2021年7月2日 文教委員会
県立高校再編計画後期計画に対する質疑
(大要)


・福岡工業高校と一戸高校の統合について

【斉藤委員】
 時間がないので、高校再編問題に集中してお聞きをしたいと思います。
 4月5月に説明会が開催をされました。これは教育委員会の英断だと。しかしね、この説明会を受けて慎重に審議するんだと思ったら、説明会が終わったら5月24日に最終案を決めちゃったと。アリバイを作ったのかと。そういう印象を受けて、残念な結果になりました。
 そこで、矛盾の集中点は、福岡工業高校と一戸高校の統合問題だと思いますので、まずここからお聞きしますが、二戸会場では、どういう意見が出されましたか。

【高校改革課長】
 説明会二戸ブロックの意見ということでございます。二戸ブロックにおきましては、「県北唯一の工業高校であり、入学者も今年度は増加したという状況もございますので、単独での存続、また2学科の維持をお願いしたい」ということ、また、「工業学科が1学級になった場合、全ての(  )ができるのか疑問である」ということ。一方では、「生徒数の減少に鑑み、市町村単位ではなく、二戸地域の高校教育を守るという視点で考える必要がある」というご意見を頂戴したところでございます。

【斉藤委員】
 正確ではないんですね。11名が発言しました。そのうち計画に賛成だったのはたった1人ですよ。賛成も反対も表明できないというのがもう1人いました。あとの9名は、福岡工業高校の単独存続、工業高校2学科守ってほしいと、こういう意見でした。
 私は、上原さんも昨日情熱込めて訴えたけれども、二戸会場で大変びっくりしたのは、最初に発言に立ったのは二戸市の教育長でした。2番目は副市長でした。行政のトップが福岡工業高校の単独存続を強く求めたんですね。それに私ね根拠があると思います。
 二戸の会場での質問を含めて、私たちは共産党県議団として、教育長・教育委員各位に、こういう内容を検討して見直すべきだという、福岡工業と一戸高校の統合については5点提起をしました。
@福岡工業高校の昨年度の実績はですね、特別表彰(5人)をはじめ、多数のジュニアマイスター顕彰者を出すなど、全国トップクラスの資格取得の実績をあげて、今年度の入学者は57人になったと。こうした努力と実績を正しく評価すべきだと。福岡工業高校の学科減というのは、そういう意味では見直して、県北唯一の工業高校として単独で維持すべきだと。
A県北振興は県政の重点課題であり、達増知事の公約でもありますから、県北唯一の工業高校として2学科を維持し存続させるべきだと。皆さんは、県南には拠点校を作ると言うんですよ。盛岡にも北上にも拠点校がある。県北は違うんですね。2学科あるものを1学科に減らしてしまうと。県北は何を考えているんだと。
B総合学科制の一戸高校と福岡工業高校との統合というのは、専門教育の充実にならない。逆に学科減をしたら、全国トップクラスの資格取得の取り組みができなくなるというのが、校長先生や関係者の意見でした。そういう工業高校の軽視でいいのか。
C福岡工業高校というのは新校舎、26億6千万円をかけて県産木材を使って、立派な最新鋭の校舎をつくったんですね。今日の議論でも問われているトイレ、ウォシュレットトイレですよ。2階なんかは梁が見えるような素晴らしい木造校舎で、特別支援の生徒もいるんですけど、大変落ち着いて使われていると。立派な校舎が落成した途端に福岡工業高校が学科減だなんていう、こんなちぐはぐなやり方はないんじゃないか。ましてや校舎制ですよ。どっちが基盤になるか分からないような、そういう計画をあなた方は出した。
D二戸市の教育長や副市長など行政が先頭に立って福岡工業高校を守りたいと。市の広報でも特集を組んで、福岡工業高校がどんな実績をあげているか系統的に紹介すると言っているんですね。そして二戸市議会は意見書をあげていますよ、計画撤回の。
 こういう行政の意見に背を向けて、説明会の意見にも背を向けて、この計画を強行する根拠はどこにあるのかと私は思いますけれども、教育長、私どもの正式の申し入れですから、この5点についてしっかり回答をいただきたい。

【教育長】
 二戸ブロックにおける説明会での意見ということで、先ほど高校改革課長からもご答弁申し上げました。いま委員からお話のあった5点についても、当然私ども受け止めてございます。最後の二戸市の行政の方から要請といいますか、実際の対応についてですね、市の広報にも掲載したということで、広報もいただいてございます。そしてその内容についても見させていただいてございます。
 また、ジュニアマイスターの実績であるとか、それから県北振興は県の重点施策ということも当然承知してございますし、それから、福岡工業高校の校舎につきましても、私も実際に見てございます。
 そういったことも十分承知しております中で、二戸ブロックにおける中学校卒業者数の見込み・見通し等についてもですね把握しておりまして、その中で、今年度は福岡工業の入学者は増えてはおりますが、長期的な視点のもとで判断していくと、今回二戸地区におきましても統合をしつつ、なおかつ校舎制等を採用しながら多様な学びがきちんとそこは維持できるようにしていくという判断のもとで、今回決定をしたところでございます。

