2021年1月13日 文教委員会
東京五輪ホストタウンの取り組みに関する質疑(大要)
【斉藤委員】
東京オリンピック・パラリンピックの最大の課題は「本当に開催できるのか」と。そしてその判断はいつになるのかというのが一番の問題だと思う。
世界も9000万人を超える新型コロナの急拡大で、実は半月で1000万人増えている。新型コロナの感染拡大は世界的には加速している。ウイルスの変異株というものが広がっていて、世界的には大変厳しい状況が続いているし、国内でもご承知のように緊急事態宣言が発せられ、おそらくさらに拡大するのではないかと思うが、そうした第一波以上の深刻な感染拡大が日本でも起こっている現状の中で、先ほどの説明の中で、一番早いスケジュールが3月25日のオリンピック聖火リレーのグランドスタート(福島)である。少なくとも聖火リレーができるのか、できないのかということを判断する必要があるのではないか。その点では情勢をどのように把握しているか。
【オリンピック・パラリンピック推進室長】
おしゃる通り、全国の感染状況を見ると、年末年始にかけて都市部を中心に感染が拡大し緊急事態宣言が発令されているところであるので、これに伴って感染者をどのように減らしていくのかということでの行動抑制なり減少傾向の推移を見通した上で判断されるものだろうと思っているので、国や東京都、組織委員会でそういった判断をしていくことになるものと考えている。
本県としては、復興五輪として、被災地の姿を国内外に発信して支援していただいたことへの感謝を伝える機会となるよう、感染対策も合わせて準備を進めている状況である。
【斉藤委員】
1月11日に報道された共同通信全国世論調査で、「延期された東京五輪を今年夏に開催すべきだと思いますか」という問いに対して、「開催するべき」14.1%、「再延期するべき」44.8%、「中止するべき」35.3%と。「再延期・中止」で80%を占める。国民はかなり冷静に見ていて、率直に言えば開催できないのではないかと。こういう状況を踏まえて、オリンピックというのは、本来は平和で人道的な大会でなければならない。そういう条件が本当にあるのか。それをいつまでに判断するのかということを、実行委員会は示すべきだと思う。
昨日、実行委員会の今年最初の会合があったようだが、森会長は「もし心に多少の迷いがあれば、すべてに影響してくる。淡々と予定通り進めていく」と。「本当は不安だが…」という話もしているが、日本全国にも世界にも影響するイベントを、いつまでにどういう基準で判断するのかということを示さなければ無責任である。
今日の赤旗新聞にメダリストの声が紹介されている。フェンシング男子ドイツ代表のマックス・ハルトゥング氏が取材に応じ、参加しない可能性を示唆し、「リスクが高すぎたり、パンデミックをさらに助長すると感じたりした場合は家にとどまる」と言っている。元ボートのイギリス代表は「パリ大会が行われる2024年に延期すべきだ」と主張した。いわばパリ大会を2028年にして。
選手の立場からいったら、本当に平和で安全で人道的な大会として開催を求めている。だから開催すればいいというものではないと思う。まさに戦後世界が体験したことのないパンデミックが加速して、国内でも第三波で緊急事態宣言が出されるような状況で、東京の状況を見ると、陽性になっても入院もホテルも入れない調整中の人たちが6000人を超えていると。これは入院・療養患者を超えている。いま東京は、感染しても治療も保護も受けられない事態である。
本当に冷静に、やはりオリンピックなので、それぞれの国でしっかり予選がやられて代表が選ばれる。そして東京大会も安全なところで開催されることが必要最小限の条件ではないか。日程が決まっているから、やれるかどうか分からないが突き進むという、戦前の日本のようなやり方ではいけないのではないか。少なくとも、いつまでに判断するのか。もう1つは、どういう条件なら開催できるのか、できないのか。このことを求める必要があるのではないか。その上で必要な準備をすると。
だから今の状況の中で、期日も条件もなしに準備だけ進めるというのは、あまり根拠がないのではないか。そういう声をあげているのか。
【オリンピック・パラリンピック推進室長】
