2021年4月15日 臨時県議会
2021年度岩手県一般会計補正予算に対する質疑
(大要)


・「いわて旅応援プロジェクト」について

【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号2021年度岩手県一般会計補正予算(第1号)について質問します。
 補正予算(第1号)は、総額42億2700万円の補正であります。「いわて旅応援プロジェクト推進費」36億5800万円余が計上されています。岩手県民を対象とした旅行・宿泊代金の割引と土産物店等で利用可能なクーポンを発行する事業であります。新型コロナ禍で最も大きな影響を受けている県内のホテル・旅館等への支援に大きな役割を発揮するとともに、県民の要求にもこたえるものと評価をするものであります。その具体な内容について質問します。
 第一に、知事に質問します。新型コロナ禍における事業者の影響調査(2 月分)では、宿泊業の売り上げ減少が41%以上となった事業者が61%と最も大きなものとなっています。宿泊業の現状とその打開策について知事はどう考えておられるでしょうか。
 第二に、旅行・宿泊代金の上限5000円、50%の割引と2000円のクーポンを配布するということでありますが、県内では4月以降も花巻市や釜石市等で独自の宿泊の割引を実施しています。今回の「いわて旅応援プロジェクト」の割引と併用できるということでありますが、私は県の割引が優先するようにすべきだと考えますが、どうなるのでしょうか。2000円のクーポン券の配布は条件なしの一律配布でしょうか。県内市町村の独自の宿泊割引の実施状況を含めて示してください。
 第三に、これまでの県が実施した宿泊割引の実績について示してください。また、登録旅行業者、宿泊施設数、利用した旅館・ホテルの数はどうなっているでしょうか。県内でのGoToトラベルの登録と利用の実績はどうなっているか示してください。
 第四に、実施期間は4月16日から5月31日までの宿泊分となっています。明日からの取り組みとなりますが、登録旅行業者と宿泊施設はどのようになっているでしょうか。これまでの実績から見て、1ヶ月半での実施期間では消化しきれないのではないかと考えますが、その場合は交付金の返還ではなく継続実施が必要と考えますがどうでしょうか。
 第五に、総額36億5800万円の事業ですが、事務事業の委託先と委託費はどうなるでしょうか。県民への分かりやすい周知はどう行われるのでしょうか。直ちに分かりやすく大々的に周知すべきと考えますが具体的に示してください。県民が利用する場合の手続き等はどうなるのでしょうか。
 第六に、新型コロナ感染が全国的に広がり、隣県の宮城県を含む6都府県に「まん延防止等重点措置」が行われている中での取り組みとなります。県内のホテル・旅館、飲食店等での感染防止対策の具体的な徹底が必要と考えますがどう取り組まれるのでしょうか。東京都の隣県である山梨県では、県が直接飲食店等に対し39項目〜50項目にわたる感染防止対策を徹底し、飲食店を安全な店として認証して、実績をあげています。「山梨モデル」とされています。この取り組みを参考に岩手としても進めるべきではないでしょうか。

