2021年3月9日 予算特別委員会
議会事務局に対する質疑
(大要)


・県議会の受動喫煙防止対策について

【斉藤委員】
 最初に、県議会の受動喫煙防止対策について質問いたします。
 全国、東北各県の受動喫煙防止対策、受動喫煙防止条例の制定、喫煙所の設置状況はどうなっているでしょうか。

【議会事務局長】
 全国の都道府県議会における受動喫煙防止対策の実施状況についてであります。令和2年9月の調査時点で、敷地内全面禁煙は6道府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが11府県、建物内禁煙が10都県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが20県となっております。
 次に、東北の県議会における受動喫煙防止対策の実施状況についてでありますが、令和2年9月の調査時点で、敷地内全面禁煙は青森県・秋田県の2県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが福島県の1県、建物内禁煙が宮城県・山形県の2県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが本県の1県となっております。
 次に、全国の受動喫煙防止条例の制定状況についてでありますが、保健福祉部の調査によれば11道府県となっております。また、このうち東北各県の状況につきましては、山形県と秋田県の2県がすでに条例を制定しているところでございます。

【斉藤委員】
 全国の都道府県の状況をお聞きしました。27都道府県が建物内の禁煙は徹底をされているということであります。そしてすでに11道府県が議会として受動喫煙防止条例、議会提案だけではないと思いますが制定をされておりまして、東北では、建物の中に、議会棟に喫煙室を設けているのは岩手だけと。本当にこの問題、私は残念でなりません。
 そこで、県議会の喫煙室は、9月の決算の時に指摘をしましたが、日本たばこ株式会社からの寄付行為で設置をされました。これは、たばこ規制枠組み条約13条の「たばこ会社等が社会貢献活動や寄付をやってはならない」と。これに反するものであります。あわせて、県と日本たばことの間に、寄付に関わる覚書が交わされておりました。供用期間5年ということでしたが、決算の段階では5年の区切りで検討した経過ありませんでした。5年以降について、どのように検討されたのか示してください。

【議会事務局長】
 日本たばこ産業株式会社と取り交わした覚書の供用期間の5年間についてでございますが、総務部が日本たばこ産業株式会社に確認したところ、「『分煙環境の整備のために、本喫煙施設を5年間は使用してほしいという趣旨であり、供用期間の5年間が経過したことをもって喫煙室を撤去しなければならないものではない』ということを確認している」と総務部から聞いております。

【斉藤委員】
 5年間が供用期間ですから、継続して寄付された施設を使用するという判断は、議会と総務部が判断したということですか。

【議会事務局長】
 5年の供用期間につきましては、あくまでも県総務部と日本たばこ産業株式会社との覚書でありますので、そこに議会の方が関わっているのは、あくまでも議会棟における喫煙室を設置してほしいということを申し出たという観点では関わっておりますが、5年間の供用期間というところについては、議会側の方は関わっていないものと考えております。

【斉藤委員】
 供用期間5年ということであれば、5年過ぎた場合にどうするかという、そういう決断が求められるわけじゃないですか。ズルズルやるものではないんだと思いますよ。供用期間が5年と決まっていたわけだから。5年を過ぎても使うなら使うという、そういう判断をしなくちゃならない。私は先ほど言ったように、たばこ規制枠組み条約の13条の精神からいったら、日本たばこ株式会社から寄付を受けることはこの条約に反すると。私はこの寄付行為を受けるべきではなかったと思いますよ。そういうことで、5年というのはそういう判断をする機会だったのではないかと。
 改めて聞きますけれども、質問通告もしていたんだから、総務部は何らの判断もしていないということですか。そして議会としても何らの行動もしていないということですか。

【議会事務局長】
 先ほどもご答弁申し上げましたように、この供用期間の5年間につきましては、5年間が経過したからといって撤去をしなければならないというものではないという風に、総務部が日本たばこ産業株式会社から確認しているということでありますので、それを受けて、これまで特段の、5年後どうするかということについて検討がなされたという事実関係については私どもの方では把握はいたしてはおりません。

