2021年4月15日 議会運営委員会
発議案に対する反対討論
(大要)


・「東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出決定について、十分な説明と慎重な対応を求める意見書」について

【斉藤議員】
 前の運営委員会では、本会議で討論ができるということで討論の通告もいたしましたが、いま説明があったように、会派共同提案の場合は討論なしが通例ということでありました。
 そこで臨時県議会において、1つは、発議案第1号を日程に追加することについて、日本共産党は反対であります。同時に、発議案第1号、これについても、到底賛成できるものではありませんので、この場をお借りして、その理由についてお話をさせていただきたいと思います。
 この発議案第1号は、「東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出決定について、十分な説明と慎重な対応を求める意見書」であります。
 第一に、この4月13日の関係閣僚会議での決定は、東京電力福島原発事故による放射能汚染水の海洋放出を行うことを決めたものであります。この政府方針に基づいて、十分な説明を求めるということは、基本的には政府方針を認めた上での説明、そして慎重な対応ということになります。これは何の力にもなりません。事実上容認するような意見書は、臨時県議会で採択する緊急性も、採択する意味もないものだと思います。本来、この政府閣僚会議の決定に抗議し、撤回を求める意見書であるべきでありました。
 第二に、これまでの関係者との合意・約束を踏みにじるのが関係閣僚会議の決定でありました。2015年に当時の経産大臣は、「関係者の理解なしには、海洋放出は行わない」と約束をしていました。東京電力は2015年、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と文書で回答していました。この点について、何の協議も説明も、そして理解と合意もなく決定されたのが、今回の放射能汚染水の海洋放出の決定であります。これまでの経過を踏みにじった暴挙だと言わなければなりません。
 第三に、何よりも放射能汚染水の海洋放出は、福島県民・漁民はもとより、福島県内の7割を超える自治体での意見書、県議会での意見書をあわせて、圧倒的多数の県民が反対しているものであります。同時に、海に放射能汚染水を放出することは、三陸の海にも重大な影響と打撃を与えるものであり、県漁連の大井誠治会長はこのように述べています。「風評被害の対策はもちろん、まずは安全性について、国民が納得できる説明をすべきだ。それまでは断固として反対し続ける」。達増知事は13日、「国内外の理解が得られているとは言えないこのタイミングで決定されたことは、時期尚早と考える」。いわば県内の知事、そして県漁連の会長もこういう風に述べている中で、政府の方針を事実上容認するような意見書は、県民に背を向けるものだと言わなければなりません。
 第四に、放射能汚染水の解決の道は、実は科学的に解決されるべきものであって、国が世界中の技術を公募したところ、小規模施設実証実験では99%分離可能とする提案が提出されました。しかし国はこの提案を葬り去った、そのことも最近明らかになりました。「『海洋放出なら34億円でできるが、トリチウム分離には790億円以上の費用がかかる』との試算が出されたためだ」と専門家は指摘をしています。40年かかると言われる放射能汚染水の海洋放出は、本来科学技術的に解決されるべきもので、それまでは陸上保管をすべきであります。
 最後に、臨時県議会で、政府決定のこのような重大な方針を事実上容認する意見書を採択することは、県民にも、そして漁民にも背を向けるものであり、県議会の汚点となると厳しく指摘をして、日本共産党はこれに反対するということを改めて明確にしたいと思います。
 以上です。