【達増知事】
 斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。
 宿泊業の現状と打開策についてでありますが、昨年春の全国的な緊急事態宣言の発出以降、インバウンドも含め1年にわたって観光需要は低迷し、観光庁の統計によると、令和2年の本県の延べ宿泊者数は、前年と比較して34.5%の減少となっており、宿泊業をはじめとする観光関連事業者の経営はきわめて深刻な状況にあります。
 観光関連産業の本格的な再生のためには、東京都など大都市圏の旅行需要の喚起が不可欠でありますが、現在の感染状況に鑑み、まずは感染状況が落ち着いている県単位で早急にGoToトラベル事業を再開することを全国知事会を通じて強く要望してきたところであり、これらの要望等を受け、今般観光庁が地域観光事業支援を打ち出したことから、これを活用した事業を早期に開始しようとするものであります。
 今後、東北や全国に対象エリアを広げていくため、事業者・利用者双方の感染防止対策の徹底や、ワクチン接種の速やかな実施を進め、復興10年の節目や東北デスティネーションキャンペーンと連動し、多くの方々に安心して岩手を訪れていただきたいと考えております。
【商工労働観光部長】
 「いわて旅応援プロジェクト」の割引等についてでありますが、観光庁から示された市町村による割引との併用に際しての補助金額の算定方法は、「市町村の割引後の金額を基準に、その2分の1を上限とする」とされております。したがいまして、本事業におきましても同様の方法で割引を適用することとしております。クーポン券につきましては、旅行代金の割引の適用を受けた場合は、一律2000円のクーポン券が付与されます。なお、昨年度実施した「泊まるなら地元割クーポン」の際と同様、利用者の負担がゼロとならないよう、4000円を超える旅行商品を対象としております。
 また、県内の状況について、4月12日現在、花巻市・釜石市を含め、計9市町村で独自の宿泊割引を行っていると把握しております。
 次に、県が実施した宿泊割引の実績についてですが、まず、岩手県民を対象とした「泊まるなら地元割クーポン」について、昨年7月から9月までの2000円割引の際には、クーポン発行枚数が16万1000枚余、利用実績が9万5000枚余であり、登録旅行業者は68社、宿泊施設は357施設、うち利用のあった宿泊施設は293施設。また、同年10月から今年3月までの3000円割引に際し、クーポン発行枚数が14万8000枚余、利用実績が10万4000枚余であり、登録旅行業者は68社、宿泊施設は386施設、うち利用のあった宿泊施設は298施設。さらに岩手県民以外の東北各県および新潟県の県民を対象とした3000円割引の「おでんせ岩手県」については、昨年10月から今年3月まで実施し、クーポン発行枚数が9万7000枚余、利用実績が3万3000枚余であり、登録旅行業者は277社、宿泊施設は377施設、うち利用のあった宿泊施設は265施設となっております。
 次に、県内でのGoToトラベルの登録と利用実績についてでありますが、GoToトラベル事務局ホームページによりますと、令和3年4月12日現在で、岩手県内の登録旅行業者は68社、宿泊施設は392施設となっております。なお、観光庁では利用実績を都道府県別に整理していない状況でございます。
 次に、旅行業者と宿泊施設についてですが、旅行業者52社、宿泊施設258施設の登録見込みとしてスタートすることとして準備を進めております。今後も順次登録を受け付け、登録施設数を増やしていきたいと考えております。
 次に、事業の継続実施についてでありますが、国から県に対し36億5800万円の補助限度額が示されており、県として地域経済の回復に向けて十分な対応ができるよう、宿泊・日帰り旅行あわせて49万人分を対象として予算額を算出しております。また、6月以降の実施につきましては、感染状況によって延長することも想定していると国から聞いているところであり、状況に応じて対応を検討してまいります。
 次に、委託内容についてでありますが、委託先は国のGoToトラベル事業事務局の岩手事務所に参画している旅行会社に、一般社団法人日本旅行業協会、同じく一般社団法人全国旅行業協会が加わって共同で新たに設立した「いわてマイクロツーリズム推進協働企業体」を委託先とする予定でございます。委託費の内訳でございますが、34億3000万円が割引やクーポン券の原資、広告費が6700万円、管理費が1億6000万円の計36億5800万円となっております。
 次に、県民への周知の方法についてですが、広く県民に周知を図るため、明日以降、地元紙の新聞広告をはじめ、民報テレビ4局によるスポットCM、ラジオでのCM放送、さらにはポスター・チラシ・WEB広告での順次の広報を予定しており、その準備を進めているところであり、こうした手段を使って広く県民に周知を図っていきたいと考えております。
 次に、県民が利用する場合の手続きについてでありますが、宿泊旅行の場合、WEBでの予約や宿泊施設への直接の予約、旅行会社を通じた予約を行い、宿泊施設で配布される宿泊割引利用申込書を記入していただくこととなります。日帰り旅行の場合ですが、旅行を通じた旅行商品のみが対象となり、また旅行会社で配布される日帰り旅行割引利用申込書を記入していただくこととなります。いずれの利用者の方にも、宿泊施設でのチェックイン時や旅行会社での予約時などに、利用者の氏名・連絡先等を記入いただくほか、県内の居住を証明する書類等を持参いただく必要がございます。
 次に、ホテル等における感染防止対策についてでありますが、県内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑制する観点から、参加する宿泊施設等においては、チェックイン時の検温、旅行者本人の確認、浴場や飲食施設での三密対策の徹底、食事の際の三密回避等を図ることを参加条件としております。また、旅行者に対しては、旅行時に毎朝検温等の体温チェックを実施し、発熱がある場合や風邪症状が見られる場合には外出の自粛をお願いしております。なお、新型コロナウイルス感染症の状況がステージ3相当以上になった場合など、感染が拡大した場合には事業を中止することを想定しております。
 次に、飲食店における認証制度「山梨モデル」の導入についてでありますが、議員ご指摘の山梨県による取り組みは、全国的にも注目されており、こうした取り組みを参考に、多くの方々が安心して観光や外食を行うためにどのような取り組みを進めるべきかなど、関係部局と連携して検討を進めてまいりたいと考えております。

