2021年3月25日 2月定例県議会最終本会議
高田一郎県議の請願に対する賛成討論全文


 日本共産党の高田一郎でございます
 請願第37号、第38号について賛成討論を行います。

・75歳以上の医療費窓口負担について原則1割負担の継続を求める請願

 請願第37号は、「75歳以上の医療費窓口負担について原則1割負担の継続を求める請願」であります。
 菅内閣は、75歳以上が支払う現行1割の医療費窓口負担を2割にすることを柱とした医療制度改定一括法案を国会に提出しました。窓口負担の対象は、単身で「年収200万円以上」、どちらも75歳以上の夫婦で「年収320万円以上」の世帯であり、これによる負担増となる高齢者は370万人にもなります。
 いま社会保障に求められているのは、第4波と言われるコロナ禍に立ち向かっている医療関係者を支援し、国民の命と暮らしを守ることです。とりわけ感染リスクが高いとされる高齢者の命を守ること、これが最優先であります。こんな時期に後期高齢者の医療費負担の議論をしている場合ではありません。
 高齢者は、消費税増税や年金引き下げ、介護負担の増加のもとで生活費を切り詰めて暮らしています。最近の内閣府の国民生活基礎調査では、高齢者の55.1%が「生活が苦しい」と答えています。しかも、コロナ過の下で「人に迷惑をかけてはいけない」と、自らの行動や健康維持にとりわけ気を配って生活しています。どうしてこんな時期に医療費の負担増を急いで決めなければならないのでしょうか。
 日本医師会の中川会長は「原則1割から倍にする議論をすること自体そもそも問題」「受診控えを生じる政策で高齢者に追い打ちをかけるべきではない」と指摘をしています。
 後期高齢者は、複数の病気を抱え、治療も長期に及ぶ人が少なくありません。だからこそ高齢者の自己負担はこの間軽減されてきました。年をとると入院も増え、それでも医療負担は現役世代などの3〜7倍近くになります。窓口2割負担への引き上げを求めることは高齢者の受診抑制がさらに深刻化することは避けられません。
生活保護世帯が増加するなど高齢者の貧困化が確実に進んでいる中で、年収200万円とはいえあまりにも命を軽視するような無慈悲な政策であります。国民皆保険制度の根幹を揺るがすものではないでしょうか。
 政府は、社会保障給付費は2025年141兆円、2040年には190兆円に膨らむとして、「抑制と負担増は必至だ」と宣伝し負担増を合理化しています。しかし、その国の社会保障給付費は実額ではなく対GDP比で考える必要があります。GDP比では2025年21.8%、2040年24%の水準は、日本よりも高齢化率が低いスウェーデンやフランスが負担している水準よりも低く、厚労省前事務次官も「国民が負担できない水準ではない」と月刊誌の座談会で述べています。高齢化率が世界でトップクラスなのにGDPによる社会支出は欧州諸国より低い、つまり高齢者に必要な給付が行き届いていないことこそ問題です。そもそも高齢者医療の国庫負担を45%から35%に引き下げ、現役世代の保険料負担で肩代わりさせるという制度設計そのものに問題があるといわなければなりません。
 後期高齢者医療制度の保険者である全国後期高齢者医療広域連合協議会は、75歳以上の医療費窓口負担の「現状維持」を求める要望を国に行っています。史上空前の利益あげる大企業に、儲けに応じた税と社会保険料の負担をもとめ、所得の再分配機能を強めることが必要です。長年にわたり社会のために尽くしてきた高齢者に対して、医療費の2割負担を求めることは撤回させ、誰もが安心して必要な医療が受けられるようにするためにも政府強く求めるべきであります。

・コロナ禍をのりこえるためにも、ジェンダー平等施策を強めることを求める請願

 次に、請願第38号は『コロナ禍をのりこえるためにも、ジェンダー平等施策を強めることを求める請願』であります。
 新型コロナウイルス感染拡大は、非正規雇用が多く、家族のケアをより多く担う女性に、とりわけ厳しい影響を与えました。解雇や雇止め、育児や介護などの負担の集中、暴力や虐待の増大が女性を襲いました。女性の自殺者が急増したことは深刻な事態であります。
 昨年は、日本が女性差別撤廃条約を批准してから35年の節目でした。条約を生かす立場で歴代政権がまともに取り組んでいたら、これらの女性たちの苦しみはかなり軽減されていたはずであります。経済効率が最優先で、医療や福祉など人間が生きる上で最も重要であるはずのケアが大切にされない。雇用の場では、女性をはじめ育児・介護などを担う労働者は低賃金の補助的労働があてがわれ続ける。意思決定の場には女性が少なすぎる。こうした社会の大幅な遅れを、自民党政権は長年放置してきました。それが日本をジェンダーギャップ指数121位の「ジェンダー平等後進国」にし、性別や家族の形態などによって差別されず多様な生き方が認められる社会の実現を阻んでいるのではないでしょうか。
 このような現状に「おかしい」という声を上げ行動に踏み出す運動は新たな広がりを見せています。性暴力を訴えるフラワーデモ、職場での女性へのパンプス強制禁止や選択的夫婦別姓、性暴力事件の一連の無罪判決など社会の空気を確実に変えてきました。
 しかし、政府の「第5次男女共同参画基本計画」では「選択的夫婦別姓」の文言を削除し、同性を強要する現行制度に固執し続けています。夫婦同姓を民法で義務付けているのは世界で日本だけであります。女性差別撤廃条約第16条は、性を選択する権利も含まれており、女性差別撤廃委員会からは再三にわたり法律改正の勧告まで受けております。
 内閣府の調査でも、夫婦別性に賛成は43%と、必要ない29%を大きく上回り、50代以下では下半数を超えています。「事実婚では一方の親権がない」「性が変わったため資格の再取得必要」など不利益も起きており、一刻も早い解決が必要です。
 夫婦同姓の義務は、明治憲法で男性優先の家族内秩序がつくられ、女性は法的に無能力者とされた男尊女卑の社会でつくられたもので、そもそも時代錯誤であります。
 女性差別撤廃条約の実効性をさらに高め補強するために1999年に作られたのが「選択議定書」です。権利救済を求める個人の通報制度と国連の委員会が関係国を調査できる制度を設けています。「選択議定書」を批准することは裁判でも救済でない事件の解決や裁判所も条約に沿った判断を出すようになるなど、日本におけるジェンダー平等を前進させる大きな力になるものであり、早期の批准が求められています。
 請願事項である選択的夫婦別姓や「選択議定書」を批准させ、国のジェンダー施策を強めることを国に求めることは遅れている日本のジェンダー格差を着実に克服し実効性あるものにしていく上で大きな力になるものです。

 以上が請願に対する賛成理由であります。議員各位のご賛同申し上げ、討論といたします。ご清聴ありがとうございました。