2020年12月4日 文教委員会
教育委員会に対する質疑
(大要)


・学校における感染防止対策について

【斉藤委員】
 昨日文科省が公表した内容によると、6〜11月の小中高における生徒の感染は、3303人だと。5人以上感染したのは61件ということで、小中高それぞれ出ている。無症状が半分だったと。
 岩手県内で、これまで小中高・特別支援学校で感染した生徒は何人で、それぞれ何校になるか。休校した学校はどうなっているか。

【保健体育課総括課長】
 学校関係者、児童、教員含めて4名の感染となっている。うち教職員1名、児童生徒が3名である。
 休業については、臨時休業した学校が11月13〜15日が1校、11月26日〜12月4日までが1校、11月30日〜12月2日までが1校となっている。

【斉藤委員】
 小中高の内訳は答えられるか。

【保健体育課総括課長】
 校種については非公表ということでご理解いただきたい。

【斉藤委員】
 昨日の文科省の公表とあわせて、マニュアルが改定されて、「校内で感染者が発生した場合でも、原則として休校とすべきではない」と。「冬場も常時換気、校内でも防寒具を着用」となっているが、この点ではどうだったのか。

【保健体育課総括課長】
 昨日文科省が示した新たな衛生管理マニュアルによると、一斉臨時休業は行うべきではないということ、感染者が出てもすぐに臨時休業すべきではなく状況を見て保健所と相談しながら判断するものということを明記している。
 今後の対応として、冬期間の換気が重要だという見解だが、一方で気温が下がり室温が下がるということで、健康被害も懸念されるということですので、工夫した取り組みということで、換気の仕方だとか、空き教室があればそれを利用した2段階の換気、地域によっては工夫した取り組みがあるので、そういったことを共有しながら効率のいい感染防止対策をするように示されている。

【斉藤委員】
 3校が休校措置とられたということだが、おそらく保健所とも協議した結果だと思うので、それはそれとして受け止めたいと思う。生徒は3人ということなので、おそらくこの関わりでかなりの規模の生徒のPCR検査が行われ、検出されなかったということだと思うので、引き続き感染対策を徹底してやっていただきたい。

・盛岡南高校と不来方高校の統合問題について

【斉藤委員】
 まず教育長に、11月13日に12580人分の盛岡南高校の存続を願う署名が提出された。そして11月25日には盛岡市教育長にも14362人分の署名が提出された。この際に市の教育長は「嘆願書をいただき、この度熱い思いが伝えられたことを改めて県に報告し、また市教委としての考えも合わせて述べたい」と話したと報道されている。
 この署名が寄せられた重み、市の教育委員会から「慎重に検討してほしい」と2度目の要望書も出ている。14000筆の署名も提出された市の教育委員会から何か意見があったか。署名の重みについて教育長の受け止めをお聞きしたい。

【教育長】
 盛岡南高校の存続を願う会から嘆願書ということで、12580筆の署名を受け取った。受け取ったときのお話をさせていただいているが、多くの方々の思いの強さを改めて感じたところである。
 それから、盛岡市教育委員会からも二度にわたって要望書をいただいている。それ以外にも、同窓会を中心とした地域の方々の思いということは重みがあるということを理解しており、また地域検討会議や意見交換会を通じて、県民の皆様からさまざまなご意見もいただいている。そういったご意見、嘆願書等を受け取った重みを感じながら、現在慎重な検討作業を進めている。

【斉藤委員】
 11月26日に、盛岡南高校と不来方高校を訪問してきた。どういう特徴、実績を持っている高校なのか、統合の合理性・妥当性があるのかということを、直接学校に行って、学校の実態から受け止めてきた。
 何よりも、この2つの学校というのは、都南地区と紫波・矢巾地区の地域にとって大変かけがえのない役割を果たしている。例えば南高校の場合は、都南地区から全体で159人、矢巾から86人、紫波から60人、計305人で43.6%を占める。不来方高校は、都南地区から127人、矢巾から130人、紫波から85人、全体で342人で41.5%を占める。4割以上この地域から進学している。この地域は生徒が減っていないところなので、1つの高校がなくなるということが、この地域の子どもたちにとって進学先がなくなるという点で、子どもたちの教育環境に重大な影響を与えるのではないかと考えるが、どのように受け止めているか。