<再質問>

【斉藤議員】
 「いわての旅応援」とあわせてですね、私やはりこの感染対策を徹底することが大事だと。
 それで知事にお聞きしたいんだけれども、実は「山梨モデル」、これは「山梨グリーンゾーン構想」ということで、いま全国的に注目されてまして、千葉県とか滋賀県も山梨を参考にやると。これはどういうことかといいますと、県が必要な感染症対策のチェックリストを作って、それを実地で検証して県が認証すると。安全なお店ですよと。これは宿泊もそうです。これはこう言っているんですね。「認証制度は感染症に強い社会や経済を目指す」と。だから単なるコロナ対策というよりは、今のコロナに対応した、そうした社会経済を構築していくという大変攻勢的で前向きな取り組みではないのかと。だから時短営業ではなくて、安全な店を、安全な宿泊施設を、この時期に県が支援をして、そしてここでは県もリスクを負うんだという立場でやっているんですね。県が認証するということは県もリスクを負うと。本当に真剣にこういう攻勢的な新型コロナ危機を乗り越えるような、そして新しいそういうシステムをつくるような取り組みが必要なのではないか。ぜひ知事を先頭に検討していただきたい。
 2つ目に、今回大変前向きな取り組みなんですけれども、この間の実績から言いますと、2度にわたる宿泊割はですね、数ヶ月にわたって合わせて20万人泊ですよね。今回49万人泊を予定しているんですね。だから十分すぎるぐらいの予算になっていますけれども、私はそれだけに、効果的にこれが活用されるような手立てをぜひ、明日からもうすでに周知徹底するということでありますけれども、効果的にやっていただきたい。
 そして、9市町村がすでに独自の応援割をやっていると。これセットになりますと本当にリーズナブルなものになります。そういう点で、先ほど知事の答弁でも、昨年は34.5%宿泊が減少したということでありました。盛岡市のホテル・旅館を聞きますと、「もう1月から2月は4割台に減少している」と。こういう今の厳しい状況ですから、私は本当に感染対策を徹底しているという姿を示しながら、積極的に市町村とも併用したような形で推進できるように進めていただきたい。このことを最後にお聞きして終わります。

【達増知事】
 飲食店の感染対策の県による認証制度につきましては、昨年県と市町村で協力しながら飲食店を回って歩きながら感染対策を呼びかけ、また、感染対策ができていればポスターを貼ったりステッカーを貼ったりしていただくということを呼びかけ、そういったこともあって、岩手県においては最近に至るまで飲食店でのクラスターというものが大きく増えないような形で推移しているという風に認識はしておりますけれども、今いわゆる第4波と全国的に指摘されている中、イギリス変異株による感染拡大の加速化のようなこともございますので、やはり岩手県におきましても飲食店における感染対策さらに徹底していただかなければならないということも考えております。また、飲食店側の努力だけではなく、利用されるお客様の側でもしっかり感染対策をしないと、どんなにきちんと感染対策されたお店でも、そこでマスクなしで飲みながら長時間ベラベラしゃべるようなことをすれば非常にリスクは高くなりますので、利用者側、お客さん側の基本的な感染対策を改めて徹底するということとうまく合わせて、相乗効果があるような形での飲食店への働きかけについて検討してまいりたいと思います。
【商工労働観光部長】
 今回の「いわて旅応援プロジェクト」につきましては、先ほど答弁させていただいた内容とも重複しますけれども、6月以降も感染状況によっては延長することも想定していると国からは聞いております。ただ、一方で今回の36億円余の予算をきちんと早い段階で使い切れるような、そういう風な取り組みを進めたいと思いますし、そうした場合に、今度は全国知事会を通じて要望もしておりますが、GoToトラベルの再開をですね、再開しても今多分その期間が6月末までになっていて、それ以降示されておりませんので、その大幅な延長なども知事会を通じて要望しておりますので、そういうあらゆる手段を使って宿泊業、昨年落ち込んだ分を、今年さまざまな、県でも復興10年目、あるいはデスティネーションキャンペーン、あるいは平泉10年、御所野の世界遺産登録、さまざまイベントというか起点になるものがございますので、そういうものと連動して、知事答弁した通り多くの方々が安心して来てもらうようにしたいと思います。その上で感染対策、これもしっかりPRしながら関係部局と連携して、県民がより安心できるようなそういう対策をしっかりとやっていきたいと考えております。