2021年3月10日 予算特別委員会
ふるさと振興部に対する質疑(大要)
・新型コロナ禍での三陸鉄道、IGRの状況について
【斉藤委員】
それでは最初に、新型コロナ禍のもとでの三陸鉄道、IGRの状況と対策についてお聞きします。
新型コロナ禍のもとでの乗客の減少、減収の状況、そしてそれに対する今年度、来年度の対策はどうなっているでしょうか。
【地域交通課長】
まず、影響というところでございますが、令和2年4月から令和3年1月まで10ヶ月間の両社の輸送人員は、三陸鉄道が、対前年度比33.1%の減、27万人余の減でございます。IGRは、同じく16.2%の減ということで、70万人余の減となっております。
それから、同じ期間の運賃収入でございますが、三陸鉄道は、対前年度比47.1%の減、額で2億3百万円余の減、IGRは、対前年度比28.6%の減、2億9千万円余の減ということで、特に定期外が大きく減少しているという状況でありますが、いずれも新型コロナウイルス感染症による影響が非常に大きい状況にあるということであります。
これを受けました対策、両社への支援ということでございますが、まず、3号補正予算におきまして、公共交通機関従事者、利用者の方々の感染防止を図るために、公共交通事業者が要する経費に対する支援を予算化して、支援を行っております。具体的には、マスクや消毒液などの購入ですとか、飛沫感染防止のためのビニールカーテンの設置、空気清浄機の購入等に対して支援を行っております。
また、4号補正予算におきまして、安全安定運行の維持のための交付金を措置させていただきまして、三陸鉄道には1億9000万円、IGRに対しては1億7000万円を、沿線市町村と連携して交付をいたしました。
来年度におきましても、公共交通事業者への影響は続くことが見込まれるところでございます。したがって、実際の公共交通事業者への影響の状況などを見極め、そしてそういったものを踏まえたうえでですね、適時適切に必要な支援について検討して、引き続き、両社の安全かつ安定した運行の確保が図られるよう努めていきたいと考えております。
【斉藤委員】
少なくない影響、特に運輸関係は受けていると思います。それで来年度については「適時適切に」と、早ければ6月補正とかそういうことになると思いますけれども、しばらく新型コロナの感染の状況というのは簡単に収束するような状況ではないように見受けられますので、しっかりした対策を講じていただきたいし、またこういう状況の下でも、どのように乗客を確保して健全運営を進めるかという知恵もまた必要なのではないかと。
・地方公共交通の課題について
【斉藤委員】
二つ目に、地方公共交通の課題について。私は議案に対する質疑で、観光バス事業について補正予算があったので、その減収をお聞きしました。13億8000万円の減収と。バス事業者、タクシー事業者への影響、対策はどうなっているでしょうか。
【地域交通課長】
まず、乗合バス事業者でございますが、主要な乗合バス事業者3社、具体的には、岩手県交通、岩手県北自動車、JRバス東北でございますが、令和2年4月から令和3年1月までの10ヶ月間、輸送人員でいいますと、前年比32.2%の減、数で572万人余の減少です。
また、運賃収入でございますが、同じく39.3%の減、額にしますと3社で18億8000円余の減ということで、非常に影響は大きいという状況でございます。
それから、タクシー事業者でございますが、岩手県タクシー協会が会員事業者に対して毎月、影響調査を実施してございます。それから、そこからいただいたデータによりますと、令和2年4月から今和3年1月までの営業収入は、前年同期比36%減っていると。全会員合計で27億5000万円余減っているというような状況とお聞きしております。
その対策ということでございますが、バス、タクシーいずれも、先ほどご説明したとおり、感染症対策に要する経費に対する支援をさせて頂きましたし、バス事業者につきましては、4号補正で、乗合バス事業に係る車両1台当たり30万円の交付金を措置させていただきまして、637台分、額で1億9100万円余交付をさせていただきました。
それから、先の2月補正において国が補助上限額を緩和したことに呼応しまして、県においても6600万円余を増額補正して、3社に対して追加支援することにしてございます。
それからタクシーに対する支援ですけれども、運行交付金ということで、同じく1台当たり5万円を措置させていただき、2112台分、総額1億500万円余を交付させていただいたところでございます。
バス、タクシーいずれも、先ほどの鉄道と同様に、新年度の状況等を見極め、それを踏まえたうえで、適時適切に支援等を検討させていただきたいと考えています。
【斉藤委員】
乗合バス事業者、タクシー事業者それぞれ18億8000万円、27億5000万円の減収と。これ10ヶ月でですね。大変な状況だと思います。商工労働観光部の調査でも、一番影響を受けているのが宿泊・飲食・運輸と、この3つ業者が本当に新型コロナのもとで大きな影響を受けています。
地方公共交通というだけにあって、民間事業者であっても、これは住民の本当に必要なライフライン、そういう点ではしっかり生き残りを支える手立て、国と合わせて考えていただきたい。
それから、特定被災地公共交通調査事業、今年度までだと思いますが、陸前高田市と釜石で今年度も行われておりました。これは必要な路線だったと思うけれども、来年度どういうことになるのか。どういう対策が講じられるのか示していただきたい。
