2021年9月3日 臨時県議会
新型コロナ対策第5次補正予算に対する質疑(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号、2021年度岩手県一般会計補正予算(第5号)この専決処分、議案第2号、岩手県一般会計補正予算(第6号)について質問します。
これら第5号、第6号の二つの補正予算は、岩手県が8月12日に、新規感染者が10万人当たり16.5人とステージ3の事態となったことから、独自に「岩手緊急事態宣言」を発令し、新たな感染を強力に抑え込むための具体的な施策にかかわるものであります。8月26日には、盛岡市を重点対策区域に指定し、飲食店等に対し午後8時までの営業時間の短縮を要請し、県独自に協力金を支給することを明らかにしました。
感染の急拡大を抑え込むための、県独自の「岩手緊急事態宣言」の発令、盛岡市を重点対策区域とする飲食店等に対する営業時間の短縮要請と協力金の支給の措置は、適宜適切な対応だと評価するものであります。
・感染急拡大の要因と「宣言」早期解除に向けた取り組みについて
達増知事に質問します。全国的に感染爆発の状況が広がる中で、自宅療養者が11万8千人を超え、「救える命も救えない」深刻な危機的状況となっています。重症患者数は連日過去最多を記録しています。こうした中で、県内の8月の新規感染者は1002人となり、10万人当たりでは21.8人となりました。感染爆発とはなりませんでしたが、感染の急拡大の状況です。この状況をどう受け止めているのか。その要因をどう分析・把握されているでしょうか。
「岩手緊急事態宣言」の解除の基準は、新規感染者数が10万人当たり10人未満に抑え込むことと提起しています。積極的で厳しい目標でもあります。早期に解除を目指すために、今後どういう取り組みが必要と考えているかを示してください。
【達増知事】
斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。
まず、県内の感染状況とその要因についてでありますが、7月下旬以降、学校の夏季休業やお盆の季節において、県外で感染した患者が県内に移動した後に発症したり、帰省による親族や友人等との会食の際に感染するなど、県内外の人流が増加したことが主な要因と認識しております。これに加え、感染力の強いとされるデルタ株に感染している者の割合が増加していることも相まって、本県においても全国と同様、これまでに経験したことのない感染の状況が続いており、一層の感染拡大防止の取り組みが重要と受け止めております。
次に、「岩手緊急事態宣言」早期解除に向けた取り組みについてでありますが、現在、県内で確認されている新型コロナウイルスは、少ない接触機会でも感染するデルタ株にほぼ置き換わっており、新たな感染を抑え込むためには、社会のさまざまな場面で人と人との接触の機会を極力減らすことは必要であります。そのため、県民の皆様には、不要不急の外出の自粛をお願いしているほか、新学期がスタートした学校に対しては、練習試合の禁止や時差通学の検討、また、事業所に対しては、テレワークやテレビ会議による出張機会の削減など依頼しているところであります。
飲食店への営業時間短縮要請については、デルタ株による感染が拡大した8月以降、飲食に起因する感染も多く見られること、また、飲食店を起点として職場や家庭にウイルスを持ち込む例が少なくないこと、学校や施設のクラスターに比べ、囲い込むことが難しいことから、感染の起点を抑え込むことが感染対策として重要と考えたところであります。
このような感染対策により、徹底して感染を抑え込み、早期に「岩手緊急事態宣言」を解除することができるよう取り組んでまいります。
・時短要請にともなう協力金の支給について
【斉藤議員】
議案第1号、2021年度岩手県一般会計補正予算(第5号)は、営業時間短縮要請に応じた飲食店等に中小企業の場合、売り上げ実績を踏まえて1日2万5千円から7万5千円の協力金を9月12日までを期限に支給しようとするものであります。9億円の補正予算額は対象店舗数をどう試算したものでしょうか。受付期間は、9月13日から10月31日までとしています。早期申請の受付も8月30日から9月12日まで受け付けるとしています。早期申請の場合、申請受付から支給までの日数はどうなるのでしょうか。通常の申請の場合はどうでしょうか。早期申請の実績の状況を含め示して下さい。
県独自の「岩手緊急事態宣言」が9月12日までに解除されなかった場合、営業時間短縮の要請と協力金の支給はどうなるのでしょうか。
議案第1号は専決処分されました。本日の臨時議会にかけられなかった理由はなぜでしょうか。具体的に答えてください。