【斉藤委員】
 結局これは総務部自身が、たばこ規制枠組み条約の精神をしっかり受けていなかったのではないかと。もう1つは、そういう覚書があるんだったら、議会としてもこの期間にきちんと協議をすべき課題だったのではないかと。東北で岩手だけなんですから残っているのは。
 それで昨日の新聞に、これは盛岡の神子田の朝市が自ら禁煙を決めたと。これは岩手日報に投書がありまして、それを受けて神子田の朝市の運営に携わる方々が、公共的な施設だから禁煙にすると、こういうことを決めて、そして、お店によってはお客さんが減るんじゃないかという不安もあった中で、いやそうではないと。かえってお客さん、市民の業者にも喜ばれる対策だと。こういう打ち出しをしたというので、紫波のお医者さんが日報論壇にそれを評価する記事が掲載をされておりました。
 やはり受動喫煙防止というのは、本来議会が先頭に立って取り組むべき課題だと思いますよ。新型コロナの政府の分科会は、感染リスクが高まる5つの場面というのを今でも繰り返し徹底しています。5つの場面の5番目に、「休憩室、喫煙所、更衣室での感染が疑われる事例が確認されている」と。いわば喫煙所も感染リスクが高まる5つの場面の1つに指摘されているんですね。こういうものを議会棟の中にそのまま置いておいていいのかと。議会事務局長として、この政府分科会の提言をどのように受け止めていますか。

【議会事務局長】
 ただいま斉藤委員の方からご指摘いただいた政府の専門分科会の5つの場面、感染のリスクの高まる5つの場面ということでありますので、その提言そのものについては当然その通りだと認識をいたしておりますし、あとはそれぞれの事業体、あるいはその事業主等々でそういった5つの場面を回避する、そういった努力といいますか、そういったものがいま全国民に求められているんだろうなと認識をいたしております。

【斉藤委員】
 新型コロナでさまざまな方が大変苦労されている。そして大変な影響を受けている。そういう中で、県議会棟というのは公共の建物、県民に開放された施設ですよ。その中に、感染リスクを高める喫煙所があっていいのかと。今こそ、この新型コロナ危機から県民、議員の健康を守るという点でも、私はこれは今再検討されるべきだと。ぜひ議会運営委員会等でも議論していただくように、この場でお願いをしておきます。
 そこで、県議会棟の喫煙室の利用者ですけれども、敷地内禁煙を実施している県庁の職員の利用というのは、私は本来あってはならないと思いますけれども、これは規制はされないんですか。そして県議会棟の喫煙所の利用規則なるものも、私はやるんだったら最低限定めることが必要なんだと思いますけれどもいかがですか。

【議会事務局長】
 議会棟の喫煙所の設置にあたりましては、議員控室を禁煙とすることへの代替措置として、この喫煙所を設けたということでありますので、まさにその議会棟の喫煙所の利用者としては「議員そして議会棟に用務のあって来た方々」が利用をするものという認識で考えているところでございます。

【斉藤委員】
 これは総務部長名で、敷地内禁煙を決定するときにこういう通知が出てます。「勤務時間中に庁舎敷地外で喫煙するために職場を離れる行為は、職務に専念する義務の厳守という観点から認められない」と。外であっても勤務時間内は認められないと。ましてや敷地内は認められないでしょう。議会に用務があったら県職員はあの喫煙所で喫煙することができるんですか。私はできないと思いますよ。事務局長のはっきりした答弁をいただきたい。

【議会事務局長】
 いま斉藤委員からご指摘ありましたように、総務部の方では各種の通知を発出いたしております。総務部では、令和元年6月27日付で「県庁舎敷地内が全面禁煙とされることに伴う服務上の留意事項について」通知を発出したほか、先ほど委員からご紹介ありました、本年2月15日付で、勤務時間内に職場を離れ喫煙を行う行為は、服務規律に違反するほか、県民の誤解や不信を招き、職員の信用失墜につながりかねないものであり、現に慎む必要があることから、改めて職務専念義務の厳守等について徹底を図る通知が発出されたところであります。
 したがって、この通知に基づいて県の職員は法に則り適正に対応していくものと私は考えております。

【斉藤委員】
 実際私はあそこの中に入ることはほとんどないんだけれども、県の職員がそれなりにあそこに入って喫煙している例が、結構見受けられます。あの議会棟の喫煙室が敷地内禁煙の逃げ場になったら、これまたきわめて重大だと思いますよ。
私は全面的にあの喫煙所は見直すべきだと思うけれども、事務局長、今あそこに何席のイスがあるか分かっていますか。

【議会事務局長】
 中を覗いて見た限りでは、4ないし5つの席ではないかと思います。

【斉藤委員】
 6席あるんですね。あの狭いところに、もう密密でしょう6席なんていうのは。新型コロナ対策からいってもあること自身が問題だけど、密になっても吸ってみなさいよみたいな、こういうあり方というのは根本から見直すべきではないか、このことも指摘をしておきたいと思います。
 やはりあそこの利用については、誤解を招かないように、きちんと留意事項など定めるべきだと思いますがいかがですか。

