2021年7月1日 6月定例県議会本会議
議案に対する質疑
(大要)


・全国と県内の感染状況、これまでの対策、補正予算の目的と特徴について

【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号、2021年度岩手県一般会計補正予算(第3号)について質問します。
 補正予算(第3号)は、総額51億1750万円余で、うち新型コロナ対策分が48億3100万円余となっています。新型コロナ対策の強化・拡充を図る内容となっています。
 達増知事に質問します。新型コロナ対策の補正予算は今年度3回目となります。適時適切に対応されていると評価します。全国の新型コロナの感染状況は、特に東京都において緊急事態宣言が解除されて以降、連日、前の週を上回る新規感染者となっており、昨日、6月30日には714人の感染となり、1週間の平均では508.4人と「爆発的感染拡大」のステージ4の状況となりました。県内でも盛岡市内で飲食店等のクラスターが続出する状況もありました。全国と県内の感染状況についてどう認識されているでしょうか。これまでの対策の状況と今回の補正予算の目的、特徴について示してください。

【達増知事】
 斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策の補正予算についてでありますが、全国の感染状況は、5月上旬と比べ、現在の新規患者数は大幅に減少したものの、このところ首都圏では増加に転じる動きが見られており、リバウンドが強く懸念されるほか、感染力が強いデルタ株に置き換わりが進むとの指摘もあり、引き続き高い警戒を要する状況です。県内の感染状況は、盛岡市を中心にほぼ連日感染例が確認されていますが、本日現在、県全体の人口10万人当たりの直近一週間の新規感染者数は2.3人となっており、医療提供体制がただちに逼迫する状況ではありません。
 これまで県では、幅広い検査の実施や感染のフェーズに応じた病床の確保などによる検査・医療体制の構築、家賃支援や経営支援等の経済雇用対策を実施してきたところであります。さらに、ワクチンについて、希望する全ての県民に対して、安全かつ迅速に接種できるよう市町村・関係機関と連携しながら取り組んでいるところです。
 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図りつつ、社会生活、経済活動を支えるため、県による大規模集団接種や個別接種の促進など、ワクチン接種の加速化、認証取得の飲食店へのインセンティブ付与、地域公共交通の維持に向けた支援など、早急に対応が必要となる予算を計上したほか、ポストコロナ時代を見据えたデジタル変革を加速するため、自治体DXの推進など、必要となる予算を計上したものです。

・バス事業者およびタクシー事業者運行支援交付金について

【斉藤議員】
 新型コロナ関連の補正予算(第3号)の具体的な事業について質問します。
 第一に、バス事業者運行支援交付金1億4340万円、タクシー事業者運行支援交付金1億825万円が新規で計上されています。新型コロナによる売り上げ減少の状況と事業者の対応状況、今回の支援交付金の内容と効果を示してください。

【ふるさと振興部長】
 バス事業者およびタクシー事業者の新型コロナウイルス感染症の影響による売り上げ減少の状況でございますが、県内の主な乗合バス事業者3者―岩手県交通、岩手県北自動車、JRバス東北でございますけれども、令和2年度の運送収入は、令和元年度より21億3千万円余・約38%減少しており、県タクシー協会加盟事業者の営業収入も同じく29億8千万円余・約33%減少という状況にございます。また、今年度の4月から5月の2ヶ月間につきましても、バス事業者の運送収入は昨年度よりも約20%増加はしておりますものの、一昨年度と比べると3億9千万円余・約40%の減少、タクシー事業者の営業収入も昨年度よりも約20%増加しているものの、一昨年度と比べますと6億円余・約40%減少しております。
 このような中、事業者においては、経費節減の取り組みを進めるとともに、国や県・市町村の支援も活用しながら運行の継続を図っているところと認識してございます。今年度におきましても、引き続き収入減により厳しい経営状況に置かれている乗合バス事業者とタクシー事業者の事業継続を支えるため、車両1台あたり路線バスは20万円、高速バスは40万円、タクシーは5万円を交付し、事業者の収支の改善を図り、地域における重要な交通手段を維持するとともに、安全かつ安定した運行の確保を図ろうとするものでございます。

・交通系ICカードシステム整備費補助について

【斉藤議員】
 第二に、交通系ICカードシステム整備費補助が新規で8053万円余計上されています。乗り合いバス事業者の交通系ICカードシステム整備への補助ですが、これまでの整備状況と今回の補助で整備率はどこまで進むのでしょうか。利便性と経済的効果はどうなっているでしょうか。補助率が6分の1というのは事業者の負担が大きいと思いますが、事業者にとって負担を上回るメリットはどうなっているでしょうか。

