2021年3月17日 予算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑
(大要)


・新型コロナによる事業者への影響と支援について

【斉藤委員】
 新型コロナによる県内事業者への影響と対策についてお聞きをいたします。
 事業者の影響、売り上げの減少、減少率の大きい業種、これを示してください。

【経営支援課総括課長】
 事業者の影響、売り上げ減少の状況についてでありますが、商工指導団体と連携し、経営状況等について毎月アンケート調査を行ってきたところであります。直近の1月末時点の調査において、1月の売り上げ実績について集計しましたところ、前年同月期と比較し、0〜20%減が38%、21〜40%減が30%、41〜60%減が18%、61〜80%減が8%、81〜100%減が4%となってございます。41%以上の減少の割合は、計で30%となっている状況であります。
 業種別の状況でありますけれども、特に前年同月比40%以上の減のところでとなりますと、1月末時点の調査で飲食業が49%、宿泊業が58%、運輸業が48%と、これらの業種について特に厳しい状況が続いているという認識にございます。

【斉藤委員】
 いま答弁があったように、41%以上の売り上げ減少、1月は全体では30%だった。12月は26%でしたから、1月は悪化したということになります。その中で、一番影響があったのは宿泊、41%以上の売り上げ減少が58%です。そして飲食が49%、運輸が48%と。
 そこで、今までも議論になったので、地域企業経営支援金支給事業―いわゆる1店舗40万円の新たな施策、これは全体としては積極的な施策です。県として始めて直接支援を行うということですから、これは積極的な施策なんだけれども、いわば売り上げ減少の業種に対応しているかと言うことが一番の問題なんですよ。一番売り上げ減少が大きい宿泊業に対して1店舗当たり40万円だったらこれは支援にならないんじゃないかと。これはいかがお考えですか。

【経営支援課総括課長】
 地域企業経営支援金支給事業についてであります。首都圏等で緊急事態宣言が発令されている中で、非常に厳しい経営状態が続いている県内事業者の方々に、できるだけ速やかに給付を実行する必要があるという点を最優先に制度設計したものであります。
 事業者における事業規模に配慮しており、複数店舗がある事業者には一事業者当たり個人100万円、法人200万円を上限とし、店舗等の数に応じて支給することとしており、できるだけ個々の事業者の営業実態に沿って運用していきたいと考えております。

【斉藤委員】
 答弁になっていないのです。それは議案に対する質疑で聞いた答弁そのまま。1店舗当たり40万円というあなた方の基準は飲食店の基準なんですよ。宿泊・ホテルには対応しない。売り上げの規模が違うんだから。だから実態に合わないでしょうと言っているんですよ。一番打撃を受けている宿泊に対しては、この基準では十分な対策にならない。この制度設計でいうんだったら、個人事業主は最大100万円、法人は200万円だから、宿泊には200万円補助すると。こういう今の制度上限で、こういう運用ができるんじゃないかと。これは部長に聞きましょう。売り上げの減少一番大きくて売り上げの規模も大きい宿泊に対して、あなた方のスキームからいって、運用を、この法人200万円という定額補助を宿泊にすべきだと思いますが、部長いかがですか。

【商工労働観光部長】
 先ほど経営支援課長から、店舗数に応じてということで答弁をさせていただきましたけれども、複数店舗等がある事業者には、店舗等の数に応じて支給することとしております。これまでも感染症対策補助などは、同じ施設の中でも、営業区画が独立しているような、そういう営業をしている場合にはそれぞれ1店舗として取り扱うということで、その事業規模の大きい事業所に配慮してきたところであります。例えば宿泊事業者でいいますと、新館と別館を持っているような場合には、2店舗として扱うというような、そういう仕組みにしておりますのでご理解いただきたいと思います。

【斉藤委員】
 飲食店は席が10席20席ですよ。ホテルどうですか。全然基準が違っていると思いますよ。そして一番打撃を受けているんですよ。先ほど言ったように、41%以上の売り上げ減少が58%ですよ。
 先ほど但馬さんが具体的な実態も言いました。やはり一番打撃を受けているところに、実態に合って、私の提案はきわめて具体的なんですよ。あなた方のスキームで、運用を変えて、法人の最大限度200万円というのを、宿泊業者には定額200万円ということで運用を見直せば、速やかに難しいことなく実施できるんじゃないでしょうか。部長にもう1回聞きましょう。飲食店とホテルの規模はあまりにも、10倍20倍以上、もっと違いますよ。運用を見直せば今のスキームでできるんじゃないですか。それを検討すべきじゃないですか。

【商工労働観光部長】
 事業規模への配慮として、店舗数等に応じてということで、営業区画が独立して営業している場合にはそれは複数として扱うということでありますので、宿泊施設もやはり事業者によってさまざまな経営形態がありますので、そういったところで先ほどの答弁の通り、棟が複数ある場合には複数店舗として扱うことができるという風な運用をしようと考えております。