【斉藤委員】
 残念ながらまともな回答になっていないんですね。
 今年の入学者は、2学科の福岡工業高校が57人、3学級の一戸高校が54人ですよ。福岡工業高校の方が多いのです。そして一戸高校は3学級で、統合すればどうなるか。3+1ですよ。今年の実態から見たら、この統合計画に私は根拠がないんだと思うんです。せっかく資格取得やジュニアマイスターでああいう成果をあげながら、今年57人の入学者を確保した。だからこの推移を本当なら見守るべきだと思うんですよ。
 2学級規模の工業高校を見ますと、釜石商工2学科で30人、宮古商工2学科で47人です。久慈工業は2学科で23人です。2学科の工業高校の中で一番多いのですよ。2学科を基本的に維持しているんですよ。他のところはそのまま維持されて、福岡工業高校が学科減されるという計画は、とてもじゃないけど現地は理解できないと思いますよ。
 そして、やはり県北唯一の工業高校なんですから。先ほど県北振興の観点で話ありませんでしたけれども、県北唯一の工業高校を守るという気概がなんであなた方から出てこないのか。私は不思議でならない。
 そして教育委員会議の議事録を見ました。せっかく4回の説明会をやったのに、説明会で出された中身についてほとんど議論がなかった。きわめて残念です。何のために説明会をやったのか。説明会をやったなら、そこで出された意見について検討して最終結論を出す。これは当然ではないでしょうか。
 今年の入学者というのは、本当に今までの努力の結実なんだと思うんですよ。だから本会議でも答弁あったでしょう。地域の地元の努力、今年の入学者に出ているわけじゃないですか。資格取得の実績も出ているわけじゃないですか。こういう実績が出ているにも関わらず、まったく一顧だにしないで、生徒減少がもっと大きな一戸はそのままにして、福岡工業を学科減するという根拠はないんじゃないかと。
 教育長、今年の入学者の実績、生徒の実績を見たら、福岡工業を1学科減らすという根拠はないんじゃないですか。

【教育長】
 今年度の福岡工業の入学者57人、そして一戸高校の54人ということで、私も一戸高校の方も視察をしまして、校長とも話をしまして状況等をうかがいました。その中では、一戸高校としてもですね、総合学科高校で3学級維持についても、非常にこれは人数が減っていくとその維持も大変になるということがございます。
 そういった中で、この二戸会場でも最後の方でしたか。「二戸地域全体で高校教育のあり方をしっかり考えていかなければならない」というお話もいただいてございます。そういったことも踏まえましての判断もありますし、また、各地域の説明会の状況についてもですね、臨時会では具体的な内容についての発言がなかったということで今お話がありましたけれど、開催結果は全て委員の方に報告してございまして、そして協議の場であるとか、そこでもいろいろと議論していただいてございます。その上で最終的に委員と協議をした上で、5月24日、臨時会でもって決定したところでございます。

【斉藤委員】
 教育委員会議というのは議事録に残る。あとで県民が検証できる会議なんですよ。だから議事録を残すんですよ。協議会の場で説明しているからという、そういうのは全然通用しない。そういうやり方は改めるべきですよ。
 いいですか、公式に4回説明会をやったんですから。あなた方がわざわざ。それを検討して最終的に教育委員会会議として決断する、当然ではないですか。しかしそういう議論はまったくありませんよ。唯一私が注目したのは、昨日教育長もいくつか紹介した中の1つで、畠山委員の発言だけれども、「現在この計画に賛成できない方々のご意見には心情的に理解できますし、その中には大切な意見が含まれていると思います。この点に関しては、これから統合検討委員会等を立ち上げ、協議していくことと聞いておりますので、その中で生かせるところは生かし、さらにこれから出てくるいろいろな意見を含めて、十分に協議を尽くせるようにしていっていただきたい」と。唯一私が注目したのはこの意見だけです。あとは、説明会で出された意見とは全然噛み合わない全体的な意見でありました。
 そこで、遠野高校と遠野緑峰高校の統合計画、これは地元の努力によって後期計画では撤回されました。この福岡工業高校についても、今年57人の入学者だった。来年もこういう規模で入学者が確保されるなら、この福岡工業高校と一戸高校の統合は見直すべきだと思うけれどもいかがですか。

