2021年3月3日 2月定例県議会本会議
高田一郎県議の一般質問(大要)
【高田議員】
日本共産党の高田一郎でございます。
新型コロナ感染症によってお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、今なお闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。また、困難な状況で奮闘されている医療従事者関係者の方々にも深い感謝を申し上げます。
1.新型コロナウイルス感染から県民の命と暮らしを守る課題について
・クラスターへの対応について
まず第一に、新型コロナウイルス感染から県民の命と暮らしを守る課題についてであります。
県内の感染確認は昨年の7月29日以降、県外由来の感染が散発的に発生し、一時収束傾向となりましたが、11月に感染経路を追えない患者の確認が続き、複数のクラスターが発生し、一気に広がりました。昨日現在累計では554人となりました。年齢、死亡者の特徴、無症状者や後遺症の状況、クラスターの発生状況など、感染状況の特徴をどのように分析しているのでしょうか。
鶯宿温泉病院では118人となり、厚労省のクラスター対策班が入り、封じ込めに全力を挙げていただきました。一方、三愛病院では14人で封じ込めることができました。それぞれの感染拡大の教訓についてどのように分析されているのでしょうか。
【野原勝保健福祉部長】
まず本県における新型コロナウイルス感染症の状況についてでありますが、特徴としては、感染者の年齢層は20歳代、50歳代、40歳代の順に多いが、全国と比較しますと70歳以上の割合が多いこと、死亡者は30名が報告されており、全てが65歳以上の高齢者または何らかの基礎疾患のある患者でありますこと、無症状病原体保有者は報告された感染者の約20%と全国平均並みになっていること、クラスターは昨年9月以降職場、飲食店、医療機関等において16件発生していることなどが挙げられます。
また、全国的な傾向と同様に活動性の高い若い方から感染が始まり、同居家族や職場での感染が増加し、その後医療機関、福祉施設、学校等に拡大していることがうかがわれます。
感染者の症状や感染経路等については現在分析中であり、今後公表する予定としているほか、後遺症については実態を把握することが必要と考えており、本県で退院・療養解除された方々を対象とした調査を実施することを検討しています。
次に感染拡大の教訓についてでありますが、県内2カ所の医療機関で確認されたクラスターについては、いずれも入院患者及び職員間で飛沫感染や接触感染により感染が拡大したものと推定されています。
この2事例に関し国のクラスター対策班の提言も踏まえて、「いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォース」からは大きく4点の教訓が得られています。
1点目は院内における感染制御の責任者を明確にし、感染対策チームを中心に統一的な対策を行なうこと、2点目は現場の気づきを集約する仕組みを構築し、院内における発熱者の増加等の異常を速やかに探知すること、3点目は院内で感染者が確認された場合に備え事前に専用区域等を検討すること、4点目は職員の厳密な健康観察、適正な個人防護具の着脱方法の訓練、休憩室等の職員共有スペースの感染防止対策を実施することであります。
これらの教訓を生かし今後とも医療機関、高齢者施設等への技術的助言に努めるほか、クラスターが発生した施設にはクラスター制御タスクフォースを派遣するなど、感染拡大防止に努めてまいります。
・社会的検査の実施について
【高田議員】
全国のクラスターの発生は2月15日現在、5104件となっており、うち高齢者、医療施設は一番感染者数が多く1891人37%となっています。高齢者施設等でのクラスターの発生は、施設内での治療を継続せざるを得ない事例もあり重症者を増やす要因にもなっています。2月の政府分科会提言でも、高齢者施設での社会的検査を提言しており、改定された政府の基本的対処方針でも「特定都道府県」に対しての高齢者施設従業員等への集中的検査の計画書を策定することが示されるなど、検査の必要性を提起せざるを得ない状況になっています。すでに、全国では18の都府県が高齢者施設での社会的検査を実施し、今後実施を計画している自治体は7県あり、全国の半数を超える25都府県が実施または計画をしています。PCR検査は、介護現場で働く関係者の強い要望でもあります。岩手県よりも感染が少ない秋田県、鳥取県でも実施しています。岩手県でも社会的検査に踏み切るべきですがいかがでしょうか。
【達増拓也知事】
まず、新型コロナウイルス感染症の検査についてでありますが、県では国の新型コロナウイルス感染症対策分科会での提言や国からの通知を踏まえ、2月19日に開催した岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会で協議のうえ、新型コロナウイルス感染症の蔓延期における検査方針を定めたところであります。
この方針では本県が緊急事態宣言の対象地域となった場合は、全県を対象として医療機関及び高齢者施設等に勤務する者や、入院・入所者を対象とする一斉・定期的な検査を行うとしたところであります。
また特定の地域における網羅的な検査の実施については、市中感染のリスクが高くない状況下では推奨しないという県の専門委員会の見解を踏まえ、地域において多数の感染者、または複数のクラスターが発生した場合には、県の専門委員会の意見を頂いたうえで、当該地域を対象として同様の検査を行うとしています。
県としてはこの方針のもと引き続き岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会等の意見を伺いながら、適切な行政検査を実施し感染拡大防止に取り組んで参ります。
・医療機関への支援、保健所体制強化について
【高田議員】
感染抑止に向け医療機関への支援や保健所体制強化は必要な課題であります。
政府が医療機関での減収補填を拒んできた結果、全国各地で冬のボーナスカットや看護師の離職などが起きています。「使命感だけで働き続けることはできない」という現場の声にこたえるべきであります。保育現場などへ対象範囲を広げ、第二弾の慰労金の支給と地域医療を支える医療機関への補填を行うべきでありますがどう検討されているのでしょうか。
先月、一関保健所を訪問し仲本所長と懇談しました。仲本所長は、奥州保健所長を兼務しながら全力を挙げていました。保健師も大阪へ派遣し、また現在は大船渡保健所の要請にもこたえていると伺いました。クラスターが発生した時期は職員が通常業務を行いながら、休日返上で深夜まで業務を行っている現場の苦労をお聞きしました。更なる保健所の体制強化が必要と感じました。保健師の追加募集も実施されていますが、何人の増員となるのでしょうか。
【野原保健福祉部長】
慰労金と医療機関への減収補てんについてでありますが、全国的に新型コロナウイルス感染症対応が長期化する中にあって、強い使命感を持って業務に従事いただいている医療従事者等への慰労金の追加支給や、子どもとの直接的な接触が避けられない職場で、社会機能を維持するための業務を継続していただいている保育士等への慰労金の支給対象の拡大については、国の財源により国全体のスキームで行われることが望ましいと考えています。
また医療機関への経営支援については、県ではこれまで新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる入院施設の設備整備、病床確保に対する支援や院内感染対策への支援等を行なってきたところであり、さらに今般の補正予算案及び当初予算案に入院受入医療機関に対し、危険手当の支給経費を補助する事業費を計上したところであります。
県としましては慰労金の拡充と医療機関への経営支援について、全国知事会を通じて国に要望しているところであり、今後も機会を捉えて国に働きかけて参ります。
保健所職員の体制強化についてでありますが、新型コロナウイルス感染症への対応により、逼迫する県内各保健所の体制強化を図るため昨年12月に保健師の追加募集を実施したところです。