【議会事務局長】
 現在、喫煙室の利用規則なるものは作成はしておりませんけれども、喫煙室の入り口の扉を閉めないようにする、そういった注意書きですとか、あとはソーシャルディスタンスを保つようなそういったステッカーといったものについては私どもの方で掲示をいたしております。

【斉藤委員】
 ステッカーを貼っても6席あったらだめじゃないですか。そういう風になっているから私は指摘しているんですよ。ソーシャルディスタンスを本当に確保するんだったらそういう風にしなきゃだめですよ。

・県議会議員の海外視察について

【斉藤委員】
 次に、健会議員の海外視察についてお聞きをします。
 全国都道府県議会における海外視察の実施状況をどのように把握されているでしょうか。

【総務課総括課長】
 令和2年度における全国の都道府県議会の海外行政視察の実施状況についてでございますけれども、実施が0県、実施せずが本県を含め32府県、未定が15都道県となってございます。

【斉藤委員】
 そもそも県議会議員の海外視察をもう止めている、実施していない、こういう都道府県はいくつありますか。

【総務課総括課長】
 本県の調査では、制度の廃止が1県、休止というものが4県ございますので、休止も含めれば5県になろうかと思います。

【斉藤委員】
 おそらく東京都を含めて5県が廃止・休止となっていると思います。
 今年度は、新型コロナの感染で全国どこも実施されていないと。来年度も実施されないと思います。今の世界的な新型コロナの大流行の状況は、3月6日現在ですけれども、1億1611万人、死者258万人、一週間で270万人の感染拡大、1日にしますと38万人です。これ感染が拡大しています。年内には収まらないだろうと、これはもう多数の専門家の見立てでありますから、私は来年度の海外視察も実質不可能ではないかと。こういう予算は本来新型コロナ対策に集中すべきではないかと思いますがいかがですか。

【総務課総括課長】
 来年度の海外行政視察の実施につきましては、新型コロナウイルス感染症を取り巻く今後の状況を見通すことがなかなか困難でございますけれども、海外行政視察にかかる予算の取扱いにつきましては、令和2年9月28日の議会運営委員会で決定された通り、当初予算に計上しているものでございます。
 平成14年に議会運営委員会で決定された「議員派遣の運用について」に基づき、議員から海外行政視察議員派遣提案書が提出された場合に迅速に対応できるよう準備を進めてまいりたいと考えております。
 なお、その実施につきましては、議員間で十分ご協議の上お決めいただくものと考えてございます。

【斉藤委員】
 今年度の海外視察については、県議会はかなり早い時期に中止を決めて、削減措置をとったと思います。もう来年度予算も計上されちゃっていますから、しかしもう早い時期に判断して、新型コロナにこれを回すという取り組みをすべきだと思いますが、今年度はいつそういう削減の措置をとったのか。来年度の予算はいくらなのか。

【総務課総括課長】
 まず海外視察の予算に関しましては、今年度も来年度も2080万円となってございます。
 今年度の減額補正につきましては、5月の議会運営委員会で、コロナ対策への予算に配慮するために今年度は中止されたと記憶してございます。

・タブレットの導入に伴う議事録冊子の廃止について

【斉藤委員】
 時間がないので最後の問題を聞きます。
 タブレットの導入で、県議会の議事録の冊子は作成されないことになりました。全国の都道府県議会で、議事録を冊子として作成していないところはどれだけあるでしょうか。その経費削減分はどれだけでしょうか。

【議会事務局長】
 タブレット端末の関係でございます。
 まず、会議録の作成についてでありますが、会議録のデータ化により会議録の冊子作成を行わず、データ配信としている全国の都道府県議会の状況について、私どもの方で聞き取り調査を行ったところ、本県のほか、茨城県・神奈川県・大阪府・鳥取県・沖縄県の5府県議会がデータによる配信としております。
 次に、会議録の印刷製本を廃止することによる経費の削減効果についてでありますが、平成31年2月6日の議会運営委員会において、議会改革推進会議から報告された「タブレット端末の活用による議会改革の推進について」において示された、情報化推進ワーキンググループによる試算によれば、タブレット導入試行期間である4年間に削減される会議録印刷経費は、4164万円と見込まれております。

【斉藤委員】
 議事録の作成を止めたというのは5府県議会ということで、私は県議会議事録というのは議会の宝であり、貴重な公文書だと。これは守るべきだったと。このことを指摘して私の質問を終わります。