【斉藤委員】
 棟と言っても、8階建てもあれば10階建てもあるんですよ。例えば、民宿とホテルは100万円と200万円にするとかありますよ。しかし、やはり何百室と確保しているホテルを飲食店の基準で40万円というのは全く実態に合わない。そのぐらい柔軟性を持ってやるべきじゃないですか。予算が足らなかったら補正したらいいじゃないですか。地方創生臨時交付金は40億円来年度残っているんですよ。せっかくの今回の地域企業経営支援金支給事業―直接補助に踏み込んだ1店舗40万円というのは積極的だと思います。飲食店にとっては積極的、しかしホテル・宿泊にとっては、これでは何ともならない。そこを最大限運用を見直して、やるべきじゃないですか。部長、本当にそう思いませんか。私の言っていること無理ありますか。私はきわめて柔軟なことを言っていると思うけれども、どうですか。まだ実施されていないんだから。運用を見直すことは可能でしょう。検討すべきじゃないですか。

【商工労働観光部長】
 限られた財源の中で、できるだけ多くの業種、そしてできるだけ多くの事業者の皆様に支給したいということでこういった基準を設けたものでありますので、ご理解賜りたいと思います。

【斉藤委員】
 商工労働部長の岩手の経済を担う部長として私はきわめて残念な答弁だ。やはりホテル・宿泊業界の痛みが残念ながら伝わらない。私も関係者に聞いていますけれども、もう融資限界なんですよ。融資というのは返さなくちゃいけないんだから。いつまでも融資融資でつなげない。もう1年つないできたんですよ。そしてこの第3波で今まで以上の打撃を受けているんですよ。
 今日東京は409人の感染者出ていますよ。まさにリバウンドで、これ本当に景気対策と言うんだったら、本当は感染を徹底してなくすことなんです。これ以外に景気対策はないんですよ。感染が広がっているときに、岩手がいくら感染者が少なくたって全国の影響を受けるんだから。県の独自の努力というのはきわめて限界がある。本当の景気対策は感染を止めることです。残念ながら今の菅政権、後手後手だ。それは指摘をしておきますよ。
 そういう点で、やはり業種・業態、運輸も対象になるんですか。

【経営支援課総括課長】
 今回の支援金の対象業種については運輸業も含まれてございます。

【斉藤委員】
 じゃあタクシー会社は何台持っていても40万円ですか。

【経営支援課総括課長】
 今回の支援金については、店舗等施設に応じて支給をするということでございますので、車両は施設というところの判断は難しいのかなと考えてございます。

【斉藤委員】
 そうするとせいぜい営業所単位ですね。この運輸・バス、これも実態に合わないと思います。ホテルと同じです。ならせめて、せめて100万円200万円という、こういう業種には実態に合わせた支援策にして、不公平感が出ないようにすべきだと。せっかくの良いことも、こういう弱点・欠点があると「なんだ」ということになるんですよ。私は積極的に全体として評価しています。しかしこの欠点をできるだけ補っていただきたい。
 本当にこれ3月末からということを言っているんですけれども、今日の皆さんの議論を踏まえてぜひ検討してください。部長、検討してください。

【商工労働観光部長】
 さまざまご議論いただいたところでありますので、どういった形で要件のところをですね、運用するかというのは、まだ細部完全に詰め切ったわけではありませんので、そこは検討させていただきます。

【斉藤委員】
 部長、今度はまた違ったところに行くそうですから、立つ鳥跡を濁さずで、立派な仕事をして、新しい部署で頑張っていただきたい。よろしくお願いしたい。

・東日本大震災津波からの生業の再生の現状と課題について

【斉藤委員】
 次に、東日本大震災津波からの生業の再生の現状と課題についてお聞きをいたします。
 被災市町村の商工団体会員事業所による被害状況調査の結果はどうなっているでしょうか。どれだけ再建をして、どれだけ廃業になったのか。直近のデータで示していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 被災市町村における商工団体会員事業所の被害状況調査によれば、令和3年2月1日現在の状況でありますが、被災事業者4341者のうち、営業継続・再開が2976者、営業未再開が15者、休業が26者、転出が76者、廃業が1237者となってございます。

【斉藤委員】
 商工団体の調査によると、被災した事業者の再開は68.6%です。これ2ヶ月〜3ヶ月ごとの調査なんですけど、残念ながら微減をしています。そして廃業が28.5%、これが微増しているんですね。再開したのは68.6%で、例えば陸前高田市は50.2%です。山田町が54%、大槌が54%。いわば被害が大きいところは半分ぐらいしか再開できていない。だからこういう実態を見て、再開したところがやはり営業継続できるような支援をぜひ強めていただきたい。
 次に、岩手の場合は仮設施設での営業再開、特に商業者の場合にはこれが大変たくさんありました。現在どれだけの仮設入居者が本設移行しているのか。廃業の数も含めて示してください。