令和3年4月1日の採用者数については、実施済みの通常募集の7名と今回実施した追加募集の8名を合わせ15名を予定しており、退職補充分を除くと10名程度保健師を増員できる見通しであります。
また国では感染症対応業務に従事する保健師の恒常的な人員体制を強化するため、財政措置を講じることとしており、こうした状況を踏まえながら引き続き必要な保健所体制の強化に努めてまいります。
・ワクチン接種について
【高田議員】
ワクチン接種については、県民の中には期待がある一方不安の声も少なくありません。安全性・有効性、副反応等のリスクについても、県としても迅速かつ徹底した情報の提供をすべきであります。県・市町村においても相談センターなるものを設置して対応すべきですが、どう対応されるのでしょうか。
厚労省によりますと、ワクチンによる発症予防効果は、臨床実験で確認されておりますが、感染予防効果は明らかになっていません。ワクチンの効果が長期にわたって続くかどうかも分かっておりません。社会全体での効果が確認されるのは時間がかかると専門家が指摘しています。「ワクチン頼み」ではなく、検査体制の強化、医療機関への支援などの取り組みを同時並行で行うことが必要ですが、県の認識について伺います。
【野原保健福祉部長】
ワクチンに関する情報提供についてでありますが、現在国内で接種が進められている新型コロナウイルスワクチンは、国内外の臨床試験から得られた有効性や副反応等の安全性の知見について、国の専門機関による分析・評価により薬事承認されたものであります。
国では薬事承認後においても、現在実施している医療従事者向けの先行接種などにおける副反応を疑う事例を収集し、安全性や有効性に関する情報を国民に対しホームページなどで随時発信しているところでございます。
また県と市町村では相談体制としてコールセンターなど、相談窓口を設置することとしており、県では市町村で対応が困難な医学的知見が必要となる専門的な相談などに対応し、市町村では接種場所やクーポン券等に係る住民からの問い合わせに対応することとしているところでございます。
県としましては、県民がワクチンの意義や効果、想定される副反応等について正しく理解した上で、接種の必要性を自ら選択すること、また希望する方がその機会を逃さないようにすることが必要と考えており、今後示される国からの情報に基づき様々な媒体により県民に対して丁寧な周知に努めてまいります。
次に検査体制の強化等についてでありますが、現在わが国で薬事承認され導入が進められている新型コロナウイルスワクチンについては、発症予防と重症化防止の効果は認められるものの、感染予防と集団免疫の効果はまだ十分に解明されていないものと承知しております。
そのため感染の蔓延状況が改善するまでの間は、マスク、手洗い等の基本的な感染対策を継続することに加え、検査体制や医療提供体制についても引き続き手厚い体制を維持することが重要と認識しており、令和3年度当初予算においてPCR検査や病床確保等に必要な経費を盛り込んだところであります。
・事業者への支援について
【高田議員】
「感染対策補助金」については、12月末現在の支払件数は7115件となっており、事業者からは大変歓迎されています。今後も感染対策に継続した取り組みが必要であり、継続した支援が必要であります。県内の商工会議所・商工会からは、消耗品3割の緩和とともに、製造業・建設業など対象業種の拡大の要望が寄せられております。第二次の「感染対策補助金」に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。
【戸舘弘幸商工労働観光部長】
感染対策補助金についてでありますが、感染症対策は消毒液の設置、マスクの着用にとどまらず、パーテーションや換気設備の設置等、店舗内の環境整備を進めていただく必要があることから、補助対象経費については消耗品の購入を一定額までとしたものであります。
また対象業種については、不特定多数の方々と対面で接客する店舗をもち、感染リスクが高いと考えられる飲食業・小売業・サービス業などを対象としたものであります。
今般感染症の影響が継続する中、これまでの支援策に寄せられた御意見も踏まえながら、様々な固定費や消耗品を含む感染対策費用等にも充てられる、使途を限定しない支援金を1店舗当たり40万円支給することとし、今議会に提案した補正予算案に必要な経費を盛り込んだところであり、これにより事業者を支援して参ります。
・ひとり親世帯、生活困窮世帯への支援について
【高田議員】
新型コロナは弱い方々に深刻な影響が出ており、一人親世帯、生活困窮者への支援は急務であります。私も最近、「子どもには『もう少し我慢ね』と言っている。この生活が続くと不安だ」という声が寄せられました。政府は、生活福祉資金や生活保護制度も紹介しておりますが、現実困難な問題もあります。
最大200万円まで借りられる「生活福祉資金」は、コロナ特例で借りやすい制度になっていますが新たな借金に変わりありません。1月末現在、県内の融資決定件数は、緊急小口資金は3,379件、総合支援金は891件と前年比で約6倍になっています。財務省は「生活困窮者への限定給付の考えもない」としていますが、厚労省は「無理な返済を求めず、給付にする際の在り方を検討」し始めております。給付となれば制度の利用を促すことができ、生活福祉資金が利用しやすくなります。返済免除要件を明確にし、給付措置として対応できるよう国に強く求めるべきであります。国の動向は現在どうなっているのでしょうか。
【野原保健福祉部長】
生活福祉金についてでありますが、今般の特例貸付けに係る償還免除要件については、「償還時においてなお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる」とされていたところでありますが、先般国から緊急小口資金については、令和3年度または令和4年度の住民非課税の場合に一括免除を行なうとの方針が示されたところであります。
一方総合支援資金の免除要件については、引き続き検討することとされております。償還開始は措置期間の1年間延長により令和4年度からとなったが、県では全国知事会を通じて償還免除の要件を住民税非課税世帯に限定せず、借受人の収入実態等に基づき判断するなど、さらに緩和するよう国に緊急提言を行なったところであり、今後も機会を捉えて国に働きかけて参ります。
・生活保護について
【高田議員】
コロナ禍の影響で失業・生活困窮者が増える中で「最後のセーフティーネット」である生活保護の役割がいま問われています。生活保護を利用する資格がある人のうち、実際に利用している捕捉率は22.9%との推計を厚労省は公表しています。「生活保護は恥だ」という意識や制度が正確に知られていないことがありますけれども、最大の理由は扶養照会です。
福祉事務所が生活保護申請者の親や兄弟などの親族に対し、生活援助が必要かどうかを問い合わせる扶養照会が申請を阻むおおきな壁になっています。私も昨年、住まいを失いかけて相談された70代男性も「生活保護だけは絶対ダメ、娘に迷惑をかけたくない」とのことでした。平成28年厚労省の調査では、扶養照会調査において金銭的な援助が可能となった件数は3.8万件中わずか600件、1.5%程度です。扶養照会は、福祉事務所の業務負担も多く生活保護から遠ざけるものであります。不要で有害な扶養照会はやめるべきと考えますがいかがでしょうか。
【野原保健福祉部長】
次に生活保護に係る扶養照会についてでありますが、生活保護法において民法に定める扶養義務者の扶養は、保護に優先して行われるものと定められていることから、保護の実施機関においては要保護者に扶養義務者がいる場合には、国が定める基準により扶養能力調査を行なっているところであります
これまでも扶養義務の履行が期待できないと判断される扶養義務者には、基本的には直接の照会は行わないこととして参りましたが、今般、国により今の時代や実態に沿った形で運用できるよう、扶養照会の取り扱いについて見直しが行われたところであります。
この扶養照会では金銭的な不要に限らず、精神的な支援の可能性についても確認してきたところですが、扶養照会が壁となり保護の申請をためらわせることのない様、要保護者の相談に当たっては今般の改正の趣旨も踏まえ丁寧に生活歴等を聞き取り、個々の要保護者に寄り添った対応がなされるよう保護の適正実施に努めてまいります。