昨年9月から、国・東京都・組織委員会が構成員となる東京オリンピック・パラリンピックにおける新型コロナウイルス感染症調整会議というものがあり、その中で、委員おっしゃった通り、アスリート等にとって安全安心な大会運営を図ることを目的に、出入国にかかる措置や検査等の実施、感染対策、医療体制の確保等の検討が行われ、そうした中で出されてきたものの1つに、ホストタウンでの感染対策が国でも予算化されたという状況がある。
この中では、まだコロナの感染状況の判断もあるかというところで、大会に向けての観客、外国のお客様をどのように受け入れるのかという部分の検討が、12月の段階で一応取りまとめているものがあったが、その段階のところがまだ示されていないところであり、それは春頃までには示されるのではないかと思っているので、そうしたところを踏まえて対応していかなければならないと思っている。
まずは、組織委員会が国・東京都等と調整をした上で進めているものだが、我々の方としては、それぞれの立場からいろいろな形で要望等もしているところであり、聖火リレーの部分については、11月に聖火リレーの会議があり、その条件や実施時期、どういった形でやっていただけるのかというようなことを示すようにという形での要望もしている。
【斉藤委員】
スケジュール的には3月25日に聖火リレーのグランドスタートが始まると。少なくともグランドスタートができるのかどうかというタイミングで、オリンピックが開催できるのかどうか判断すべきだし、そういう基準を示すべきではないか。
率直に言って今、東京オリンピックと言うが、東京は医療崩壊している。医療関係者はみんなそう言っている。感染しても病院にもホテルにも入れない。そうした状況の中で、感染症対策をとれるのかと。いわば国民・都民にも責任を負えないような状況に陥っていて、大変な数の選手が東京に来て、対応できるのか。神奈川県はもはや濃厚接触者を追求しないと言っている。この実態もよく踏まえて、そのグランドスタートができるかどうかの判断とセットでオリンピックの開催、2024年への再延期が求められないのか、そうしたことも含めて、やはり平和で安全で人道的な形でオリンピックは開催されるべきである。
それを大前提にした上でお聞きするが、ホストタウン等での選手受け入れマニュアル作成の支援と。これは今年度の取り組みになっているが、ホストタウンとしている20市町村それぞれで作成するのか、県が一定のものを作って地域ごとにやるということなのか、作成状況はどうなっているか。
【連携調整課長】
このマニュアルのひな形というものをまず国で作成し、それはすでに示されており、各ホストタウンごとにマニュアルは作成されるというものになり、一応交流事業の2ヶ月前までには作成を目指すというところだが、県としてはなるべく今年度中にはある程度の骨格が出来上がるようにということで、市町村と一緒になってマニュアル作成に取り組んでいる。
【斉藤委員】
世界的にも国内でも感染急拡大という中で、事前キャンプだとかそういう計画そのものがなくなっているのではないかと思うが、その点はどうか。
【連携調整課長】
交流を行う相手国との覚書をそれぞれ締結しており、ただ実態として、いつ来県してどういった交流をするのかというところはまだ正確に決まっていないのが現状である。現段階においては、相手国・地域と交流しようという覚書を締結しているという段階である。
【斉藤委員】
私はあくまでも世界と日本の新型コロナの急拡大、パンデミックという状況の中で、期日を決めてしっかり判断すべきだということと、平和的で安全で人道的な大会として開催するには、メダリストも言うように再延期ということを求めることも必要になってくるのではないか。
その上で、せっかく20市町村でホストタウンの取り組み、共生社会ホストタウンが3市町ということで、この取り組みの国際交流というのは大変意味のあることで、遠野市に私たち調査にも行ったが、そういう点ではホストタウンになった国との国際交流はこの機会に大いに生かすべきだと思う。
やはりきちんと見定めるということと、市町村が取り組んできたこれまでの取り組みを、ある意味平常時の活動としても位置づけて国際交流は進めていくことが必要だと思うがいかがか。
【連携調整課長】
まさに将来に向けてきちんとそれぞれの国々が交流を踏まえ、地域振興につながっていけばということでこのような取り組みを進めており、いまコロナの状況でなかなか相手国と連絡がとれないという中においても、例えばビデオレターでのやりとりだとか、学校給食においてその地域の食材を利用するというような取り組みを我々としても推進し、地域のつながりを進めていきたい。