【ふるさと振興部長】
 交通系ICカードシステムの整備の状況とその効果についてでございますが、県におきましては、令和2年度から乗合バス事業者が行う交通系ICカードシステムの整備要する経費に対して補助を行っており、これまで岩手県交通が盛岡中心市街地循環バス「でんでんむし」など31台に導入し、岩手県北自動車においても来年3月を目途に全164台に導入を進めているところでございます。
 今年度は、今議会に提案してございます補助事業を活用し、岩手県交通が150台、JRバス東北が18台の車両に導入予定でありまして、予定通りに整備が進んだ場合、県内の主要乗合バス事業者3者の車両への導入率は58.3%となる見通しでございます。
 このICカードの導入により、新型コロナウイルス感染症の感染機会の低減、キャッシュレス決済の推進、運賃の用意や両替等が不要になることによる利用者の利便性の向上のなどの効果が期待されますとともに、事業者においても、現金管理等の省力化、乗降データを活用した効果的・効率的なダイヤや経路の検討などのメリットがあるものと認識しております。
 なお、バス事業者におきましては、補助率3分の1または2分の1の国庫補助を活用しながら、ICカードの導入を進めているところであり、残りの自己資金の自己負担分の一部を県が補助することで事業者の負担軽減が図られているものと認識しております。

・いわて飲食店応援事業費―いわてGo To Eatキャンペーン第2弾について

【斉藤議員】
 第三に、いわて飲食店応援事業費が新規で1億2051万円余計上されています。「いわてGo To Eatキャンペーン」の第2弾として、感染症対策の認証を受けた飲食店で使用できるプレミアム付き食事券を発行するものであります。第1弾の実績はどうなっているでしょうか。利用された飲食店数を含めて示してください。今回は、感染症対策の認証を受けた飲食店で使用できるとされています。幅広く飲食店が認証されるよう取り組む必要がありますが、どう取り組まれるのでしょうか。

【商工労働観光部長】
 いわてGo To Eatキャンペーンの実績についてでありますが、県内では昨年11月から事業が開始され、食事券の販売は5月末、利用は6月末で終了しております。キャンペーン事務局からは、6月25日現在で、当初販売予定額50億円のうち、約38億5千万円分が販売されたと聞いております。また、利用された飲食店数については、これまで登録のあった2190店のうち、1971店で利用があったと聞いております。
【企画理事兼環境生活部長】
 認証取得に向けた取り組みについてでございますが、県ではこれまで商工会議所や生活衛生同業組合など関係団体に対して、認証に関する情報提供や説明を行うとともに、感染対策に関わる県の新聞広報などを通じて広く周知しており、また、認証の対象となる全ての飲食店に案内文書や申請書の関係書類を送付し、認証の取得を促しております。また、コールセンターを設置いたしまして、飲食店からの問い合わせ等に応じるとともに、認証を受けるに当たり改善を要する場合は適宜助言するなど、申請した飲食店の全てが認証につながるよう継続的に支援してまいります。
 今後予定している第2弾の「いわてGo To Eatキャンペーン」の開始に向けまして、迅速かつ丁寧に認証事務を進めてまいります。

・買うなら岩手のもの運動展開事業費について

【斉藤議員】
 第四に、買うなら岩手のもの運動展開事業費が新規で7565万円余計上されています。具体的な事業の内容を示してください。

【商工労働観光部長】
 買うなら岩手のもの運動展開事業の内容についてでありますが、県産品の消費喚起策として、市場が拡大しているネット通販市場への参入を促進していくため、大手通販サイトへの出店や、買うなら岩手のものバーチャル物産展での販売に対する支援を行うほか、県内縫製事業者の販路拡大に向けた県産衣料品の販売会の開催、取引の拡大やオンライン販売に対する支援を行います。このことに加えまして、「買って食べて地域を元気に応援キャンペーン」の実施により、地産地消を広く県民に呼びかけていこうとするものです。

・観光バス等旅行商品造成支援事業費補助について

【斉藤議員】
 第五に、観光バス等旅行商品造成支援事業費補助が新規で1億5000万円計上されています。感染症対策を講じて観光バスツアー等を実施する旅行業者に対して補助金を交付するものであります。補助事業の要件、観光バスツアーの規模の見通しはどうなっているでしょうか。