【復興防災部長】
対象店舗数の試算方法についてでありますけれども、対象となる飲食店は、食品衛生法に基づく飲食店営業許可または喫茶店営業許可を受けた盛岡市内の店舗としておりますけれども、この許可を受けている施設の中には、病院や介護施設、企業の寮の食堂など、営業時間短縮要請の対象とならない施設が多く含まれていることから、予算の積算に当たりましては、直近の経済センサスにおける盛岡市内の飲食店数約1700店により積算しているものであります。
協力金の申請および支給についてでありますけれども、早期申請は中小企業者および個人事業主を対象に、1店舗あたり17万5千円を支給することとしておりまして、書類等に不備がなければ、申請書の受理から4日程度で支払っています。9月2日現在、116件の申請書を受理しておりまして、9月7日までに103件、115店舗、2012万5千円を支払う予定としております。また、9月13日から受付を開始する本申請でありますけれども、売り上げが一定額以上の場合、売上額に応じて支給単価を決定する必要がありますので、審査に時間を要しますけれども、速やかに支払いができるよう、人員を増やして対応することとしています。なお、売り上げが一定額以下の場合は、審査を要する書類が少ないことから、早期申請と同程度の日数で支払いができる見込みとなっております。
次に、緊急事態宣言が延長された場合の対応についてでありますけれども、「岩手緊急事態宣言」におきましては、県外からの来県者由来の感染やクラスターの発生が多く確認されておりまして、首都圏等との往来が多く、人口が集積している盛岡市における人流と飲食由来の感染を抑制し、感染を重点的に収束させることが、県全体の感染収束に有効であると考えまして、盛岡市の飲食店等に対し営業時間の短縮の要請を行っているところでございます。また、その期間につきましては、国の緊急事態宣言期間に合わせて実効性を高めて、なおかつ効果が表われるまでの2週間の期間を確保するという意味合いで、8月30日から9月12日までとしているところであります。9月12日に予定通り終了することができるよう全力で取り組んでまいります。
【総務部長】
専決処分とした理由についてでございます。
今般の飲食店への時短要請に伴う協力金にかかる専決処分につきましては、感染状況や医療提供体制の逼迫状況に応じて、至急の対応をせざるを得ないこと、協力金については、早期支給の必要があり、営業時間短縮の要請と同時期に予算議案の処分が必要であったことから、本日の臨時会前に、特に緊急を要する予算措置が必要であると判断し、地方自治法第179条第1項の規定に基づく専決処分を行ったところでございます。
今後におきましても、新型コロナウイルス感染症対策にかかる予算の計上にあたりましては、丁寧に議会のご意見をうかがい、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。
・売り上げ減少に対する支援等について
【斉藤議員】
議案第2号、2021年度岩手県一般会計補正予算(第6号)の具体的な内容について質問します。
第一に、地域企業経営支援金支給事業費補助が25億3512万円余の増額補正となっています。「岩手緊急事態宣言」による売り上げ減少等への支援強化として、1店舗当たりの最大支給額を30万円から40万円に引き上げようとするものであります。増額の根拠を示してください。今年度分の申請状況、支給状況はどうなっているでしょうか。今年度分はすべて対象とすべきと考えますが、最大10万円の引き上げ対象はどうなるでしょうか。申請から支給までの期間はどうなっているか示してください。
【商工労働観光部長】
地域企業経営支援金支給事業費補助についてでありますが、「岩手緊急事態宣言」の発出により、幅広い業種の事業者の売り上げ減少が見込まれることから、令和3年5月補正による地域企業経営支援金支給事業の支給上限額を1店舗あたり最大30万円から10万円引き上げ40万円とすることとしたものでございます。なお、今般の全国的な大きな感染拡大によって、事業者への影響はさらに深刻度を増していると受け止めておりまして、持続化給付金の再度の支給や地域観光事業支援の拡充、また、地方創生臨時交付金のさらなる増額などについて国に働きかけながら、今後も必要な対応を講じていく考えでございます。
今年度の支援金の申請状況につきましては、8月20日時点で申請事業者が1976者、申請店舗が2185店舗、支出済み額が4億2800万円余、予算執行率にして20.6%となっております。
