2021年8月3日 文教委員会
県立高校再編計画後期計画に対する質疑
(大要)


・福岡工業高校と一戸高校の統合について

【斉藤委員】
 それでは、高校再編計画策定後の取り組みについてお聞きをします。
 まず、県教委として、この策定後どういう取り組みを行っていますか。今後どう進めるのか、まずそのことからお聞きします。

【高校改革課長】
 高校再編計画策定後の取り組みでございます。今後におきましては、地域の代表者の方、それから学校関係者の皆様による総合検討委員会を立ち上げまして、そこで具体的な統合に関する検討を進めることとしております。
 県南地域に設置される工業高校につきましては、設置場所の選定もございますので、場合によっては( )と考えてございます。

【斉藤委員】
 7月9日に、二戸市長、二戸市議会議長連名で知事宛に、県政要望が行われております。この県政要望の中に、「県立福岡工業高等学校の単独校での存続と2学科の維持について」と、こういう要望が知事宛に行われておりますけれども、この要望をどのように受け止めておりますか。

【教育長】
 福岡工業高校と一戸高校の統合計画に関しまして、二戸市から福岡工業高校を単独校でということで要望がありまして、先ほど若干触れましたけれど、今後予定している二戸ブロックにおきましては、令和6年度でいきますと、中学校卒業予定者数が令和2年に統合案を発表しているんですが、その時点で422人と比較しまして、約17%・73人減少して345人となる見通しと。その後、一層の減少が見込まれるという状況にございまして、それに対応した教育環境の整備が喫緊の課題であるという風にとらえてございます。
 そしてこの両校の統合につきましては、現在あるさまざまな学びの選択肢をブロック内に確保しつつですね、専門教育の拠点となる学校として、新たに設置するというものでありまして、この統合校の工業学科におきましては、福岡工業高校の校舎を活用して、機械系と電気系の2つのコースを設置すると。現在の2学科で行われている学びは維持していくということとしてございます。
 先ほど森田課長からも答弁ありましたが、今後設置されます統合検討委員会等におきまして、この統合の考え方について丁寧な説明を行うとともに、子どもたちにとってより良い教育環境の整備に向けて慎重に取り組んでいきたいと考えております。

【斉藤委員】
 私はこの要望についてどう受け止めているか聞いたんですよ。高校再編計画の説明を聞いたんじゃないんですよ。
 7月9日に知事宛に出されたこの「福岡工業高校の単独校での存続、2学科の維持について」、これは正式の要請として教育長は受け止めていますね。

【教育長】
 二戸市での要望ということでございますので、また、今後ですね私どもの方にも、要望等についてのお話もいただいているというところでございます。

【斉藤委員】
 いま教育長の説明の中で、「専門教育の拠点となる新たな高校をつくる」という話をされました。できないんですよ。一戸高校は総合学科制で専門高校じゃないんです。なんで総合学科と工業学科2学科を1つ減らして専門教育の拠点ができるんですか。できるわけないでしょう。そのことをはっきり簡潔に答えてください。

【高校改革課長】
 先ほどの岩谷堂高校の学級減の中でもお話したところでございますが、総合学科高校におきましては、さまざまな系列を設置してございます。普通科系のほかに、商業系、それから農業、家政、それから特徴的には介護・福祉の学びといったところで、専門的な学びを総合的に学べる学校でございますので、この一戸高校と統合しつつ、工業の学びとそれぞれの学びを融合させながら、6次産業化の流れもございます。そういったところで、総合的に専門的な学びを実施できる学校をつくりたいという風に考えてございます。

【斉藤委員】
 総合学科制は専門教育じゃないんですから。それをごちゃ混ぜにして、新たな専門教育の拠点ができるような幻想は言うべきじゃないですよ。正確じゃないですよ。
 それで、この二戸市と議長の要望の中には、市として、「県北唯一の専門高校として、人材育成と県北振興における役割を果たす」そういう学科を残してほしいと。その上で、市としても、市の広報誌上で同校の教育活動を知らせて、実は私にも届いたんだけれども、これは5月6月7月の市の広報です。毎月、福岡高校、福岡工業高校について特集を組んで、そしてこれを増刷をして市内の中学生に全部届けています。そういう取り組みを始めています。一番新しい7月1日号では、福岡工業高校、最新機械の導入で今年の夏に新しく総額約7000万円の予算でつくられる。パソコンやNCフライス盤2台も一新すると。そして資格取得では全国トップクラス、就職では100%、県内外に技術者を排出していると、こういう風に紹介をされています。これをすべての中学生に届けているんですね。
 あわせて、6月の二戸市議会で補正予算を組みまして、市内の高校へ通う通学費の2分の1補助、そして高校魅力化推進事業、これは159万円で市の広報を増刷して中学生に配布する分。そして福岡工業高等学校教育費振興費補助―これは30万円ですけれども、こういう形で、市は本気になって、知事に要望したこの実現のために頑張っています。そのことをどのように受け止めておりますか。

