2020年12月21日 災害対策連絡本部会議
新型コロナウイルス対策に関する質疑(大要)
・感染状況の認識と対応について
【斉藤議員】
県内で新型コロナ感染が11月12月と急拡大している要因をどう認識しているか。
感染経路不明の状況、市中感染の状況をどう把握しているか。
【医療政策室長】
10月下旬から全国で新規感染者数の増加傾向が続いており、12月16日に開催された厚労省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでは、「これまでの感染拡大は大都市圏が中心であったが、地方でも感染の拡大が見られるようになっている」と分析されている。本県においても、首都圏をはじめ全国的に感染が拡大していること、大規模なクラスターが発生していることが11月以降に新規感染者数が増加している要因となっていると認識している。
市中感染の状況については、新規患者数の多くがクラスターに関連した積極的疫学調査により確認されており、12月18日時点で県内の直近1週間の感染経路不明な者の割合は1%、先ほどの資料によると3%となっている。現時点においては、ほぼすべての患者について感染経路の把握ができていることから、首都圏で見られるような市中感染の状況にはないと認識している。
【斉藤議員】
医療機関におけるクラスターの発生状況と患者数、感染原因はどうなっているか。
【医療政策室長】
医療機関に対してクラスターとして対策を講じている事例は、盛岡市保健所管内で1事例、県央保健所管内で1事例であり、関連する患者数は本日現在で、盛岡市内の事例が14名、県央保健所管内の事例が92名である。感染経路については現在分析中だが、患者が感染した後に医療機関に入院した例などが疑われる。
死亡者については、いずれも国が示す重症化のリスク因子である高齢または基礎疾患を有する患者であり、そのことが主な要因と考えている。
【斉藤議員】
死者が18人5.3%と東北で一番多く、全国でも比率は高い。高齢者が多い、医療機関でのクラスターが多いと要因は示されたが、問題はどう対策を講じるかである。その対策を示していただきたい。
【医療政策室長】
感染拡大の防止のため、保健所による積極的疫学調査および接触者等のPCR検査により患者の発見・確認、そして封じ込めというものを図っているところである。これに加え、岩手医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースおよび厚労省クラスター対策班に支援いただいているところであり、得られた教訓については、県内医療機関そして医療関係者の皆様に周知していくこととしている。
【斉藤議員】
鶯宿温泉病院は自らホームページで公表し報道もされているので、ここで92人と。内訳を示してほしいのだが、かなりの規模に広がった。厚労省からも調査がきたようだが、現段階でこれだけ広がった要因を県はどう受け止めているか。
【医療政策室長】
患者数等の内訳は、病院関係では入院患者44名退院1名、訪問医療1名、職員35名、職員の接触者や出入り業者含めて9名である。この病院に併設する介護保健施設の入所者が1名、職員1名となっている。
感染経路や要因については、現在厚労省のクラスター対策班が分析中だが、やはり病院にウイルスが侵入したという事実、ここのきっかけがどうだったかというのは非常に難しい状況で、11月中下旬に侵入したのではないかという分析結果を暫定的なところだがいただいているところであり、その辺りの状況分析をさらに進めていただくことにしている。
・積極的なPCR検査について
【斉藤議員】
医療機関にウイルスが侵入したときに、どれだけ早く発見して対応するかが大変大事だったのではないか。
その点では、やはり医療機関、高齢者施設でのPCR検査を徹底してやると。11月19日付の厚労省の通知では、「高齢者施設等で1人でも発見したら全員調査」と。あわせて、「高齢者施設等が自費で検査した場合にも、緊急包括支援事業の補助の対象になる」と。これを活用してもっと積極的なPCR検査に高齢者施設が取り組むべきだと思うがいかがか。
【医療政策室長】
ご指摘の通り11月に国から示された通知では、高齢者施設等の入所者に陽性者が判明した場合は、当該施設の入所者および従事者に原則として全員検査を実施するという方針が示された。本県においては、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部員会議の決定事項により、すでにこの方針の通り、高リスクな施設の入所者・入院患者については、全員に対して検査を複数回にわたり実施している。
また、1週間あたりの新規感染者数が人口10万人あたり10を超えている都道府県における高齢者施設等の検査の徹底などの方針が示された。現時点における本県の感染状況からは、全県下における医療・介護従事者と入院・入所者を対象とする定期的な検査を実施する状況にまでは至っていないと認識しており、今後の感染拡大の状況も見据え、引き続き岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会等の意見もうかがいながら、その実施等について検討していきたい。
【斉藤議員】
その通知の(2)について聞いたので。自費検査を実施した場合の補助について。
【医療政策室長】
