2021年3月10日 予算特別委員会
政策企画部に対する質疑
(大要)


・新型コロナ対策における知事のイニシアチブについて

【斉藤委員】
 新型コロナ対策における知事のイニシアチブの発揮についてお聞きいたします。
 内外情勢調査会での知事の講演を読ませていただきました。今までになく説得力のある読み応えのあるものでした。
 そこで、岩手県で感染者ゼロが7月末まで続いた要因というのも知事なりに解明していましたが、どういう要因でしょうか。

【副部長】
 知事のイニシアチブに関してでございますけれども、委員ご指摘の昨年11月27日の内外情勢調査会の講演におきまして、感染ゼロが続いた要因として、まじめで慎重な県民性、人口密度の低さ、外国との出入りの少なさ、また、対策のための組織の設置など、国に先立った対応を行ったことを挙げ、特に「まじめで慎重な県民性」につきましては、「元々そういった県民性のあるところに、東日本大震災津波の経験がお互いに助け合う風土や、危機感への高い意識を強化したと考えられる」といった説明を行っています。
 こうした内容につきましては、本県が国内外から注目され、多くのメディアからの取材や他のさまざまな講演などを通じても広く発信されてきたと承知しております。

【斉藤委員】
 私特に注目をしたのは、岩手県では国に先立った対策を行ってきたということで、かなり具体的に時系列的に講演をされておりました。主な国に先立って取り組んできた内容について示していただきたい。

【副部長】
 国に先立った対策の取り組みにつきましては、医療関係者を構成員とする新型コロナウイルス感染症対策専門委員会を国に先がけて設置したことや、人の移動が多くなる昨年の年度末に知事メッセージとして首都圏との往来への注意喚起を行い、一部首都圏から来県される方への2週間の外出自粛をお願いしたことなどを講演において説明したと承知しております。
 なお、これ以外の取り組みとしても、PCR検査における濃厚接触者に限らない積極的疫学調査の実施、あるいは誹謗中傷を止めるための強いメッセージ、さらには経済の落ち込みに対する対策として、国に先がけて市町村と連携して家賃補助を昨年初めに早期に実施したこと、さらに本県におきましては、未来づくり機構という組織がありますが、そこに大学・経済界、さらには医療関係者を交えまして「いのちと健康を守り、生活と生業と学びを支える岩手宣言」を行い、いろんな団体と連携して対策に取り組んできたことが挙げられると考えております。

【斉藤委員】
 この講演の中では、例えば4月10日、「岩手県版の基本的対処方針を徹底した」と。全国でいえばそれまで例はなかったということで、感染者が出ていない中で、県の基本的対処方針をいち早く打ち出したということも紹介をされています。4月30日には、地域外来検査センターを10箇所設置するということで、これまた全国にも例のない、東北でも一番多かったと思うけれども、そういう取り組みを進めてきたということで、時系列的に岩手がどういう取り組みをして、その結果として7月29日まで感染者ゼロを実現してきたと。偶然でもない、やはり必然性があったのではないかと。
 もう1つ私注目したのは、全国知事会による働きかけ、この講演の時点で全国知事会は13回会議を開催をして、新型コロナ対策検証戦略チームなども設置をして、そして国に強力な働きかけをしてきた。全国知事会がこんなに国政に影響を与えたことはなかったんじゃないかと。私もそういう風に実感をしています。そしてその中で、絶えず達増知事の発言・提言というのは全国的にも注目を受けてきたのではないか。2月27日にも緊急会議開かれていましたけれども、全国知事会を通じて知事が提言し、そして実現した、実現の方向に向かったこういう事例を示してください。