【高校改革課長】
 これまで各地域におきましては、特に小規模校の維持に向けてさまざまな取り組みをしていただいているところでございます。
 高校の魅力化や活性化を図る面におきましては、地域と学校との連携がこれがきわめて重要なものだと認識しております。これを通じて、生徒が地元の高校を理解し、その選択につながっていくということは非常に望ましいものと考えられるところでございます。
 したがいまして、この間の二戸市の取り組みによる福岡工業高校の情報発信については今後も注視してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 私は改めて福岡工業高校の実績について、教育長が本当にどういう風に正確に受け止めているかお聞きしたい。令和2年度の主な国家資格、国家検定の取得状況では、第三者電気主任技術者、これは4名受験して1名合格だったんですけど合格率は25%、全国高校ランキング6位、第一種電気工事士は24名中20名合格、合格率83.3%、全国高校ランキング17位、そしてこれは全国工業高等学校長協会が表彰するジュニアマイスター、経済大臣賞、これは全国第1位ということですけどこれが1名。特別表彰、これは資格取得が大変多かったという方々が特別表彰になるんですけれども、これが5名。そのほかに、ゴールド12名、シルバー7名、ブロンズ22名、合わせて46名です。おそらくこれは全国トップクラスの成果を上げていると。この成果は、実はこの間どんどん取得率・合格率が上がっているんですよ。上げているんです。たまたま令和2年度頑張ったということではなく、そういう国家資格の取り組みが年々上がってきていると。わずか2学科の専門高校ですけどね、これだけ素晴らしい実績をあげている県北の唯一の工業高校、専門高校、これを維持・充実させることを考えるのが、こうした生徒の努力に対する当たり前のことじゃないかと思いますけれども、教育長どうですか。

【教育長】
 生徒たちの素晴らしい取り組み、そして実績を上げているということにつきましては、大変素晴らしいことだと思います。私も学校を訪問した際にもそれは校長からご報告をいただいております。そしてそういった学びがしっかりできるような環境をつくっていこうということで、先ほどご紹介ありましたNCプライス盤2台も7000万円をかけて学校に整備をすると。私ども、これまで魅力化促進に向けた取り組み、あるいは老朽化してきていたさまざまな産業振興施設・設備ですね、こういったものも国の補助事業を活用して、2月補正では9億3000万円の予算措置もして、そしてまずは学校現場のそういった多様な学びをしっかりできるような基盤を整備していくということで支援をしているところでございます。
 今後におきましても、さまざま生徒たちの取り組み等を評価しながら、そしてそれをしっかり支えていくような形で、そしてまた教職員の配置ですね、取り組み・成果をあげているということもございますので、今般のこの統合につきましても、一戸高校と統合になることによって、実は教職員の確保も図られるという面もございます。そういったことでの支援ということもございますので、ご理解をいただきたいと思っております。

【斉藤委員】
 生徒の努力は評価する理解するけど、学科は減らす、統合計画は進めるというのでは、国語として成り立ちませんよ。そして、こういう生徒・教師の努力の結果が今年の入学者の増だったと思うんですよ。57人入学ですよ。3学級規模の一戸高校は56人ですよ。2学科規模を維持して、入学者を増やしている福岡工業高校がなぜ学科減の対象になるんですか。どこにその根拠があるんですか。

【高校改革課長】
 私ども、今年度の入学者数も重要ではございますけれども、一方では将来的な生徒数を勘案しながら学校の体制というものも考えなければならないといったこともございます。令和6年度にかなり二戸ブロックの生徒数が減少する中、どのようにして現在ある一戸高校、福岡工業高校にある多様な学びを残す、子どもたちの選択肢を与えていくかということは非常に大きな課題であると考えているところでございます。そして、特に二戸ブロックはですね、盛岡ブロックへの流出が多い地域であります。したがいまして、二戸ブロックに魅力ある高校を設置して、可能な限り二戸ブロックで二戸の産業や社会を支える人材を育成していく、地元で育成していくといった取り組みが必要だろうと考えているところでございます。

