2021年3月17日 予算特別委員会
千田美津子県議の商工労働観光部に対する質疑(大要)
・コロナ禍による県内中小企業の倒産・廃業について
(千田美津子委員)
今年度、新型コロナの影響によって全国の中小企業倒産件数は負債額が1000万以上で792件。産業別では飲食業や宿泊業を含むサービス業の倒産が最も多く、建設業、そして小売業と続いております。そういう中で県内の中小企業の倒産・廃業はどのような状況でしょうか。
(関口経営支援課総括課長)
県内で倒産、廃業した事業者の推移について、東京商工リサーチの調べによると、令和2年1月から12月末までの1年間の県内事業者の倒産件数は、42件で昨年比同数となってございます。そのうち、新型コロナウイルス感染症の影響による倒産件数は、6件となってございます。
また、令和2年1月から12月末までの県内事業所の廃業は、厚生労働省が取りまとめている雇用保険の届出状況によると、事業所の廃業は802事業所で、昨年比27事業所の増でございます。感染症の影響によるものについてはデータとしてございません。
(千田委員)
昨年1月から12月末までの倒産件数は42件、前年と同数とは言われましたがやはりコロナによる影響での倒産は6件、それから廃業事業所が802事業所、前年比で27事業所の増ということでありました。これについてはコロナとの関連がわからないということで了解しました。大変な数になるわけですけども、今心配なのは企業の倒産によって賃金が未払いのまま退職をする労働者が多いのではないか、ということで国ではそれに対応しております。岩手県内の労働者のそのような状況については把握をされていますか。
(今野労働課長)
県内の労働者の方々の賃金の未払の状況については把握してございません。
未払い賃金の立替制度の状況でございますが、今年度認定が4件ありましたが、コロナ関連の倒産にかかるものは0件。一方で、コロナの関連での賃金の相談は3月12日時点 で、129件ほど寄せられているそうですが、立替えの認定に至ったものはないということでした。
(千田委員)
労働局が管轄にはなると思いますけども、実は厚労省が未払い賃金が多いのではないかということで事業主に代わって支払う、未払い賃金の立替払制度がありますけども、それにこのコロナ関連で222億円計上しております。是非、労働局とも連携をしながらそういう労働者がいた場合、是非とも把握をする努力をしていただきたいですし、労働局との連携をさらに密にしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
(今野労働課長)
県内の労働者の方々の生活が不安定にならないような形で対応していく必要があると存じており、労働局とも必要な連携を引き続き図ってまいりたいと考えてございます。
・復興に係る中小企業支援策について
(千田委員)
次に復興に係る中小企業支援策についてお聞きします。中小企業東日本大震災復興資金貸付金は被災事業者に事業再建や経営の安定に必要な資金を貸し付けるものですがこの間の実績と新年度の見込みについてお聞きいたします。
(関口経営支援課総括課長)
中小企業東日本大震災復興資金貸付金については、平成23年6月に制度創設し、融資 実績は、平成23年6月から直近、令和3年1月末までの累計で、20,582件、4,111 億9,614万円となってございます。令和3年度の融資枠は125億円と設定してございます。
(千田委員)
実質9年半の実績をお答えいただきましたが、件数とすれば20,582件、約4,112億円の資金が貸し付けられました。これまでの融資によって中小企業も順調にいっていると思うんですが、ただ如何せんコロナとそれから沿岸地域は水産業の不漁の問題で大変な事態が起きていると思います。3年度の枠が125億円ということで見てみるとのことですが、これらの融資は今後どのような状況なっていくか見通しについてお聞きします。
(関口経営支援課総括課長)
3年度は融資枠を125億円と見込みましたが、令和2年度に実施しました新型コロナウイルス感染症対応資金と新型コロナ感染症対策資金の2つの融資制度が、かなり事業者のニーズが高く、実際には震災復興資金も借りられますが、より有利な条件であるコロナ関連資金を借りるという事業所も多くおられます。そういった事情も踏まえて、125億円の設定の中で、十分対応可能であると考えてございます。
(千田委員)
事業者にとって使いやすい資金を的確に貸し付けていただくということは、非常に大事になってくると思いますので引き続きよろしくお願いをします。
・中小企業等事業再構築促進事業について
(千田委員)
