2021年8月24日 災害対策連絡本部員会議
新型コロナウイルス対策に関する質疑
(大要)


・急速な感染拡大の要因、具体的な対策について

【斉藤議員】
 さっそく質問します。
 第一に、県内の急速な感染拡大の要因をどうとらえているか。
 感染拡大を抑える具体的な対策はどう取り組まれているか示してください。

【理事心得】
 急速な感染拡大の要因でございますが、季節的な要因といたしましては、7月下旬から8月中旬にかけて、学生の夏季休暇やお盆の期間において、県外で感染した患者が県内に移動した後に発症するなど、県内外の人流の増加などが挙げられると考えられます。
 また、ウイルスの要因といたしまして、全国だけでなく、本県の新規患者においても、感染力の強いとされるデルタ株に感染している者の割合が増加していることなどが挙げられます。その影響といたしまして、例えば5月〜6月のクラスターは、10人未満の規模のものが半数以上でございましたが、7月以降は比較的規模の大きいクラスターが確認されておりまして、17件のクラスター中14件が10人以上、うち5件が30人以上の規模となっていることが挙げられます。
【復興防災部長】
 感染拡大を抑える具体的な対策についてでありますけれども、県がこれまで感染拡大防止のため、保健所における積極的疫学調査を進め、国で定義する濃厚接触者に限らず、接触者にも積極的にPCR検査を実施するほか、体調不良者には早期に医療機関を受診するよう呼びかけ、早期探知に努めてきたところであります。
 デルタ株の可能性があるL452変異株を県内で初めて確認した際には、ただちに本部員会議を開催し、岩手警戒宣言を行い、基本的な感染対策などの再徹底をお願いしたところであります。
 お盆休みや夏季休暇に入る前の8月3日には、都道府県をまたぐ往来が増加し、感染リスクが高まることが予想されたため、都道府県をまたぐ不要不急の帰省や旅行等は原則中止・延期をお願いするとともに、10万人当たりの直近一週間の新規感染者数が15人を超える場合などには、県独自の緊急事態宣言などにより、県民の行動抑制を含む強い感染対策を実施することを、知事メッセージで発信してきたところであります。
 10万人当たりの直近一週間の新規感染者数が15人を超えて16.5人となった8月12日には、県独自の岩手緊急事態宣言を発出し、これまでの都道府県をまたぐ不要不急の移動の自粛に加えまして、県民の皆様には、人と人との接触を極力減らすために、不要不急の外出の自粛をお願いしてきたところであります。
 また、事前にお知らせしておりました、いわて旅応援プロジェクト、いわての食応援プロジェクトの事業を停止するなど、感染状況に応じた感染対策を迅速に実施してきたところでございます。

【斉藤議員】
 これは8月13日付の新聞ですけれども、盛岡市の矢野保健所長はですね、「探知されているのは氷山の一角である可能性が高く、感染のピークはこれからだ。かつてない規模の感染の波が生じる条件がそろっている」と、こう指摘しています。東北大学の小坂教授、これは厚労省のアドバイザリーボードのメンバーでありますけれども、宮城県が1万人を累計で超えたときに、「1万人の感染判明は、感染を捕捉できない人がその倍はいると見込まれ、県人口の1%にあたる約3万人が感染した計算になる」と指摘しています。
 盛岡市は昨日、PCR検査センターを設置すると。そして、高齢者や児童関連施設の職員向けの定期PCR検査も再開する、こういう方針を示しました。こうした大規模な検査に取り組むべきではないかと思いますがいかがですか。

【理事心得】
 県では、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会で協議のうえ、8月3日、新型コロナウイルス感染症の蔓延期における検査方針を改定いたしました。本県が緊急事態措置区域、またはまん延防止等重点措置区域に指定された場合などは、高齢者施設等に勤務する者、あるいは歓楽街の従事者等を対象として、一斉定期的な検査を行うということとしております。

【斉藤議員】
 もうひとつ積極性が見えないんですがね。

・医療体制の確保について

【斉藤議員】
 第二に、医療体制の確保についてお聞きします。
 8月20日、入院が268人、病床使用率76.5%となりました。宿泊療養施設は8月22日ですが153人となりました。いま350床の病床確保となっていますが、重症病床の確保はどうなるでしょうか。宿泊療養施設の確保と入所状況、特に医師・看護師の配置状況を示してください。

【理事心得】
 8月13日に病床使用率が50%・175床を超えたことから、医療のフェーズを蔓延期のフェーズ3という風に切り替えたところでございます。
 一般医療を担っていた準備病床100床を新型コロナウイルス感染症対応に切り替えて、350床の運用に拡大しております。重症病床につきましては、現在2床活用されておりますが、十分な数の運用が可能な状況にございます。宿泊療養施設につきましても、本日から3棟目130室の運用を開始したところでございます。
 現在、病床使用率につきましては60%、重症病床の利用率4.4%という状況でございます。
 次に、宿泊療養施設における医療スタッフの確保状況でございますが、県において任用する職員に加えまして、県医師会そして看護協会の協力を得て、必要な数を確保しているところでございます。
 今後におきましても、新型コロナウイルス感染症と一般医療との両立を維持していくため、各地域における医療機関の役割分担等を通じて、限りある医療資源を有効に活用できる体制を構築し、必要な医療の提供ができるよう努めてまいります。

