2021年3月9日 予算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)
・新型コロナ対応の組織体制の強化について
【斉藤委員】
それでは最初に、新型コロナ対応の組織体制の強化についてお聞きいたします。
保健衛生人材確保事業は、今年度の2月補正で3417万円余となり、保健師15名、看護師1名、事務1名、実人員17名を確保したと。PCR検査対応で2名の確保と、こういう答弁がありました。これはおそらく会計年度任用職員の任用だったと思いますが、来年度は常勤の保健師の確保ということになりますが、今年度採用した方々が来年度も継続して雇用されるのか。来年度新たに常勤でどれだけの保健師が確保されるのか示してください。
【人事課総括課長】
まず新型コロナウイルス感染症対策保健衛生人材確保事業についてでございます。こちらは、保健師と専門人材のOB職員を会計年度任用職員として任用する事業でございまして、委員が先ほどお話しされた通りですね、本年度は実人員19人を確保し、現在17名そのうち任用されているというところでございます。
令和3年度当初予算におきましては、今年度の実績と同程度の任用を想定しまして予算案を提出させていただいているところでございます。具体的には、現任用者のうち継続任用を希望する14名全員につきまして来年度も任用するほか、来年度は新たに任用する手続きも進めておりまして、これらによりましてマンパワーの確保をする予定という風に考えてございます。
それから、正規職員の増員のお話といったようなことでございます。正規職員の方につきましては、先ほどの事業とは別に、保健所の体制強化等のためにですね、常勤保健師の確保にも力を入れておりまして、本年度は例年実施している通常の選考による7名に加えまして、即戦力と期待される有資格者などの選考を追加で実施いたしましてですね、8名を採用することにしておりまして、計15名の確保を図ったところでございます。
こうした取り組みによりまして令和3年4月1日時点では、退職者の補充分を差し引きまして11名の保健師が純増という予定となっておりまして、今後も感染状況等を見据えながら必要な体制を検討させていただきたいと思っております。
【斉藤委員】
和歌山県が「和歌山方式」で大変注目をされております。国内最初の院内感染の際に、職員・患者全員の検査をいち早くやって、感染拡大を防止したと。その後も積極的なPCR検査を進めてきたと。この大きな要因としてこういうことを言っているんですね。「和歌山県の人口10万人当たりの常勤保健師の数は35.9人。大阪府14.4人、東京都の12.1人と比べて倍以上の保健師がいた」と。これで徹底した検査ができたと。
来年度、実質+11と常勤で。これは評価したいと思いますけれども、ピーク時と比べてまだ足りないんじゃないか。10万人当たりの常勤保健師の数は分かるでしょうか。どういうレベルなのか示してください。
【人事課総括課長】
大変申し訳ございません。人口10万人当たりの保健師の数というのは手元にないのですが、私の記憶にある限りでは、岩手県の保健師の数というのはそこまで全国と比べても低いという状況にはなかったと記憶しているところでございます。すいません。
(後刻答弁)
改めまして、保健所および市区町村における常勤保健師の数で申し上げますと、10万人当たりの保健師の数は、全国平均20.7人のところ、先ほど斉藤委員からご紹介ありました和歌山県が35.6人、それから本県は31.8人となってございます。
【斉藤委員】
岩手も積極的なPCR検査この間やってきましたので、私は岩手方式と言ってもいい取り組みをされているんじゃないかと思います。ただ、全国的に保健所というのは統廃合されて、全国的には半分ぐらいに減ってしまった。その体制が新型コロナの中で弱点が浮き彫りになったということがありますので、さらなる強化が必要なのではないか。
そこで、これも保健福祉部に関わるんですけれども、この間クラスター発生などで、保健所間で応援体制がかなりとられたと思いますが、この実績は把握されていますか。
【人事課総括課長】
クラスター、集団感染が発生した際は、全県の保健所で対応することとしておりまして、保健福祉部の方で応援体制をとっておりますけれども、3月2日の時点で延べ114日、230人の保健師を保健所間の応援により派遣したと聞いております。
【斉藤委員】
延べ230人ですか。これだけの応援体制がとられたと。ですからクラスターが発生すると、本当に今の体制では対応できないという。単発のクラスターだから対応できたというのはあるんだと思うんですね。さらなる体制の強化を検討していただきたい。
・新型コロナ対策の地方創生臨時交付金の活用状況について
【斉藤委員】
2番目に、新型コロナ対策の地方創生臨時交付金の活用状況についてお聞きします。
これまで261億円の交付限度額に対して、今年度200億円、来年度は当初予算に18億円、計218億円が予算化をされています。今年度の執行残55億円というのはどのように活用されたのか。来年当初予算化された18億円の内容はどうなっているか示してください。