【高校改革課長】
 地域の中学生の進路への影響については、受験生は学校の特色や魅力、将来の進路希望等に応じて志望校を選択しており、義務教育とは異なる広い範囲の学校を設けているといったところである。そのため、各学校内において、一部地域の中学生の増減があったとしても、生徒の進路先が広範囲にわたることを考慮しながら、学区内全体の人数の推移を踏まえ、学びの選択肢を確保しつつ、定員等のあり方を判断しているところである。
 盛岡南高校と不来方高校の統合に関しては、盛岡ブロックの中学校卒業生が令和7年度までに190人、学級数にして5学級相当減少が見込まれるといった中で、これまで以上の学級減によらずにと検討したものであり、盛岡市都南地区、矢巾町、紫波町の生徒においては、4割程度占めているというお話があったが、この3つの地区の生徒の進路を見ると、両校に入っている生徒はそれぞれ1割ずつという状況であり、多様な進路に進んでいるということも踏まえたものである。
 両校の統合にあたっては、近隣中学校の生徒への影響にも配慮する必要があると考えているので、急激な学級減を避けつつ、段階的な調整を図ることとしているものである。

【斉藤委員】
 実態を正面から受け止めていない。先に結論ありきで、盛岡南高校と不来方高校というのは、体育科にしても3つの学科にしても、全県学区である。そういう中でも4割以上地域の子どもたちが進学している。そのことを正面から受け止めないといけないと思う。統合計画では1つがなくなるのである。だから、地域の子どもたちにとってはきわめて重大な影響を与えるということを率直に指摘しておきたい。
 この高校は、それぞれの特徴がある。南高校の場合には、東北で初めて体育科が設置され、普通科の中にも体育コースがつくられて、ある意味体育が1つの看板、スポーツの看板の高校である。そして、あまり大学の進学実績にこだわらない、のびのびとした教育が行われているのが特徴である。そしてもちろんスポーツ・部活動では大きな実績をあげ、全国的にも入賞するような、県教委の教科指定校に3つのクラブが指定されている。ある意味、不来方高校とさまざまな分野でライバル校である。一方で、不来方高校は3つの学系―学術学系・外国語学系・体育学系が各1学級、人文理数の4学級と合わせて7学級あるが、この3つの学系というのが特徴の学校である。そういう点では、盛岡南と不来方は近くにあるが、その性格・特徴というのはかなり違う。これを一緒にするということはかなり無理がある。
 そこで、一緒にしようとするのは、距離が近いからだという理由以外にない。それは教育的理由でもなんでもないのではないか。実際の再編統合計画はどうなっているかというと、対等合併だといいながら、盛岡南だけ3ヶ年連続して学級減して、不来方はそのままである。3ヶ年連続して学級して4年目に不来方の校舎に統合すると。だから不来方高校はどう受け止めているかというと、ほとんど不来方高校はそのまま残ると。波風は全然立っていないと。盛岡南高校が学級減してなくなってしまうと、このように地域の人が受け止めている。これがなぜ対等合併なのか。南高校がなくなるだけの統廃合計画ではないか。

【高校改革課長】
 この統合については、新しい統合新設校が普通科の学生を採用するという形にしているので、今それを含めて、また不来方高校に今ある学系は外国語であるとか体育であるとか文化であるとか、こういった学系が1クラスしかないといったところである。その際、統合にあたってクラスを減らすとなると、不来方高校のそうした1つしかない学系をなくしながらということにせざるを得ないといった可能性もあり、学系を残しつつ、盛岡南高校の普通科を減らしながら体育の学びをしっかり継承していくといったような形で、これからの受験生に配慮した統合の形をとっているものである。

