2021年3月15日 予算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)
・新型コロナへの県立病院の対応について
【斉藤委員】
それでは最初に、新型コロナに県立病院がどう対応したかということについてお聞きをしたいと思います。
私は、盛岡では盛岡市立病院、県立では千厩病院、指定感染症病床になっている病院を訪問して話を聞いてきました。
千厩病院では、ベッドも増やして、そして重症患者も透析の患者も受け入れたというので、大変重要な役割を果たしてきたんじゃないかと。磐井病院との連携もあったと思いますけれども。
新型コロナ感染症病床について、県立病院が確保している病院と病床数、実際に入院患者を受け入れた病院数を示してください。
【経営管理課総括課長】
新型コロナウイルス感染症に対応する病床の確保についてですが、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるため、県立病院においては、6病院に22床配置しております感染症病床を含め、15病院で約230床の受入病床を確保しているところでございます。
これまでに10病院において、約200人の感染患者を受け入れてきたところでございます。
【斉藤委員】
大変大きな役割を果たしていると思います。
それで、新型コロナに対応した結果、保健福祉部でも聞きましたけれども、入院患者は9%減、そして外来は9.3%、そして減収は4.2%ということでした。4.2%というのは額で言うとどのぐらいの減収なのか。さまざまな支援策があったと思いますけれども、この支援策も含めて4.2%の減収ということになるのか示してください。
【経営管理課総括課長】
1月の経営収支の状況で申し上げますと、4.2%というのは金額にいたしまして31億5000万円になります。
それで、クラスターに備えて病床を空けておくということで減収がかなり大きくなってございます。ざっとの試算でございますけれども、決算見込みベースで申し上げますと、空床補償をもらう病院でどれぐらい空けているか、そこの病院の入院単価・診療単価をざっくりかけますと、だいたい県立病院全体で50億円の減収になるということでございました。今年度、補助金として空床補償補助をいただけるものが、まだちょっと確定はしておりませんけれども、48億数千万円程度と見ておりますので、基本的には空床をしていた分については県の方から補助として手当をいただけるものと考えております。
【斉藤委員】
そうすると、そうした空床補償を含めて最終的に31億5000万円の減収と、こういうことでいいんですか。
【経営管理課総括課長】
先ほどの31億5000万円の数字は1月末での保健福祉部での答弁に合わせてやったものでございます。
2月補正で出してございまして、そちらでは決算見込みということで出した予算でございますけれども、そちらの方では全体で82億円程度の減収ということでございます。そのうち、コロナ補助金、空床補償も含めました48億円も含めたさまざまなコロナの補助金によりまして、55億円程度の補助金が入っております。あと、それ以外のところについては、患者さんの受診控えですとか、そういった間接的なところの部分による減収が大きいものと考えておりますけれども、先ほども申しましたけれども、過度な受診抑制がやはり重症化につながるといったような普及啓発を今後も行って、きちんと適正な受診をしていただくように今後とも呼びかけていきたいと思っております。
【斉藤委員】
2月末で、最終的見込みとしてナンボ減収になるのかというのを、最終的に正確にお答えください。
市立病院に行ったときにも、やはり患者数減少して、感染状況を見たら、いま受診を抑制する状況じゃないんですよね。そして、かえって病状が悪化しているケースがすでに出ているという、こういうこともお聞きをしてきましたので、岩手の場合は、本当に受診抑制をする状況では客観的にはないと思うので、そこらも適切に対応していただきたいと思います。
【経営管理課総括課長】
先ほどの最終的な医業収益の減額の見込みでございますけれども、2月補正でございますので、3月までの見込み、今年度全体の見込みということでございます。令和2年度当初予算との比較で見ますと、医業収益が82億9300万円減少するという見込みを立てているところでございます。
【斉藤委員】
だから、医業収益は82億円減収すると。しかしそれに対する補てんもあるわけですよ。空床補償でかなりの額が。だからそれを含めて最終的な損益はどうかと。
【医療局長】
医業収益の減は先ほど課長が答弁した通りでございますが、補助金等のさまざまな措置がなされまして、最終の決算見込みでは、2億から3億程度の赤字にとどまるのではないかと思っております。場合によってはもう少し好転するかもしれません。
・県立病院でのクラスター発生の要因と対応、教訓について
【斉藤委員】