【商工労働観光部長】
 観光バス等旅行商品造成支援事業についてでありますが、この事業の補助要件は、県内に営業所があるバス事業者が運行するバスを利用すること、旅行行程に県内の宿泊施設または観光地が含まれること、県民対象のツアーであること、ただし教育旅行の場合には県民以外も対象となります。そして、感染症対策を講じていることなどとなります。
 補助額は、バス1日1台あたり5万円を上限とするものであり、事業規模は、観光バス約2900台を見込み、事業費は約1億4500万円を見込んでいます。なお、オンラインツアーの実施についてもこの事業に含めておりまして、こちらにつきましては、1商品5万円として、合計1億5000万円を計上したものでございます。

・産学官連携による新型コロナウイルス等対策研究開発事業費について

【斉藤議員】
 第六に、産学官連携による新型コロナウイルス等対策研究開発事業費が新規で1014万円余計上されています。研究開発の内容と委託先となる大学、研究機関、企業はどういうところでしょうか。

【ふるさと振興部長】
 産学官連携による新型コロナウイルス等対策研究開発事業費についてでありますが、県では、科学・イノベーションコーディネーターを中心に、日頃から大学・企業等の研究シーズやニーズの情報収集を行っております。そうした中、新型コロナウイルス感染症対策に関する研究開発のテーマが複数挙がっており、県としてもポストコロナの時代に求められる感染症対策やリモート、オンライン、テレワーク、自動化等のデジタルシフトに対応した新たなサービスの提供や製品化・事業化に向けた取り組みを加速させ、関連産業の創出による地域経済の活性化を目指す観点から、今回の予算についてご提案させていただいたところでございます。
 研究開発の内容につきましては、公募の上で、産学官金の有識者で構成する審査委員会で採択することとしておりますが、例えばPCR検査の迅速化につながる分析技術でありますとか、人と人との接触を可能な限り減らして生産性を上げる遠隔操作技術等について、大学と県内企業等が連携して開発することを想定しているところでございます。

・5G等による地域課題解決モデル構築推進費について

【斉藤議員】
 第七に、5G等による地域課題解決モデル構築推進費に4000万円が計上されています。どの地域を対象にどういう課題の解決をめざすのか示してください。

【ふるさと振興部長】
 5G等による地域課題解決モデル構築推進費についてでございますが、5Gは、高速で大容量のデータや低遅延の通信を行うことができるものでございますが、ローカル5Gは携帯事業者によるエリア展開が遅れる地域においても、地域のニーズに応じて柔軟に5G環境を構築することができるものです。こうした環境は、広大な県土を有する本県において、産業振興や質の高い生活などにあまねく必要な基盤であり、また、地域の課題解決に向け積極的に導入を図っていく必要があるものと考えております。具体的には、コロナ禍における防災学習ニーズへの対応と、被災地からの情報発信の充実・強化を図るため、東日本大震災津波伝承館において、遠隔地の見学者に向けて館内展示を臨場感のある高精細映像で、防災研究者や伝承館職員の解説とともに配信するなど、本県独自の社会教育コンテンツを生かした取り組みを進めてまいります。
 また、少子高齢化が進み、都市部との交流に制約がある中山間地域において、魅力ある教育環境の実現による地域の活性化をめざし、葛巻町において高校生を対象とした遠隔での都市部の大学の授業・研究体験や、大学生とのオンライン交流などの取り組みを行ってまいります。

・ふるさと岩手応援寄付募集費について

【斉藤議員】
 第八に、ふるさと岩手応援寄付募集費として1437万円余計上されています。新型コロナの影響を受けた県内事業者の支援のため、ふるさと納税制度を活用して県産品販路確保を支援しようとするものであります。これまでの応援寄付と活用の実績、今回の事業の具体的内容、対象となる県産品等を示してください。

【ふるさと振興部長】
 ふるさと岩手応援寄付募集費についてでありますが、過去5年間における寄付受け入れの実績は、平成28年度は5980万円余、平成29年度は9521万円余、平成30年度は6859万円余、令和元年度は7380万円余、令和2年度は9085万円余となっております。
 活用の実績につきましては、いわての学び希望基金や東日本大震災津波伝承館の運営、三陸鉄道の支援といった復興、三陸沿岸振興のほか、子どもの居場所づくり応援などの事業プロジェクト等の推進に活用しております。
 補正予算案の内容につきましては、ふるさと岩手応援寄付の募集を一層強化し、より多くの方々に本県の施策・事業や魅力を訴求するとともに、ふるさと納税制度の枠組みを活用し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内事業者の販路確保を支援しようとするものでございます。具体的には、新たなふるさと納税ポータルサイトの利用によるふるさと岩手応援寄付の情報発信の強化、返礼品の追加・拡充に要する経費を計上しているところでありまして、返礼品の追加等にあたりましては、買うなら岩手のものバーチャル物産展と連携し、県産食材や工芸品をはじめとする県産品を、その出展品の中から返礼品として選定していくこととしてございます。

