2021年3月4日 文教委員会
新たな県立高校再編計画後期計画最終案に対する質疑(大要)
【斉藤委員】
昨日本会議で関連質問をして、5つの問題を提起しました。教育長も誠意を持って答えたと思うんだけれども、答弁は全部起こして検証しましたけれども、正面から答えられていなかった。昨日の論戦の続きですから、基本的には教育長にお聞きします。
1つは、今回の後期計画、最終案を含めて、基本方針から大幅に逸脱をしたというか、基本方針を大幅に変更した中身だったのではないかと私は提起をしました。基本方針では「今後の生徒数の減少を踏まえて、各ブロックに配置できる学校数を考えると、将来にわたり7学級規模の学校をすべて維持することは難しいと考えられます。このことから、今後の県立高校全体としての望ましい学校規模を、原則として1学年4ないし6学級程度とします」と。これが基本方針です。もう1つは、「高校教育においては一定のブロックの中で、中学生が多様な学校・学科を選択でき、どのブロックにおいても進路希望を実現できることが望ましいと考えられます」と。
この2点、いわば今回は、4ないし6どころじゃない、7学級残す、8学級の大規模校をつくるという計画なんですよ。盛岡ブロックにおいては、20年来初めての統合計画なんです。だから、工業高校にしてみれば、一関工と水沢工はブロックを越えた統合、この点でも基本方針と大幅にかけ離れた劇的なものだったのではないかと。この点について教育長、柔軟な対応じゃないでしょ。
【教育長】
先ほどこれまでの、平成27年に策定しました10年間の今後の高等学校教育の基本的な方向等ございまして、そして再編計画をつくってきたところでございます。そしていま委員がご指摘の通り、そこの中では、望ましい学級規模、原則として1学年4〜6学級程度となっております。「基本的な原則として」という考え方でございまして、そしてその時の検討は、やはり地域の中山間地域の小規模校等を維持していくと。通学の不便な子どもたちが地域にいて、しっかり教育の機会の保障、質の保障ということがありまして、これは「原則として」ということを加えておりました。
その上で、今回の後期計画を策定するにあたりまして、県民計画、ふるさと振興総合戦略、このふるさと振興総合戦略の5つの総合戦略には、基本的には地域の人材育成ということが盛り込まれてなくて、国の地方創生の時に今回人材育成の配置、それに私どもも呼応して、地域や地域の産業を担う人材育成という観点を入れまして、そして地域に学びの場を維持していくと。そこから1学年1学級校の小規模校を地域に残しつつ、それぞれのブロック、地域に多様な学びができるようなことを入れていくと。その際には、これまで盛岡地区についてはなかなか再編等、周辺部が学級減で対応してきたところでありますけれども、もう限界にきているということもございます。
それから、33市町村長の懇談会からも、地域の学びを維持していくために均衡を図ってほしいという提言もいただいてございます。
そういった観点から、全県的な視野で、それをどのような形で実現していくかということで、柔軟なということを、全県的な学びの場を確保するために、このような最終案とさせていただいたということでございます。
【斉藤委員】
昨日の答弁のオウム返しをしないでください。限界に達したから、新たな大規模校も、1学級規模の学校も残すと。限界に達した、だから基本方針を乗り越えたということですよ。劇的な計画なんです。だから言いたいのは、そういう大転換を目指すんであったら、本当に丁寧な説明なしに合意はできませんよと。
私第2点に提起した問題は、この計画案に対して、当該の自治体、地域住民から反対の声が上がっているんですよ。賛成が多数だと言うけれど、当該と関係ない自治体が賛成しているんですよ。生徒減少があっても学級減1つもない。これを昨日指摘しました。統合計画しかないんです、今度の再編計画後期計画は。だから、一部のところに犠牲を集中してつくられたのが後期計画なんです。
その点で、地域検討会議の議事録を改めて丁寧に昨日全部読みました。当該の自治体の首長、教育長はみんな疑問を呈しています。私はこの声にしっかりと応えるべきだと思いますよ。