それから、中央病院で患者の集団発生までいくか、ありました。この要因と対応、教訓について示してください。
【業務支援課総括課長】
県立病院における新型コロナウイルス感染症の院内感染についてでございますが、入院後に陽性が判明した患者がいらっしゃいましたけれども、入院した時点で発熱などの新型コロナウイルス感染症を疑う症状が無かったため、PCR検査を実施しておらず、一般の患者さんとして他の患者さんと病室等を共用していたほか、職員においても個人防護具(PPE)の着用など、感染症患者さんとしての対応を行っていなかったことが要因であると考えております。
これまでも中央病院におきましては、厚生労働省の指針を基に、発熱等の症状や感染者との濃厚接触歴など、感染が疑われる患者にはPCR検査を実施してきたところでございますが、今回の事例などを踏まえまして、院内での感染対応マニュアルを改正し、感染の拡大状況に応じてですが、全身麻酔下の手術や上部消化管内視鏡検査等を実施予定の患者にはスクリーニング検査としてのPCR検査の実施を検討するほか、人口10万人当たり1週間の新規患者数15人以上になるなど流行が爆発的な時期におきましては、入院する患者さんのクリーニング検査の実施も検討するなどの感染防止対策を行ってきたところでございます。
今後、中央病院での経験を、全県立病院で共有しながら、引き続き院内感染防止に努めていきたいと考えております。
・県立病院におけるPCR検査の実施状況について
【斉藤委員】
中央病院の院内感染の教訓、やはりPCR検査を徹底するというのが大変大事だったと思うんですね。
それで、県立病院におけるPCR検査の実績をお聞きします。どれだけ自院で検査されているのか。そして職員に対してもどういう検査が行われたのか示してください。
【業務支援課総括課長】
県立病院における検査の実施状況についてでありますが、県立病院では、LAMP法などの検査機器を順次導入し、検査体制の強化を図ってきたほか、民間業者への検査委託を行うなど、積極的に検査を行い、院内感染防止に努めてきたところでございます。
検査対象につきましても、咳や鼻水、発熱、全身倦怠感など、新型コロナウイルスが疑われた場合の行政検査に加え、県内の感染状況を踏まえ入院前に検査を行うなど、対象範囲を広げて検査を実施してきたところでございます。
検査の実施状況、件数につきましてですが、2月末現在におきまして、県立病院でのPCR検査は6912件、県立病院における抗原検査については933件実施しているところでございます。このうち、職員につきましては831件検査を実施しているところでございます。
【斉藤委員】
職員は831件ということで、これは職員に対する、医師・看護師含めて、もっと積極的にやるべきなのではないのかと。保健福祉部でも紹介しましたけれども、例えば新型コロナに対応した看護師は、9割が精神的な苦痛・不安を感じながら、本当に会食も旅行も何もしないで頑張っておられると。そういうところで本当に不安を感じているところについては、病院の状況ももちろん考慮しなければだめですけれども、せっかく県立病院としては自前で検査体制があるわけだから、積極的に医療従事者のPCR検査に取り組むべきだと思いますがいかがですか。
【業務支援課総括課長】
県立病院職員への検査につきまして、濃厚接触者として行政検査の対象になった職員のほか、感染の危険性が少しでも疑われる場合には、積極的に検査を実施しているところでございます。
具体的には、入院した患者が後からコロナ陽性者と判明するなど、コロナ患者として認識していない状況下で対応してしまった場合や、濃厚接触者とまでは行かないものの、短時間でも接触した可能性が考えられる場合についても、積極的に検査を実施しているところでございます。
なお、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会の見解では「定期的あるいは網羅的な検査は、市中感染リスクが高くない状況では推奨しない」としておりまして、今後、感染リスクが増大した場合には、県の検査方針に則り適切に対応してまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
どうも専門委員会の見解が障害になって、やれるべき検査が進まないという感じをいたしますが、この第2回経営委員会の資料を見ましたら「PCR検査機器を南光病院を除く19病院に整備」となっておりましたが、これは19病院でこれからは自前の検査ができるということになりますか。
【業務支援課総括課長】
委員ご指摘のとおり、南光病院を除いた19病院におきましてそれぞれ自前で検査が実施できる体制が整うところでございます。
【斉藤委員】
検査体制がそのように強化されていることは大変評価をしたいと思います。
・医師確保について
【斉藤委員】
医師の確保についてもさまざまな議論がありました。
私は、県立病院の経営計画に対して、これまでどれだけの医師の確保になったのか。来年度の見通しを含めて示してください。
