2021年10月8日 文教委員会
福岡工業高校と一戸高校の統合に関する質疑(大要)
【斉藤委員】
5月の末にですね、高校再編計画が決定をされました。統合計画のみの、私は少し片手落ちの計画だったのではないかと思っていますが、統合計画が示された地域のその後の取り組みはどうなっているでしょうか。
【高校改革課長】
まず、盛岡地区についてでございます。盛岡地区については、今後、統合対象校間につきまして、教育内容等の検討・調整等の作業を始め、統合検討委員会の設置を図ってまいりたいと考えております。
次に、県南地区についてでございます。県南の工業高校の統合につきましては、新たな立地も含めて設置場所を選定すると。そういう方針でございますので、外部有識者等で構成する委員会による協議も経ての検討をしているところでございます。これと並行しながら、統合新設校の内容について検討を進めてまいりたいと考えております。
二戸地区につきましては、現在、統合の対象校間におきまして、統合新設校の学習内容や学校運営等に関する検討・調整等の作業を始めているところでございまして、今後、統合検討委員会の設置を図ってまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
福岡工業高校と一戸高校の統合計画について、9月21日、二戸市長、二戸市教育委員会教育長連名で要望書が出されています。これは、「岩手県立福岡工業高等学校の単独校での存続と、2学科の維持について」と、こういう要望であります。私は、市長・教育長からこういう要望が示されましたが、中身を示してください。
【高校改革課長】
二戸市からの要望書の内容についてでございます。
近年の福岡工業高校の入学者の状況のほか、二戸市における市広報誌の活用や、中学校3年生向けのキャンパスツアーによる福岡工業高校の特色や魅力の発信・伝達、またPTAによるパンフレット作成への支援等の取り組みを図っていること、また来年度からの通学費補助実施を予定している状況についての記載があったものでございます。
これを踏まえ、福岡工業高校の単独校での存続、および現在同校に設置されている2学科の維持を求める内容となっているものでございます。
【斉藤委員】
9月28日に、二戸ブロックで統合対象校の説明会が開かれています。これは、学校関係者への説明会だと思いますけれども、そこではですね、統合に向けた今後のスケジュールということで、12月に第1回統合検討委員会、2月に第2回統合検討委員会、こういうスケジュールまで示されています。
二戸市長・教育長がこういう要望を出している中で、これを無視して統合検討委員会というのを設置するつもりですか。
【高校改革課長】
まず統合の進め方でございますが、まず統合の対象校間において学校の教育の内容、学校運営の内容について調整のうえ、統合検討委員会を立ち上げるということにしております。私どもでスケジュールをお示ししたものは、あくまで参考例ということでございます。実際の統合検討委員会の運営は、対象校が事務局となって調整していくものでございまして、あくまで令和7年度の統合に向けて進めていくうえでは、このぐらいが目安ではないかということでお示ししたものでございます。実際に学校の調整の検討の内容、進み具合、それから実際に検討委員会のメンバーとなる方々の調整のうえで、今後のスケジュールは実際には確定していくものでございます。
先ほど令和7年度の統合という風にお話しましたが、二戸ブロックについては令和6年度の統合ということでございます。
【斉藤委員】
私は決定される前後にも、この福岡工業高校と一戸高校の統合には重大な問題点があると。現実に対応しないと。何よりも今年の入学生は、福岡工業高校が57人で、一戸高校は56人だったと。ところが一戸の3学科はそのままにして、工業高校の専門校を2学科から1学科にするという。これは今の現状を無視した計画になってしまった。そこに、二戸市・二戸市教育長の要望書の最大の土台・背景があるんだと思います。
そして何よりも、福岡工業高校が全国的にも、県内でもトップクラスの資格取得で素晴らしい成果をあげていると。そういう生徒の、学校の努力にも水を向けるものだという風に思います。
それで教育長、今回の二戸市長・教育長の要望書をどう受け止め、受け止めた中でこういう説明会をやっていると。こういうスケジュールを参考例だけど出していると。いわば、要望書を無視するやり方、こういうものをやっていいんですか。まず教育長に、受け止めとこの対応についてお聞きしたい。
【教育長】
二戸市長・教育長から要望書の提出をいただきました。またこの際には、二戸市において、福岡工業高校をはじめ県立高校の特色であるとか、あるいは魅力発信ですね。それは市の広報等を通じてやるということで、実際の広報誌もいただきました。そしてそこには、両校の魅力、それから資格取得の実績等についてもしっかり書かれておりまして、本当に二戸市のこの取り組みについても感謝申し上げたいと思いますし、今後に向けては、通学支援についても検討を進めるということをうかがってございます。
