2021年1月15日 文教委員会
文化スポーツ部に対する質疑
(大要)


・コロナ禍における文化芸術団体への支援について

【文化振興課総括課長】
 フリーランスの方への影響については、何人かにお話をうかがい、公演等の中止・延期により活動ができないケースが多いということであり、さらには、フリーランスの方々は、首都圏の芸術家との交流をしながら活動しているということがあるようで、そういった交流ができずに活動もできないといったお話も聞いたところである。
 県への要望については、新型コロナの関係でホール等の入場者数が50%に制限されたことにより、チケット収入の減収が大きく影響しているということだったので、県としては、文化芸術活動の支援事業と、県民会館や公会堂の文化施設利用促進事業を実施し、活動再開に対する費用助成や利用料の半額免除を行い支援してきた。

【斉藤委員】
 12月4日の文教委員会で質問したときには、国・県・市町村への要望として「会議室等の使用料への補助・支援」「コロナ禍におけるウェブ配信、動画撮影等の補助・支援があればよい」という声をいただいたと。これは県としてはどういう対応になっているか。

【文化振興課総括課長】
 県民会館や公会堂の利用促進については、ホール等を対象にしているというところがあり、会議室は対象にはなっていないので、いずれ今後の活動の状況を踏まえ、支援については検討していきたい。
 ウェブ配信や動画配信等への補助・支援については、そもそも活動支援事業の中には、こういったウェブ配信や動画撮影も対象に含んでいるので、そちらについては積極的に活用していただくように周知してきた。

【斉藤委員】
 実態調査を行い、具体的な要望も出されたので、そうした要望には機敏に対応していくというようにお願いしたい。
 12月4日の文教委員会で聞いたときに、県の事業で文化芸術活動支援事業、これは県内文化芸術団体等の活動の継続・再開に対する補助事業で3分の2補助だと。申請が13件で10件が採択、3件は審査中だった。予算の執行状況は20.3%だった。
 もう1つは、文化施設利用促進事業、これは県民会館や公会堂のホールおよび附属施設利用料の半額補助で、34件の支援を行っているが、この時点で予算執行率は25%と。これは直近ではどこまで利用・執行されているか。

【文化振興課総括課長】
 1月7日現在で、文化芸術活動支援事業は21件の申請、19件採択、2件審査中である。予算執行率は42%である。
 文化施設利用促進事業は、県民会館48件、公会堂2件、計50件の支援を行っている。予算執行率は34.6%となっている。さらに活動を促進したいということで、文化施設利用促進事業の方は申請期限を延長している。

【斉藤委員】
 申請期限の延長はいつまでか。

【文化振興課総括課長】
 当初は11月30日が応募期限だったが、1月29日まで延長した。

【斉藤委員】
 1月29日まで延長してもおそらく予算は半分以上残ってしまうのではないか。
 県は頑張ったが、そもそもそれほど大規模な事業費ではない。それが使われるように改善しながら、3月末まででもいいのではないかと思う。文化芸術団体のための支援なのだから、これが使われないで残るということがないように、よく声も聞いて年度末まで活用するということが必要ではないか。

【文化振興課総括課長】
 この事業については、コロナ対策の交付金を活用しているところであり、支払いもすべて年度内で終えなければならないという要件がある。さらに、文化芸術活動においての発表については、やはり練習期間も含めて2〜3ヶ月は必要だということもあるので、3月までにイベント等を行うにあたっては、やはり計画上1月末までの申請が望ましいのではないかと考えており、文化芸術団体にはさらに周知を図っていきたい。

【斉藤委員】
 現状を聞くと、文化芸術活動支援事業が執行率42%、文化施設利用促進事業が34.6%なので、ささやかな支援だけれども必要な方々に支援が行き届くように、使いづらいところはないのか、この程度のものはしっかり使われると。そのことを工夫して、期限の延長だけではなく知恵を出して、当事者の立場に立って対応していただきたい。
 もう1つは、国では文化芸術活動の継続支援事業509億円を計上し、当初は使いづらかったが第二次・第三次募集をかけて使われるようになったと。ただそれでも一番困っている人に支援が届いていないという声も聞いている。一番の問題は、自己負担があると。事業をしないと国の補助対象にならないということが一番のネックで、自己負担なしでも本来なら国の支援を受けられると。仕事がなくて大変なところなわけなので、これは国の支援事業だが、県内の文化芸術団体が国の支援事業をどれだけ活用しているかしっかり把握してほしいと繰り返し指摘してきたが、どう活用されているか。どのように受け止められているのか。

【文化振興課総括課長】
 文化庁のホームページを見たところ、全国で96280件の応募があり、12月22日現在で44075件が採択されている。1月8日現在では48241件が採択されている。
 本県の文化芸術団体がどの程度活用しているかについては、何度か文化庁に照会しているが現時点では非公表ということであり、把握できていない。

【斉藤委員】
 国の支援事業が応募に対して半分程度の採択と。こんなことでは今大変で収入も断たれている文化芸術団体、音楽家の方々、本当に国のやり方はそれだけでも問題だと思う。ぜひ文化庁に聞くだけでなく、当事者がそもそも国の制度を知っているのか、利用しているのか、できないのか、そのことを調べてほしい。そして県の対応にも生かしてほしい。

・県内の伝統芸能の活動状況について

【斉藤委員】
 震災から丸10年が経とうとしているが、岩手県は沿岸被災地の伝統芸能の再建を特別に重視して取り組んできたと思う。そしてその伝統芸能は復興の力、集落の力、地域をまとめる力になってきたと思う。ただ、新型コロナのもとで大変な事態に直面していると思うが、特に中心的には被災地における文化芸能団体の活動状況、課題をどのように把握しているか。

【文化振興課総括課長】
 先ほどご説明した文化芸術団体等のアンケートの中には、伝統芸能団体も含まれており、伝統芸能団体においては、団体のメンバーに高齢の方が多いこともあり、公演の中止や稽古などの活動自粛を余儀なくされている実態がある。文化芸術活動を取り巻く自粛ムードもあり、その中においての活動意欲の醸成や活動再開のための支援が課題であると回答している。
 県としては、昨年12月5日に岩手県民俗芸能フェスティバルを開催し、8団体の参加をいただき大勢の方が観覧いただき、さらには先ほどご説明したような活動支援補助を行っているということ、あとは民俗芸能団体が活動している状況をインターネット上にも文化情報大事典の中で公開するなど、活動状況についても情報提供、周知を行っている。

【斉藤委員】
 大震災から丸10年、この間被災地だけではなく県内の文化芸術団体、伝統芸能団体が大変重要な役割を果たしてきたし、新型コロナの中で新たな困難に直面している。こういう中でよく実態も把握しながら、岩手の感染状況も踏まえながら、首都圏と岩手では感染状況も違うし、もちろん岩手がまた急拡大する危険性もあるが、そこも踏まえて、できる活動をしっかり支援していくと。またこういう時期に若手の担い手を育てていくということも大変大事なことだと思うので、そうした支援をきめ細かにしっかりやっていただきたい。