2021年3月4日 文教委員会
盛岡誠桜高校の耐震改築問題に関する質疑
(大要)


・盛岡誠桜高校の改築問題に関する事実経過について

【斉藤委員】
 私も盛岡誠桜高校の改築問題に関わって、事実経過と県の対応をお聞きしたいと思います。
 実は、私のところにも校長名のチラシというのが2枚届きました。それを見て大変驚きました。あまりにも品のないチラシで、これは本当に事実がどうなっているかということを学事振興課にお尋ねした経過がございました。チラシの表題はこういう中身です。「県が『要望をすべて受け入れ』を反故に!」「知事の虚言や隠ぺいに私は命をかけて抗議します。」と。そしてこれは1月8日付の校長名のチラシ、「全校生徒・教職員・父母の皆さんへ」というんですけれども、「文書改ざんの新疑惑が浮上」「私学潰しの知事のこれまでの政策」「知事の謝罪と建築補助1/3復活以外解決なし!」―こういうチラシなんですね。
 そこで、改築問題の何が問題だったのか。盛岡誠桜は何を根拠にしてこういうことを言っているのか。まずこの間の事実経過を正確に示してください。

【学事振興課総括課長】
 県の耐震化補助でございますが、これについては、国の補助、県単のかさ上げ補助という内容となっております。内容といたしましては、補助対象経費の上限額が2億円で補助率が6分の1ということになります。ですので、例えば2億円の6分の1であれば3333万円ということになります。こういった制度でございますが、同校が要望に先立ちまして、それまで各校原則1回、補助回数制限というのが、1回という制限があったのですが、それを撤廃しているという状況でですね、耐震化の推進に県としても取り組んできたというところがございます。
 これに対しまして学校側では、上限額の撤廃、補助率の引き上げといったところを、令和元年来要望してきたところでございますが、これに対して県といたしましては、昨年2月になりますけれども、補助金上限の見直しを行わない旨、同校に伝えているところでございますが、その後も同校からは見直しについて要望等がございましたので、昨年10月に改めて、上限の見直しは行わないという回答をしたところでございます。
 この回答をしたところ、県庁前で要請行動を行うというような流れがあったところでございます。
 その後、11月25日に要請活動の中止を求めるとともに、改めて要望について聞く旨連絡をとって、2日後11月27日に学校を訪問して、要望内容の確認と校舎の視察について行ったところでございます。その際、要望については「持ち帰って検討する」ということで回答したところでございますが、年末12月25日に「検討の結果、補助制度の見直しはしない」ということを説明したところ、抗議行動を行うと。校長自身もハンガーストライキを行うといったような話とともに、先ほど委員から提示のございましたチラシが2種類出されてきたというところでございます。
 その後、県といたしましては、1月18日の県庁前での集団要請行動について止めるように、コロナ禍での集団行動ということで、実際に学校を訪問して止めるように要請するなどしたところでございますが、受け入れられなかったというような一連の流れがございます。

【斉藤委員】
 耐震化の改築が必要だと。そしてその際、県に対して補助率の引き上げを求める、要望はある意味当然であって、それは県が検討してきた経過も分かりました。しかし結果的には、東北6県の助成の状況なども含めて、引き上げはできないという。だとすれば、確実な補助で改築の計画を建てるべきだと、このように思うんだけれども、どうもそこがねじ曲げられて、「県は引き上げを認めたのに後で覆した」というやり方ですよね。しかし、メールのやりとり、文書を含めて、そういう事実は一切ないわけで、私は大変異常なんだと。
 実は新聞報道でこうあるんですね。これは1月19日付の日報ですけれども、「事業費は約20億円。同校は、県補助が拡充されることを見込んで、建設の仮契約を昨年3月に締結したと。おかしいですよね。補助率の引き上げが決まっていないのに、それを前提にして昨年3月に仮契約を結んだと。あり得ない話だと思います。常識的には。
 先ほど伊藤勢至さんからは、キャンセル料1億円、そもそも県が決めてもいない、約束もしていない、それを前提にして、仮契約をしたこと自身が普通あり得ない話ではなかったのか。そういう風に思います。この仮契約をしていたというのは県は把握していましたか。

【学事振興課総括課長】
 契約についてですけれども、学校側から口頭でですね「契約をしている」という話は伺っていますけれども、実際に契約の書面とか契約内容については承知していないところでございます。