2.東日本大震災津波からの復興について
・今後の復興における知事の認識について
【高田議員】
第2に、東日本大震災津波からの復興について質問します。
東日本大震災から間もなく10年になろうとしております。岩手県内の犠牲者は、直接死4647人、行方不明1111人、震災関連死は470人となりましたが、震災関連死を多く出したことは痛恨の極みでありました。大震災では、劣悪な避難所での生活、狭い仮設住宅での生活が長期化する中で、生活再建、とりわけ被災者の命と健康を守ることは最優先の課題でありました。国はわずか2年で打ち切る中で、10年間にわたって被災者の医療費・介護保険利用料などの免除を継続してきたことは、被災者の命と暮らしを守る最大の成果であり、被災者の最も切実な要望にこたえる取り組みであったと思います。沿岸市町村の厳しい財政事情の中で、11年目も非課税世帯に限定しながら12月末まで継続実施となったことはきわめて重要な成果だったと思います。知事はこの10年間復興にどんな思いで取り組まれてきたのでしょうか。
10年たっても残された課題がたくさんあります。期限を切って支援を打ち切るのではなく、支援が必要な人には最後の一人まで支援を行うことが必要と考えますが、今後の復興における知事の思いについても伺います。
【達増知事】
復興の思いについてでありますが、発災以降一人ひとりの幸福追求権を保障すること、犠牲者の故郷への思いを継承することという原則のもと、「いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造」を目指す姿として、県民一丸となって復興に取り組んで参りました。
復興を進める中で国の制度では補いきれない支援策の創設や、本県の要望により復興特区法の一部改正に反映された土地収用手続きの迅速化など、被災地の人々の暮らしや仕事を起点に復興に取り組んできたところであります。
こうした復興の実践の過程で学び培ってきた幸福を守り育てる姿勢は、持続可能な開発目標「SDGs」の「誰一人として取り残さない」とする理念に相通じるものであり、今後の復興を進めるにあたっても重視していく必要があると考えています。
そのため今後においては、完成していない一部の社会資本の早期整備を進めることに加え、復興のステージをさらに前に進める中で、被災者一人ひとりに寄り添い心のケアやコミュニティの形成など、きめ細かな被災者支援に継続して取り組んで参ります。
さらに被災地においては、主要魚種の記録的な不漁や新型コロナウイルス感染症の影響が大きな影を落としており、これらの影響を受ける事業者への支援に注力してまいります。
引き続き「いわて県民計画2019−2028」に基づき、被災者一人ひとりの復興を成し遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施していく考えであります。
・被災者の見守り、コミュニティ形成について
【高田議員】
被災者の見守り、コミュニティ形成への支援はますます重要な課題であります。災害公営住宅には、現在9100人を超える被災者が入居しており、高齢者と低所得者が多く、孤立化と孤独化が進行しています。現在、65才以上の一人暮らし世帯は33.6%、特別家賃軽減の対象世帯は67%を占め、こうした中で孤独死が急増しています。これまでも災害公営住宅のコミュニティの確立と見守りの強化を繰り返し求めてきました。コミュニティ形成の拠点である集会所への生活支援相談員の配置は4か所にとどまっており、集会所の利用は月1〜2回が19カ所、3〜5回が5カ所程度となっております。2月に完成した盛岡市の南青山災害公営住宅には「復興支援センター」を設置し、市から5人が配置され、近隣に居住する被災者を含めた支援が行われております。こうした取り組みが大事であります。自治会役員は高齢化と担い手不足が問題となっており、行政の責任で対応すべきです。来年度どれだけ広がるのでしょうか。
【野原保健福祉部長】
災害公営住宅のコミュニティ形成支援についてでありますが、本県では市町村社会福祉協議会に配置した生活支援相談員が市町村等と連携しながら、災害公営住宅等における被災者への見守り、コミュニティ形成支援等に取り組んで参りました。
令和元年度からは見守りやコミュニティ形成支援を重点的に行うため、生活支援相談員を災害公営住宅の集会所や空き家に配置する「地域見守り支援拠点」の取り組みを実施しており、本年2月末現在5市町村9カ所の拠点を設置し、うち災害公営住宅への設置は3市町4カ所となっているところであります。
令和3年度は新たに1市3カ所で設置し、うち災害公営住宅は1カ所を予定しており、県としては住民に最も身近な市町村や市町村社会福祉協議会の意向を踏まえながら、地域の実情に応じた拠点の設置を進めることにより災害公営住宅の入居者相互の交流や近隣住民との交流を促進し、地域で暮らす人々が相互に支えあう福祉コミュニティ形成を進めて参ります。
・みなし特定公共賃貸住宅制度の導入について
【高田議員】
災害公営住宅は、収入にかかわりなく被災者が入居できますが、収入基準を超えると大幅な家賃の引き上げとなり、退去を迫られます。自治会の担い手でもある共働き世帯が退去せざるえない問題の解決が必要です。
陸前高田市が国交省との協議を踏まえ「みなし特定公共賃貸住宅制度」を災害公営住宅に導入しており、県や他市町村にも広げるべきであります。県はこれまで「市町村との意見を踏まえ、スピード感を持って取り組む」としておりますが、その後の検討状況について伺います。
また、知事は、施政方針演述で「若者への住宅支援に取り組む」と表明しました。県が計画する「県営住宅活用モデル推進事業」は、自治会への参加を条件に、低廉な家賃で住宅を提供することにより地域の活性化を図るものですが、これを災害公営住宅にも広げるべきと考えますがいかがでしょうか。
【中平善伸県土整備部長】
みなし特定公共賃貸住宅につてですが、中堅所得者向けに災害公営住宅を提供するこの制度の導入にあたりましては、被災者や公営住宅が本来対象としている所得階層への入居希望者に影響を与えないことが条件となります。
このため今年度は被災者の入居が見込まれる住戸を一定数確保したうえで、残る空き住戸について一般の方を対象とした募集を、昨年7月、8月、10月、12月、今年2月と5回実施してきたところであります。
この一般公営住宅としての運用を開始した後に生じる空き住戸の状況を踏まえまして、入居者のニーズや市町村の意見等も参考にしながら、沿岸地域の復興にふさわしい制度となるよう検討を進めて参ります。
次に若者の住宅支援についてですが、県営住宅活用促進モデル事業については、初年度である令和3年度に導入する4団地において、実際に入居された方や自治会等に対してアンケート調査を行ないまして、事業の有効性や改善点を検証したうえで、県内の一般の県営住宅への普及を考えているものであります。
災害公営住宅への導入につきましては、昨年7月に被災者以外の入居を可能とする一般募集を沿岸部において始めたところでありますので、この一般公営住宅としての利用状況等を踏まえ、関係市町村の意見も踏まえながら対応について検討してまいります。
・水産加工業への支援について
【高田議員】
水産加工業の再建は、県が被災事業者に対する独自の被災資産復旧費補助を実施し、その後のグループ補助金が実現し、9割近い水産加工業者が再建を果たしました。再建事業者の二重ローンを棚上げする仕組みを国に提案し、2つのニ重ローンを解消する機構がつくられ277件の債権買取が行われ、事業者の再建を後押しいたしました。しかし、被災事業所の再建による借金の返済、主力魚種の大不漁となるなど、東北経済産業局のグループ補助金交付先アンケートでは、震災前までの売り上げ回復は44%にとどまっております。そこに新型コロナ感染拡大が加わり、基幹的な産業である漁業・水産加工業や観光業は大打撃を受けております。
主力魚種の不漁は地球温暖化も指摘され早期の回復は困難です。獲れる魚で対応する魚種転換と海面養殖が重要です。知事は、「マイワシなどの資源の有効活用、サケ・マス類の海面養殖などを推進する」と述べておりますが、魚種の転換にしても新しい設備投資も必要です。どのような支援策を検討されているのでしょうか。他産業よりも賃金が低く人材不足も課題であります。これまでにない支援を行うべきですが、県の更なる支援策について伺います。
