2021年3月18日 予算特別委員会
千田美津子県議の農林水産部(第1部)に対する質疑(大要)
・農地の冠水防止対策について
(千田美津子委員)
最初に農地の冠水防止対策についてお聞きします。この防止対策には様々手法があると思いますが、まず湛水防除事業についてお聞きします。昨今、台風とか豪雨災害が多発する中で湛水被害が生じるおそれがある地域においては大変重要な事業だと考えます。その湛水排除の恒久対策として実施されているのが排水機とか排水調整池、排水路堤防等様々あるようでありますが、岩手県内の現状についてお聞きします。
(工藤参事兼農村計画課総括課長)
湛水防除事業は農林水産省の事業でありまして、農地等の湛水被害を発生防止するための有効な事業と認識してございますが、現状は昭和51年度から平成29年度まで、北上川沿いの奥州市他2市の12地区で事業を実施して完了しているところであります。
(千田委員)
事業が実施されているということは分かりますが、いろいろ種類があるわけですが具体で質問をします。奥州市を流れる北上川と県管理河川である衣川下流の合流地点において大変湛水する地帯だということで、今、非常に問題になっています。これは北上川が増水した際に水門が閉まると内水排除ができないために、集中豪雨のたびに20ヘクタールと聞きましたが、そういう農地が長時間冠水している、いわば常襲地帯となっておりまして農作物にも大変大きな被害が出ています。これらへの対応策としては固定式の排水機の設置とか、農作物被害を軽減する目的で実施されている湛水防除事業の導入が必要だと思います。様々要件はあるとは思いますが、これらの実施の可能性についてお知らせください。
(工藤参事兼農村計画課総括課長)
ご質問のありました箇所については、堤防を国土交通省の事業により整備されたもので、その樋門閉鎖に伴う内水対策については、基本的に県と東北地方農政局の「申し合わせ」で、国が保有している移動用排本ポンプ車を派遣することになっていると聞いておりますが、そのあたりも課題になっていると聞いております。
湛水防除事業の要件について、例えば、新たにに設置する場合で、大規模事業の夕イプで受益面積1、000ヘクタール以上、小規模事業のタイプ100ヘクタール以上必要といった要件がございますので、仮に受益面積が20ヘクタールだとこれに該当しないということになりますけども、農地の冠水防止対策については、事業によって採択要件や事業主体などの要件がありますので、地域の実情とか、受益面積、事業費などを勘案しながら、この事業も含め、どのような事業主体で、どのような事業が導入可能かなどについて、関係市町など関係機関とともに検討していく必要があると考えております。
(千田委員)
先ほど紹介ありましたように、国交省が保管している移動用のポンプ車を要請があった時に配置をするという取り決めが相当前にあったようです。ただこの間1回も要請してないのか、配置されなかったのか分かりませんが、ただ岩手県内に7台ほどしかなくて、いざという時にそれらが実際に配置される確実性がないわけですね。それでいろんな手法があると思いますが、農林水産部とすれば湛水防除、面積要件があることは紹介されたとおりです。1000ヘクタールというような規模ではないので小規模の30ヘクタール当たりの該当する可能性もありますので、これは県土整備部との関わりもあるので湛水防除をしていく、農作物を守っていくという観点から、縦割りではなくてその地域を守る取り組みとしていろいろメニューがあるのではないかということで提案をして頂きながら、いま本当に大変な災害が突発的に起きているということからすれば安全対策としても急務であると考えますので、是非そういう立場で取り組んでいただきたいと思いますのでもう一度答弁をいただきたいと思います。
(工藤参事兼農村計画課総括課長)
この件については、奥州市において地域の方々の声を確認されていくようでありますので、関係市町、関係部局とも連携しながら、どのような事業主体で、どのような事業が導入可能かということを検討していきたいと思います。
・パイプハウス等の大雪被害対策について
(千田委員)
パイプハウスへの対応ということで話をします。現在、奥州市、北上も多く3989棟のうち、この2市で74%の被害があったようであります。奥州市の状況を見ますと、中心的な形態等でプレハブとか通常のパイプハウス、あるいはパイプを骨材とする大型パイプハウスの中で農業用機械格納庫や、作業所を設置して営農継続しているのが実態であります。しかし今回の大雪被害でこれらの施設の多くが倒壊し被害を受けました。これらパイプハウスの被害でありますが、さきほど同僚委員の質疑で半分くらいは対象の要件に満たないのではないかという話がありました。支援になるもの、ならないもの、建築基準法の話も出ましたけども、それらについてどのように把握をされているかお知らせいただきたい。それから現在の支援の要件で、今市町村で様々説明をされておりますが、要件でどのようなことが問題となっているのか、掴んでおられればお知らせください。