【斉藤議員】
 全国的にも県内の感染拡大もですね、ピークが見えないというのが今の特徴なんですよ。第5波というのは、全国的には第3波の3.28倍です。350床というのは第3波の2倍で想定しているんですね。350床では足りないと。最悪の状況を想定した病床の確保が必要だと考えますが、その点でどのように検討されているでしょうか。

【理事心得】
 本年5月に開催された第8回岩手県ロナウイルス感染症医療体制検討委員会におきましては、必要な病床数の検討を行ったところでございまして、この見直しにあたっては、一日の最大新規感染者数を過去最大の2倍となる86人、一日当たりの最大療養者数を過去最大の4倍の508人と想定したところでございまして、今回8月20日の状況を上回る状況で想定しているところでございます。
 ただし、首都圏や全国におけるこの度の爆発的な感染拡大の状況を鑑みますと、さらなる感染拡大も想定する必要があると考えられますことから、臨時の医療施設等々含め、さらなる医療体制の強化について、医療体制検討委員会等の専門家から意見をうかがってまいりたいと考えております。

【斉藤議員】
 すでに東京都などではもう医療崩壊になっています。自宅療養で亡くなる、こういう事態が続出していますから、こういうことが絶対に起きないように。
 そこで、「重症化リスクのある患者以外は原則自宅療養とする」政府の方針、これは撤回を求めるべきだと。岩手県は、新規感染者に対して原則診断して、入院または宿泊療養で対応する方針、先ほどもそう示されました。これはしっかり堅持すると。だとするなら、政府の方針の撤回を求めるべきではないですか。

【保健福祉部長】
 政府の方針についてでありますが、国の事務連絡によりますと、「染急増地域について、入院は重症患者や特に重症化リスクの高い者に重点化し、それ以外は自宅療養を基本とする」考え方が当初示されましたが、その後、「入院は重症患者、中等症患者で、酸素投与が必要な者。投与が必要でなくても、重症化リスクがある者に重点化、入院させる必要がある患者以外は自宅療養を基本という対応も可能とする」ことが通知されたものと承知をしております。
 新型コロナウイルス感染症は、当初は軽症でありましても、症状が急速に悪化する例があり、患者の適切な健康観察が重要でありますこと、また、感染力が強い変異株に置き換わった現状においては、家庭内での感染防止をより徹底する必要がありますことから、本県では原則として入院または宿泊療養とする方針を継続することとしております。

【斉藤議員】
 私ね、岩手県は重症患者が少ないというのが特徴だと思うんですね。やはり原則診断して、入院・宿泊療養を徹底していることがその要因だと思いますがいかがですか。

【保健福祉部長】
 やはり最初の段階で、CTなり血液検査をし、またリスクをきちんと医師によって適切に判断をして、それによって適切な療養・入院対応を行っているということ、これはやはり原則で、それがある程度効果があるものと認識をしております。
 一方で、重症化というのは、患者さんが増えてから、しばらくしてから症状が出てまいりますので、まだまだ岩手の状況も予断を許さないものという緊張感のもとで対応してまいりたいと考えております。

【斉藤議員】
 新たな治療法も出されています。重症化を抑える抗体カクテル療法、新酸素療法、ネーザルハイフロー、これは県内でどう取り組まれて、どう治療の実績があるでしょうか。

【保健福祉部長】
 抗体カクテル療法につきましては、日本国内での流通量が限られていることから、一般流通は行わず、重症化リスク要因を要する患者等を対象として、医療機関からの申請に基づき、国から直接調達されているものでございます。県内における抗体カクテル療法の実績については、8月20日時点で、少なくとも10医療機関において治療が実施されておりまして、うち県立病院6病院においては16例の実績があると承知をしております。
 また、ネーザルハイフローによる治療については、現在の診療の手引きにおきまして、呼吸不全のある中等症の適用とされたものであり、8月23日時点で、県立病院4病院におきまして6件の治療実績があると承知しております。

【斉藤議員】
 医療者の方々は1年半以上にわたって、本当に献身的な医療に取り組まれておりますけれども、昨年度は慰労金がありました。今年度もこうした慰労金が必要なのではないかと思いますがいかがですか。

【医療政策室長】
 医療従事者への慰労金の関係でございますが、新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大等によりまして、医療従事者の感染症の対応ということが長期化してきているということで、非常に使命感を持って業務に従事いただいている医療従事者に報いるということは重要なことだという風に認識しているところでございます。
 一方でこうした慰労金の支給につきましては、国の財源により国全体のスキームで行われるということが望ましいと考えているところでございまして、県でも政府予算要望、全国知事会等を通じまして、国に要望しているところでございます。
 今後も医療提供体制の拡充・強化に向けた支援も含めまして、機会をとらえて国に働きかけていきたいと考えております。

