2021年3月19日 予算特別委員会
千田美津子県議の県土整備部に対する質疑(大要)
・土砂災害警戒区域等指定の見通しについて
(千田美津子委員)
最初に土砂災害警戒区域等の早期指定の見通しについてお聞きします。令和元年度末に県内の土砂災害危険箇所14,348箇所ありましたが、その基礎調査をすべて終了していただき、その結果、土砂災害が発生する恐れのある土地の区域は13,316箇所、東北6県で最も多いわけですが、そういう状況となりました。そこで土砂災害警戒区域及び特別警戒区域の指定の現状についてお聞きします。さらに今年度末までの見込み、新年度の見込みについてお聞きします。
(菅原砂防災害課総括課長)
土砂災害警戒区域等の指定の状況ですが、指定に必要な13,316箇所に対する指定状況は令和3年1月末時点で8,762箇所、その指定率は65.8%、また土砂災害特別警戒区域の指定に必要な12,338箇所に対する指定状況は8,124 箇所、その指定率は65.8%となっております。また、本年度末の見込みですが、現在引続き指定の促進に向けて取組んでおり、3月末の指定率については概ね8割程度まで進捗するものと見込んでおります。また来年度に向けた取組みですが、土砂災害警戒区域等の指定については、警戒避難体制の整備の前提となることはもとより、住民にとって非情に大事な業務と考えており、引き続き市町村と連携しながら令和3年度内に全ての箇所の指定を終えるよう取り組んでいくこととしております。
(千田委員)
昨年9月までの実態も頂きましたが、4ヶ月間のうちに特に宮古市、奥州市、住田町、大槌町等が大変促進をされて全体で61.9%から65.8%まで引き上げられたということで、岩手県は広いだけではなく被災地という体制が少ない中で、この取り組みは大変大事であります。そういった点でご苦労が多かったと思います。また答弁あったように、今年度末までで8割ですか、そして3年度中には100%を目指すという決意を込めた答弁をいただき本当に頭が下がる思いです。この間のご努力に敬意を表したいと思います。これまで市町村と連携して取り組まれてきておりますが、教訓をどのように感じていますか、それから話がありましたが、この指定後の次のステップがまさに県民の命を守るそういう意味で大変重要でありますが、どのように考えておられるかお聞きをします。
(菅原砂防災害課総括課長)
これまでの指定に向けた取組みの教訓ですが、東日本大震災以降特にも沿岸の地方においては指定が人的パワーの問題とか震災復興等でなかなか時間がとれないとか、様々な問題あったところでございますが、最も大事なことは県、市町村が指定の重要性を十分理解したうえで住民に丁寧に説明することだと思っています。
今後これらの指定に向けた新たな土砂災害の取組みという話ですが、これについては、全国で土砂災害警戒区域外でも土砂災害が発生していることを踏まえ、 国の方で今年度指針が出されております。本県においてもこれら国の方針を踏まえ 、新たな危険箇所の調査等を引続き進めてまいりたいと考えてございます。
・胆沢川河川区域内に設置した太陽光発電と築堤工事について
(千田委員)
二つ目ですが、胆沢川河川区域内に設置した太陽光発電と築堤工事についてお聞きします。一級河川の胆沢河川区域に太陽光発電が設置され、そのことに関して2年前の予算総括質疑で取り上げ、この問題は事業開始のために事業者から県に問い合わせがあった際、河川区域ではないとして誤った情報が県から提供されたため、現在、築堤工事が行われているという状況があります。そこで胆沢川の太陽光発電開始への条件、そして築堤工事に係るこの間の経過、さらには築堤工事の現状がどのような状況なのかお聞きします。
(上澤河川課総括課長)
太陽光発電事業開始への条件と築堤工事に係るこの間の経過等についてですが、この太陽光発電事業に係る河川区域内、ここは民地でありますが、河川区域に一部そういった施設が構築されるということで、河川法第26条第1項の許可を行っていますが、その許可要件のうち主な内容は次の2つの点を満たすことになっております。
一つは、治水上又は利水上の支障を生じる恐れがないこと、もう一つは、工作物の機能上、河川区域に設ける以外に方法がないこと、又は河川区域に設置することがやむを得ないこと、こういったことが河川法26条の要件になってございます。
この件については、令和元年5月15日付けで事業者から許可申請書が提出され審査を行ったあと、河川法に定める基準を満たすことが認められたので、令和元年9月30日付けで申請を許可したということで、事業、工事等が始まったものでございます。
現在、この河川区域に係る分のところですが、胆沢川橋上・下流工区とも、河川区域になっているところの土盛工事等が終わっているところでございます。どうしても工事用車両の出入りのために一部堤防を築けないところもありますが、盛土等については概成しているというところでございます。
(千田委員)
盛土は概ねなされているということで、私も現地を見ておりますが、確認したいのは令和元年に許可をしていつまでの工期だったでしょうか。
(上澤河川課総括課長)
当初の許可時点の工期ですが、令和2年9月30日までの工期となっていたものでございます。
(千田委員)
工期は昨年の9月30日ということですが、延長申請が昨年の12月に出されております。その理由が資材の搬入時期のコロナによる遅延とか、大雪による休工のためということで、今年の5月まで延長は出されております。しかし、その延長が出されたのは昨年の12月21日ということで、しかし最初の工期は9月30日ですね。その工期で普通は許可をしているわけですから何故そこで終わらないのか。9月あるいは10月始めにそれらの確認はどうなされていたのですか。
