2021年7月2日 農林水産委員会
高田一郎県議の質疑(大要)
・いわて県産米消費拡大対策事業について
[高田県議]
1962年をピークにコメの消費量は半減した。コメの消費は食生活の多様化など様々な要因があるがどのように分析しているのか、県内の消費量の動向はどうなっているか。
[小原県産米戦略監]
県内の消費量の動向は把握されていない。家庭食は101%、中食・外食は91%全体でコメの消費は前年比96%に落ち込んでいる。家庭向け消費拡大を戦略に据え取り組む必要がある。
[藤代農政担当技監]
コメの消費について正確な資料は手元にないが一人あたりの消費は全国平均で54キロ、盛岡市は74キロというデータがあると記憶している。
[高田県議]
農林水産省の調査では20代の男性の消費は月ゼロが20%にもなっているという数字もある。幼少期からの食生活が大事だといわれており若者や子どもをターゲットにした米の消費拡大戦略が必要ではないか。和食がユネスコの文化遺産に登録されており、食と健康和食の大切さをPRするとともに、ご飯を消費する若者向けのレシピ作るなどの工夫も大事だ。同時に若者へのコメなどの食糧支援も必要ではないか。コロナでバイトもできず親の収入が落ち込み仕送も減っている。ひとり親家庭の生活苦も広がっている。県内でも食糧支援への取り組みが広がっている。若者向けの食糧支援にも取り組むべきではないか。
[小原県産米戦略監]
SNSを活用して岩手のコメの消費拡大対策の取り組みが始まっている。さらに取り組みを強化したい。若者向けの食糧支援は検討したい。
[高田県議]
民青同盟が行った県内の学生を対象にした食糧支援には264人が集まり、支援を受けた学生が支援活動に取り組んでいる。米、生理用品の支援に喜ばれている。生活支援としても消費拡大対策としても必要であり是非実現に向け取り組んでいただきたい。
県産米の在庫は4月1日現在で112,500tで前年比1,1万トン増となっている。全中の試算が日本農業新聞に報道されているが、秋以降50万トンが滞留し米価は1万円台になるとの予測もされている。米価暴落は現実のものとなっており大幅下落となれば2〜3年は元に戻らないことはこの間経験した。コメの需給状況をどう受け止めているのか。
[小原県産米戦略監]
コメの在庫は4月1現在全国では231万トンで13,2%増、県内は112500tで10,6%増となっている。このため作付転換が必要であり、地域の再生協議会を回り丁寧な説明を行って産地交付金など飼糧米への支援など丁寧な説明を行なってきた。また、大規模農家への訪問、新聞などでもPRを行ってきた。作付転換計画1200ヘクタールを1600fとなった。飼料米は6割程度となった。コメの価格は全国では14480円(60キロ)前年比836円減、本県は14643円469円の減となっている。コメの下落が心配される。全国レベルでの需要調整が必要であり、実効ある体制が大事だ。
コメの需給対策に国がしっかり取り組み農家が希望を持って営農できるように6月に政府要望を行ったところだ。
[高田県議]
米の在庫増はコロナによる影響だ。国が需給対策に責任を持たなければ下落は人災だと申し上げてきた。米国では農家への直接支援と農家から食料を購入し食糧支援に取り組んでいる。若者や生活困窮者への支援に是非取り組んでいただきたい。
・農業保険加入促進事業について
[高田県議]
収入保険と共済保険の加入状況はどうなっているか。収入保険が導入されてから共済保険が任意加入となった。どちらにも加入しない無保険者の実態はどうなっているか。
[中野団体指導課総括課長]
収入保険の加入は経営体数35,380件に対し2,445件で6.9%。農作物共済(水稲)は5,395,800aに対し4061739aで75.3%の引き受け率となっている。水稲による収入保険加入は作付面積48200haに対し加入面積は8950haで加入率18,6%。面積ベースであるが合計で93,6%となっている。無保険は面積で6%程度である。
[高田県議]
収入保険は農家のセーフティネットと言われているが再生産を補償するものではない。毎年災害が発生すセーフティネットにはなりえないのではないか。
県南、県央を中心に凍霜被害が深刻だ。被災農家は収入保険料への支援を求めている。
一関市の8ヘクタールの果樹農家では収入保険料が毎年50万円、掛け捨てだ。薬剤散布に400万円もかかり今年に霜被害で来年以降の営農も心配している。被災農家への保険料の減免を検討すべきでないか。収入保険は来年の3〜6月にしか支払われない。運転資金の要望もあるがつなぎ融資はどうなっているか。
[中野団体指導課総括課長]
収入保険料の軽減については、すでに加入している農業者との公平性から慎重に検討が必要、他県の状況を見て検討する。
収入保険の補てん金の支払は、保険期間の終了後になりますが、保 険期間中であっても、自然災害や価格低下等により、補てん金の受け 取りが見込まれる場合、NOSAI全国連から、無利子のつなぎ融資を受 けることができます。つなぎ融資を受けた金額は、補てん金と相殺して返還することになります