【経営支援課総括課長】
 令和2年6月末現在で、仮設に入居している商業者の数ですが、9者となってございます。
 商業者の仮設からの入退去の状況についてであります。これは令和2年12月末現在であります。これまでの入居実績は731者、退去者は722者となってございます。退去者のうち、仮設施設の再譲渡を受けた商業者を含めて本設移行した商業者は572者となっております。廃業等その他理由により退去商業者は150者となっております。

【斉藤委員】
 この仮設施設については、丸10年間しっかり施設での利用が保障されたということは、私は岩手にとっては、いち早く再開して本設移行に結びつけた大変大事な取り組みだったと思います。
 それで最後の質問になりますけれども、生業の再生が今道半ばであり、新たな困難に直面をしています。特に水産加工業についてお聞きします。
 震災・大不漁・新型コロナ、この三重苦の下で、水産加工業は原材料の不足と原材料の高騰、そして販路の困難、新型コロナによる需要減と大変な状況になっていますけれども、この現状、打開策はどのようになっているでしょうか。

【経営支援課総括課長】
 生業の再生に向け、事業再生計画の見直し、販路開拓、商品開発など、事業活動において生じるさまざまな課題があったところに、新型コロナウイルス感染症の影響も受けており、これらの対応が急務となってございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者が、国・県の支援策を活用し新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築、あるいは生産性の向上等に向けて主体的に取り組むよう、商工指導団体・産業支援機関等と連携し、事業計画の策定を支援する中小企業再生支援事業を令和3年度当初予算に盛り込んだところであります。
 また、新商品の開発や販路開拓に取り組む事業者には、県や国のアドバイザーを派遣するとともに、商談会などへの出店を引き続き支援することとしております。
 さらには、沿岸広域振興局において、大手コンサルタント会社の協力を得ながら、経営指導などを行うとともに、水産加工業等に対する改善等生産性向上に対する取り組みを支援することとしております。
 引き続き、商工指導団体・産業支援機関等と連携し、事業者の経営課題解決に向けてきめ細かに支援してまいります。

【斉藤委員】
 1月に、議会で釜石の津田商店の社長さんを呼んで、水産加工業の実態を私たちも教えていただきました。その時に、この大不漁の状況について「大変深刻に受け止めている」と。実はいま、漁獲量のトップ3が変わっているんだと。平成21年度は、サケ・サンマ・スルメイカ、これは今でも主要魚種です。令和元年は、マイワシ・サバ・ブリだと言うんですよ。いわば南の魚がどんどんこっちに来て、今まで獲れた魚が獲れなくなってきている。大変な大不漁であります。
 そこで、魚種転換が求められているんですね。獲れる魚で勝負すると。これも大変大事なことです。ただ、津田商店の社長はこう言いました。「魚種転換といったって、今の設備・機械がそのまま使えるわけじゃないんです。新たな設備投資が必要なんです」と。いま獲れる魚で勝負しようと思ったら、新たな設備投資に対して、やはりグループ補助並の支援をしないと、苦境に陥っている水産加工業者、新たな展開は難しいんじゃないかと。この魚種転換に対する新たな支援策が必要だと思いますけれどもいかがでしょうか。

【産業経済交流課総括課長】
 魚種転換にかかる設備投資のお話がございました。現在のところはですね、国の各種補助制度の導入ですとか、設備対応事業の活用などを促しておりますほか、岩手県産業アドバイザーの派遣によります商品開発ですとか販路の開拓を支援しているところでございます。

【斉藤委員】
 グループ補助を受けて再建をした事業者、震災前の売り上げを戻しているというのは全体で44%、水産加工で言うと33%なんですね。だから、厳しい状況の中でも3分の1の事業者は震災を乗り越えて頑張っていると。
 1つの特徴はやはり通販ですよ。いま巣ごもりで、すぐ食べられる、そういうところに直接販売するという、そういう工夫が大変成功しているという。厳しい中でも、どういう形でここを乗り越えているかという、素晴らしい事例などもよく研究して、グループ補助というのは会社の共同で地域の経済立て直そうということで、この趣旨も踏まえて、沿岸被災地の基幹産業である水産加工業の本格的な再生に向かって取り組んでいってほしい。最後に一言だけでいいですから、部長よろしくお願いします。

【商工労働観光部長】
 魚種の転換等については、国の設備投資への助成制度であります水産バリューチェーン   事業ですとか、復興水産加工業販路回復促進事業と、こういった事業もございますし、経済産業省系では、ものづくり商業サービス高度連携促進事業など、国の事業さまざま使えるものありますので、その辺の周知を図りながら支援をしていきたいと思いますし、水産加工業者の中には、新商品開発あるいは業態転換ということで、そういったことに積極的に取り組んで経営改善を図って、そして成果を上げている企業さんもいらっしゃいますので、こういった業者が増えていくように引き続き支援してまいります。