【斉藤委員】
 まったく矛盾なんです。福岡工業高校は魅力があるから今年入学者が増えたんでしょう。そして実績もあげているですよ、全国トップクラスの。だったら、これを維持し拡充するという、それを大いに支援することは県教委の仕事じゃないですか。頑張って入学者も増やしている学科を減らすなんていうことは、本当にそういう努力に水を差すと。こんなことをやったらますます盛岡集中になりますよ。そう思いませんか、あなたは担当者として。これだけ努力して、成果をあげて、入学者も増やして。そういう工業高校を2学科を1学科に減らしたら、専門高校の魅力がなくなるじゃないですか。2学科から1学科になったら専門の学科の先生がばっと減るんですよ。教師増えるなんていうのは一般論なんです。専門教育からいったら大幅に減るんです。だから資格取得ができなくなるというのが、1学科規模になった専門高校の実態じゃないですか。簡潔明瞭に答えてください。私が言っていることが違いますか。

【高校改革課長】
 工業系の学校を1学級にしている高校も前例としてはございます。一般論として申し上げますと、教員自体は2学級よりは減少するのはその通りでございますが、その定員に応じた指導がしっかりできるような教員体制自体はしっかり図っていくものでございます。
 二戸地域にやはりバランス良くさまざまな学びを残したい、そういった趣旨でもって今回の統合案を考えたものでございます。

【斉藤委員】
 矛盾に満ちた答弁、本当に残念でならない。
 先ほどの議論の中で、久慈工業高校については、統合計画があったにも関わらず、3年間にわたって1学級規模以上の欠員を記録していた。しかしこれは慎重に来年度の入学者を見て考えるというんでしょ。なんで久慈工業高校は4年間も慎重に考え統合計画を進めるというときに、実績も入学者の数もあるのに学科減しなくちゃならないんですか。考え方が全然整合性ないんじゃないんですか。どこに整合性があるんですか。おかしいんじゃないですか。久慈工業だけ特別扱いですか。それ以上の実績をあげている福岡工業をなぜ1学科減らすんですか。論理的に答えてください。

【高校改革課長】
 久慈工業高校におきましては、やはり野田村の強い要望、これからの努力を見てほしいという強い要望に基づいて、前期計画におきましては計画にはその旨を明記したところでございます。二戸市におきましては、そういったものは明記はしていないところでございますけれども、いずれ久慈地域におきましては、先ほどご説明した通り、今後生徒数が大幅に減る状況にはないということも1つの考え方でございます。一方で二戸市はやはり、今後かなり生徒数の減少というのが目に見えて明らかな状況でございますので、その中でいかにして学びの選択肢として残していくかというところを優先的に考えたいというところでございます。

【斉藤委員】
 残念ながら説得力ある答弁がされませんでした。
 最後に教育長にお聞きしたい。福岡工業高校というのは県北唯一の専門高校、工業高校です。県南には立派な統合の専門高校をつくると。なんで県北の工業高校を拡充し守ろうとしないんですか。普通高校と違うんですよ、専門教育というのは。地域振興の担い手を直接つくる、実際にその役割を果たしている。この県北における工業高校、唯一の専門高校をどう位置づけているのか。そして久慈工業については慎重に考えているが、実績もある福岡工業については、現状・実態・実績を無視してなぜ統合を図ろうとしているのか。
 来年度の入学者の実績次第では、私はこの計画は見直すべきだと思いますが、その可能性も含めて、教育長答えてください。

【教育長】
 まず、一戸高校と福岡工業高校の統合を通じまして、ブロックにおける工業学科と総合学科を残して、そして、例えば先ほど教員の配置についてもお話をしましたけど、具体的に数学あるいは英語等の一般教科の教員を総合学科と工業科に共通化できるというメリットがあります。そしてその分を専門学科の教員に配置をしまして、現行の機械と電気の学びをですね、コースにより確保していくという考え方がございます。そして一戸高校にある看護とか福祉、商業、農業、そういった多様な学びを地域に残すと。
 県北地域にも一戸高校と福岡工業高校のほかにも、軽米高校であるとか伊保内高校もございます。そちらの方も実は生徒が減ってございます。県北地域の子どもたちの多様な学びをどうやって維持していくか、県北ブロック全体でも考えていかなければならない課題もございます。
 そして今般の二戸市での取り組みについて示されました。当方でも拝見してございます。そういったところの対応等については、先の議会でも今後の推移等については「慎重な判断が求められる」ということでお答えをさせていただいております。その考え方については変わってございません。