【医師支援推進監】
経営計画に対する医師確保の見通しについてでございますが、経営計画では、令和元年度から令和6年度までの6カ年で81名の増員を計画しているところでございます。令和2年度末までに、医師28名を増員する計画に対しまして、令和3年1月1日時点での配置実績は9名の増員にとどまっているところでございます。
来年度の見通しについてでございますが、令和3年度末までに医師40名を増員する計画に対しまして、令和3年4月時点で39名の増員となる見込みでございます。目標に向けましてはまだ1名足りないということになりますので、引き続き、令和3年度末における目標値の達成に向けて、医師の確保に努めてまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
奨学生医師の配置は順調に進んで、来年度100人という答弁がありましたが、臨床研修医が計画に対してうまくいっていないと。臨床研修医の確保がうまくいかない理由と、今後の対策を示してください。
【医師支援推進監】
臨床研修医が減少した要因、あとは確保対策ということでございますが、今年度の1年生が少なかったと、マッチングが思うようにいかなかったというところが大きい理由ではございますが、理由としては様々な要因が複合的に影響しているものと考えられますけれども、一因としては、医学生が臨床研修後の専門研修を見据えまして、専門研修の指導体制やカリキュラムが充実している都市部の病院や大規模病院を志向していることが考えられます。
県立病院といたしましては、臨床研修医の確保のため、各研修病院における研修プログラムの充実を図るとともに、県立病院に勤めながら専門医を取得できる環境を整備する、あとは医学生を対象としました合同説明会の実施や奨学生面談によりまして、病院見学者の増加に努め、県内での臨床研修の実施を働きかけていく、というようなところを努めていきたと思います。
また、今年度からでございますが、専門研修の指導医になれる方々に対しまして、指導医の手当を創設いたしまして、経済面でも支援していくという形で対応してございます。
・看護師の労働条件の改善について
【斉藤委員】
最後に、看護師の労働条件の改善についてお聞きをいたします。
月9回以上の夜勤の状況はどうなっているのか。改善の取り組みはどうなのか。
私は、遠野病院における超過勤務手当不支給の問題が、釜石の労働局に訴えがあって、これは是正されると。きわめて深刻な問題がありました。この問題について、きちんと医療局としてどう受け止めて、そういうことが再び起こらないような手立てをとっているのか。このことをお聞きをいたします。
【職員課総括課長】
看護職員の月9回以上の夜勤の状況についてでありますが、月9回以上の夜働に従事した看護職員の数は、今年度12月までの実績で15病院、延べ732人となっております。令和元年度の同じ時期と比較して延べ200人減少しているところでございます。
医療局においては、これまで、育児休業取得者等の代替職員の正規職員による配置、夜勤専従などの多様な勤務形態の導入、採血業務の臨床検査技師への移管などのタスク・シフティング(業務移管)等の取組を行い、夜勤回数の抑制に努めてきたところでございます。
また、今年度においては、新たに外部専門家を通じた業務の見直しや、病児保育を導入し院内保育の充実など、職員の負担軽減を図り、働き方改革に資する取組を推進してきたところでございます。
今後も、こうした取組を行うとともに、県立病院間で相互応援を行うなど、各病院における業務の繁閑に適時に対応しながら、看護職員1人当たりの夜勤回数の抑制に努めていきたいと考えてございます。
次に、県立遠野病院の超過勤務手当についてでございます。超過勤務を適正に把握し管理していくためには、事前に命令して事後に確認するという手続きの原則や、超過勤務として行う必要がある業務の内容等について職場内での十分な理解と共通認識の下に、必要な超過勤務についてはしっかりと認めるということが重要であります。
適正な申告がなされるよう、普段からコミュニケーションをとり、各職員が必要な超過勤務における業務内容および勤務実態について相談しやすい職場づくりに努める必要があるものと認識しております。
看護科の全職員を対象とした聞き取りの結果、超過勤務を申告しづらい雰囲気があるなど、職員間の意思疎通が必ずしも十分でない面があったことを踏まえ、院内での業務調整や職員サポートを担当する看護師を2名配置するなど、看護師9名を増員し体制を強化したほか、職員の人事配置に配慮するなどの職場環境の改善を図ったところでございます。
また、職場単位で、対象となる業務の内容等についての共通認識を深めるため、具体的な例を挙げながら話し合うなどの取組を進めたところであり、この遠野病院の取組を他の病院にもお知らせするとともに、ICカードの打刻や超過勤務命令などを適正に行うよう、各病院に周知・徹底したところでございます。