例えば、盛岡の教育長は、「特に盛岡南高校の近隣の中学校に在籍する生徒にとって、進路選択の幅が狭くなると思う。影響が大きいものととらえており、子どもたちの思いや不安を受け止めながら、より細かな進路指導を行う必要が生じる」と。具体的な影響をこのように指摘をしております。
矢巾町の中学校PTAの代表、「矢巾町PTAとしては深刻な問題として受け止めている。両校の統合はスポーツの学びに特徴がある南高校と、芸術の学びに特徴がある不来方高校を1つの学校にすることであり、工業学科高校・農業学科高校を統合することと同様に、特色がぼやける統合になるものと考える。矢巾町における中学校卒業者の今後の推移も横ばいの状況であり、高校進学の選択肢を確保するという観点から、統合計画には反対である」と。
そして矢巾町の教育長も「進路指導からいっても、矢巾・都南地区の進路選択が難しくなる」と率直に言っていますよ。
私はそういう意味で、出された疑問にまだ答えていないと思います。
一関の市長は、昨日の議論でも紹介されたように、市議会で「明確に反対で対案を出したい」と。商工会議所、建設業協会も、人材の確保どころか人材の確保ができなくなると言っているんですよ。
2月6日の岩手日報の論説、「県立高校再編―丁寧に、理解を得る姿勢を」ということで、「校名や設置場所をどうするか、ともに地域に根ざしてきた工業高校だけに、調整は難航も予想され、拙速は避けたい」、これは水沢工と一関工ですね。南高校の問題については、「両校の立地する地域は住宅開発が進み、転入者も多いエリア。保護者らから、競争の激化や高校の選択肢が狭まることへの不安が聞こえるのも当然だろう」と。「拙速は避けたい」と。これは岩手日報の2月6日の論説です。
こうした動きが、いま実際に盛岡でも一関でも福岡でも出ているときに、私は丁寧に、自治体、地域住民に説明を尽くすべきだと。
そこで、昨日最後の答弁で教育長は微妙な答弁をいたしました。「本日、臨時会がございまして、そこでも、地域での意見、あるいは県議会の審議状況等について、今日は口頭で説明をさせていただいてございます。そうした県議会等のご意向も踏まえまして、丁寧に慎重に進めてまいりたい」と。これは3月に決めるというのではなくて、時間をとって、いま声を上げている自治体の首長や地域・業界の方々に説明を尽くすと。こう理解していいですか。
【教育長】
まず訂正がございまして、臨時会の後の協議の場で状況の説明をさせていただいたところでございました。
丁寧にということで、これは先ほど千葉絢子委員からも、3月の定例会にお諮りすることを、今回やはり県議会でもこういった質疑が交わされてまして、それを踏まえまして県議会開会中には定例会にお諮りしないということで、そのことを申し上げさせていただき、そのことを協議もさせていただきました。これは、実は前回の前期計画が、前年の12月に公表し、3ヶ月後の3月29日ということで、これもやはり定例会の後ということで、県議会の後の臨時会でということでしたので、そこはちょっと私も反省でございまして、そういった意味で、私も県議会に対して丁寧に説明を尽くして、その上でということでですね、昨日話をさせていただきました。
まさにこれはしっかり私ども説明を尽くして、そして議論をして、そしての判断ということをこれからも念頭に置いて進めていきたいと考えてございます。
【斉藤委員】
あの昨日の答弁は、ごまかしたということですね。議会中の決定は見送ったけれども、3月中に決めるんですか。
一関市長は「これから県に申し入れたい」と。「当市として再編計画に反対だ。再考を求めていく考えに変わりはない」と。そして「対案も提案したい」と言っているんですよ。そして3月9日には、商工会議所や建設業協会、同窓会の方々含めて、この統合に反対する、一関工業存続を求める会をつくりたいと。そして県教委にも申し入れたいと。いまそういう動きが現在進行形なんですよ。
あなた方が自信を持った計画だったら、なんで説明を尽くさないのかと思いますよ。県議会が終わって、そういう各界の方々、自治体の首長の声も聞かないで決めたとなったら、これは県の教育行政に禍根を残しますよ。私はこの場で、教育長が、そういう声にはしっかり時間をとって説明を尽くしますと、言うべきではないですか。3月中にやるんですか。ここをはっきり答えてください。