次に中小企業への支援メニューは様々あるわけですが、中小企業等事業再構築促進事業についてお聞きします。私はこれを推進ではなくて、慎重にやるべきでという立場におります。なぜかというと、この事業は必要な人にやるというよりも、事業転換と事業再編成を迫るものと言われております。補助額から見ると中小企業は100万円から6000万円、中堅企業100万円から8000万円という、すごくいいもののように見えますけども、これは実際作った目的がいろいろとありますので、慎重にやっていただきたいなと思いますがいかがですか。
(関口経営支援課総括課長)
事業者の事業活動を今後どうするかといったことについては、それぞれ考え力があると思います。コロナの影響が長期化した場合には違う展開をしていかなければならない業種・事業者もおられるものだと思っております。
設備投資とか様々な諸費用にこの補助金を有効に活用していただくことも有効な方策だと考えでございますし、ここまで高額な補助金じゃなくても。自分たちで取り組める販売促進等の取組については、小希望事業者持続化補助金もございます。
こういった補助制度を、事業者の状況、ニーズに応じて支援していきたいと考えており ます。
(千田委員)
中小企業がそれぞれに必要なものを補助としてもらい、生き残る作戦を立てていくということで、様々検討されていることは非常に大事ですけども、要件を見てやはりなと思ったことがあります。それは補助事業が終わったあと3年から5年で付加価値額の年率平均が3%以上増加していること、あるいは従業員一人当たりの付加価値額が年率平均3%、 一部5%以上という、この達成が条件づけされているわけですね。ですから本当にこういうところを見ますと体力のある企業、合併しなければならないということでそういうことに使われる補助金になっていく、見ますと最高1億円までもらうという中身になっているので、これは頑張っている中小企業を応援するというよりも、体力のある企業に限られる支援策ではないのかなと見えるわけですがその点いかがでしょうか。
(関口経営支援課総括課長)
委員ご紹介のとおり、新たな取組については計画の策定が必要であり、その計画には当然目標設定が必要になってくるものと思います。そういった点での要件設定になっているものと考えてございます。
実際に、この要件がどう運用されるか、現時点では国から示されておらず、お答えできませんが、私どもが考えとすればこういった補助金を活用しながら、加えて事業者が色々なことに取り組むにあたっては、大きい、小さいに関わらず、事業計画を作っていくことが大事であると考えております。
大きい企業にはそれなりに時間をかけてやる計画もありますし、小規模については、売 上の見通し、あるいは損益の見通しを見極めながら、どういったところを有効にすれば計画が上向くかといった計画作りが大事だと思っております。そういった点を含めて、商工指導団体と連携しながら支援してまいります。
(千田委員)
いずれ補助金をもらうことにして、後から失敗したという事にならないように、ぜひ関係団体と連携しながら中小企業の力になるような取り組みを引き続きお願いします。
・事業復興型雇用確保事業費補助について
(千田委員)
次に再就職支援と雇用確保策についてお聞きします。まず一つは、事業復興型雇用確保事業費補助であります。これは被災地の事業所が被災求職者を雇用する場合に雇入れに要する経費を補助するものありますが、どのくらいの雇用を見込んでおられるのかお聞きします。
(田中雇用推進課長)
事業復興型雇用確保事業費補助についてでありますが、被災地の中小企業が被災求職者等を雇用する場合に、産業政策と一体となって雇用面から支援を行うもので、計画的な人材育成や職場環境整備などを含む雇入経費の助成及び、求職者の雇入れのため、住宅支援の導入等による職場環境の改善を図り、かつ雇用の確保・維持を達成した事業所に対しての住宅支援経費について3年間助成を行うものです。
本事業はこれまで、平成23年度から28年度までの事業復興型雇用創出事業と、平成 29年度からの本事業により雇用を創出しており、令和2年度実績見込みまでを含めて、3,508事業所において、17,792人に対して3年間助成を行っているものです。
令和3年度は、新規雇用者数を53名と想定し、継続分も含めて114,600千円を当初予算として盛り込んだものでございます。
(千田委員)
この助成金ですが、1人最大3年間交付ということでフルタイム労働者と短時間労働者とで違いがありますが、1事業所当たりの上限が2000万円となっています。これらを利用している事業所数とそれぞれ何人くらい雇用をしているか実態をお知らせください。
(田中雇用推進課長)
