2021年3月3日 2月定例県議会本会議
高校再編問題についての関連質問
(大要)


・望ましい学級規模の方針について

【斉藤議員】
 高校再編計画後期計画最終案に関連して質問します。
 第一に、昨年2月6日に公表された高校再編計画後期計画案は、高校再編計画基本方針を大幅に変更したものでした。基本方針では、望ましい学校規模は1学年4ないし6学級とされていましたが、今回の後期計画では7学級規模の高校を残し、8学級規模の学校を新たにつくるという根本的な方針の変更です。基本方針は間違っていたのでしょうか。

【教育長】
 まず基本方針についてでありますけれども、平成27年に県教育委員会が策定した、今後の高等学校教育の基本的方向では、活力ある教育活動を展開するためには、1学年4学級程度が望ましいと考えられる一方で、今後の生徒数の減少を踏まえ、各ブロックに配置できる学校数を考えると、将来にわたり7学級規模の学校を全て維持することは難しいことから、今後の県立高校全体としての望ましい学校規模を、原則として1学年4〜6学級程度としているところです。
 後期計画案におきましては、これを踏まえつつも、いわて県民計画(2019-2028)や、ふるさと振興総合戦略、岩手県教育振興計画等に基づき、1学年1学級の小規模校を維持するとともに、県政課題への対応や産業人材への育成のため、1学年7学級規模の学校も確保するなどの柔軟な対応も図っているところです。

・住民との合意形成の問題について

【斉藤議員】
 第二に、後期計画案は、4 ブロックでの学校の統合計画で生徒減少に対応しようとするものです。
 これまでの学級での対応と違って、伝統も歴史もあり、地域に結び付いた学校が統合によってなくなるという、大胆で劇的な統合計画であります。最終案では、宮古ブロックの統合のみ見直されましたが、その他の統合計画は基本的に変更がありませんでした。こうした突然の統合計画については、丁寧な説明と地域住民の納得を得る合意形成が極めて重要なことであります。
 新型コロナ禍のもとで、この間どれだけの地域検討会議や意見交換会、その他の住民説明会が開かれたのでしょうか。その結果、地域や住民の納得と合意は得られたのでしょうか。
 新型コロナ禍のもとで、十分な説明や協議も行われず、納得も合意もなく、どさくさ紛れに、地域に必要な高校をなくす統合計画を強行することはあってはならないと考えますが、県教委は民主的な協議と手続きを尽くす考えはあるのでしょうか。

【教育長】
 次に、住民との合意形成についてでありますが、県教育委員会では平成30年12月からこれまでの間、県内各ブロックにおいて、計画策定に向けた地域検討会議や意見交換会および地域等からの要請に応じた説明会等、計68回約2200人の参加者のもと開催するとともに、パブリックコメントを実施することにより、地域の代表者や県民の方々から多くのご意見をうかがってきたところです。
 後期計画策定までのスケジュールについては、平成30年12月から平成31年2月にかけて開催されました第1回地域検討会議等においてお示しした上で、そのスケジュールに沿って進めてきたものでございます。また、計画案公表後における会議等の実施については、新型コロナウイルス感染症の拡大により開催時期について若干の調整は行ったものの、当初の予定通り実施してきたものです。
 なお、前期計画の場合はですね、平成27年12月に計画案を公表後、地域検討会議や説明会等を開催するとともに、パブリックコメントも実施してきまして、同年度内である平成28年3月にですね策定をしてございます。公表から策定までは3ヶ月ほどであったところでございますが、今回は約1年となってございます。さまざまいただいたご意見等を踏まえ慎重に検討した上で、最終案としたものであります。
 次に、協議と手続きについてでありますが、後期計画の策定については、当初よりお示ししたスケジュールに従って進めており、さらに盛岡ブロックにおきましては追加の説明会も実施しているところです。先般開催されました岩手県教育振興基本対策審議会や、いわて産業人材育成会議等の外部有識者の会議の場においても、後期計画最終案について説明したところでありまして、委員からは最終案に反対する意見はなく、統合新設校の内容や期待に関する意見を多くいただいたところです。
 これまで行ってきた協議の内容等については、教育委員と十分に情報共有を図っているところでありまして、今議会の質疑の状況についてもお伝えすることとしています。