【斉藤委員】
 だから実態は対等合併と言いながら、南高校だけが学級減してなくなってしまう。不来方高校は手つかずである。だから盛岡南高校がなくなるという危機感を持って地域の方々が声をあげている。こういうやり方は本当に道理がないと思う。盛岡ブロックにたくさんの高校があるのに、なぜ盛岡南高校だけなくさなければならないのか。一極集中、盛岡ブロック全体の矛盾を南高校をなくして解消しようとすると。これは教育的な道理がどこにあるのかと思う。みんなが反対しないというのは理由があって、自分のところは何も影響がないから、痛みがないから、盛岡南1つなくせば全体の学級減を解消できるという計画ではないか。
 やはり盛岡南高校というのは、都南地区の方々が切望して、自分の地域に学校をつくってほしいという願いを受けてつくられた今年で38年目を迎える学校であり、東北で初めて体育科を設置して、その後普通科に体育コースも設置して、スポーツ・体育を看板にして学校づくりを続けてきた。オリンピックの代表も輩出した、そういう実績を残した学校で、なぜこの学校がなくならければならないのかという、OBの方々も地域の方々もそう思うのは当然である。
 盛岡南高校だけに矛盾を集中させて学級減を解消してしまおうという、あまりに安易なやり方ではないか。本当に地域の願いに応えてつくられた学校をしっかり尊重すべきである。盛岡南高校をなくす理由は全くないと思う。理由はあるのか。実態として不来方高校が残るだけの学校ではないか。

【高校改革課長】
 これまでの高校再編計画においては、盛岡ブロックについては、学校の統合というのは全くない流れになっていた。今までは全て学級減により生徒減少に対応してきたものである。仮の話だが、盛岡南高校と不来方高校の統合を行わないということであれば、やはり各校の学級減により子どもたちの減少への対応を図らざるを得ないということになってくる。また仮に、盛岡南高校や不来方高校の学級減を行うことになると、これまで築いてきた盛岡南高校の体育の実績や、不来方高校の体育・文化・外国語への実績というものの継承が難しくなってくると。これから実績をまだまだ伸ばしていくということが難しくなっていくと考える。他の学校についても同様だと考える。これ以上学級減によって学校規模の縮小を招き学校の活力を失うよりは、統合によりさらに魅力ある学校づくり、実績を残せる学校づくりをしていきたい。

【斉藤委員】
 結局いま本音が出た。他の学校を学級減したら活力がなくなるから盛岡南高校に我慢してもらおうと、こういう話である。今までは4〜6学級が「適切な規模」だった。しかしこの方針はもう返上してしまった。やはりもっと丁寧にやるべきである。私も4〜6学級が適切だとは思わない。地域によって適切な規模があるのだと思う。しかし、一方でそういうことを基本方針にしながら、突然、生徒が定員を割っていないような盛岡南高校が一気になくなるような計画というのは、地域の方々にとって理解しがたい中身で、これは市の教育長も二度にわたって「慎重に」「地域の声をしっかり聞いて」と要望を出しているように、新型コロナで十分な協議ができなかったということもあるので、「慎重に」ということは「丁寧に」、しっかり説明を尽くして、理解を得られなかったら見直すと。地域住民の合意を踏まえて進めるという基本的な立場が必要だと思うが、最後教育長にお聞きしたい。

【教育長】
 まさに私ども、子どもたちの将来にとってより良い教育環境を整備していかなければならないということで、また生徒の希望する進路の実現、地域産業を担う人づくりという観点に立って、今回の後期計画を出させていただいた。たしかにご指摘の通り、南高校が3ヶ年にわたって学級減を行っていってという形になると、盛岡南高校が犠牲を強いられるようなイメージになってしまったというところは、丁寧な説明という点では配慮が足りなかったようにも思う。そういう意味では、今回のさまざまご意見、ご要望等もいただいているので、また斉藤委員からご指摘があったこと等も踏まえながら慎重に検討を進めていきたい。