[高田県議]
農林水産省は2月16日付けで「新型コロナウイルス感染対応地方創生臨時交付金を活用したの農業経営収入保険料の補助について」通知を出している。通知では「保険料補助を実施している団体では収入保険への加入が進んでいる」「地方創生臨時交付金を活用するなどして加入拡大で農業経営の安定を図っていただきたいと』としている。総務部長は「農林水産部としっかり協議したい」と一般質問で答弁したが通知を受けて協議がされたのか。
[中野団体指導課総括課長]
国が掛け捨て保険料の2分の1と積立金の4分の3を負担していることや、すでに制度加入している農業者との公平性などを考慮すると慎重な判断が必要となっている。一度かぎりの補助では効果がないが他県の状況を見て検討しなければならない。
[高田県議]
全国の状況はどうか。
[中野団体指導課総括課長]
収入保険の保険料補助は全国で3県83市町村になっている。地方創生臨時交付金35地方公共団体、一般財源は54地方公共団体となっている。
・凍霜害による被害の実態と支援策について
[高田県議]
霜被害は20市町で被害額は3.7億円となっているがJAいわて平泉の果樹部会のアンケート調査では果樹面積80ヘクタールのうち3割が被害を受けたと回答している。サビや変形花もあり質の低下もある。特に贈答品となるふじの被害が大きく被害が5割を超える農家も出るとされている。ふじ若木は比較的影響は小さく改植の必要性も指摘された。農家はこれまで経験したことのない霜被害だと訴えているが県は今回の凍霜害をどう受け止めているのか。被害の実態調査はどうなっているのか。
[鈴木企画課長]
被災農家の調査を行っており現在、20市町、3,7億円となっている。これは規模感であり積み上げたものではない。収穫が終わる段階で正確な数字が出ると思うがこれまでにない被害と受け止めている。
[高田県議]
県は、「農作物災害復旧対策事業の発動にむけて必要な支援策を検討している」と答弁しているがスピード感を持って対応して頂きたい。収穫直前の台風よる被害も大変だが、霜被害は選定作業が終わった直後の被害となり大幅な減収は避けられないことを知りながら次期策に向けた仕事もしなければならない。
薬剤散布は収穫の影響にかかわらず散布が必要であり、この掛かりまし経費への支援が必要だ。防霜用スプリンクラーの導入を求める農家もあり導入への支援も必要ではないか。
[佐々木農産園芸課総括課長]
発動に向け品質低下を抑える薬剤散布や花粉の確保など次年度の安定した生産に必要な支援を検討してる。スプリンクラーは、果実となる花を0度程度に維持することで果樹への霜被害を防止できる。しかし、活用は多量の水が供給できる水源の確保が必要だ。希望する農家にはこうした点を確認しながら、国庫補助事業などによる導入を支援していきたい。
[高田県議]
一関市の8ヘクタールの果樹農家は薬剤散布に年400万円収入保険の掛け金が50万円となり、人件費が払えるかどうかと悩んでいる。次期策への運転資金も必要だと訴えている。緊急的な防除だけの支援とならないように検討してほしい。
スプリクラーへの国庫補助事業もあるが10アール50万から100万となり国庫補助を活用しても導入が難しい現状にあるのではないか。補助制度があっても活用されないことがないよう支援を拡充することも検討すべきだ。
・豚熱ワクチン接種について
[高田県議]
ワクチン接種のスピード感持って対応する必要があるが3か月はかかりすぎではないのか。接種体制はどうなっているか。
[長谷川振興・衛生課長]
ワクチン接種する家畜防疫員は、家畜保健所などに勤務する県職員60人、家畜防疫員として任用する民間獣医師40人の100人体制で実施する。農場からは日頃から農場の実情がわかる獣医師にお願いしたいという希望があり精査した結果3か月となった。
[高田県議]
接種した農場では全国で10カ所の農場で豚熱が発生している.県はその要因をどう把握しているか。新型コロナと同じようにワクチン頼みになってはならないのではないか。
[長谷川振興・衛生課長]
接種してもすべての豚が免疫を獲得しているわけではない、子豚に適切な時期に接種すすることは困難を伴うと言われている。また、防護柵の未設置、消毒など衛生管理にも十分でなかった点がある。委員がおっしゅやる通りワクチンが万能ではないので一層衛生管理を徹底したい。
[高田県議]
国の家畜衛生部会や拡大豚熱疫学調査チームが豚熱ワクチン接種農場でのウイルス対策について提言を出しているがどう対応されるのか。農場の作業に携わる責任者に定期的な指導点検を行う必要があるがどうなっている。
[長谷川振興・衛生課長]
接種農場でも豚熱が発生しており、飼料衛生管理を一層徹底する必要がある。農場への教育訓練が大事であり定期的な点検指導に取り組んでいきたい。