【財政課総括課長】
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用状況についてでございますが、まず、令和2年度12月補正までに計上した地方創生臨時交付金の地方単独事業分というものが189億円ほどございまして、そのうち2月補正予算の編成において執行残として見込まれた55億円の主な内容といたしましては、家賃補助や感染症対策補助を行う地域企業経営継続支援事業費補助が約20億円、地元割クーポン発行等を行う観光宿泊施設緊急対策事業費が約12億円、制度融資にかかる令和2年度分の保証料補給が約8億円などがあるところでございます。この55億円につきましては、2月補正予算において減額のうえ、さらに中小企業等に対する支援金の支給ですとか、制度融資にかかる令和3年度以降の保証料補給等に要する経費の基金への積み立てなどの事業を財源として活用しているというところでございます。
また、令和3年度当初予算に充当した18億円の主な内訳といたしましては、県単独で実施いたします空床準備等に要する経費約5億円、環境保健研究センターや保健所の資機材整備約4億円、県立病院等事業会計に対する医療提供体制の構築等にかかる負担金に約3億円、感染症に対する看護師等の医療従事者に対する危険手当の支給に約2億円、企業に対するテレワークの導入にかかる経費の補助に約1億円などを計上しているところでございます。
【斉藤委員】
今の臨時創生交付金の残額は43億円と聞いておりますけれども、この活用方向についてはどのように考えておられますか。
【財政課総括課長】
今後の活用についてでございますが、地方創生臨時交付金の地方残額分にかかるものにつきましては、今後の感染状況や社会経済情勢を踏まえまして適時適切に活用させていただきたいと考えているところでございます。
【斉藤委員】
2月補正で必要な対策もとられておりますけれども、私は決して十分ではないと思います。例えば中小企業への支援、1店舗40万円というのも飲食業中心で、その他の業種には実態に合わないというところがありますから、やはり見直すべきは見直し、拡充すべきことは拡充すると。必要な手立てを機敏にとっていただきたいと。これは要望にとどめておきます。
・防災対策について
【斉藤委員】
次に、防災対策についてお聞きします。
地域防災力強化プロジェクト事業費5240万円でありますが、「地域の中核的人材育成および地区防災計画の策定支援を実施する」としています。地区防災計画の策定状況はどうなっているか。それに基づく訓練の実施状況などを示してください。
【総合防災室長】
地区防災計画についてでありますが、県内では7市町村39地区におきまして地区防災計画の策定が進められております。
また、地区防災計画に基づく避難訓練の実施状況については、令和元年度末までに計画を策定した37地区のうち、例年通り実施できたのは4地区、新型コロナウイルスの影響により6地区で規模を縮小のうえ実施し、残り27地区については訓練を中止したとうかがっております。
【斉藤委員】
東日本大震災津波の教訓、それは津波であればできるだけ早く高台に避難すると。しかしこれは日常的に訓練をしてやっていないとできないことなんですね。そこで大変感心しているのは、大槌町の安渡地区です。ここは大変な犠牲者を出したけれども、先日も訓練をしておりました。地区計画を立てて、15分ルールというのを作って、いわば自力で避難できない人も15分以内に玄関まで出てもらうと。それをリアカーなどを使って、そういう要支援者も避難をさせるということを実際に計画も立て訓練もしているんですね。問題は、自力で避難できない人なんですよ。そういう人をどのように助けるか、避難させるか。この地区計画というのが、そういう意味では決定的な役割を果たすのではないかと。
聞くと時間がないので触れますが、実は自主防災組織というのが2340作られています。この該当数は70万人余で世帯数の87.9%だと。自主防災組織というのはかなり組織されているんですね。これは町内会と一体だったり、だいたいそういう規模が多いんだと思うんですけれども、せっかく組織されている自主防災組織を活用しながら地区防災計画を立てて行くと。そういう取り組みを先進事例を示しながら進めることが必要だと思いますがいかがでしょうか。
【総合防災室長】
まさに東日本大震災の教訓をもとに、地域コミュニティにおける自助・共助の強化というのが大切であり、地区ごとの自発的な防災活動、これに関する地区防災計画制度が新たに創設されたことから、地区防災計画をしっかりと構築し訓練を行っていくということは非常に重要だと考えてございます。
自主防災組織の組織率で、県全体では87.9%でございますが、県北地区あるいは沿岸地区で一部低いところもございます。そういったところにつきましては、やはり自主防災組織の立ち上げ、活性化、合わせて地区防災計画の策定等についてしっかりと支援してまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
