2021年3月4日 文教委員会
文化スポーツ部に対する質疑
(大要)


・平泉の文化遺産ガイダンス施設(仮称)について

【斉藤委員】
 何度かこの間も議論しているんですけれども、入館料について、これ無料ということでなっていますが、私は価値に相応しい入館料があってもいいのではないかと思います。
 このような世界遺産ガイダンスのような、他県の施設はどうなっているのか。なぜ無料としているのか、そのことを示してください。

【世界遺産課長】
 世界遺産のガイダンスの他県の事例、入館料についてでございますけれども、最近開館したところでございます山梨県の富士山世界遺産センター、あるいは少し前になりますけども三重県の熊野古道センター等がございまして、これらにつきましては無料となっております。つい昨年度末に開館しました群馬県の施設、群馬の絹遺産の施設でございますけれども、それも無料になっております。したがいまして、比較的無料の施設が多くなってございます。
 また、これまで平泉町の、町の文化遺産センターが世界遺産の案内をしてきたわけでございますが、この施設も無料で公開しておりますし、先ほどもご質問等にもありました柳之御所資料館についても無料で公開してきたというようなところでございます。
 無料の理由は、それぞれ施設によってさまざまだという風に、これも聞き取り等によるものでございましてあれなんですけれども、1つは、やはり世界遺産の、そこがディスティネーションではないと。やはり回っていただくと、そこをゲートウェイにして回っていただくという考え方が1つあるようでございます。それから、やはりできるだけ多くの人に来てもらうというのが、無料がいいと。これはちょっとまだ世界遺産になっていない事例でございますけれども、青森県の三内丸山などの事例を聞きますと、やはり無料だったのを有料にすると多少の客足といいますか、落ちているという状況を側聞するところでございます。無料にしている理由が一番大きいのは、やはり世界遺産はすべての人が守り伝えていくものであって、それを適切に理解していただいて世界遺産を訪問していただくというようなところが共通項としてはあるのかなと理解しております。

【斉藤委員】
 一応他県の例もそういうことだということであれば了解をしますが、感覚的には、やはりそれだけの価値あるものを見るというのはそれだけの対価があって、ありがたみもあるということなんではないのかと。無料というのは、そういうありがたみがあまり伝わらないところがあるんですね。入館料を払ったら「それ以上のものを」というのがある意味人情みたいなものですから、いずれ他県の例そういうことですから了解しました。
 次に、管理形態、組織形態ですね、これがもう今後運営する上で決定的に重要なことだと思います。
 令和3年・4年度は、県直営と業務委託と。業務委託というのはどういうところに業務委託するのか。
 そして組織体制で館長はどういう方が館長になるのか。特に学芸員というのが決定的だと思うんだけれども、この学芸員、ここには事務職員・解説員の方々は県直営の部分に入るのか、業務委託にあるのか。私は学芸職員というのは県がしっかり長期的な研究も含めて、県が責任をもって配置すべきだと思いますが、その体制はどうなのか。
 それと、かなり多彩な内容なので、やはり案内する人、紹介する人、そういう解説があって初めて全体像がよく分かる。ただ見るだけでは簡単には理解できないと思うので、そういう、ここには解説員というのがあるんですけれども、ボランティアなんかも含めて考えているのか。あとは、耳に付けて聞きながら回るというやり方もありますよね。そういう点の体制はどうなのかを示してください。

【世界遺産課長】
 いくつかお尋ねいただいたわけでございますが、まず業務委託でございますけれども、業務委託につきましては、現在公募を行いまして、業者の選定の手続きを進めているところでございます。やはり文化財あるいは世界遺産等に知見のあるような業者というところを想定してございまして、現在審査を進めているところでございます。
 2つ目の館長でございますが、館長につきましては、やはり施設の顔でございますので、当然にそれに相応しい方が求められると考えてございますし、当然組織のマネジメント能力ということも求められるのではないかと考えまして、現在検討を進めているところでございます。
 学芸の職員でございますが、委員ご指摘のように、この施設で学芸職員の果たす役割は非常に大きいととらえてございまして、そして複数の学芸職員を配置する方向で現在進めているところでございますけれども、1つは、従来柳之御所の調査を中心に行ってきた調査研究、これがやはりこの施設の根幹を成すだろうと考えてございまして、その部分については直営というところで考えているところでございまして、その調査研究の成果を基盤とする展示等については、令和5年度以降指定管理のようなことを想定しているというところでございます。
 解説員でございますが、解説員につきましては、やはりパネルを読むだけ、あるいは物を見るだけではなかなか世界遺産の理解は行き届かないだろうというところでございまして、重点的に解説員の教育を行いまして、来訪者に的確に理解していただいて、世界遺産の各寺院・遺跡等にご案内できればいいのではないかと考えているところでございます。
 またボランティアでございますけれども、ボランティアにつきましてはまだ具体的にはそこまで進んでいないところでございますが、開館までの間にボランティアのあり方についても検討してまいりたいと思っているところでございます。

【斉藤委員】
 今の答弁で、学芸員、調査研究の担当は直営と。しかし展示等は指定管理というニュアンスでした。しかし学芸員というのは専門職ですよね。調査研究は直営だけど、保存・展示は違うと。やはり学芸員は学芸員としてきちんと県が責任をもって配置し育成するということが必要なんではないか。格差というかそれがあってはならないんじゃないかと。学芸員というのは専門職ですから、そこはぜひ検討していただきたいと思います。
 それと、展示もこれは専門業者に委託するということが前回の議論でありましたが、業務委託と指定管理というのは連動するのか。また、展示をする専門業者もあると思いますけれども、この関連はどうなるのか示してください。