【戸舘商工労働観光部長】
水産加工業の再建についてでありますが、主力魚種の不漁が続く中での原材料の調達や、人口減少や少子高齢化が進む中での人材の確保は、水産加工業が直面する重要な課題であると認識しています。
このため県では原材料の調達については、魚種を転換し代替原料を活用した加工品開発の促進に向け、専門家派遣や相談会の開催、いわて希望応援ファンドによる助成などにより消費者ニーズに対応した付加価値の高い商品開発を支援しており、県内外での商談会や大手量販店でのフェアの開催、沿岸部へのバイヤー招聘などにより販路拡大も支援しています。
また設備投資については、国の各種補助事業の導入や設備貸与事業の活用を促進しています。
人材確保については就職面接会や企業見学会の実施、従業員宿舎整備等への補助により引き続き支援してまいりますとともに、新たに令和3年度からプロフェッショナル人材の活用促進に係るサテライト拠点を沿岸に設置し、水産加工業の生産性・付加価値の向上などを支援して参ります。
・今後の災害に備えたまちづくり事業について
【高田議員】
津波で被災したまちづくりは、大規模災害に対応した事業とはならず、既存の土地区画整理事業、防災集団移転促進事業、漁業集落防災機能強化事業による取り組みとなりました。土地所有者への同意に時間がかかり、かさ上げ事業の完成に10年もかかるなど、その結果、住宅再建が遅れ、待ちきれずに高台に移転するために未利用地が発生しました。既存の整備事業では課題が多すぎます。今後の災害に備えた大震災に対応できるまちづくり復興事業の創設と制度の見直しを国に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
【大槻英毅復興局長】
まちづくり事業の見直しについてでありますが、発災以来用地取得に際して相続登記の未了や所有者不明等の理由により、所得困難な土地等が多数存在し手続きに時間を要したことから、県では国に対し用地取得の迅速化に向け、岩手弁護士会との共同による提言や政府予算提言・要望を実施してきたところ。
この結果平成26年5月に復興特区法の一部が改正され、土地収用手続きの迅速化一部実現したところであります。
しかしながらこれによってもなお、事業実施において地権者からの同意取得に時間を要することから、平成26年度からは円滑な用地取得に向けた公共の利益の増進と、土地等の私有財産の制限のあり方などについて幅広い議論・検討を進めるよう、国に対し継続して提言・要望を行なっているところであります。
また同様に防災集団移転促進事業における移転元地の利活用についても、具体的な利活用計画のある土地についてのみ、国の支援が認められるなど要件に制限があり、まちづくりに時間を要する状況にあることから、被災地域の実情に即した柔軟な運用について検討するよう、平成27年度から国に対し提言・要望を行なっているところであります。
近年全国で大規模災害が多発していることから、将来の災害に備え、本県が経験した復旧・復興の教訓や知見を広く発信していくことが極めて重要であるため、昨年度提言集「東日本大震災津波からの復興―岩手からの提言―」を取りまとめ、各都道府県に情報発信し課題の共有化を図っているところであります。
今後においても全国自治体とも連携しながら、復興の取り組みや経験を活かした仕組みの構築について、引き続き国に対し提言していく。
・原発汚染水処理の問題について
【高田議員】
東日本大震災では、福島第一原発事故による原子力災害が発災しました。地震災害による人類史上最大の惨事となり10年たっても故郷に帰れない状況が続いています。しかし菅政権発足後、高浜原発の再稼働容認、六ヶ所村の高レベル核廃棄物貯蔵施設の安全審査の合格、女川原発の容認と、急速に原発政策を進めております。さらに汚染水処理は、21年度中に決着しようとしています。沿岸自治体首長からは「漁民がマイナスから出発し、いまコロナで大打撃の中にあって水産業に深刻な打撃となる」と訴えています。一切説明も相談もない国の対応を厳しく批判しておりました。
汚染水からの分離が困難とされるトリチウムについては、国が世界に公募したところ、ロシアの原子力企業が小規模施設実証実験で99%分離可能とする提案を行っていたのにたいし、政府が大規模施設では困難と提案を受け入れなかったことが最近明らかになっています。汚染水の海洋投棄は新たな風評被害は避けられず、県漁連もこの間反対の声を上げてきました。
いま結論を出さず、陸上保管を続けながらトリチウムを除去する技術の研究開発を行うなど、海洋放出ではない方法の追求とともに、自治体関係者への説明を行うことを国に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
【達増知事】
原子力発電所事故による汚染水についてでありますが、東京電力福島第1原子力発電所で発生している汚染水は、多核種除去設備ALPS(アルプス)等によって処理され、発電所敷地内のタンクに保管されていますが、処理水の取り扱いについては、昨年2月の多核種除去設備処理水の取扱いに関する小委員会の報告書や国に寄せられた意見等を踏まえて、国の責任において処分方法が決定されるものと認識しております。
一方処理水を海洋放出する案に対しては、漁業間係団体が風評被害への懸念から反対意見を表明しているほか、自治体の首長からは海洋放出以外の方法について再考を促す声も示されていると承知しております。
処理水の処分方法は、本県の自然環境や漁業をはじめとする産業に影響を及ぼすものではあってはならないと考えており、これまでも全国知事会及び北海道・東北地方知事会から国に対し、正確な情報発信と具体的な風評対策を示すよう要望してきたところであります。
国においては処理水の取り扱いについて、安全性の確保を大前提に環境や風評への影響などを十分な議論の上、漁業関係者を含む国内外の方々の理解を得る必要があると考えております。
3.介護保険制度について
・コロナ禍における介護現場の影響と対策について
【高田議員】
第3に、介護保険制度について質問します。
新型コロナ感染拡大を受け昨年春以来、マスクや消毒液などの不足、感染防護のために出費を強いられ、介護サービスの利用者自粛等により事業所が減収となりました。また、利用自粛に伴い、身体・認知機能の低下も問題となっています。県はコロナ禍における介護現場の影響をどう把握されているのでしょうか。施設内で感染者が出た場合の速やかな入院措置と応援体制、感染対策の指導についても課題であり、施設長からも切実な要望として要請されました。社会福祉法人では、専門的な知識もなく、ゾーニングを含めた対策の指導が必要ですが、これらについてどう対策がとられているのでしょうか。
【野原保健福祉部長】
介護現場の感染症対策についてでありますが、介護現場への影響については、昨年10月分の本県の1事業所当たりの平均介護保険給付費は、介護報酬の増額改定も反映されていることから、新型コロナウイルス感染症による影響の評価は難しいところでありますが、前年同期比で介護老人福祉施設では1.6%、訪問介護では7.7%、通所介護では2.8%の増加であり、またサービス受給者は介護老人施設及び訪問介護では増加しており、通所介護ではわずかながら減少しているところです。
感染対策については施設内患者発生時における職員等が不足する場合の派遣応援システムの構築、本県の「感染症対策チェックリスト」を活用した具体的な対策の助言、高齢者施設等を対象とした感染症対策の研修会の開催などにより、感染防止対策を支援しているところであります。
また大規模クラスター発生時においては、「いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォース」の派遣を行なっているところです。
さらに介護施設等の簡易陰圧装置の設置、ゾーニング環境等の設備、多床室の個室化などを支援する経費を、当初戸さん案に計上しているところであります。
・介護保険制度20年―特養待機者の現状、介護人材不足問題について
【高田議員】
「介護保険制度」がスタートしてから20年となりました。県はどのように介護保険制度の課題と問題点をどう検証されているでしょうか。