それぞれの企業の利用状況については、詳細については整理しておりません。先ほど申し上げました全体の事業所数と雇用者の人数で整理しております。
・業種・地域・職種を越えた再就職支援について
(千田委員)
次に移ります。国は業種・地域・職種を越えた再就職支援へ1,338億円を盛り込んでいますが、県としての予算化はどうなされているのかお聞きします。
(田中雇用推進課長)
業種・地域・職種を越えた再就職支援についてですが、県では、離職者等の再就職支援として、求職活動を行っている離職者等に対する職業訓練の実施経費として5億4,700万円を、雇用保険被保険者以外の求職者が受給する訓練手当に要する経費として2,300万円を当初予算案に盛り込んだところでございます。
また、解雇や雇止めとなった労働者等の早期の再就職に向け、「ジョブカフェいわて」 や県内9か所の「地域ジョブカフェ」においてカウンセリングやセミナーの開催によりきめ細かな個別支援を行っていくほか、必要に応じて岩手労働局等と連携を図りな がら、企業面談会等の支援策についても検討して参ります。
国におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により離職した労働者の再就職支援の新たな取組も実施することとしており、今後も、国と連携しながら離職者等の再就職を支援して参ります。
・高齢者の就業機会の確保に向けた取組について
(千田委員)
70歳までの就業機会確保を企業の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が4月から施行されるわけですが、国は高齢者の就労社会参加へ303億円を計上しておりますが、県としてどうこれを定着させる考えかお聞きします。
(田中雇用推進課長)
高齢者の就業機会の確保に向けた取組について、国では65歳以降の継続雇用延長や、高年齢者労働者の処遇改善に取り組む事業主に対する助成金の支給や、65歳超雇用推進コーディネーターなどによる企業からの相談対応などに取り組むとこととしています。
また、県内では、盛岡、一関、水沢のハローワークに「生涯現役支援窓口」を設け、概 ね60歳以上の高齢求職者を対象に、多様な就業ニーズに応じた企業情報の提供や、シル バー人材センターと連携し、軽易な就業等に関する情報の提供などの支援を行っております。
国の取組を踏まえ、県では岩手労働局と連携しながら、県内経済団体に対する雇用の場の確保に向けた働きかけや、企業に対する国の助成金等の活用を促していくとともに、各広域振興局等に配置している就業支援員による相談対応などを行い、働く意欲のある高齢者が持てる能力や経験を十分発揮できるよう、個人の希望と実情に応じた多様な就業機会の提供や、職場環境の整備を一層促進して参りたいと考えております。
(千田委員)
お話があった施策とともに、どう事業化をしているのか資料を見ましたら、岩手県シルバー人材センター連合会運営費補助ということで900万円予算化しています。私はこれに違和感を持ちました。というのは企業の高齢者の就業機会の確保を企業の努力義務とする法律の改定がなされたのに、岩手としては様々話がありましたが、実質はシルバー人材センター連合会に補助すると、これでは企業の努力義務を引き上げることにはならないのではないかと思いました。なぜこのようなことになったのかその点お聞きをいたします。
(田中雇用推進課長)
シルバー人材センターへの助成については、国におきまして定年退職後の多様な就業ニーズに応じて雇用の場を確保するということで始まったものでございまして、今後におきましても多様な働き方に答えるために、このような制度で高齢者の就業支援を支援しているものと考えております。
(千田委員)
シルバー人材センターに補助金をやってはダメと言っているわけではありません。別な形でもこれまでも支援をしていると思いますが、この改正高年齢者雇用安定法に伴った県の施策としてこれがふさわしいのかと私は聞いているわけでその点お聞きします
(小原定住推進・雇用労働室長)
シルパー人材センターへの補助でございますが、こちらは前々からの補助ということで事務局では人も雇っていますので、人件費や運営について今後も支えていかなければなら ないということで、一定額の補助をしております。それはそれとして、こういう法令ができたということで、流れとすればシルバー人材センターの短期間勤務というよりは、継続雇用として65歳から70歳まで継続的に働き続けていくほうが主流となっていくと思います。高齢者の方々が自分のニーズに沿った形で短時間勤務をしたい方はシルバー人材センターに行きますし、継続雇用のような形を望む方はこちらの法律に基づくというところで、こちらについては、労働局と連携しながらPRしていきます。