【世界遺産課長】
 まず、現在展示の制作を進めている展示業者でございますが、“たんていしゃ”というところが受託してございまして、その展示の内装あるいはパネル等の表現、あるいは映像等の組み立てといった辺りの仕上げに来年度入ると。8月末までに入るというところでございます。
 それから業務委託等指定管理でございますけれども、業務委託はR3年度とR4年度でございまして、R5年度以降の指定管理者とは切り分けて考えてございます。

【斉藤委員】
 手続き的には切り分けるということだとは思います。やはりそれなりのノウハウといいますか、知らない人が突然指定管理ということにならないでしょうから。先ほど言ったように、学芸員の待遇についてはぜひ慎重に考えて、専門家を大事にしていただきたい。

・東京オリンピック・パラリンピックについて

【斉藤委員】
 オリンピック・パラリンピックで聖火リレーも始まるんですけれども、27日の全国知事会議で達増知事がこういう発言をしました。「首都圏の感染をほぼゼロにできるかが開催の局面になる」と。「オールジャパンで首都決戦に勝利して、五輪開催の流れをつくる目標設定が大事だ」と。いわば「感染をほぼゼロにできるぐらいの感染対策をやれなかったら」という、大変重要な提起をしたなと思います。今の感染状況というのはかなり微妙なところで、抑え込めるか、それとも第4波につながるかという大変重要な局面だと思います。
 だから2週間程度緊急事態も延長するという方向になっているんだけれども、本当に、菅首相もいろいろ考えているんでしょうけれども、基準をクリアした程度では私は収まらない。その点で、この知事の全国知事会での発言を受けて、私は組織委員会の方に、どういう条件だったらどういう開催ができるのかということを早く示さないと、3月25日というのはギリギリのタイミングだと思いますよ。聖火リレー始まって途中で中止だとか何とかという、それはもうあり得ないと思うし、海外からの観客は受けないという方向だけはいま出ましたけど、その程度ではダメなので、さっきも全豪オープンの紹介をしましたけど、選手は毎日PCR検査ですよ。そして本当に指定のホテル、練習場所もちゃんと決まっていて、食事するテーブルの位置も決まっていると。このぐらい全豪オープンは徹底して選手を管理したんですね。だから、それがオリンピックというその10倍以上の規模で可能なのか。またどういう条件でやるのかも示されていないので、これは部長にお聞きしますけれども、やはり早急に、どういう条件ならどういう開催ができるかどうか、この可否も含めて早く全国に示す必要があるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

【文化スポーツ部長】
 ただいま委員からお話ありました通り、オリンピック開催の条件ということで、第一にやはり感染症対策を徹底することだと考えられるので、またその開催する条件を示すことが大事だと思っております。我々組織委員会と連絡を取り合っておりますので、早期にそういったものをお示ししていただけるようにお話はしていきたいと思います。

【斉藤委員】
 先ほどホストタウンのときにも触れましたけれども、やはりオリンピックというのは世界の平和、そして連帯・友好が目的なんですね。開催することが目的じゃないんですよ。
 その1つの条件は、選手が各国できちんと練習できて、代表が選出できるような条件があるのかと。そうしなかったらフェアな協議にならない。私はそういう世界的に同じ条件で選手が、代表が決まり、協議ができるような条件が国際的にあるのか。
 もう1つは国内で、新型コロナ感染が収まらないでしょう。7月8月までには世界的には収まらないでしょう。国内ではどこまで抑えられるかという問題があります。だから、感染症対策はどういう規模・レベルで行われるのか、どこまで抑えるのか。
 そして全豪オープン、オーストラリアは、かなり抑えた中でやったんですよ。それでも途中でロックダウンしたりしているわけですね。そういう条件がはっきりしなきゃだめだし、特に感染対策といったら、熱中症対策で5000人の医師が必要だというんですよ。新型コロナ対策はその数倍だと思います。そういうことが本当に可能なのかどうかというのも、しっかりこういう体制でやるんだということを示されないと開催の条件はないのではないか。
 一番新しい世論調査、3月3日掲載の読売新聞で、「五輪の開催望まない」というのが58%です。「感染拡大の恐れがあるので開催してほしくない」と。共同通信なんかは8割ですよ。だから国民はいま感染拡大に不安を感じて、残念ながら多数が望んでいない。やはり望まれる大会でなくちゃならないと思うんですね。
 そういう意味で、そういうことをしっかり早く、3月25日をタイムリミットにして、開催の条件、体制を示すように強く求めていただきたい。最後また改めて聞いて終わります。

【文化スポーツ部長】
 繰り返しになりますけれども、オリンピック・パラリンピック開催の前提となるのはやはり感染症対策と考えております。
 一方で、先般県内を走ります聖火リレーのボランティアを募集したところ、こちらで設定しました人数を超える方々から手を挙げていただいたということで、やはりオリンピックの開催について県民については期待という方々も多いのかなと考えております。
 いずれしっかりとした条件のもと、観客あるいは選手が安心して大会に臨めるような形になるように、組織委員会の方にもお話をしていきたいと思っております。