地区防災計画は7市町村で39地区ですから、本当にまだまだ少ないんですね。ただ、資料をいただきましたら、岩手町は24地区で作られているんですよ。これはダントツで進んでいるんです。この教訓は何でしょうか。
【総合防災室長】
いま委員からご紹介いただいた通り、岩手町に関しましては24地区策定しております。県全体で39地区ですので、そのうちの3分の2ぐらいが岩手町ということですので、裏を返せば他の地区はかなり遅れているということも言えますので、こういった岩手町の取り組みをぜひ他の市町村にもフィードバックしてですね、他の地域を県としても支援してまいります。
【斉藤委員】
少しリアルに経験を返していただきたい。
総括質疑でもありましたけれども、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に対する被害想定調査というのが来年度予算で計上されています。いつまでにどう取り組まれるのか。そして大事なことは、昨年の4月これ公表されて、本当に衝撃を受けるぐらいの中身でした。ただ、この日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震というのは、科学的には300年〜400年の頻度で実際に起こっていると。だから切迫しているとも指摘をされています。巨大地震、最大想定で大きくなっていると思いますけれども、そういうことも含めて、私は市町村としっかり協議をするし、関係住民にも説得力のある科学的な説明が大変大事だと思いますけれども、その点についても示していただきたい。
【総合防災室長】
被害想定調査の作成等にあたりましては、市町村との連携が必要だと考えております。市町村では、内閣府が昨年公表した日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルを踏まえまして、それに暫定版のハザードマップを作成した宮古市などの例もございます。他に、住民説明会を開催したり広報誌への掲載を通じまして、住民の意識啓発をすでに始めているところもございます。
現在、津波浸水想定の策定が県土整備部の方で進めておりますので、県土整備部で所管している小委員会の議論等を踏まえまして、来年度被害想定調査を作成する際には、しっかりと市町村にも丁寧に説明をしながら情報共有を図ってまいりたいと考えております。
・会計年度任用職員について
【斉藤委員】
最後にしますけれども、会計年度任用職員の今年度の任用状況、来年度の任用状況、基本的には3年間継続して雇用できるという制度ですから、希望した方々が継続して雇用されているようになっているのか示してください。
【人事課総括課長】
会計年度任用職員の状況についてご答弁申し上げます。
令和3年2月に知事部局において任用した会計年度任用職員は、フルタイムの会計年度任用職員が101人、パートタイムの会計年度任用職員が1673人と、合計で1774人となっておりまして、31年4月時点での旧制度の臨時・非常勤と比較するとフルタイムで270人が減少、パートタイムで460人が増加、合計で8人が減少となってございます。
それから来年度の任用見込みということでございますが、令和3年度当初の普通会計予算における知事部局の会計年度任用職員数は、フルタイムの会計年度任用職員が108人、パートタイムの会計年度任用職員が1827人と、合計で1934人を見込んでいるところでございます。
また、再度の任用についてでございますが、会計年度任用職員は、一会計年度ごとに新たな任用となるものであり、任期が終わるごとに公募・選考を行うことを原則としておりますけれども、当該職員の任用期間中の人事評価の結果に基づき、2回まで、最初の任用を合わせて合計3回までということになりますが、公募によらず同一のものを再度任用することを可能としてございます。
・旧盛岡短期大学跡地の利活用について
【斉藤委員】
旧盛岡短期大学跡地の利活用について、解体工事の見通しと、盛岡市との協議はどうなっているか。私は盛岡市の情報として、令和7年度に新しい児童センター・老人センターを、私の地元ですけれども整備の予定だと聞いていますが、協議の状況はどうなっているでしょうか。
【管財課総括課長】
旧盛岡短期大学跡地の利活用についてでございますが、まず解体工事の見通しということでございますが、工事につきましては、県契約6億2498万円余でございますけれども、工事の方は施工計画の通り進捗しているところでございますので、予定通り令和3年10月の完了を見込んでいるところでございます。
次に、市との協議状況というお尋ねでございましたが、現在、市・県の担当者間で情報の共有を行っているところでございまして、引き続き施設の配置や必要面積等について調整を図っていくこととしてございます。
新しい児童・老人福祉センターの移転整備の計画につきましては、詳細なスケジュール等は承知してございませんけども、いずれにいたしましても市と情報共有を密にいたしまして、事業の進捗に合わせて協議を進めていくこととしておるところでございます。