・盛岡南高校と不来方高校の統合について

【斉藤議員】
 第三に、盛岡南高校と不来方高校の統合は、当初計画では、盛岡南高校だけが学級減を行い、不来方高校に統合する、事実上は吸収統合の計画でした。最終案では、両校が学級減を行う計画に微調整されましたが、統合の本質は変わっていないのではないでしょうか。学校の校風も違い、それぞれ特色のある高校であり、クラブ活動では県内でもライバルとして競い合ってきた高校をなぜ統合するのでしょうか。また、都南・矢巾地区、これは3万3千世帯が生活し、人口も増加している地域で、なぜ統合し、学校をなくすのでしょうか。盛岡一極集中の是正のためという説明もありますが、盛岡一極集中は具体的にどの高校に集中しているのでしょうか。
 県教育長には、1万5千筆を超える盛岡南高校の存続を求める署名が提出されました。「この重みを受け止めている」と答弁ありますけれども、どう対処されているのでしょうか。口先だけではないでしょうか。盛岡市議会は12月議会で、「統合計画の白紙撤回を求める」請願と意見書を全会一致で採択しました。盛岡市民の総意としての意見書をどう受け止め、対応するのでしょうか。

【教育長】
 次に、統合の必要性についてでありますが、盛岡ブロックにおける中学校卒業者数の減少も踏まえ、体育の学びに特色のある盛岡南高校と、芸術・体育等の学びに特色のある不来方高校を”発展的に”統合し、さらなる高みを目指した教育の実践により、本県のさまざまな分野の振興に資する人材の育成を図るとともに、一定の学校規模を確保し、両校の実績を継承しようとするものです。また、高校は義務教育とは異なり、生徒が自らの将来の希望により選択し受験することから、ブロック全体における中学校卒業者数の見込みや配置のバランスを踏まえながら、そのあり方を検討しているものです。さらに、盛岡ブロックにおいては、他のブロックからの進学者、またブロック内においても周辺部からの進学者の流入超過が課題となっておりまして、盛岡市・滝沢市・矢巾町の2市1町に所在する県立高校10校に進学者が集中し、両校はともに他の普通科系高校に比較しまして、その人数が多い状況にあります。
 次に、存続を求める署名等への対応についてでございますが、盛岡南高校関係者を中心とした地域の方々の思い、それから盛岡市議会からの意見については十分に理解をしてございます。他方、県内33市町村長による「岩手の高校教育を考える市町村長懇談会」から、都市部と中山間地および沿岸部の不均衡を是正する提言等もいただいているところです。また、盛岡ブロックにおける地域検討会議や教育振興基本対策審議会においては、統合案に賛同する意見も多数いただいているところであります。
 教育委員会といたしましては、全県的な視野に立ち、岩手の子どもたちにとってより良い教育環境の整備を重視して、計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。

・福岡工業高校と一戸高校の統合について

【斉藤議員】
 第四に、福岡工業高校と一戸高校の統合は、具体的には工業学科を2学科から1学科に削減するものです。これでは専門高校の縮小を図る統合ということになってしまうのではないでしょうか。26.6億円もかけて新校舎が年度内に感染します。その途端に、統合して専門高校を縮小することは、到底地域住民の理解が得られるとは思えません。あまりにも理不尽な統合計画ではないでしょうか。県北の専門高校としての充実こそ図るべきと考えますがいかがでしょうか。
 一戸高校と福岡工業高校とを統合する理由も全く理解がしかねます。校舎制の統合ということも生徒に不便を押し付けるだけではないでしょうか。

【教育長】
 次に、福岡工業高校と一戸高校の統合案について、専門高校としての充実に関してでございますが、二戸ブロックの中学校卒業者数は今後も減少が見込まれ、両校とも現在の規模を維持することが困難であることから、現在の工業学科の学びを維持しつつ、農業・工業・商業・福祉等の専門的な学びとの連携も図ることで、地域の専門教育の拠点校として整備し、二戸地域の産業や社会を支える人材を地域内で育成していくことを目指しているものです。
 次に統合の必要性についてでありますが、校舎制については、現在の福岡工業高校と一戸高校の施設設備を有効に活用するものでありまして、その運用については、地域の意見をうかがいながら、生徒にとってより良い教育環境となるように検討してまいりたいと考えてございます。
 統合によりまして、一定規模の生徒集団の中で切磋琢磨できる環境となり、学習や部活動における選択肢も増えるなど、生徒にとって魅力と活力のある教育環境となるものと考えております。