【教育長】
前期の計画がそういう日程であったということが答弁でも申し上げましたし、今も申し上げました。
それで、教育委員の方々にも、今の質疑等の状況についてお伝えをし、その上でこの状況も踏まえて、改めてその会議の諮り方についてもご相談申し上げていきましょうということでお話をしてございます。現段階についてはそのように答弁をさせていただきます。
【斉藤委員】
今度の高校再編の基本方針は、「生徒一人一人の進路を保障する」ということでしょ。網1つは「地域の産業の人材を確保する」と。実はこの2つの点で疑義が出ているのですよ。
例えば、盛岡南高校と不来方高校、私は昨日指摘をしました。この都南・矢巾地区に3万3千世帯超える方々が生活していて、これから宅地開発が進んでもっと人口が増えると指摘しているんですよ。そういうところでなぜ、盛岡南と不来方の統合なのかと、5学級減らすのかと。進路の選択が難しくなると現場の先生言っているんですよ。教育長も言っているんです。だから盛岡南と不来方の統合それ自身の必然性・合理性が問われているんだと思うんです。なぜこの人口が増えている、そしてもう1つは、いま特色のある高校と言っているでしょ。盛岡南も不来方もそれぞれ特色ある学校なんですよ。なんで特色ある学校を1つにしちゃうんですか。今の高校改革の方向とも私は違うんだと思いますよ。これに端的に答えてください。必然性・合理性どこにあるのかと。
【高校改革課長】
都南・矢巾地区の人口増の対応ということでございます。高校入試は義務教育と異なりまして、生徒が自分の将来の、高校を選択して受験するということでございます。必ずしも、自分の地域における高校ではない、自分の希望によって進路を選択するというものだと考えているところでございまして、都南・紫波・矢巾、この3地区の生徒のうち、盛岡南高校に進学している生徒は、生徒全体の約1割、それから不来方高校も同様に約1割という状況でございます。やはり残り8割の生徒はさまざまな進路に進んでいるという状況の中で、やはりブロック内全体の生徒数の状況を見て、なおかつ学校のそれぞれの配置状況も踏まえまして検討させていただいたということもございます。
それから特色ある学校同士なぜ統合するのかというお話でございます。先ほど千葉絢子委員の質問にもお話した通り、数合わせ的な学級減等は今回は控えるというところもございますし、学級減を行いますと、学校活動がやはり停滞してしまう可能性があるということでございます。このまま南高校・不来方高校も学級減を行うと、今までの実績や特色ある学び自体が引き継げない可能性もあるということも考えて、両校の特色ある部分をしっかりと引き継ぐために統合して、これまで通り子どもたちが、一層学びに勤しめるような環境を残していきたい。
そして私学でもさまざまな特色を出した教育を行っております。私学教育とも健全な教育環境を維持していきたいと考えているところです。
【斉藤委員】
結局、特色ある学校が2つあって、それを1つにしてしまうということなんですよ。1つ無くすということなんです。いろいろ言っているけれども、本当に現場の切実な疑問や声にあなたの答弁は答えていない。
水沢工と一関工の関係については、地域検討会議で一関市長は繰り返し「結論としては反対だ」としゃべっていますよ。そして先の市議会でのああいう答弁になっているんですね。
これに応えるつもりはありますか。簡潔に言ってください。
【教育長】
一関工業・水沢工業の統合については、これも再三答弁してきているように、それぞれの地域に残った場合には、それぞれの専門校との統合になって、工業の学びが縮小される懸念があると、縮小されるということがあるということで、これは県南地域に、工業の学びをしっかり残していくということの必要性をこれまでも再三申し上げてきました。