(中村農業振興課総括課長)
被災したパイプハウスの倉庫ということでございます。具体で言えば農業機械の格納庫 ですが、その棟数は不明ですけども相当数の被害を受けたということは市町村からも報告が上がっています。こうした農業機械の格納庫の再建等にあたっては当然支援の対象にはなりますが、背景にあたっては安全性等も踏まえますと、やはり建築基準法に基づいた施設として建築しなければならないということになっています。
支援要件ですけども、国の事業様々な要件がありますが、先ほどらい話が出ている中心経営体ということですね、地域農業、地域でマスタープラン策定するわけですが、これに位置付けられた中心経営体でないとか、あまりにも小規模とかそういったところでの課題はあるというふうに市町村から伺っております。
(千田委員)
私が紹介したのは中心経営体、本当に大きな規模の方々です。これまでも国や県から指導を受けながら取り組んできた方々です。支援の対象にはなるが、建築基準法の適用でならないということになるのか、確認です。それから飼料用藁を保存するパイプハウスは対象になるが、同じ藁でも敷き藁を保存するパイプハウスは対象外と説明がされていますが、これについて事実はどうですか。そして今回共済加入の条件とか、それから作物を栽培している、あるいは家畜の飼育に供されているかどうか、そして建築確認の有無、これらによって支援から外れてくる方々がかなり多いということですので、この条件をしっかり検証するとともに、これらの緩和がどうしても必要だと思います。事実関係はどうですか。
(中村農業振興課総括課長)
農業機械用格納庫等の再建の支援がなるかということですが、建築基準法に基づいた施設として再建、あるいは修繕がなされれば支援対象になります。また敷き藁、稲藁、パイプハウスの関係ですが、先ほど答弁申しましたとおり、本来保管庫ということであれば建築基準法に基づいた施設として建築しなければならないわけですが、パイプハウスということで、現在、水稲や野菜の育苗施設等は建築基準法の対象外という位置づけにされていますので、こうした敷藁、稲藁等のパイプハウスの取り扱いについては担当の部局と今後調整をして参りたいと考えています。また様々な要件があります。例えばパイプハウスを再建した後には、また被災を受けても再建可能となるように園芸施設共済への加入を義務付けるとか、そういった要件はありますが、要件はありつつも多くの方々を救済するといいますか、支援対象に今回県単独事業でも措置させていただいているところです。
(千田委員)
藁関係は担当と調整するということでありますが、現在の説明会では敷き藁は対象外と説明されています。確認していただきたい。それから共済加入の件については分かりますが、先ほど言いましたように、園芸、水稲関係であればいいのですが、農業機械の部分は共済加入対象外となりますね。ですから例えばパイプハウスを改築して、その後に共済に加入できないということになれば、やはり対象外ということになるのではないかと思うわけですがもう一度お願いします。
(中村農業振興課総括課長)
パイプハウスの場合は園芸施設共済への加入が必須ですが、倉庫あるいは畜舎については国の要件には共済に加入しなければならないということはございません。必須なのはパイプハウスということで、パイプハウスでの畜舎利用は対象外となります。共催加入の義務はございません。
(千田委員)
加入の義務はないということはわかりました。例えば建築基準法は置いといて、そうすると農機具倉庫なども共済の加入の義務はないので、対象にされる可能性もあると理解してよろしいでしょうか。
(中村農業振興課総括課長)
パイプハウスでの農業機械倉庫とのお尋ねと思いますが、これについては機械そのものに油が入っているとか、安全性などもあると思いますので、その点については建築基準法を守るべき倉庫として再建するものと考えてございます。
(千田委員)
るる答弁いただきました。どうやったらこれらの方々を救えるのか、ということで頑張っていただいておりますが、冒頭に言いましたように、今回中心的な経営体の皆さんが県等の指導のもとで作った、農業機械格納庫とかそういう部分が被災しているわけです。1箇所、2箇所じゃないんです。そういうところをどうやったら次の経営に意欲をもってつなげることができるか、ということがかかっていますので是非そういった意味では前向きなご検討をお願いしたいなと思いますので、この点部長にお伺いいたします
(佐藤農林水産部長)
大雪被害でパイプハウスは非常に大きな被害を受けております。農林水産部の立場と致しましては営農再開、いろんなことができるということで国にもいろいろ制度の要望等をお願いして支援を頂きましたし、国の支援対象にならないものについては県単独事業ということで措置をするということで、私どもとしても頑張ってきたと思ってございます。問題となっております建築基準法等の関係等もございますので、どのような対応が可能かということを関係部局と調整を進めているということでご理解をいただきたいと思います。