと。私もその通りだと思うが、特に、ここで研修内容について「スポーツ・インティグリティの視点を踏まえて検討し、実践的研修を実施する」と。この中身を示していただきたい。
【県立学校人事課長】
現在、文化スポーツ部の方でスポーツ・インティグリティ―スポーツの健全性といった視点で、さまざまな研修に取り組み始めている。やはりそういう知見、あるいは実践、そういうものに学びながら、岩手モデルで考える研修についても検討していかなければならないと考えている。
【斉藤委員】
スポーツ・インティグリティの問題については文化スポーツ部で取り上げたので、ここではやらないが、このスポーツ・インティグリティの視点を考えたときに、やはり何よりも生徒の人権を最優先にする、守るという観点が大事だと思う。不来方高校の事件にしても、11月16日に処分された盛岡市内中学校の陸上部顧問の問題にしても、「部活動の私物化」である。自分の言う通りに生徒を使ってしまう。子どもの人権がない。スポーツに限らないが、スポーツの高潔性・誠実性とか、その大前提は一人一人の子どもたちの人権が守られることが本当に大事ではないか。そこにこそ部活動の一番改善すべき課題があると考えている。
そして学校の問題としては、いくつか事件が起きているが、やはり学校の内部でそれが問題にならない体質、校長がそれを管理監督できない、かばう。この学校の体質もまた改善されないと同じことが起こり得ると。そういう点で、学校のこれまでの体質の改善ということも合わせて問われていると思う。そういう意味でしっかりとこの点を協議・検討していただきたい。
策定委員の名簿が示されたが、遺族の方からこの策定委員会を設置するうえで、どういう要望が出され、県教委はそれにどう対応したか。
【県立学校人事課長】
ご遺族からは、個別にご意見・ご要望をうかがっているが、それを公にすることについては差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
最初の説明のところで、スポーツ庁を訪問して、策定委員の依頼を行ったということだったが、スポーツ庁からはそういう紹介もあったのか。
【県立学校人事課長】
スポーツ庁でいわゆるガイドラインをつくっているが、そのガイドラインを作成する段階で委員に加わった方、意見聞いた方をご紹介いただき、その中から当たらせていただいた。
【斉藤委員】
そこで、今度の策定委員会では8つの部会が設置される。部会というのは、県教委の内部で構成されるのではないかと思うが、策定委員の方々はこの部会にそれぞれ入るのか入らないのか。また、部会はどの程度の規模になるのか。
【県立学校人事課長】
基本的には、部会については事務局の職員が中心になるが、先ほどご説明申し上げたように、現場の職員や教員などにもそこには入っていただくことにしている。
部会の規模については、部会の担当する内容で差があるが、例えば「自殺予防教育検討部会」は相当広範囲な部分を検討しなければならないので、ここはかなり大きな構成になり、さらにチーム分けが必要になるのではないかということを考えている。その辺については、第1回の委員会のところでご提案申し上げていきたいと考えている。
【斉藤委員】
策定委員会のメンバーもかなりの数に及ぶわけである。そしてここが一番大事な会になると思うが、結局部会待ちになって策定委員会の審議が遅れるということを一番危惧している。この部会の協議と策定委員会の協議というのは、どのように同時的に進められるのか。やはり策定委員会の協議があって部会の協議が進むと。部会の協議が策定委員会に反映されて、さらに煮詰められるということをしないと、部会待ちになってしまうのではないかという危惧があるが、令和3年度中といっても実質1年で、そういう点で策定委員会と部会の関係はどのように、そして策定委員会はどの程度の開催を考えているのか。
【県立学校人事課長】
部会の検討事項策定委員会でもんでもらう、そして策定委員会で出てきた意見を部会で具体策を検討し直すということを考えている。年4回程度の開催を考えている。
【斉藤委員】
年4回ということになると、部会の中で協議して、一定の骨子なり中身を反映させながらということになるのではないかと思う。ぜひ策定委員会の機能を発揮するような運営に心がけていただきたい。
そして要綱の中には、第4条の5で、「委員会は、必要があると認めたときは、遺族等構成員以外の者に会議への出席を求め、意見を聞くことができる」と。これは策定委員が判断することだが、こういう規定があるだけに、ぜひ遺族・当事者の意見をしっかり受け止めてやっていただきたい。
【教育長】
まさにご遺族等の構成員以外の方にも、委員会として出席を求め、ご意見をうかがいながら、岩手モデルの策定に向けて取り組んでいきたい。