・後期計画案の整合性について

【斉藤議員】
 第五に、後期計画最終案は、統合計画だけで、統合のための学級減はありますが、他のブロックでは生徒の減少があっても学級減も何もありません。全体の整合性がないのではないでしょうか。

【教育長】
 最後になりますが、後期計画の整合性についてでございます。
 後期計画の策定に当たっては、生徒の希望する進路の実現と地域や地域産業を担う人づくりと、この2つの基本的な考え方とし、各ブロックの学校配置の状況や地域産業、また地理的条件等を踏まえて検討してきたものであります。
 地域の子どもたちの進路保障であるとか、教育の機会の保障を維持していく、そして可能な限り地域に学校を残すことということを念頭に、その際は、ICTの活用が急速にいま進むという環境の変化がございますし、それらに的確に対応していくためにも、遠隔教育の導入に向けて、例えば文部科学省のコアハイスクール事業というものを当初予算に計上してございますが、こうした取り組みも進めていくと。それからまた、小規模校の魅力化促進事業、あるいはコミュニティスクールの導入も進めてまいりたいと考えておりまして、こうした地域に学校を維持していくうえで、その取り組みの動向も見極めることも必要と考えてございまして、それらの成果等も見ていく必要があるとしているものでございます。

<再質問>

【斉藤議員】
 いま答弁がありましたけれどね、本当に説得力がまったくなかった。
 1つは、高校再編の基本方針に関わって聞きますけれども、これは前期計画の方針ではないんですよ。10年間の計画の基本方針、それを根本的に変えてね、7学級も8学級の高校もつくると。私ね、こういう基本方針を変えるんだったら、それだけ丁寧な説明が必要だと。とりわけ今回の後期計画は、統合計画だけですよ。統合計画というのは、今まであった歴史と伝統のある学校を無くすということなんですね。統合によって学級減に対応する、生徒減少に対応する。もう1つの本音は、工業高校の老朽化に対応するというやり方ですよ。今まで放置してきた。これを一気に統合で解決しようと。私ね、もっと丁寧な説明が必要だと。
 盛岡の12月市議会で盛岡市長はこう答弁しました。「盛岡南高校は都南地区の重要な教育の要として大きな役割を果たしてきた。関係者の思いは特別なものがある。短期間に集まった署名に願う会の熱い思いと、都南地区住民、卒業生、保護者の方々の強い思いを改めて感じた。県教委に対してさまざまな意見を十分に配慮して慎重に判断してほしい旨、市教育長と連名で要望書を提出した」。盛岡市は、3回にわたって県教委に要望書を出しているんですよ。慎重に検討してくれという。
 そして高田県議も取り上げたけれども、一関市長も市議会の場で反対を表明して、「対案も提案したい」と言っているんですよ。そして商工会議所、建設業協会、いわば地域の産業人材を確保することに懸念を感じて要望を出しているんですよ。産業人材の確保と言いながら、現場は産業人材の確保に厳しさを感じているんですよ。だから丁寧な説明がないからこうなっているんですよ。
 福岡工と一戸高校の統合もそうですよ。建設業協会、商工会議所も入って要望を出しているんですよ。そして今年の入試の状況を見てください。一戸高校の方が応募者少ないんですよ。福岡工業高校を2学科から1学科にしなければならない根拠は私はまったくないと思います。そういう点でも。
 県南に大規模な専門高校をつくる。県北は工業高校を半分に減らすと、学科を。まったく整合性がない。
 私はね、教育長に聞きますけれども、市町村等からの要望がどれだけ出たか。そしてそれに応えているのかどうか。応えてないと思いますよ。そのことをはっきり答えてくださいね。だから一関では3月9日に、一関工業を守る会をつくりたいと。そして要望もしたいと。一関市長は対案も提案したいと。こういう時にね、計画通りに3月中にね、これを決めますなんていうことは私は許されることではないと思います。
 あなた方が確信を持っている計画だったら、時間をかけて丁寧に説明をすべきですよ。そして地域の方々、首長の方々としっかり議論して、私はまともな計画だったら理解を得られると思います。それだけの自信と確信をもって、期限を決めずに、寄せられた要望にしっかり応えると。こういう対応を私はすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
 そういう点で、当初、3月17日の教育委員会議の定例会でこれは決めようとした。県議会中ですよ。おかしいのではないかと。議会の論戦も終わらないのに。それは少し延びたようですけれども、こういう姿勢を改めなくてはならない。しっかり県議会での議論も踏まえるし、そして要望が出されている、特に首長、議会からの要請には、本当に時間をかけて、丁寧に説明をする。聞けば交通費の支援なんていう小刻みに出して、そんなことをやっていたら逆に理解されませんよ。しっかり説明を尽くして、地域住民の合意を形成して、みんなから良かったと思われる計画にしていただきたいと思いますけれども、具体的な問題を含めてしっかり答えてください。