【高校改革課長】
 遠野緑峰高校については、前期計画から除外したという形になっているところでございます。
 遠野市および野田村からですね、久慈工業高校も現在のところまだ前期計画から引き続き存続している状況でございます。
 遠野市および野田村から、「生徒確保に向けた取り組みの成果を踏まえた上で統合について判断してもらいたい」という要望がありまして、前期計画においては計画策定後2年間、入学者の状況の検証を行うこととして、その旨を計画に明記したところでございます。
 現時点で二戸市から具体的なそういった要望等はございませんけれども、今回の計画は、一戸高校を総合学科高校として3学級、さまざまな系列を保つという趣旨がございます。
 遠野と久慈につきましては、統合先の高校がまだ一定の規模が、そういった中で、工業とか農業の学びをしっかり守っていくという趣旨で、二戸に対しては、総合学科の系列、それから工業の学びをしっかり残していく、両方の存続という意味を込めた案でございまして、そういった意味において二戸ブロックの専門教育の拠点となる学校を整備して、地域の産業・社会を担う人材を育成していきたいと考えているものでございます。

【斉藤委員】
 森田課長、いいですか、教育長や副市長があの説明会であれだけ福岡工業の存続を求めたのに対して、「そういう要望はなかった」ということはないでしょう。はっきりしているじゃないですか態度は。そして、これからも広報で福岡工業高校を紹介して頑張ると言っているんですよ。そういう言い方はないですよ。ですから、市議会にしても、二戸市の姿勢にしてもはっきりしているんです。
 だから私が聞いたのは、来年度も50数名の入学者が確保されたら、2学級規模で福岡工業高校を存続する、これも選択肢になりますね。教育長に聞きたい。

【教育長】
 今回、最終案ということで決定したところでありまして、今後の対応等については、またこの後期計画の推移といいますか、実際の進捗ですね、そしてまた学校の入学者の動向等、これも注視する必要は当然あると思います。そういったことを踏まえながら、これは慎重に判断しながら対応していくことは求められると思います。

【斉藤委員】
 「慎重に判断しながら対応が求められる」と、こういう教育長の答弁でした。だから、実績次第では、遠野高校・緑峰高校の統合計画の見直しのようなこともあり得るという答弁でいいですね。実績次第では。

【教育長】
 慎重な判断が求められるということです。

【斉藤委員】
 あのね、実例があるんですから。私は実例を示して言っているんですよ。そして今年は福岡工業高校、地元の努力がやっぱり示されたと。生徒の努力という点でも入学者の実績という点でも。この実績をあなた方は無視して、統合計画を決めてしまった。ここは大問題だと思います。
 もう1つ言いますけれども、生徒減少の中で総合学科制は無理だと思います。総合学科制にこだわるから、福岡工業高校を犠牲にして何とかしようとしているんですよ。やっぱり学科そのものが少ないところは総合学科制は無理ですよ。そういうこともやはり検討しないとダメなんだと思いますよ。
 それで、多くの教育委員の会議での議論を見ますと、「生徒が大幅に減少するからやむを得ない」というのが共通した意見でした。不思議なのは、今回の最終案というのは統合計画しかない。統合計画がないブロックは、生徒減少はあるんだけどなんで学級減も何もないんですか。生徒減少をあれだけ声高に叫びながら、統合計画のないところは学級減もしないと。それで生徒減少に対応する計画と言えますか。

【教育長】
 今回の後期計画最終案でございますが、まず第一に大事な視点として思っていたのは、地域にある学校をどうやって維持していくか、残していくかというところで、まずは1学年1学級校の存続ということをまず考えました。これは地方創生の観点でそういったことが求められると。それから、いまICTとかデジタル対応がどんどん進んでいく中で、今年度からも遠隔教育の取り組みも始めたところでございます。地域において、そして進路実現が可能となるような学習の保障、質の保障ということが可能性として出てきたわけです。そこから可能な限り地域に学校を残しつつ、教育の質の保障と機会の保障ということを最優先に考えつつ、また一方では県政の課題である産業人材の育成であるとか、それから県のプロジェクトとの整合性をもたせた再編ということで、後期計画については、これまでの学級減によらず、一定の校舎も老朽化しているという背景もありますので、そこから今回の計画案として協議を進めてきたところでありますし、最終的にはそのようなことでご理解をいただき計画としたところです。

【斉藤委員】
 残念ながらもう時間がきたので。
 4回の説明をやったけれども、胆江・両磐地域では、計画は大局的には賛成という意見が多かったのも私は分かりました。しかし少なくとも、二戸ブロックと盛岡ブロックでは多数が具体的な問題を指摘して、反対が多数だった。だから理解を得られずに最終案が決められたのが事実だと思います。特に今日は時間がないので福岡工業と一戸高校の統合問題だけ指摘をしましたけれども、本当に子どもたちの努力・実績、これをやはり県教委は評価すると。遠野高校や緑峰高校のそういう前回の実例もあるわけだから、私はそういう形で見直すべきは見直して、本当にやはり地元の行政・市議会がこれだけ声をあげているときに、それを無視して進めるということは禍根を残しますから、しっかりそのことを胸に残して対応していただきたい。終わります。