このように、地域と学校、県立高校との連携とか協働というのは非常に大事なことでありまして、これを通じて地元の生徒らが、地元の高校を理解して、そして生徒が主体的に進路選択をしていくということについては、とにかく望ましい動きだと感じております。
そして要望書を受け取って、また今後のスケジュールといいますか、対応についてでございますけれど、さまざま開校に向けての事務的な検討作業は進めていかなければなりません。それはその作業も滞りなく進めておかないとですね、またその後の対応等についても、判断材料が出てくる可能性当然ありますけれど、そういったところは考慮は必要だと思いますので、そういった前提のもとで作業は進めていくという考え方です。
【斉藤委員】
統合検討委員会というのは、この説明資料で見ますと、構成員は、所在市町村教育長、産業界等の代表(PTA会長)(同窓会長)、中学校PTA代表、中学校校長代表、統合対象校校長・副校長となっているんですよ。要望を出している教育長も対象になっている。PTA・同窓会の会長も対象になっている。同窓会の会長は、この検討委員会の正式な要請はないかもしれないけれども、「私は反対です」と表明していますよ。教育長も出れませんよ。だから、構成員が参加できないような状況で、検討委員会というのは強行されるものではないと思うけれどもいかがですか。
【高校改革課長】
令和6年度に二戸ブロックの生徒数が急減するという状況も含めて、統合年次を決めさせていただいたというところもございます。そこに向けて先ほど教育長からも答弁ありました通り、それに合わせたスケジュール感を持って統合検討委員会自体は立ち上げは図りたいという風に考えておりますし、その関係者の皆様のさまざまなご意見を頂戴しながら進めたいというのは私どもの考え方でございますので、ぜひそういった関係者の皆様にも、今後とも丁寧な説明を図っていくためにも、ぜひご参画をいただくようにですね、これは学校の方で調整するものではありますけれども、必要に応じて私どもも一緒になりながらご参画について協力を願いたいという風に考えております。
【斉藤委員】
いま二戸市長・教育長は、福岡工業高校の単独校での存続と2学科の維持を要望するだけではなくて、そのための努力をやっているわけですよ。6月市議会で補正予算も組んでですね、市の広報、この間4回にわたって特集を組んで、その特集を全中学生に配布をしています。福岡工業高校、福岡高校も含めて、どういう魅力・実績があるのか。そういう取り組みを今やっているんですね。福岡工業高校、福岡高校もそうだと思いますけれども、オープンキャンパスにはバスも出して、260人集まったと。その後、福岡中学校は3年生全員で福岡工業高校に行っているんですよ。そういう取り組みをやってですね、先ほども紹介しましたけれども、資格取得は本当に素晴らしい実績ですよ。2学級の小規模な専門高校だけれども、アーク溶接の技能者は100%、第二種電気工事士は94%。去年は経済産業大臣賞、これは全国でたった1人の表彰も福岡工業高校の当時の3年生が受賞しているし、ジュニアマイスターの特別表彰も5人受けているんですよ。子どもたちの声も出ていますけれども、やはり資格取得に取り組む先輩達の姿を見て、「勉強は得意じゃなかったけれども、本当に学ぶことが楽しくなった」と。だから、福岡工業高校に入って、資格取得ということはそれだけ専門的な勉強をするということですから、こんなに素晴らしいことはないんですね。
そして、今年57人の入学生を確保した。来年もそういう入学生を確保するためにやっているんです。来年度からは通学費2分の1補助するということで、もうこれは今の中学3年生にそういうこともお伝えしながら、地元の高校をしっかり守る、県北唯一の工業高校を守りたいと、こうやっているんですよ。
来年4月の入学生が今年規模に維持したら、この統合計画の根拠はまったくなくなると思いますよ。教育長に聞きますけれども、今年並に2学級規模で入学生確保されたら、この統合計画は見直さなければだめなんじゃないですか。
【教育長】
二戸市のほうでさまざま取り組みを始めていただき、そして地元の中学生も学校訪問してキャンパスを見ていただくというような取り組み、大変感謝申し上げたいと思います。
そうした状況、当然今後の状況等も見ていく必要はあると思いますが、私どもにとって二戸地域あるいは県北ブロックの児童生徒、将来の生徒のより良い教育環境をしっかり残していくという視点でもって計画を策定させていただいておりまして、そういった地域の取り組みであるとか、入学者の動向等、これは注視していきたいと思いますし、これまでも申し上げてきました通り、慎重に判断して対応していくことが求められていくものという考え方には変わりはございません。
【斉藤委員】
その「慎重に判断する」ということがよく分からないんですよ。私は端的に、今年並に来年の入学生が確保されたら、この統合計画は破綻しますねと言っているんですよ。そこ勝負だと思いますよ。そのために必死でいま二戸市はさまざまな取り組みをやっているんですよ。福岡工業高校の生徒が多くて一戸が少ないのに、福岡工業高校だけ学科減すると。そういうのは成り立たないではないですか。