【地域交通課長】
今お話のありました特定被災地域公共交通調査事業、これは国の事業ということで、応急仮設住宅を経由する路線等を対象に国が市町村に対して支援するという事業でございますので、お話のありましたとおり、今年度末をもって事業終了となる見込みということです。
今年度は、陸前高田市7路線、釜石市4路線、併せて6千万円余交付決定されていると承知してございますが、来年度につきましては、陸前高田市、釜石市ともに、同じく国の補助事業であります、幹線バス等の地域間交通ネットワークと密接な地域内のバス交通・デマンド交通の運行経費に対してバス事業者に対して補助を行う「地域内フィーダー系統補助事業」こういった事業を活用し、7路線4路線の維持を図っていくこととして、いま両市において国と調整を図っているところとお聞きしてございます。
いずれ被災市町村の公共交通の維持・確保については、復興後の持続的かつ利便性の高い交通体系が構築されるまでの間は、引き続き支援が必要であると考えております。
従いまして、国に対して継続的な支援を要望するとともに、県においても市町村ときちんと連携しながら、被災市町村における公共交通の維持・確保に努めていきたいと考えております。
【斉藤委員】
被災地では、新しいまちづくりが進められているので、高台に団地がつくられて、災害公営住宅も中心部だけでなく整備をされています。そうしたところと、役場や商店街や病院、これは本当に必要なアクセスなので、それぞれの被災地での公共交通、さまざまな形態のルートを守られるようにぜひ手立てをとっていただきたい。
・地域おこし協力隊、いわて復興応援隊について
【斉藤委員】
次に、地域おこし協力隊、いわて復興応援隊の活動実績についてお聞きをいたします。
先ほども質問がありましたが、地域おこし協力隊のこれまでの活動実績、配置人員、そして県内に定着している状況と、どういう形で定着をされているか示してください。
【地域振興課長】
地域おこし協力隊の活動状況と配置人員につきましては、総務省の調査によりますと、令和元年度では28市町村で201人が活動しているということになってございます。
定着状況と内容についてでございます。昨年度までに、任期が終了した隊員134名のうち、70.5%、95名の方が県内に定着しておりまして、95名の方々の進路の内容といたしましては、33名が起業、43名が就業、11名が就農等となっております。
起業の例といたしましては、例えば、古民家カフェ兼観光案内所の運営などの飲食サービス業でありますとか、ITやまちづくりなどのコンサルタント業、お土産や特産品などの小売販売業、ゲストハウスなどの宿泊業など、地域に根差して活躍をしているところでございます。
【斉藤委員】
28市町村201人、そして134人が任期が終了して95人が県内に定着をしていると。70.5%ということですから、大変素晴らしい、意欲もある方々がこうした形で県内地域に定着しているというのは素晴らしいことだと。先ほどの答弁で、起業セミナーなどいろんな支援策をお聞きしましたので、私はこれ以上聞きませんが、こうした地域おこし協力隊の方々を本当に大事にして、地域の振興、県の振興の新しい力・戦力にしていただきたい。特に若い方々が多いので、大事にしていただきたい。
もう1つ、いわて復興応援隊というのもありますが、このいわて復興応援隊の活動状況はどうでしょうか。
【地域企画監】
いわて復興応援隊の活動状況についてでありますが、県では、国の復興支援員制度を活用しまして、被災地の復興や、地域振興の支援などを行う「いわて復興応援隊」を県内外から広く募集いたしまして、これまで沿岸市町村を中心に延べ63名の隊員を配置してきたところです。
活動内容といたしましては、交流人口の拡大に向けた広域的なプロジェクトの推進に重点を置き、沿岸広域振興局や三陸ジオパーク推進協議会、三陸鉄道(株)等に隊員を配置いたしまして、三陸防災復興ゾーンプロジェクトや三陸鉄道の利用促進に係る情報発信、三陸ジオパークの出前授業などによる地域への普及啓発や、研修会の開催等によるジオガイドの養成など、地域と連携した様々な取組を行っているところでありまして、引き続き地域に根差した活動を展開してまいります。
・台風災害の復旧状況について
【斉藤委員】
最後ですけれども、2016年台風10号災害、2019年の台風19号災害の復旧復興の事業について、残された課題、今後の見通しについて示してください。
【台風災害復旧復興推進監】
平成 28年台風第10号災害、令和元年台風第19号災害の課題と今後の見通しについてでありますが、平成28年台風第10号災害につきまして、災害復旧工事は、令和3年3月1日現在で約98%が完成し、着実に進んでいるところであります。
一方、河川改修工事につきましては、7河川のうち3河川が完成し、今月末にもう1河川が完成する見込みでありますが、残る3河川につきまして、安家川については令和3年度、小本川については令和4年度、久慈川については令和7年度の完成を目指し取り組んでいくところでございます。
令和元年台風第19号災害につきましては、災害復旧工事は、令和3年3月1日現在でほぼ発注は済んでございまして、約50%が完成となるなど、着実に進んでいるところであります。
引き続き、一日も早い復旧・復興に向け取り組んでいきたいと考えております。