(上澤河川課総括課長)
許認可の関係ですが、当初の許可とその途中に令和2年3月5日付けで盛土施工を行うために積雪時期を避ける必要がある、また土を動かす作業ダンプ等で結構出入りがあるということで積雪を避けるということがあり、令和2年12月31日までの工期延伸の願いが出てございます。そして現在は令和2年12月21日の申請をされたものが令和3年5月31日の工期となっているものです。現在の変更理由としては、今年は非常に雪が多かったということとコロナの関係で資材等の搬入が非常に難しかったということがあり、工期を5月31日まで延伸したいと変更の申請があったものでございます。
(千田委員)
昨年の3月に積雪を避けるということで最初の変更申請があったということで、それは初めて分かりました。
この間、関係者から話が持ち込まれ、今そういう状況でないという話がありました。この築堤工事の元請けは宮城県の会社ですが、工事を行うにあたり1次下請け、2次下請け、3次下請けまであります。ところが元請けとのいろんなトラブル、支払い関係のトラブルで2次、3次の下請けが8月で撤退したと。それで元請けは困り3次下請けの小さなところになんとか工事を続けてくれということで、9月、10月初めまでその3次下請けも頑張ったけれども9月分の工事代金はもらったけども、その後はもらえなかったということで10月の初めに全て撤退をしたと伺っております。ですから下請代金、賃金未払いの状況があり、この工事がおそらく9月末あたりで全てストップしているということがわかりました。私に話を持ってきた方は、築堤が必要なB工区とC工区、上流からA工区、B工区、C工区となりますが、真ん中の「さくらの湯」の周辺のB工区だけを受け持った方が下請代金の未払いで10月7日に撤退をしたということで、後の部分はわかりません。ですから大変な状況です。コロナのために延長するとか、大雪のために延長するそれは表向きの理由であって、実態はそういう工事代金を根幹とする大きな理由がありストップしているという状況を耳にしたので、先月、担当課に調査をしてくれとお話をしましたが、今のような答弁に終わっています。
宮城県の特定建設業の業者なので宮城県も間に入って指導をしている状況にあります。県は築堤工事だけの責任だと思っているかもしれませんが、このまま工事が中断したら先程述べたようにいろんな被害が想定しかねません。この工事がちゃんと完了するようにしっかりと監督すべきだと思いますがいかがでしょうか。
(上澤河川課総括課長)
施工に係る業者の元請け、下請けについて、河川管理者としては契約の部分に関しては立ち入ることはできないと考えてございます。
第2回目の変更申請があった際、事業者から工期等の見通しを伺った時には、4月に再開して5月末までに終わると聞いておりましたので、私どもとすれば申請内容に基づき、許可条件等に基づいた施工がなされていくものと、注視していきたいと考えています。
(千田委員)
この変更申請を信じてやりたいのは分かります。ただこの築堤工事がそもそもなぜ始まったかということが問題なのです。県のミスで始まったということでずっと続くことが耐えられません。住民からすれば、きちんと築堤工事を終わらさせてもらわないと困るわけです。このまま中途半端な形でずるずる行くことが非常に県の責任としても大きくなると思うので、そういった意味で調査権があるのではないかなと思いますがいかがでしょうか。
(上澤河川課総括課長)
河川においては、河川管理者が自ら工事をする場合と、河川管理者以外が河川法の手続きにのって工事を進めている場合とがございます。
こういう河川の占有の工事等についは河川管理者以外の工事については、私どもは河川の巡視によって、自分たちの工事なのか、占用許可を受けてやっている工事なのか、日常のパトロールをもって注視して行きますが、県としては当該工事が適切に行われているかどうか把握するためには、申請に係る許可条件等に基づいた指導等を行いながら、適切に現地の状況等を確認してまいります。
(千田委員)
今の答弁のとおり適切にやっていただきたい。何度も言いたくないのですが、最初の段階が県の失態でこういう状況になったと。事業者が希望して太陽光発電はそうだったかもしれませんが、この築堤については県の見逃しがあって始まりました。ですからこれをズルズル繋がることがないようにきちんと対応をしてもらいたい。そのために適切な監督、指導をやるべきではないかなと思います。大丈夫じゃないかなと思われるかもしれませんが、こういったような事態が起きているということできちんとした対応を行っていただきたい。地元住民が一番不安に思っております。雪のために太陽光のパネルが相当数落ちています。相当危険な状況にあります。それらも含めて地元住民への説明も必要になってくると思いますがいかがでしょうか。
(上澤河川課総括課長)
大雪による太陽光発電への影響と今後の見通しについてですが、今年の冬の大雪による太陽光発電施設の被害について、昨日、事業申請者と振興局の職員等で現地状況を把握してございます。今後の対応等について申請者の方からは3月下旬より破損パネルの回収を始めたいと伺ってございます。なお、築堤工事についての完了時期は5月末を予定しているとのことでしたので、引き続き実施の状況については注視してまいりたいと思います。