・電子県庁運営費について

【斉藤議員】
 次に、通常分の補正予算の内容について質問します。
 電子県庁運営費として1億611万円余計上されています。県と市町村が共同利用する自治体情報セキュリティクラウドを構築するものであります。これまでの課題と今回の新たな自治体情報セキュリティクラウドの構築によって改善強化される内容を示してください。

【総務部長】
 自治体情報セキュリティクラウドについてであります。これまで岩手県におきましては、県と市町村がそれぞれ独自のセキュリティ対策を講じていたところでございまして、団体間でセキュリティレベルに差が生じている課題があったことから、平成29年度から県と市町村が共同で岩手県情報セキュリティクラウドを運用してきたところでございます。今般そのシステムの更新にあたりまして、東北・新潟7県で共同調達することにより、通信容量を大幅に拡大し、またコスト削減が図られるとともに、個々の端末の異常検知や災害時等のアクセス集中時におけるホームページ情報の安定配信の仕組みを導入し、監視機能や負荷分散機能の改善・強化を図ることとしてございます。

・中小企業等復旧・復興支援事業費について

【斉藤議員】
 中小企業等復旧・復興支援事業費が9330万円余計上されています。これは今年2月の福島県沖地震により被害を受けた中小企業等のグループに対し、施設復旧等に要する経費に対し、補助率4分の3の補助を行うものであります。県内における被害の状況と今回の事業費の内容、今後の対応策を示してください。

【商工労働観光部長】
 県内における福島県沖地震の被害とこれに対応したグループ補助金の事業費についてでありますが、2月13日の地震発生後、盛岡市・一関市・陸前高田市・一戸町の4市町から計24件、総額1939万6千円の被害があった旨の報告を受けております。
 その後、市町村を通じてグループ補助金の利用についての照会を行ったところ、一関市の3事業者・1グループから総額1億2435万円の要望があったため、当該金額の4分の3にあたる9331万円を今般の補正予算案に計上したものであります。
 今後、公募説明会を開催しながら、7月30日まで広く申請を受け付け、8月下旬の認定・交付決定を見込んでおります。

<再質問>

・いわて飲食店応援事業、地域企業経営支援金について

【斉藤議員】
 いわて飲食店応援事業費の件でありますけれども、これは感染症対策の認証を受けた飲食店が対象になるということで、昨日すでに現地調査が始まって、認証されたというニュース報道もありました。6月28日からの申請ですけれども、現段階でどれだけの申請があって、これからどういうテンポで現地調査、認証の作業が行われるのかを示してください。
 それから、飲食店応援というのが経済的な打撃・影響から見ると本当に切実な課題になっていると思いますけれども、地域企業経営支援金支給制度が第1弾第2弾すでに予算化されています。これの実績を示していただきたい。そして飲食店の場合は、特に盛岡はクラスターが連続的に発生して、本当に首都圏並に打撃を受けているのではないか。こうした現状の把握をどのようにされているのかも含めて示してください。

【企画理事兼環境生活部長】
 飲食店にかかる認証店の受付状況でございます。6月28日から受付を開始しておりまして、6月30日現在、申請は103店でございます。それから昨日ニュース等で報道になりましたが、現地確認を3店でございますけれども、これはまだ認証はされていないんですけれども現地を確認したと。
 それから今後の予定でございます。いま委託業者ですね、県から委託した業者でございますけれども、7月5日ぐらいからは1日40店舗程度実施できるように準備をしたいというところでございます。
【商工労働観光部長】
 地域企業経営支援金支給事業の現在の状況でございますけれども、昨年の2月補正による、いわゆる40万円支援の方でございますけれども、6月25日現在、受付の店舗数は想定の7800店に対して7654件になっております。支給済金額は、予算額31億5200万円に対して23億8099万6千円となっております。
 盛岡市内の状況ということでございますけれども、商工団体と連携して毎月実施している影響調査、これの直近5月末の結果を見ましても、全体横ばいないし微増なんですが、特に飲食店の方が前月の売り上げ41%以上減が38%から45%に増加しております。また、今後の売り上げ見込みについても、やはり飲食店がこの先も厳しいという事業所増えておりますので、やはりその辺かなり厳しい状況にあると認識しております。