そこで、私はこの統合問題で、一戸は今年入学生が残念ながら激減しました。54名でした。なんで激減したのかと。このことももう1つ対応しなくちゃならない。
もう1つの問題として、二戸ブロックは転出が96.7人、転入が26.7人なんです。転出が多いんです。だから私はこの転出を食い止めなかったら一戸高校も守れない。だから単に統合すればいいという話じゃないんですよ。
今年一戸高校がなんで入学生が激減したのか。そして皆さんの計画は、来年度は83人に戻るというんですよ。福岡工業高校は今年57人だけど来年は48人。私はこのあなた方の見通しは変わってしまうと思いますよ。
今のこの点について、転出がなぜこんなに多いのか。一戸はなぜ大幅に急減したのか。そしてあなた方の見通しで、なぜ来年は83人まで一戸は増えるのか。根拠を示してください。
【高校改革課長】
福岡工業高校と一戸高校の今年度の入学者の状況でございます。一戸高校におきましては、昨年度・一昨年度ほぼ100名近い入学者、今年度は50人台に急減しています。福岡工業高校は昨年度39人の入学者ですが、今年度は57人に上昇したというところでございます。この福岡工業高校の入学者の内訳を見ますと、二戸市自体からの生徒数は、昨年度・今年度とも変わりなく32名でございます。他の市町村からの流入が多かったと。その中でも、一戸町から福岡工業高校に進学する生徒が多かったという状況が見られたところです。これについて、これが原因かどうか分かりませんけれども、昨年度一戸町の中学校3年生の男子生徒の比率が非常に高かったということがございまして、工業系の進学志向が高かったのかなと思うところであります。
一方、一戸高校は、女子生徒が非常に多い学校でございます。商業とか生活文化に関する、あとは福祉に関する学校ですので、女子生徒の入学者が減ったというところの可能性はあるのかなという風にもとらえているところでございます。
今後の入学者の推計でございますけれども、私どもで出している推計は、今後の入学者数と過去3年間の入学者の状況を兼ね合わせて推計を出しているものでございます。先ほど申し上げた通り、福岡工業高校は昨年度39名の入学者、一戸は100人近くの入学者があったということから、このような推計が出ているというところでございます。
【斉藤委員】
ですからね、この高校再編計画の矛盾というのは、今年の実績を反映していなかったというのが大きな矛盾なんですよ。一戸が急減したし、福岡工業高校は頑張って57人の入学生を確保したと。私は、福岡工業高校が57人確保した、それには明確な根拠があると思っています。それは、生徒・高校の資格取得をはじめとした素晴らしい教育実践ですよ。もう1つは新校舎ができた。素晴らしい新校舎。そして実験棟・実験設備も新しい機械がどんどん導入されているんですよ。これは当初の計画ですからね。あの新校舎をつくるときに「統合計画はない」と言って、大規模事業評価にかかっているんですよ。だから、そういう期待が集まるのは当然だと。そして今年も真剣に、行政も含めて子どもたちも教師も頑張っていると。そういうところで、今回の二戸市長・教育長の要望をしっかり受け止めて、そういう意向を無視して統合検討委員会の設置はすべきでないと。来年の実績をしっかりと把握しながら対応すべきだと、最後に教育長にこれをお聞きします。
【教育長】
先ほど委員が二戸ブロックから他に転出している人数、転入している人数をお話されました。転入が26.7人に対して転出が96.7人と、70人の差があると。この数字につきましても、市長さんと教育長さんとの懇談の中でですね、私からも、ここを何とか食い止める必要があるのではないかということを話をさせていただいております。そしてまた、現在ある福岡工業高校の機械、それから電気の学びですね、これはしっかりコース制で維持していくんだということを再三申し上げてきてございます。そして、一戸高校にある多様な学びもですね、地域で維持していかなければならないと。
二戸地区はですね、平成元年には1200人を超える生徒がいたのが、令和3年度は400人を切り、さらにこの先令和15年頃には220人という数字に激減していくということが見込まれているわけです。そういった中で、二戸・県北ブロックの多様な学びをですね、いかに確保していくか、それから教育環境を維持していくかということで話をさせていただきました。
また、もう1つ、福岡高校の校舎の老朽化という課題もございます。50年を超えるという中でですね、福岡高校の改築も今後想定されます。その場合の規模とかですね、定員等の話もこれは議論になっていくことが必至であります。そういったことで私どもは、今年度の入学者数の実績を再三おっしゃられますが、今後のこの生徒の見通しと県北地域の多様な学びと教育環境をしっかり残していくという視点でもって計画を策定し、また今後の進め方については、再三申し上げております通り、丁寧に議論を重ねながら進めてまいりたいと考えております。