この20年間、県内の平均介護保険料は2868円から5955円と2.07倍になりました。
しかし、「持続可能な制度」とするために認定基準や施設入所基準の見直し、総合事業の導入、重い利用料など、介護保険料を払っても必要なサービスが十分受けられない制度となっています。
区分支給限度基準額に対する利用率、特養ホーム待機者の現状、介護人材不足の現状はどうなっているでしょうか。必要なサービスが受けられているのでしょうか。
特養ホームについては入所要件が見直され、どこの施設でも介護度4、5が中心です。国の職員配置基準では対応できず職員を増やして対応しています。現行の介護保険制度は高齢者の要望にこたえられない多くの矛盾を抱え、一刻も放置できない現状にあるのではないかと考えます。「介護の社会化」を目的に始まった介護保険制度がスタートして20年、検証をしっかり行い、制度の改善を求めていくべきと考えますがいかがでしょうか。
「第8期事業計画」に向けて更なる利用者の負担増も計画されております。施設入所者への食費負担や高額介護サービス費の負担限度額も引き上げられますが、その影響はどう試算されているでしょうか。介護保険料の引き下げに踏み切る自治体がある一方、大幅に引き上げを検討する自治体もあります。県内の状況はどうなっているのか、どれだけの負担増となるのでしょうか。
【野原保健福祉部長】
介護サービスの現状についてでありますが、本県の区分支給限度基準額に対する利用率につきましては、介護保険事業報告を基に算定したところ令和2年10月におけるサービス提供分で50.3%となっている。
特別養護老人ホームの待機者は令和2年4月1日現在における在宅待機者は1,299人で、このうち市町村が早期の入所が必要と判断した待機者は813人となっている。
介護人材不足については、令和2年12月の県内の有効求人倍率が全産業の1.06倍に対して、介護職では2.49倍となるなど人材不足が顕著な状況にあり、介護サービスを安定的に提供するためにも人材確保対策が重要と考えている。
県といたしましては依然として特養待機者が多いことから、施設整備への補助を行なうとともに総合的に介護人材確保対策を進めることにより、サービス提供対策の確保に引き続き努めて参ります。
次に介護保険制度の改善についてでありますが、国において2025年に向けてさらにはその先の2040年を見据えて、介護予防・健康づくりの推進、保険者機能の強化、地域包括ケアシステムの推進及び持続可能な制度の構築等の観点から、社会保障審議会での語論も踏まえ介護保険制度の見直しを進めていると承知しています。
県といたしましては県民が介護に不安をもたず安心して老後を送るためには、介護保険制度の円滑かつ安定的なサービスの供給を図ることが重要であるとの認識のもと、これまでも国に対して安定的な介護サービスの提供のための介護報酬設定や、利用者負担の軽減など低所得者対策の充実等について要望してきたところであります。
今後も国の動向を注視しつつ介護を要する高齢者に必要なサービスが、必要な時に提供できるよう様々な機会を捉えて国に働きかけて参ります。
次に介護保険料の見直し等についてでありますが、議員ご指摘の通り令和3年8月から、介護保険施設における食費の基準費用額が増額改定されるとともに、高額介護サービス費については収入要件に新たな区分が設けられ、自己負担限度額の上限額が引き上げられる予定となっております。
今回の制度改正による影響については基準費用額では、食費全額を本人が負担する施設入所者に限って粗々試算となるが、4,400人程度が負担増となる見込みであります。
また高額介護サービス費では、国が推計した割合を単純に当てはめると、自己負担限度額の上限額が引き上げられるのは400人程度と見込まれます。
また第8期計画期間の介護保険料については、各保険者において算定しているところでありまして、現時点では具体的な額をお示しできる状況にないが、県介護保険事業支援計画の最終案に向け、3月中旬に各保険者の見込額を取りまとめる予定であります。
なお昨年実施したヒアリングによると、県内24保険者中18保険者が増額を見込んでいると承知いたしております。
4.大雪による被害対策と岩手の農業政策について
・大雪被害への支援について
【高田議員】
第4に、大雪による被害対策と岩手の農業政策について質問します。
昨年12月14日から県南地方を中心に大雪により農業施設などに甚大な被害となりました。
2月18日現在、農業施設4059棟、被害額は34億円、大雪被害としては過去最大となりました。新型コロナ感染で農畜産物の価格下落とも重なり、被災農家は心が折れている状況であります。それだけに、一人の離農者も出さない決意で、被災者支援を行うよう年末から県に支援を求めてきました。26日提案された第7号補正予算には、総額16.6億円余の補正予算が提案され、国補助事業では支援できない被災農家にも県単独事業で対応されたことは高く評価するものであります。しかし、予算が措置されても支援が行き届くきめ細かな支援が必要です。
被災農家の中には、牛舎と育苗ハウスが倒壊し、購入したばかりの田植え機を破損した農家もあります。集落営農の中心にいる農家を離農させないためにも被害規模に応じた柔軟な支援をすべきであります。資材価格の高騰、資材の調達、育苗の確保はどうなるのかなど農家は困っています。育苗の確保を含め具体的な営農再開、再建の見通しはどうなっているのでしょうか。
【佐藤隆浩農林水産部長】
大雪災害に係る営農再開の実投資でありますが、県では被災したパイプハウスの撤去・再建や、不足が懸念される水稲苗の確保などの支援に必要な経費を盛り込んだ補正予算案を今議会に追加提案したほか、市町村やJA等を対象に補正予算案に盛り込んだ事業の説明会を県南3カ所で開催し、その内容の周知を図ったところであります。
また広域振興局などに設置した相談窓口での経営相談や、ハウスの再建時期に応じた野菜等の栽培技術の指導を行なっている。
現在補助事業の実施主体となる市町村やJAと広域振興局等が連携し、被災した生産者の再建意向や事業要望の取りまとめを行なっているほか、不足が懸念される水稲苗をJA間で融通するための調整を進めているところです。
県といたしましては関係機関・団体と連携しながら、引き続き生産者が意欲をもって春からの生産活動を行なっていくことができるよう鋭意取り組んで参ります。
・コロナ禍における畜産振興について
【高田議員】
コロナ禍による和牛の販売環境の急激な悪化に高値で導入した牛の出荷が重なって多くの畜産農家も厳しい一年でありました。肉牛農家の頼りとなる牛マルキンについても4分の3補填が続き、算定方法も見直されるなど、コロナ禍の中で十分なセーフティーネットにならない課題もありました。今後、牛マルキンの生産者負担金や、コロナ禍で借り入れた借金返済が始まればさらに経営は厳しくなります。「肥育経営生産基盤強化緊急支援事業」の継続支援や学校給食への提供を含め更なる販売促進を行うべきであります。今後の畜産振興にどう取り組まれるのでしょうか。
【佐藤農林水産部長】
今後の肉用牛振興についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた肉用牛肥育農家の経営安定に向け、これまで県内での消費拡大とともに、肥育素牛の導入支援、国の経営安定対策、いわゆる牛マルキンの生産者積立金が枯渇したことから、生産者積立金から交付されるべき交付金の一部を支援来たところであります。
また丑年である今年、牛をキーワードに展開している「いわてモー!モー!プロジェクト2021」の取り組みとして、県内外における「いわて牛」の販売促進活動等による牛肉の消費拡大や、県有種雄牛の産子に限定した枝肉共励会の開催による県産牛肉の評価向上、出荷実績に応じて奨励金が交付される国庫事業の要件となる、生産者のコスト低減の取り組み支援などを進めることとしており、こうした取り組みを通じて引き続き生産者の経営安定が図られるよう取り組んでまいります。
・家族農業の位置づけ、岩手の農業の方向性について
【高田議員】