【教育長】
 市町村等から、あるいは関係団体等からの要望状況ということをきちんと説明してほしいということであります。まず、高校再編計画の後期計画に当たりましては、全33市町村長で構成します「岩手の高校教育を考える市町村長懇談会」、こちらの方から昨年1月に提言をいただいてございます。その際には、先ほども答弁で申し上げました通り、中山間地、沿岸部における小規模校の存続について、それから地域に求められる学校・学科に関することなどの要望をいただいてございます。また、高校再編問題連絡会議、これは昨年の2月10日でございますが、こちらの方からも子どもたちの多様な進路選択の希望に応じるような高校の設置、あるいは再編計画に該当している学校のある地域の住民のご意見も尊重することというようなことも確かにございます。
 そして、盛岡ブロックにつきましては、盛岡市教育委員会から10月に2度、そして12月2日にも「さまざまな意見に考慮した統合の慎重な判断」ということを要請がございました。そして盛岡市議会、これは昨年12月22日でございますが、「盛岡地区の統合計画の白紙撤回」ということで、意見書が採択になって意見書が届いてございます。また、盛岡南高校の存続を願う会からも、紹介がありました通り、署名が15354筆ということで提出されてございます。
 それから、それ以外の地域でも、一関地区、二戸地区からも同様に、同窓会等を中心とした、あるいは地元の産業界等を中心とした要望等もいただいてございます。
 今回、私どももそういった意見を踏まえまして、あるいは地域検討会議であるとか意見交換会、そして求めに応じまして説明会等も開催してまいりました。そこでさまざまなご意見等、これは賛成の意見もあれば反対の意見もございます。さまざま多くのご意見を頂戴してございます。それはその地域にとって地元の学校の存続を願うという、これは本当に地域においての県立高校に対する思いというものを、本当に重く感ずるところでもありますし、そういった中で、中学卒業者数がこの先大幅に減っていくと。推計をしていきますと、これはもう15歳未満の児童生徒の数からいってもですね、これはある程度推測可能でございまして、これが今後令和16年度までにですね、その間に今1万人程度の生徒が7500人と3000人も減っていくというようなこともございます。そういう中でですね、どのような形で今後生徒の学びを維持していくか、多様な学びを地域に残していかなければならない。そして本県のように広大な県土を有する地域では、それぞれ地域にも小規模校を維持して、そしてなかなか遠隔地に通学困難な生徒も多くございます。そういった子どもたちの教育の機会の保障と、それから質の保障も同時に求められていくという状況にございます。
 そしてまた、委員からもお話がありましたように、これまでの本県の統合について、20年前は84校あったのがですね、現在は62校と、この間22校の統合等が進められてきました。校風の違いというご指摘もありますけれど、この統合等にあたりましてですね、子どもたちはそれを乗り越えて、統合校において新しい歴史や伝統をつくり出してきているという状況がございます。ですから今回の統合の計画にあたりましても、発展的な統合を根底に入れまして、そして高校生のために、将来の高校生のために必要な教育環境をしっかり維持、そして整備をしていかなければならないと。それは設置者としての役割、責務でもあります。
 そういったことから、今回の最終案の形をお示しさせていただきました。あとは丁寧な説明をしていく必要が当然求められますし、それは教育委員のみなさんにもしっかり伝えているところでございます。本日、臨時会がございまして、そこでも、地域での意見、あるいは県議会の審議状況等についてもですね、今日は口頭で説明をさせていただいてございます。そうした県議会等のご意向も踏まえましてですね、丁寧に慎重に進めてまいりたいと考えております。