・ワクチン接種の取り組みについて

【斉藤議員】
 次に、ワクチン供給の計画についてお聞きいたします。
 7月以降ですね、大幅に4割5割ぐらいにワクチン供給が減らされたと。今のワクチン供給の実態について、そして影響を受けた自治体の状況について示していただきたい。
 それと、私は必要性・緊急性のある人を優先し、早い者勝ちではない創意工夫を凝らしてワクチンの接種を進めるべきだと思いますが、県内の取り組みはどうなっているでしょうか。
 妊婦については、私は優先対象にして、産婦人科等で接種すべきだと思いますがいかがでしょうか。

【医療政策室長】
 ワクチンの供給の関係でございます。国のワクチンの供給計画におきましては、9月中旬から10月上旬までに供給するファイザー社のワクチン、それから県内で職域接種ということで入ってきているものもございます。こうしたワクチンも含めまして、各都道府県で12歳以上の人口の8割に接種できる量が供給されるということが示されているところでございます。
 本県には、8月下旬までにファイザー社ワクチン、主に市町村の接種で使われるワクチンでございますが、これがそれまでの医療従事者の分として供給されたものも合わせまして、約140万回分が供給されているところでございまして、12歳以上の人口の約6割に当たる、70万人程度が2回接種可能となる分が供給されているというところでございます。
 9月から10月の上旬までに34万回分ということで、要は8割を超える分が市町村の方に配分されるというようなことでございますので、県でも都道府県の配分量を調整するための調整枠というところも今後追加として設けられるというような方針も示されておりますので、それも踏まえまして、市町村が円滑に接種できるような調整を行っていきたいと考えております。
 また、緊急性のある方への優先接種の件でございますが、基本的には各市町村の方におきまして、地域の特性、それから感染状況、接種状況を踏まえまして、優先順位をそれぞれ設けながら、例えば、在宅療養者の申し出に基づき巡回接種を行うなど、それぞれ工夫しながら進めているということで承知しているところでございます。県では、重症化リスクが高い方々への早期の接種やクラスター防止の観点から、本年7月21日付で市町村に対しまして、基礎疾患を有する方、それから障がい支援施設、保育所、介護サービス事業者など、そういう方々への早期のワクチン接種を検討いただくようにということで通知したところでございます。引き続き、市町村と優先接種を進めている市町村の取り組みなども紹介しながら、早期の接種に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、妊婦さん等への接種というところでございますけれども、基本的には先ほど部長の方からも答弁申し上げました通り、それぞれ妊婦さんの状況等を確認していただきながら、それぞれの産科のかかりつけ医とご相談されながら、接種をする方法等も含めて選んでいただくことが大事かなと考えておりますので、その辺も市町村とも情報共有しながら取り組みを進めていきたいと考えております。

・事業者支援について

【斉藤議員】
 それでは事業者の支援について、これまでの実績、今後の支援策、どうなっているか示してください。

【商工労働観光部長】
 事業者支援の実績、および今後の支援策についてでございますが、まず、令和3年2月補正による1店舗40万円の地域企業経営支援金支給事業については、これはすでに申請は終わっていますけれども、受付店舗数が想定の7800件に対して、実績が8398件、支給金額は予算額の31億円余とほぼ同額となる見込みでございます。
 今年度の事業でございますが、いわて旅応援プロジェクトにつきましては、8月12日時点で、利用者は想定の49万人に対して44万8800人、約45万人でございます。宿泊施設の感染症対策補助については、8月19日時点で6件・763万円余、三陸バス観光運行支援事業につきましては、同じく8月19日時点で104件・709万円、観光バス等旅行商品醸成支援事業につきましては、これも8月19日時点で34件・4945万円となっております。
 今後、岩手緊急事態宣言の発出により、多くの事業者の売り上げ減少が見込まれることから、令和3年5月補正による地域企業経営支援金支給事業の支給上限額を、1店舗当たり最大30万円から10万円引き上げて40万円にして対応していきたいと考えております。

【斉藤議員】
 事業者の影響調査の7月分を先日いただきました。一番影響が大きいのは宿泊業なんですね。41%以上の売り上げ減少が実に63%です。全体が30.4%です。
 議論もありましたけれども、地方創生臨時交付金の追加分26億円、合計64億円があり、そのうち事業者支援分は38億円です。補正予算を編成して、早急に臨時議会を開くべきではないかと考えますが、どのように検討されていますか。

【総務部長】
 臨時会を早急に開くべきだというご質問をいただきました。本日もさまざまなご指摘をいただいております。我々といたしましても早期の対応が必要と考えてございます。
 いずれにいたしましても、議会のご意見もうかがいながらですね、臨時議会も含めて適時適切なタイミングでの議会への必要な予算の提案を検討してまいります。

【斉藤議員】
 病床確保、事業者支援、ぜひ早急に具体化してやっていただきたい。終わります。