今般の上限額の引き上げの対象につきましては、「岩手緊急事態宣言」の発出に伴う県民の行動自粛による影響を踏まえた売り上げ減少を支援するためのものであることから、緊急事態宣言の期間を含んだ場合に限り、上限額を10万円引き上げるものでございます。なお、すでに受給済みの事業者につきましても、宣言期間を含む期間で再計算していただき、支給済み額との間に差額が生じる場合は再度申請できることとして予算案に盛り込んでおります。
支給にあたりましては、商工会議所・商工会と連携を図り、9月以降の申請にたいし、おおむね1ヶ月程度で支給されるようお願いしているところでございます。
【斉藤議員】
第二に、新型コロナウイルス感染症対策資金保証料補給補助として3億1千万円が計上されています。新たに伴走支援型特別保証制度を利用した融資を補助対象に加え、事業者負担分の保証料を国と県で全額補助しようとするものであります。どういう事業者が対象となるのでしょうか。対策資金の融資実績はどうなっているでしょうか。保証料の補助については、市町村でも独自に実施しているところもありますが、その状況をどう把握しているでしょうか。
【商工労働観光部長】
新型コロナウイルス感染症対策資金保証料補給補助についてでございますが、対象となる事業者は、国が定める3つの信用保証制度のいずれかの要件を満たし、市町村の認定を受けた中小企業者のうち、売り上げが15%以上減少した者であって、経営計画書を策定して、金融機関による継続的な伴走支援を受ける者となります。
これまでの対策資金の融資実績は、昨年4月の取扱い開始以降、令和2年度が1279件・512億4555万円余、令和3年度は直近の7月末現在で256件・27億2776万円余、累計では1535件・539億7331万円余となっております。
また、対策資金に対する保証料補助を行っている市町村につきましては、本年6月末現在、3市1町であり、このうち補正予算案にかかる伴走支援資金への保証料補給を行っているのは2市1町となっております。
【斉藤議員】
第三に、飲食店感染対策推進事業費が7223万円の増額補正となっています。認証制度への申請数が増加したことによるとしています。申請数と認証数、認証された飲食店に対する10万円の支援金の支給実績はどうなっているでしょうか。
【企画理事兼環境生活部長】
いわて飲食店安心認証制度への申請と認証状況についてでありますが、本年6月の認証制度の開始から、本当に多くの飲食店の方々に認証基準に沿った感染対策に取り組んでいただいているところであり、8月27日現在の申請件数は3732店、認証件数は3137店となっております。
引き続き、市町村や商工会議所・商工会等と連携しながら、いわて飲食店安心認証制度の周知と普及に取り組み、県内飲食店における感染対策の徹底を図ってまいります。
【商工労働観光部長】
認証された飲食店に対する経営支援金の支給実績でございますが、7月12日の受付開始から8月27日までの実績で、いわて飲食店安心認証の認証を受けた中小企業者947者、認証店舗1018店舗から申請を受け付け、うち530事業者・578店舗に対して5780万円の経営支援金を支給し、予算執行率は16.5%となっております。
関係団体と連携し、迅速な支給に努めてまいります。
<再質問>
・宣言早期解除に向けた取り組みについて
【斉藤議員】
それでは再質問いたします。
「岩手緊急事態宣言」を8月12日に発して、8月26日にはさらに盛岡地区を重点地域にして営業時間短縮の要請を行う、協力金も支給すると。私は、これは県独自の対策として大きな効果があったと思います。県民に対しても、これは大きな危機感を伝えるものになったのではないかと。残念ながら、感染者数はそれほどまだ下がっていない。しかし感染爆発は抑えていると。10万人当たりで見ますと、全国47都道府県の中で45番目ぐらいですよね。岩手県以上はみんなステージ4ですよ。私はそういう意味では効果をあげているし、県の姿勢は伝わっていると。
そこでお聞きしたいんだけれども、さらにこれを10万人当たり10人以下に下げるという、これは先ほど言ったように積極的だけれども厳しい目標です。これを本当に実現するためには、知事の答弁にもありましたけれども、何といっても人流を下げるということが必要だと思いますが、宣言以降、人流の推移というのはどうなっているか。さらにこれを下げるために、もっと立ち入って対策が必要になってくると思いますけれどもいかがでしょうか。
【復興防災部長】
人流の関係でありますけれども、8月8日から14日の盛岡大通り周辺の時間別滞在人口を見ますと、夜間20時〜24時について、2019年比で増減率が平均-38.9%、2020年比で平均-12.2%と低い水準となっております。