【斉藤委員】
 この仮契約の有効性も、この契約には資金の裏付けというのは必ずあるはずなんですね。私はまともな金融機関だったら、絶対これは融資もできない物件だと思います。確約されていない補助の中身で仮契約するなんていうのは、まともな金融機関だったらあり得ないことなんじゃないかと思いますが。
 実は2月1日付の文書がありまして、「耐震改築実施についてご通知」と。校長名で「父母各位」ということでこう書いているんですよ。「耐震改築に対する県の補助金をめぐり、県庁の虚言やごまかしに憤りを感じております。残念ながら県の姿勢を変えることができないまま令和3年度の予算が決定してしまいました。令和3年度の着工は見送りとする決断をいたしました。」と。ここでも責任を県に転嫁して、本当に教育者として、そういう点では資質が問われることではないのかと。そして事実をねじ曲げて、教職員や生徒を煽動すると。そして1月18日の抗議行動には生徒も100人を超えて参加すると。これは午後授業を止めてやっていますからね。本当にそれは異常な事態だったんではないかと思います。
 ぜひ父母・関係者に、この間の県と誠桜高校との対応の事実経過を示して、事実に基づいて、関係者がこの問題を正しく理解されるようにする必要があるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

【学事振興課総括課長】
 その後の動きということで、今ご紹介いただいたもの、あるいは耐震工事自体白紙に戻すということで連絡を受けております。先ほども申し上げたところでございますけれども、白紙に戻してですね、今後どう対応していくのかというところでございます。
 いずれ生徒さんの安全の確保という観点からすると、やはり県の補助、国の補助を活用して耐震化を進めていただきたいという思いはあるところでございますが、いずれ学校側から今後の対応についてお話を聞いて適切に対応していきたいと考えてございます。

【斉藤委員】
 これで終わりますけれども、今年度の補正予算でしたか、三愛学舎の校舎改築で、これも6分の1補助で、三愛学舎自身が8億円を負担して改築をすると。これは大変なことだと思うんだけれども、ほとんどの私学その他の法人はこういう形で対応しているわけだから、補助率の引き上げというのは今後検討されるにしても、やはり今の制度の中でしっかり対応していくというのが私は筋だと思いますので、いずれ耐震改築が必要なのも事実ですから、よく敵対的な対立にならないで、正しい道というか、普通の道に立ち戻って、この改築問題が解決されるようにお願いをしたい。最後にお聞きして終わります。

【ふるさと振興部副部長】
 まず、補助制度の見直しにつきましては、委員からお話がありました通り、特別支援学校、私学の補助で、また東北各県・全国と比較しても平均以上の補助ということでございますので、これは現行の補助を国も含めて、その方向で検討していただきたいと考えてございます。
 一方で先ほど中里総括課長がお答えした通り、やはり生徒の安全を確保するということにつきましては、県としても学校と丁寧に話を聞きながらしっかりと対応していきたいと考えてございます。

・盛岡誠桜高校とのグラウンドの契約について(教育委員会審査)

【斉藤委員】
 盛岡誠桜高校の改築問題に関わって、盛岡一高の旧第二グラウンド、これは無償貸与していたと思いますが、その経過、ところが盛岡誠桜高校から、このグラウンドに関わって調停が申し立てられると。ちょっと驚くべきことがあったようであります。この申し立ての内容、調停の結果、県の対応についてお聞きします。

【学校施設課長】
 盛岡誠桜高校の第4校舎の改修・改築工事のために、工事期間中に自校のグラウンドが使用できなくなるとして、滝沢市内にある盛岡一高の旧第二グラウンドの借用要望があったことから、代替グラウンド、学校の運動場用地として、令和2年6月23日に不動産使用貸借契約を締結し、無償で誠桜学園へ貸し付けているところでございます。
 調停の関係でございますが、令和2年12月11日付で、4つの項目、1つ目が「第三者への流用貸し出し」、2つ目が「記念樹の植樹」、3つ目が「運動場ではなく運動公園という名称を使用すること」、4つ目が「宿泊のできる合宿所を兼ねたセミナーハウスの建設」―を認めるよう調停の申し立てがあったところでございます。
 これに対しまして県の方では、調停の申し立て4項目いずれも、目的外使用または代替グラウンドに区分した範疇を超えているとして認められないと主張しまして、結果、申し立てには応じられないと回答したところでございます。その結果、調停は2回で終了しているところでございます。
 今後とも、ふるさと振興部をはじめ、関係部局等と連携しながらしっかりと対応していきたいと思います。

【斉藤委員】
 盛岡誠桜高校が校舎を改築すると。そのためにグラウンドが使用できなくなるというので、直接盛岡一高の校長にそういう話があって、善意で、県教委ももちろん絡んで無償貸与と。これは単年度契約ということですね。ですから3月末日までの契約となると思うですけれども、体育の授業・クラブ活動の支障にないようにという形で、単年度ごとに必要な場合には貸すという、そこに食事をしたりセミナーハウスを建設したり第三者に有料で貸すなんていうことは、ちょっと我々一般の人間から見ても常軌を逸しているのではないかなという感じをしました。
 調停が決着ついたということですので、それは良しとしますが、今年度は3月31日まで、来年度は改築の予定がないようです。その場合はどういう風になるんでしょうか。

【学校施設課長】
 今後、誠桜側での耐震改築計画の見直し等につきまして、誠桜学園側から具体的に説明を受けた上で、再契約の締結の可否につきまして検討をしたいと考えております。