【政策企画課総括課長】
 全国知事会についてでございますが、例年は2回程度の会合でございますが、コロナが発生以降は、令和2年2月に新型コロナウイルス緊急対策本部を設立しまして、それ以降は資料では13回となっていますが、現時点では17回の本部会議を開催し、国への緊急提言等を行ってきたところでございます。
 また、令和2年6月には、新型コロナウイルス対策検証・戦略ワーキングチームに知事も参画し、PCR検査等の検査体制の構築、あるいは外出自粛、休業要請等の運用や基本的な枠組みのあり方、偏見・差別やデマへの対策などについて8月に報告書がまとめられ、国への要望・提言に反映されたところでございます。
 このほか、積極的感染防止や経済・社会活動の正常化に向けまして18道県の有志知事の緊急提言、あるいは13県の知事と産学官金の有志あわせて114名の連名によります緊急提言などにも参加しまして国に要望してきたところでございます。
 こうした取り組みなどによりまして、国の補正予算におきまして、地方創生臨時交付金の増額、あるいは家賃支援給付金の創設、中小企業再生ファンドの支援策などに盛り込まれたものと認識しております。
 また、直近の2月27日の全国知事会では、本県をはじめ全国の感染状況で、緊急事態宣言対象地域外でも経済への影響が及んでいることも踏まえながら、緊急事態宣言の目標ととして、新規感染者ほぼゼロを目指すことや、休業要請や時短要請をしていないところについても影響が出ていることを踏まえながら、緊急事態宣言の対象地域以外も含め全国の飲食店や関連業者に対しても支援をすること、あとはGoToトラベルの再開につきまして、地域の実情を踏まえ、県単位あるいは東北のようなブロック単位で地域の宿泊施設を地域の住民が利用するといった弾力的な運用を図ることについて発言され、提言に盛り込まれたところでございます。

【斉藤委員】
 講演の中でもう1つ注目したのは、県と市町村の連携というところですね。4月14日に、新型コロナウイルス感染症対策にかかる県と市町村との意見交換会、この時期に全員集合でこういう会議をやったというのは全国に例がなかったと言われていますけれども、その後、振興局単位で対策本部、地方支部会議というのも設置をされまして、市町村との連携を強化してきたと。そういう中で、例えば家賃補助は全国に先駆けて実施するという、こういうことにもつながったのではないかと。市町村との連携というのは、どのように進められたか、これも含めて示してください。

【政策課長】
 県の基本的対処方針では、経済・雇用対策の実行に当たり、中長期にわたり社会の力や経済の力を維持し、早急な基盤を築くことができるよう、市町村と対策の方向性を共有することとしております。このため県では、先ほどご紹介ございました知事と首長による県と市町村の意見交換会に加え、事務レベルの県・市町村連絡会議も開催しまして、県の方針や補正予算の内容等を共有し連携に努めてきたところでございます。
 例えば、県の3号補正予算におきましては、先ほどご紹介ありました家賃補助につきまして、市町村と内容を共有したうえで、市町村と連携した補助を実現しております。
 また、県の4号補正予算におきましては、市町村の要望などを踏まえまして、新型コロナウイルス感染症対策市町村総合支援事業費補助を創設しまして、市町村が独自に地域経済の回復等に必要な対策を講じるための支援も強化したところでございます。

【斉藤委員】
 主な講演の内容をお聞きしましたけれども、私も読んでも大変説得力があると思いました。ぜひこれ多くの県民の方々に、新型コロナ対策で岩手県はどう取り組んできたのかと。これを知らせる一番コンパクトで具体的な内容だと思うんですね。ただこれは内外情勢調査会やって転載禁止になっていますから、そこをちょっとクリアして、これが知事のメッセージとして紹介できないか。また、もしできないとすれば、違った形で知事のメッセージを打ち出すことが、これからコロナ対策を県民挙げて取り組むうえで大変重要な内容を持っていると思いますので、その点いかがでしょうか。

【副部長】
 この講演録につきましては、広く共有していきたいと考えております。その方法として、ホームページへの掲載は可能でございますのでホームページに掲載すること、あるいは職員もきちんと共有して、こういうものをベースにいろんな場面で話し合いできるようにしながら、しっかりと県民の皆様と共有していきたいと考えております。