・地域企業経営支援金支給事業費補助について
【斉藤議員】
地域企業経営支援金、これ40万円という風になって、今の答弁だとですね、緊急事態宣言以降と、その期間中が対象になると。こういうことですね。緊急事態宣言というのは、終わりがはっきりしていないんですよね。いつまでこれ続くか、早く終わるか、これは私は未定だと思うので、それよりは、やはり8月の緊急事態宣言前からも全国的な感染爆発の中で、私は飲食店等を含めて、宿泊・観光も重大な打撃を受けています。毎月の県の事業所調査でも、売り上げ減少になっているんですよ。だから8月12日起点というのではなくてですね、思い切って今年度対象にすべきではないのか。
【商工労働観光部長】
地域企業経営支援金支給事業費補助についてでございますけれども、先ほど答弁申し上げました通り、今般の10万円上乗せにつきましては、「岩手緊急事態宣言」の発出に伴う売り上げ減少を支援するためのものとして提案させていただきました。その上ででございますけれども、緊急事態宣言の期間ですとか、全国的な感染拡大の影響、これがいつまで続くのかということで、事業者への影響というのは非常に深刻になってきていると思います。そうした対応につきましては、国の方にも働きかけながら、財源を確保しつつ、そこでまた必要な対策を講じていくという考えの中で、議員がおっしゃった期間に合わせていくということについても、あわせて検討していきたいと思います。
・専決処分について
【斉藤議員】
専決処分についてお聞きをいたします。
これは緊急の対策として8月30日から実行されました。協力金の支給も含めてですね。だから、当然予算のついた事業でなければ私は成り立たないと思います。そういう意味で、専決処分をしたということは私は当然の措置だという風に考えます。
そういう意味で、ただ、専決処分をする上で、我々議員にももっと丁寧な説明の場があっても良かったのではないかという風に私は考えていますがいかがでしょうか。
【総務部長】
専決処分にあたりまして、議会への丁寧な説明でございます。
先ほどもご答弁申し上げましたけれども、このコロナウイルス感染症の関係の予算につきましては、定例会はもちろんですけれども、臨時会も開催をし、さまざまご審議いただいてきたところでございます。これまでも、県議会議員の皆様への説明を丁寧に行うという考えのもとで進めてきたところでございます。
今回につきましては、先ほど飯沢議員にもご答弁いたしましたけれども、県の本部員会議の決定に先立ちまして、議長・副議長、それから各会派代表者会議の構成員の方々への説明を行いましたほか、全議員の皆様に必要な資料提供を行わせていただきました。
今後、同様にコロナ関係予算で専決処分を行う必要が生じた場合に、どのような説明の方策が適当なのか、今回のこともしっかり踏まえてですね、議会のご意見もうかがいながら適切に対応していきたいと考えてございます。
<再々質問>
・人流抑制の対策について
【斉藤議員】
先ほど私ね、さらに人流を抑制する手立てが必要なのではないかと、具体的な手立てを聞きました。全国感染爆発の状況ですから、本当に黙っていたら感染広がるだけなんですよ。
【復興防災部長】
失礼いたしました。いずれ県民の皆様には、不要不急の外出の自粛をお願いしておりますほか、特に学校におきましてクラスターも出てきておりますので、さまざま教育委員会において学校における感染抑止ということで取り組みを強化しているところであります。
また、事業所に対しましても、テレワーク・テレビ会議による出張機会の削減などを依頼しているところでありますが、また一層この辺要請を強化してまいりたいと考えております。
・宿泊・観光事業者への支援について
【斉藤議員】
もう1つは、商工労働観光部長に聞きたいんだけれども、実は事業者調査で一番影響を受けているのは宿泊・観光なんですね。41%以上の売り上げ減少が6割を超えているんですよ。これは今すぐというわけにはいきませんけれども、ここへの新たな手立てというのが必要になっているので、ぜひ9月議会には提案するようにしていただきたい。いかがですか。
【商工労働観光部長】
宿泊事業者への支援でございますけれども、宿泊事業者が受けている影響は非常に大きいということで、直接事業者さんから私も話をうかがっておりますけれども、そういう中で、8月で終了した「いわて旅応援プロジェクト」、この後継事業が実施できるようにですね、すでに7月中から国の方に働きかけを直接行っておりますので、そういう動きと連動しながらですね、必要な対策を講じていきたいと考えております。