コロナ禍によって岩手の農業も大きな影響を受けました。しかし同時に、コロナ禍が浮き彫りにしたのは、食料を海外に依存せず、地域、国内で生産し消費することの重要性です。規模拡大や効率的な農業ばかりを追求してきた農業政策から、家族農業を含め意欲あるすべての農業者への支援こそ必要であります。そしてコロナ禍の中で、農村に移住して農的な暮らしを始めようとする若者・女性が増加するなど、既存の価値観が大きく変化する時代でもあります。岩手県における家族農業の位置づけ、岩手の農業の方向性について県としての見解を伺います。
【達増知事】
本県の農業の方向性についてでありますが、本県の農業経営は経営体の約97%が家族経営体であり、家族経営体は本県の農業生産や農業・農村の多面的機能の維持などに重要な役割をはたしています。
多くの家族経営体に支えられている本県の農業が、従事者や高齢化が進む中にあって、地域経済・社会を支える持続的な産業として発展していくためには、地域農業の核となる経営体を中心として、新規就農者や小規模・兼業農家など多く経営体が生産活動に携わりながら、ともに豊かさを実感できる農業・農村を築いていくことが重要と考えております。
このため県では「いわて県民計画2019−2028」に基づき、地域農業を牽引する経営体を育成するほか、多くの小規模・家族経営を中心とする集落営農組織等の経営規模の拡大や生産活動の効率化を進めて参ります。
また活力ある農村・漁村づくりに向け、小規模・家族経営などの地域を支える多様な生産者による地域の農業・農村を維持する取り組みや、将来の移住・定住等を見据えた都市と地域住民の交流・連携活動を進めていくこととしております。
今後とも農業経営の発展を目指す農家や、地域づくりに取り組む小規模・兼業農家など、生産者一人ひとりが意欲をもっていきいきと働き暮らすことのできる農業・農村の実現に向け取り組んで参ります。
5.高校再編問題について
・盛岡南高校と不来方高校の統合について
【高田議員】
最後に、県立高等学校再編計画後期計画(最終案)について質問します。
@生徒の希望する進路の実現A地域や地域産業を担う人づくりを基本に検討されてきた「後期計画」最終案は、統合による大規模校の設置、ブロックを越えた工業高校の統合計画案となっており、丁寧な説明と住民の理解を得ることが高校再編を進める大前提として進めていかなければなりません。
不来方高校と盛岡南高校の統合案は、この間15000人を超える反対署名が県教委に提出され、盛岡市議会では「統合見直し」の請願が採択されております。県教委はどう受け止めているでしょうか。これまで県教委の高校再編計画の基本方針では、県立高校の望ましい規模を4〜6学級としておりますが、最終案では8〜11学級となっています。基本方針を根本から変える最終案ではないでしょうか。
【佐藤博教育長】
まず不来方高校と盛岡南高校の統合案についてですが、盛岡南高校と不来方高校の統合に対して、盛岡南高校の存続を願う会からの嘆願書や盛岡市議会からの意見書が提出されており、盛岡南高校関係者を中心とした地域の方々の思いは十分に理解し重く受け止めているところです。
最終案公表後の2月18日には説明会を開催し、盛岡ブロックの現状と学校統合案の背景や、盛岡南・不来方高校統合新設校の姿、盛岡工業高校の移転・整備について資料を準備して丁寧に説明を行ったところです。
県教育委員会としては全県的な視野に立ち、生徒にとってより良い教育環境の整備をしていく考え方を重視していく考えであります。
・一関工業高校と水沢工業高校の統合について
【高田議員】
一関工業高校と水沢工業高校の統合案は、商工会議所、建設業協会、地元自治体からも異論が出されており、住民の理解が得られているものではありません。
一関工業高校では「地域と共同し産業スペシャリストの育成」を目標に掲げ、工業人として地域産業を支える人材の育成に取り組まれております。地元の現場見学、地域産業講座と5日間の職場体験、地元企業講話などが行われ、就業体験学習に結びついております。そして「技術・知識を地域につなげるプロジェクト」による地域課題解決でも地域に貢献しております。東磐井地区からの通学は生徒の3割、自転車通勤が238人となっております。ブロックを越えた統合案は、地域との結びつきを弱くし、通学困難となる生徒が増加しかねません。
一関商工会議所からは「県教委に見直しを要望したい。是非住民説明会も開催してほしい」と要望されました。地域からの要請があればしっかりと対応すべきですが、県教委の対応について伺います。
【佐藤教育長】
一関工業高校と水沢工業高校の統合案についてですが、胆沢及び両磐ブロックの地域検討会議等おいては、県南地域における大規模な工業高校の新設について「一定の規模や充実した設備のもとで、より高度な技術を学ぶことは重要である」との意見がある一方で、「圏域の広い統合により通学が困難となる生徒が生じる懸念がある」などの意見も頂いたところです。
今回お示しした最終案ではこれらの意見を踏まえ、地域の学びを確保するという観点からも千厩高校の産業技術科は統合の対象とせず、東磐井地区の生徒の通学圏に工業の学びを残すよう修正したところであります。
統合までには一定の準備期間を置くこととしており、今後も地域の関係者等の意見を踏まえながら生徒にとってより良い教育環境を整備していく考えであります。
・福岡工業高校と一戸高校の統合について
【高田議員】
福岡工業高校と一戸高校の統合案はあまりにも唐突ではないでしょうか。工業学科を削減し、専門高校の充実に逆行するものであり、これも地元の理解が得られていません。しかも福岡工業高校は26.6億円の事業費で改築工事が行われており、「計画性がない」との批判が出ております。
各地で、賛成どころか厳しい意見が出ているのではないでしょうか。最終案が出てからどれだけの住民説明会が行われたのでしょうか。県教委は今回の「最終案」が県民の理解が得られたと受け止めているのでしょうか。
この一年間は、新型コロナによる対応で高校再編問題は十分な議論されない現状にあるのではないでしょうか。住民から異論が出ている『最終案』は慎重に対応すべきですことを求め私の質問を終わります。
【佐藤教育長】
福岡工業高校と一戸高校の統合案についてですが、福岡工業高校の校舎については、安全で安心して学ぶことができる教育環境の整備を図るために早急に耐震化を進める必要があったものであります。
二戸ブロックの中学校卒業者数は今後も減少し両校の入学者の推計からは、将来において福岡工業高校2学級と一戸高校3学級を維持することが難しい状況にあるため、地域を支える人材育成に配慮した学科や系列を維持しつつ、生徒にとってより良い教育環境を整備するという視点を重視し最終案としてお示ししたものです。
昨年2月の計画案公表後パブリックコメントを実施するとともに、地域検討会議等を開催して統合の趣旨等について説明するなど、要望への対応を含め意見交換の機会を多数設けてきたところでございます。
≪再質問≫
・積極的なPCR検査について
【高田議員】
知事からのPCR検査の考え方について答弁いただきました。新型コロナウイルス感染症の厄介なところは無症状者が感染を広げているということ、この一年間の教訓は積極的な検査戦略をもつということとおもいます。先月の専門者会議では「都道府県は保健所の業務を増やさないように配慮しながら、高齢者施設の職員が定期的に検査を受けられるよう支援していただきたい」と指摘、これ受けて厚労省も高齢者施設での積極的な検査をすべきだと通知を出しています。先ほど岩手においては県内で複数のクラスターが発生するとか、市中感染が広がるとか、ある一定程度の感染が広がった場合に対応するということでありますが、しかしそうではなく積極的な検査戦略、高齢者施設等についても定期的な検査に踏み込む方向に舵を切っていくべきと思いますが改めてお聞きします。
【野原保健福祉部長】
社会的検査の実施についてでございますが、先ほど知事から御答弁申し上げた通り、さきに岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会にお諮(はか)りいたしまして、議論させていただきました。
この中で岩手県はまだ感染リスクが少ない状況でございます。こうした感染者が非常に少ない地域で、蔓延状況が低い状況にあって、患者確認に至るケースが少ないということ。またスクリーニング検査の特性として、陽性判明的中率と申しますが、陽性者の中で実際に感染した確率が蔓延状況の低い状況にあっては低くなる、いわゆる偽陽性となる方が非常に多く出て参ります。そういった可能性も考慮しての判断だったと理解しているところでございます。
