2021年1月15日 復興特別委員会
水産加工会社津田商店・津田社長に対する質疑
(大要)


【斉藤委員】
 大変分かりやすいお話でした。ありがとうございました。津田商店さんがすでに震災前を超える売り上げをあげているということについても心から敬意を表したいと思います。
 中身についてお聞きするが、1つは販路の回復について。1年後に再建して、ほぼ販路の回復がなされたということだったが、ここで大変苦労されていると思う。1年間隔があいたにも関わらず、基本的には販路が回復できた理由、努力、先ほど正社員の方々が営業で頑張ったという話があったがそのことをお知らせいただきたい。
 あとは、環境対策とか、原材料が高騰しているので売り上げがあっても利益率はなかなか厳しいのではないかということで、そういう実態はどうなのか。
 2ページの被害総額のところで、帳簿価格9億1300万円、再調達価格19億円ということで、倍かかったと。これも大変だったと思うが、グループ補助金等はこの再建に必要な確保ができたのかどうかもお知らせいただきたい。

【津田社長】
 販路の回復については、特に落ち込んだのは冷凍食品、学校給食だった。震災前の1〜2割の数字がずっと続き、放射能検査を全品、缶詰も含めて今も毎日行い、累計で10万件ぐらいになると思うが、そのデータを出し続けることで何とか安全性を証明していくかと。逆に、当時西の方の企業に販路を奪われていったのだが、海はつながっているので、東の物でも検査している物の方が良いのではないかという論理で攻めて何とか回復してきた。
 グループ補助金の件について。当時、私どものグループが第1号だった。今はちょっと分からないが、聞いているところでは、従来あったものではなくてもいいように少し緩和されたように聞いているが、当時はかなり厳密に「震災前にあったものしかダメ」ということで、かなり限定したものだけを申請した形になった。
 具体的には、再調達価格が大きく上回っているのは、新たなものを買い求めたわけではなく、償却が進んでいたということが一番大きかった。ただ、実は申し上げると、グループ補助金、事業としては12億円の申請をし、4分の3なので9億円をいただいた。この再調達との差額、それから消費税等は対象にならないので、3億円余ほど差額は出たが、そちらは自己資金と銀行借入で賄ったという形になっている。

【斉藤委員】
 2点目は、今も議論があったが、今の主要魚種の不漁というのは、短期的には解決されないと思う。かなり中長期的な傾向なんだと思う。そういう点でいくと、獲れる魚で勝負せざるを得ないのではないかと。言われたように、魚種転換というのはやはり本当に必要になっていて、行政も思い切って魚種転換に対する具体的な支援をするべきだと思っているが、その点はいかがか。
 水産加工業者の方々にお話をお聞きすると、中堅から上のところは、サケも輸入できるので、かなり輸入で半分以上確保して原材料はなんとかなっているという話も聞いたが、そういう輸入による原材料の確保もなされているのかどうか。

【津田社長】
 主要魚種の変更にともなうものについては、ぜひお考えいただきたいところで、これは変えざるを得ないと思う。特にイカをやっていらっしゃる方も大変で、それでも歯を食いしばってそれに特化してやっている方もおり、ある程度見切りをつけて次に移っている方もいらっしゃる。そういう中で、設備投資してもいないということで、設備を入れないと始まらないという業界になっているので、魚種が変わるということは設備もそのまま変わるとご理解いただいて、ぜひ後方支援をお願いできればと思う。
 輸入原料については、弊社は昔から国産原料にこだわっていることをごく最近まで謳い文句にしていたが、特にサンマについては国産だけではとても調達できない状況になり、実は数年前までは日本しか漁獲していなかったのに、今は台湾、中国に次いで世界3番目の国になってしまった。今年でいくと台湾が日本の倍ぐらい獲っているのではないかと思うが、そういう状況なので、とても国産だけでは賄いきれずに、台湾原料も購入せざるを得ない。そういう中で、学校に向けて「輸入の魚を使います」と言うのはなかなか抵抗があることで、ご理解いただくことが大変である。

【斉藤委員】
 新型コロナ対応の中で「先を見越した柔軟な対応が一層必要となる」と指摘があった。この具体的な内容についてお知らせいただきたい。

【津田社長】
 先ほど申し上げたように、コロナは一時的な問題ととらえたいが、このように長引くとコロナ後を考えるとなれば、どこかでそれを見越した各社それぞれの販路を変えていく、開拓していくとか、販売方法を変えていくとか、そういう先を見越した投資なり研究が必要になってくると思う。このように長引くと、今後1年2年も続くとなると、本気で考えなければならないと思っている。