一関市長がどのような形で対案と、これはまだ何もうかがってございません。また意見交換という話も出ましたが、その内容について私何も申し上げるところはないんですが、やはり地域の子どもたちが減っていく中で、多様な学びを、特に工業に関しても多様な学びを維持していくと。それから、現在産業集積が進んでいる中で、先ほどキオクシアの話もされましたけど、そこにですね、そういった地域に求められる人材が拡大してきてございます。また、こういった産業教育がしっかりできていけばですね、企業誘致にもつながっていくということも考えられるところでございます。そのように、これは地域の人材も育成しつつ、それから北上川プロジェクトで産業集積が進んでいる多様な最先端の学びを生かした就職も可能とする、そしてまた、ひいては日本国内からも注目されるような産業の集積と、そこに人材育成の場がしっかり確保されているということが望まれると。ここに私どもも貢献していくという考えで今回の案をつくってございます。
【斉藤委員】
残念ながらこれで最後にしますけれども、一関工業と水沢工業の統合について、商工会議所、建設業協会、人材を求めているところが「人材確保できなくなる」と、「地域と結びついた工業がなくなる」という風に懸念しているんです。それを解消すべきですよあなた方は。一般的に6学級の工業高校をつくるという話じゃだめなのです。どう地域と結びついた、地域の産業人材を確保できる高校をつくるのか、そのことがなかったら、設置場所によったって全然条件が違ってくる。
そして福岡工業と一戸高校というのは、統合する理由がまったくありません。今年の入試の状況を見てください。一戸高校を学級減して、福岡工業2学科守るべきですよ。私はそういう現状に絶対合わない。そして校舎制といったら、2つの学校を行き来するなんて、そんな不合理な学校、かえって魅力がなくなって、どっちもだめになりますよ。私は福岡工業は2学科で、しっかり専門高校として守っていくと。
そして最後にこれだけ聞いて終わりますが、他のブロックは生徒減少があるのに、これからさらに生徒が減少するのに、学級減の計画1つもないということに整合性はないんじゃないかと私指摘をしました。これ5年経ったらとんでもないことになりますよ。5年経ったら統合しかなくなりますよ。そんなことを考えているんだったら地域のためにもならない。この疑問にもしっかり答えていただきたい。
【教育長】
まず、一関工業と水沢工業の関係でございますが、先ほども述べましたけれど、地元の商工業にも求められる人材の育成をするということは当然考えてございますし、多様な人材を育てていくと。地域との結びつきも非常に深いということは重々承知をしてございます。それもしっかり、多様な学びの中で、その統合校にも引き継いでいっていただきたいということ。
それから、一戸高校と福岡工業高校の統合につきましても、このコースをしっかり維持していくと。そしてなおかつ、さらに地域産業と結びついた学びもここに入れていくことができないかということも検討していきたいと考えてございます。
そして最後に、今回の統合校以外の地域というところご指摘ありました。これもやはり、他の地域に流出する生徒が、いかに地元の高校に残って、そして地域とともにですね、地域に貢献できるようなことをできるようにしていく。それで昨年度、魅力化促進事業も予算措置をしたり、さまざま学校を支援していくという取り組みも始めてございます。また、遠隔教育の導入も進めながら、地域にあっても教育機会の保障と質の保障を確保していくためにということで、この2年間、私就任してからさまざまな教育環境の整備にも努めてまいりました。
エアコンの整備もですね、なんとか全県立学校に導入することができましたし、それから、無線LAN環境の整備も全県立高校に措置をしたと。また、今回の2月補正予算では、産業振興設備を、国の財源を活用しながら、これまでなかなか更新ができなかった施設設備の更新をですね、9億3000万円という予算をつけていただいて、そして対応していくと。ICT機器の導入も進めてございます。
その念頭にあるのは、生徒の、この時代の流れに対応した学びが、しっかり岩手でもできるようにですね、そして広大な県土を有する本県のそれぞれの地域でさまざまな学びをしっかりできるようにしていくということで、このような考えのもとで、策定しているものでございます。