一方で先ほど御答弁申し上げました通り、多数の感染者またはクラスター、こういったような地域の検査の蓋然性といったものが整った場合には、当該地域を対象とした網羅的な定期的な検査を実施するといった方針を定めたところでございます。
・医療従事者への対応について
【高田議員】
医療従事者の課題ですが、「使命感だけでは働き続けることはできない」という声がたくさん寄せられました。県は医療従事者の厳しい現状をどのように把握されているのかについてもお聞きしたいと思います。岩手医労連がコロナ患者に対応している看護士にアンケートを取りました。アンケートによると精神的負担が86%、身体的負担が66.4%となっております。中には感染して家族に移してはいけないという緊張感の中で毎日業務にあたっている。病室の清掃、患者家族への対応など、半数以上が過酷な労働だと訴えております。また驚くことに一般病床との掛け持ちをしているとか、救急外来一人体制で救急患者や発熱患者を診なければならない、こういった体制でよいのでしょうか。あるいはホテルに宿泊する場合看護士が駐車料金を負担しなければならない等々、職場の環境改善や人的配置にも課題があるのではないかとアンケートを見て感じました。
県は改めてコロナ患者の対応をしている医療現場での厳しい現状をどう把握され、一つ一つの課題にどう対応されていくのかお伺いします。
【野原保健福祉部長】
医療従事者の現状ということでございます。今医療現場の皆様方、高い緊張感のもとに一般医療、そして新型コロナウイルス感染症患者の治療に当たられておられます。非常に激務の中で日々診療に当たられておりますことに関しまして深い敬意を表するものでございます。
こうした医療現場の皆様方の勤務環境、環境改善を図っていくということは非常に重要な視点でございまして、こうしたことから県としましては様々な感染防止対策、院内感染防止対策に資するための支援などの取り組みを行なってきたところでございますし、先ほども答弁申し上げましたがそうした医療従事者に報いるために、県としても新たに各医療機関の危険手当の支給経費を補助する事業という形で、この2月補正予算そして当初予算案にも計上させていただいたところでございまして、こうした日々頑張っておられます医療従事者の皆様方に、支援につながるような環境整備、これにつきましては現場の状況を見ながら不断に取り組んで参りたいというふうに考えております。
【高田議員】
アンケートではPCR検査をきちんとやってほしいという声が共通してあります。PCR検査がどれだけ対応されているのかお伺いいたします。
【野原保健福祉部長】
医療現場においてPCR検査等がどうなっているのかということでございますが、新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れております重点医療機関がございますが、こうした医療機関の従事者は基本的には個人防護具の着用など、基本的な感染予防策を適切に講じて治療にあたっておられますので、いわゆる県の積極的疫学調査で定める濃厚接触者には該当せず、行政検査の対象とはなっていないものです。
一方で患者に対応いたしました医療従事者に症状が出た場合には、速やかに行政検査の対応としており今までも多数実績がございます。
なお一部の重点医療機関におきましては患者に対応した医療従事者、また救急患者などに対しましても必要に応じて、行政検査とは別に院内で独自にPCR検査を実施しており、独自に感染防止対策を講じているものと承知しております。
実態として多くの医療機関で独自の努力でPCR検査を実施されているものと承知しているところでございます。
・事業者への支援について
【高田議員】
経済対策についてもお伺いいたします。深刻な経営を強いられている業者に対して、40万円の給付を行なうということですが、これは業者に大変歓迎されております。しかし商工会議所などからもお話を伺うと、30%減収では心が折れる、30%という数字は廃業も考えざるを得ない数字である、こういうお話をいただきました。やはりスピード感を持った取り組みが必要と思います。この中小業事業者への40万の給付金、どんなスケジュールで対応しようとしているのか、今後のスケジュールについてお伺いしたい。
【戸舘商工労働観光部長】
1店舗当たり40万円の定額を支給する、地域企業経営支援金支給事業費についてのスケジュールというお尋ねでありますが、現在補正予算案ということで提案させていただいている段階でありますので、可決をいただきましたら速やかに準備を進めたいと思いますが、商工会議所を窓口として受付をする予定としておりまして、そちらのほうの体制もしっかりと整備をしていただいた上で、極力今月中にはスタートできるように進めて参りたいと考えております。
【高田議員】
地元クーポン割について代表質問でも議論されました。延長を求める質問でありましたけれども、毎月の事業影響調査でも一番影響を受けているのは飲食業ですけれども、数字を見るとそれ以上に宿泊業者です。40万円では宿泊業者は助かりますけど何ともならない、そういう状況にあるかと思います。岩手の感染状況と照らして私は大事な支援策であると思いますが延長が難しいと判断した理由は何でしょうか。また地元クーポン割の利用実績を教えていただきたい。
【戸舘商工労働観光部長】
地元クーポン割の利用実績についてでありますけれども、7月から9月まで実施しました2,000円割引でありますが、9万6千人泊となっています。また10月から3月まで実施した3,000円割引ですけれども、2月末時点の精算件数になりますが速報値で約7万1千人泊となっています。
岩手県民以外の東北各県、新潟県の県民を対象とした「おでんせ岩手券」3,000円割引でありますが、こちらは2月末時点で精算件数は速報値になりますが、約2万5千人泊となっております。
<再々質問>
・県立病院の新型コロナ対応について
【高田議員】
検査体制については検査のキャパシティの余裕がある今こそ、検査体制を強化するべきと思いますし、コロナ患者に対応している医療従事者の実態を把握して、全ての医療従事者を行政検査の対象にするようにぜひ取り組んでいただきたいと思います。医療現場の実態については医療局長からもコメントがあればお願いしたいと思います。
【熊谷泰樹医療局長】
県立病院の実態ということでのお尋ねでございますが、コロナウイルス感染症患者を対応する現場のほうからは、精神的、肉体的な負担が大きいということはお話伺っています。特に一旦ある地域で発生すると、そこで数多く発生する、ある特定の上に集中するというところがあって、その発生した時には相当程度の負担があるというところでございます。院内での人材のやりくりのほか不足する場合、県立病院の全体のネットワークがありますので、大変になっている病院のほうに職員を応援する形でやっているところでございます。
PCR検査の関係でございますけれども、基本的には先ほど保健福祉部長が答弁した通り、病院ですので完全防御という格好で対処していますが、どうしても気づかずに入院して入院後にコロナが発症するというケースもございます。その時に完全防備でないところもありますので、そうした場合には院内感染を防ぐために接触した職員、患者等々につきましてはPCR検査を実施しまして、状況を確認しているところでございます。また病院職員でございますので患者と接する場面が多くございますので、職員が体調不良を訴える時がありますのでそこは病院の予算でPCR検査を独自に実施し、安全を確認しているところでございます。
・災害公営住宅集会室への支援員の配置について
【高田議員】
復興の課題についてもお伺いしたいと思います。災害公営住宅のコミュニティ確立と一人暮し高齢者の見守り支援というのは、今後ますます重要な課題だと思っております。生活支援相談員は今年度の配置状況を見ますと、121人に対して現在110人程度になっている、来年度の計画を聞いてみたら87人とどんどん、どんどん少なくなっている。この5年間でなくしてしまうのではないかという心配があります。充分な体制になっているのかこの点についてお聞きしたいと思います。