【斉藤委員】
 2月27日の新型コロナウイルス緊急対策本部会議、全国知事会のですね、この記録を読ませていただいて、LINEによる県民意識調査の中身が大変重要な調査だったんではないかと思います。実は私も知らなかったんだけれども、これは新型コロナの情報をLINEで知らせて、私もこのLINEは毎日見させていただいてますが、実は18556人の回答のあったLINEを活用した県民意識調査なんですよ。そしてその中には、どのように県民が自粛をしてきたのかというのとあわせて、事業者の方々の、どのぐらい売り上げが減少しているのかと。これは全国知事会でも知事自身が紹介をしているんですね。飲食店等での飲食の頻度というのは「10割〜8割減」というのが利用者55%、「7割〜5割」というのが24%いて、79%の人が「半減以上」と。半分以上自粛していたと。そういう中でですね、本当にこういう調査結果なんかももっと県民に分かるような形でお知らせをする手立てが必要なんではないかと。聞いたらこれは保健福祉部がやったと。これはだから縦割り、弊害をなくして、貴重な情報は皆さんのところが情報発信源ですから、多くの県民に伝わるようにすべきではないのかと思いますがいかがですか。

【広聴広報課総括課長】
 LINEで調査結果等流れておりまして、あとマスコミの方にもたしか投げ込みをしていたようでございますので、新聞等でも取り上げられているものと認識しております。

【斉藤委員】
 投げ込みだけじゃなくて、分かるようにということを言ったので。もっと前向きに受け止めてください。
 知事からのメッセージ、先ほど紹介したように、内外情勢調査会での講演というのが私は今までの中で一番まとまった説得力のある知事のメッセージだと思うので、これを活用していただきたい。
 それで参考になるのは、和歌山県の知事なんですよ。和歌山県知事は、時々新型コロナの感染状況の分析を踏まえて、県内の感染の特徴は何かということを、知事自身がメッセージでデータも含めてやっているんですね。和歌山方式といって、幅広く検査をして、全国で最初の院内感染を食い止めたと。私はそれ以外はだいたい岩手県も同じことをやっているんではないかと思っているんですが、分析が弱いと思うんです。この間の議論を聞いていたら、実はゲノム解析をやっていたという話がポッと出るわけですよ。なんでそういう、せっかく良いことをやっているんだったら、情報が明らかにされないのか。そういう意味では、知事が、和歌山県がそういうことをできるのはなぜかというと、徹底した感染者を追跡して、幅広く検査をして、それを分析しているから和歌山県ではコロナ感染の特徴を、特に第三波については「大変しぶとい」と言っているんですよ。いわば1人の感染者から拡大する数が増えてきていると。あと、最初PCR検査をやって陰性でも、4回目5回目で出てくる。そういう特徴を第一波からの比較を含めて、データを含めてやっているんですね。
 そういう意味でいくと、そこは和歌山県の知事に学んで、やはり良いことをやっている、徹底して検査もやっている、その検査も分析をして、そういう科学と事実に基づいて県民にメッセージを伝えていくと。このことが本当に新型コロナ対策で、分からないことが多いだけに、分かる範囲でそういうことを伝えていくということが必要なのではないかと。
 最後に部長に、知事のメッセージさらに精度上げて、積極的に県民に訴えられるようにしていただきたい。

【政策企画部長】
 新型コロナウイルスにつきまして、各都道府県知事の発言やメッセージの注目が集まっているところでございまして、ただいま委員からご紹介のありました仁坂和歌山県知事の2月27日の全国知事会のコロナ緊急対策本部の発言では、「和歌山県の感染状況が落ち着いているのは、積極的な疫学調査を保健医療行政がしっかりやっているからである。首都圏において今なかなか感染が下げ止まらない中で、首都圏において保健医療行政を立て直して、積極的疫学調査のレベルももう一度元に戻してもらいたい」という発言がございまして、非常にエビデンスに基づいた説得力のあるご発言をされておりました。
 達増知事におかれましても、委員からご紹介のありました内外情勢調査会はじめ、海外のメディア含めまして、ワシントンポストであるとか香港フェニックステレビ等でさまざま発信をしておりまして、今までにないほどのメディアあるいはマスコミ等での発信をされております。
 岩手県におきましても、もちろん和歌山県に負けないほど積極的疫学調査を実施していますし、検査についてもしっかりやっておりますので、そういったところ、まさにエビデンス基づいた事実をしっかりと県民に伝えられるよう、知事含めましてさまざまな広報を通じまして発信をしていきたいと考えております。