自費検査を実施した場合の補助については、「保健所による行政検査が行われない場合において、高齢者施設が必要と判断して自費で検査を行う場合」となっており、必要な場合については補助が実施されるものと承知している。
【斉藤議員】
自費検査も補助の対象になるというのなら、積極的に高齢者施設のPCR検査を進めるべきだということを提起したので。
・医療機関への支援について
【斉藤議員】
これまで新型コロナ感染患者を受け入れた医療機関はどれだけになっているか。
医療機関に対する支援・補助は現場にどれだけ届いているか。12月議会では、わずか15%しか届いていなかったと。今どこまでいっているか。
【新型コロナ対策監】
新型コロナ感染患者を受け入れた医療機関は19となっている。
医療機関に対する支援として、空床確保料の関係では、11月30日時点で7医療機関に8億1795万円を支払い済みである。また今週24日には12医療機関に16億9541万円余を支払う予定としている。
【斉藤議員】
15%しか届いていないと言ったので、今どれだけ届いているのか。
【新型コロナ対策監】
24日に支払う予定額を入れると交付率としては37.8%となる。
【斉藤議員】
国のレベルでは30%で、12月議会では15%ということで国の半分だったということで聞いたので。
医療機関支援のところで補足して聞きたいのは、民間医療機関に対する危険手当の支給について、これは山形県・奈良県は実施している。岩手県もぜひやるべきではないか。
【医療政策室長】
危険手当については、基本診療報酬で手当されていると認識しており、診療報酬も今回のコロナの関係で2倍3倍と手当されている。この危険手当は診療報酬の増額がそのまま危険手当に反映されていくべきではないかと考えている。
【斉藤議員】
山形・奈良は独自の予算をとってやっているので、よく研究してやっていただきたい。本当に医療現場は苦労しているので。
・保健所体制の強化について
【斉藤議員】
保健所体制の強化、保健師の大幅増員、専門的に陽性患者の履歴を追跡するトレーサーの養成・配置に取り組むべきだと思っているがいかがか。
【保健福祉部長】
各保健所では、保健師等の専門職が積極的疫学調査を担当しているところであり、県ではこうした保健所の体制を強化するため、保健所や市町村を退職した保健師13名を配置するとともに、保健師等が調査に専念できるように、地区合同庁舎内の各公署からの事務職員等による応援体制なども構築している。また今般の集団感染事例については、県庁や盛岡市保健所を含めた保健所間の保健師の業務応援のほか、市町村保健師の協力などを得て迅速な調査に努めている。今後の感染拡大などを見据え、恒常的な保健所体制の強化を図る必要があると考えており、令和3年度に向けて保健師を増員する予定であり、早急に人員確保を図るため保健師の追加募集を予定している。
【斉藤議員】
これまで13人OBの保健師を配置したと。他の広域振興局や保健所の保健師の応援などもやっているが、これだけでは足らないと思う。盛岡市保健所では「毎日午前様」だと。県央保健所もそうだと思う。本気でこの手立てをとるべきだと。
・事業者支援について
【斉藤議員】
事業者支援のこれまでの実績はどうか。家賃支援の継続は評価するが、多くの事業者が影響を受けており、業種・規模別にきめ細かな直接支援が必要ではないか。
今日いただいた11月の事業所調査を見ると、「どの支援を受けているか」という問いでは「持続化給付金」が一番多い。「家賃支援」は12%である。県版の業種別・規模別のきめ細かな持続化給付金が本当に必要ではないかと。花巻市や宮古市は最近30万円の支援を行っている。こういう直接支援が必要だと思うがいかがか。
【商工労働観光部長】
事業者の資金繰り支援としての新型コロナウイルス感染症対応資金については、11月末時点で8342件・1337億6618万円余、新型コロナウイルス感染症対策資金については、11月末時点で1077件・445億4113万円余となっている。
飲食店等への感染症対策補助については、11月時点で4100件・3億7150万円余、宿泊施設の感染症対策補助については、交付決定ベースで、11月末時点で136件・1億3733万円余、宿泊施設の支援金については、11月末時点で348件・3億4800万円余となっている。
家賃補助については、10月末時点で3485件・2億7700万円余であり、11月で事業者からの受付を終了したが、今般1月以降の家賃を追加で支援することとしている。
事業者への影響が長期化しているところだが、国に対しては事業者への直接支援として、これまでも持続化給付金の支給要件の緩和や複数回の給付について要望しており、引き続き国に働きかけていく。
国が実施している持続化給付金と同様の支援策を仮に県が行い、それを実行性の高い給付としていくためには、相当規模の財源が必要になることから、国の対応を注視しながら慎重に検討していきたい。
【斉藤議員】
家賃補助について、従業員の駐車場が対象になっていないと。これはぜひ拡充してやっていただきたい。
【経営支援課総括課長】
家賃補助の基本的な考え方は、来店をいただくような事業者を対象としている。したがい、基本的にはお客様用の駐車場については、その土地を賃借していれば対象にしている。いろいろ事業者の事情等もお聞きしながら研究していきたい。