災害公営住宅集会室への支援員の配置について、私たちは毎議会のように一般質問で求めてきました。私も以前も触れましたが、南三陸町では60戸以上の災害公営住宅に複数の支援員を配置して、6人体制で全部の災害公営住宅に入居している方々への個別、具体的な支援を行なっています。これは難しいことではないと思いますけれども、なぜ全域に広がらないのかこの点についてお伺いします。
【野原保健福祉部長】
生活支援相談員のご質問をいただきました。生活支援相談員の配置につきましては、現地で支援しております市町村や、市町村社会福祉協議会と十分意見交換しながら調整しているところでございます。
来年の配置につきましても11の市町村及び、市町村社会福祉協議会と個別に意見交換をさせていただきまして、地域の実態等踏まえまして87名の配置という計画にさせていただいたところでございますが、被災地におきましては引き続き見守りやコミュニティ形成支援、重要な課題でございますので、民生児童委員また市町村が配置している支援員と十分連携しまして、被災地の支援に引き続き取り組んで参ります。
・高校再編問題について
【高田議員】
高校再編について教育長から答弁がありましたが、私が質問の中でお聞きしたのは、今回の最終案が住民の理解が得られたと受け止めているのかどうかをお伺いしました。各地で反対が広がっている中で今度の最終案は学級減ではなくてブロックを超えた統合です。基本計画にもない大規模校をつくるということですから、とりわけ住民の理解と合意が進める大前提だと思いますがそうなっていないと私は思いますが、県教育委員会として住民の理解が得られているかどうかが肝心でありますので、この点についてお聞きしたいと思います。
一関工業高校と水沢工業高校の統合についてお聞きしたいと思います。一関工業高校は今東磐井地域から通学している方々は44人となっています。JR大船渡線の始発に乗って、朝食と昼食の2食持って通学しています。こういう生徒が少なくない、また宮城県北からの生徒もいます。校長先生に聞きますと生徒の8割が一関工業で学びたいということで入学している生徒がたくさんいるとの話でした。ブロックを超えて集約してしまえば「工業の学び」これが選択できなくなるのではないかと思います。そういう懸念を教育委員会として持っているのでしょうか。一関工業を視察した時に地元企業と学校の連携、地元企業が物心両面で支援しておりますし、職場体験や地域の課題解決のために子どもたちが地域に入って地域の課題解決のために一生懸命取り組んでいる、その中にあって地元に就職しようとか、地元企業に就職しようかとの機運が高まっているということもお聞きしました。今度の統合案で全体の学級数に対しての工業学科の割合がさらに減る、それでいいのかという疑問がたくさん寄せられています。この疑問や懸念に対して教育長はどのようなお考えをもっているのか、この点についても伺いたいと思います。
【佐藤県教育長】
県南地域の一関工業高校と水沢工業高校の統合ということでございまして、地域検討会議等でも色々と説明をしてまいりました。また地元のほうからも見直しについての提言・ご意見等も頂戴してございます。
地域検討会議等でのご意見の中でも、県南地域に多様な工業の学びを配置する、そして産業人材の様々なニーズに対応していくということについての一定の理解というものもあります。
また一関工業高校の地域と協同した様々な取り組みについても把握しているところでありまして、地元の企業の支援あるいは協力を多くいただいてございます。また現場見学であるとか就業体験とかの取り組みも、地元企業からの協力をいただいてやっているということも伺ってございます。そのように生徒が地域に積極的に出ていく、地元と連携した活動をしていると十分承知してございます。
こういう取り組みを新設統合校にも引き継がれて、より発展させていっていただければということも期待したいと思います。
仮に現行のままそれぞれの工業高校を存続させていった場合には、中学卒業者数の減少が見込まれていくことから、地域での工業の学びをどうやって維持していくか、仮にそのまま残していいた場合ブロック内の専門高校との、他の農業高校、商業高校との統合による学科の減少も想定される。そうなった場合工業の学びができなくなるということもございます。
県南地域の将来を見据えて、現段階から県南地域の基幹となる工業高校の整備を検討し、地域の産業を支える人材の育成に貢献していきたいと考えてございます。
東磐井地域からJRで通学している生徒も多くいるということも把握してございます。今後統合を進めていくうえでも、通学支援の課題も出て参ります。生徒等に対する通学支援策についても、今後検討を進めて参りたいと考えてございます。
<再々々質問>
・高校再編問題について
【高田議員】
統合についてお尋ねいたします。今教育長からブロックを超えた統合なので、通学支援を考えているというお話でしたが、現在県内の県立高校で通学支援を行なっているところはありますか。今はじめて通学支援を検討しているというお話がありましたけれども、地域住民から見れば統合のメリットが全然見えない、どこの場所に造るのか、どういう工業高校にするのか、単独校よりもこういうすばらしい教育ができる、といったものが全然ないので、統合のデメリットしか地域住民はわからない、そういう中で今反対の声が起きている。
一関市長は先週の市議会の中で統合反対を表明しました。勝部市長は身近な工業高校がなくなることにより、工業高校への進学を断念せざるを得ない状況が生じる恐れがあることを強く危惧している。今後における工業分野の人材確保の観点だけではなく、若者の地元定職からも影響が大きいと考えることから、この最終案では市民や市内の企業から、理解を得ることは難しいと述べております。
通学困難になる問題、地域・企業との連携が希薄になってしまうこういう懸念がある一方、統合してどうなのかそのメリットも見えない、こういう中で最終案が作られました。一関市長はそういうことを表明しましたが、商工会議所をはじめ経済団体も来週、見直しを求めて県に対して要請行動を行なうという話も聞いております。こういう地域の理解を得られない状況の中で最終案を決めてしまうことは、民主主義のルールからしてもあってはならないと思います。おそらく今月、最終案が教育委員会に提案されて議論されると思いますが、いまそういう段階にないのではないか、反対の声に耳を傾けて住民によく説明して住民の理解を得る、そういう努力を行なうべきであると思いますが改めて教育長の見解をお伺いしたいと思います。
【佐藤教育長】
通学支援についてでございますが、県が直接通学支援を行なっているかといいますと現在は実施いたしてはございません。むしろ各地域の小規模校等が設置されている地元の市町村等で、多額のご支援等をいただいている。地元に進学してもらいたいということでの通学支援等については地元市町村の支援が多くなされてございます。
県の今回の最終案の計画の中には、通学支援についても検討進めていくと記述もきちんと書いてございます。そういった検討も進めていかなければならない。こういった広域の統合をせざるを得ないような状況になっていく際には、生徒に対する支援についても併せて検討していかなければならないということを踏まえてのものでございます。
また中々メリットが見えないというお話もございますが、先ほども答弁申し上げましたが、この地域の令和7年度以降の中学校卒業者数を見ていきますと、今回の計画の令和7年度あたりでは両校合わせて240人程度でございますが、その先になって来ますと、どんどん減少していく見込みでございます。
今回の統合による新設校を設置する立地場所とかはこれからの検討になりますし、どういった施設規模であるとか、どういった内容にしていくかというのは、今後の統合検討委員会等で地元の行政関係者や産業関係者、中学校の校長等含め多くの方々からご意見等を伺いながら、調整会議で検討を進め魅力ある統合校をつくっていくことが大事だと思います。
その際には多様な地域の産業に貢献できるような、様々な学びができるようなコースも設置していく。そして最新の施設・設備、研修資機材を用意して魅力ある学校にして、県南地域の各地域からこの学校に入っていただいて岩手を支える、或いは世界で活躍できるような産業人材の育成を図っていきたいと考えてございます。