2021年10月13日 9月定例県議会本会議
高田一郎県議の請願に対する賛成討論全文
日本共産党の高田一郎でございます。
請願陳情第53号、第54号について、環境福祉委員長報告に賛成の立場で討論を行います。
・福祉灯油の全市町村での実施を求める請願
請願陳情第53号は、「福祉灯油の全市町村での実施を求める請願」であります。
原油価格の高騰で、いま石油や関連商品が値上がりし、県民の暮らしと中小零細業者や農林漁業者の営業を直撃しています。これから冬を迎える中で県民にとって生活必需品であるだけに、灯油価格の高騰が県民に不安を与えています。
現在の原油価格は、1バレル70ドルで、前年同月比(40ドル)1.7倍に高騰し、9月中旬の灯油価格は1缶(18リットル)1800円と前年比1.3倍にもなっています。
岩手県生協連の調査では、平均的な家庭の一冬の使用量は、昨年934リットル・72000円で、この価格が続けば冬季の灯油負担額は93000円以上となると試算されています。灯油価格の高騰は住民の暮らしと健康を脅かすものであり、低所得者にとっては死活問題であります。
今日の原油高は、欧米を中心にコロナ禍からの経済活動による需要の拡大とともに、原油価格の先高感を見込んだ投機資金の流入も要因とされております。世界輸出機構とロシアなどの非加盟産油国で構成するOPECプラスは、「増産ペースの加速を見送り」このように報道されており、「原油高は今後一年続く」と指摘する専門家もいます。
これまで過去に政府は、原油価格高騰対策あるいは経済対策として支援が行われ、灯油購入への支援を行ってきました。暖房用の灯油は全国で使われており、本来は国の責任で実施すべき制度であり、国に求めていくのは当然であります。しかし、現時点で国は全く支援策を示しておらず、県独自の支援策も示して市町村との更なる協議を行い対応すべきであります。
被災地福祉灯油は、東日本大震災から10年間福祉灯油助成の事業を行ってきました。うち8年間は、国の特別交付税も財政支援もない中で継続されたことで、被災地を大きく励ました事業でもありました。福祉灯油事業は暮らしのセーフティーネットでもあります。新型コロナで冷えこんだ経済そして暮らしを支え、県民の生活を底上げすることは、いま県政の最大の課題であります。請願者の要請にこたえ全市町村に対象を広げるべきであります。
・加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的支援制度創設を求める請願
請願陳情第54号は、「加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的支援制度創設を求める請願」であります。これは、加齢性難聴者の補聴器購入に対し、県独自の支援制度を創設するとともに、公的な支援制度を創設するよう政府に求める内容であります。
いま、高齢化に伴い、耳が聞こえなくなって仕事や社会生活に困る高齢者の難聴が増えています。日本の難聴者は、日本補聴器工業会の調査では1430万人とされています。そのうち補聴器使用者は14.4%に過ぎず、欧米の半分以下、イギリスでは47.6%にもなっております。日本人の使用率が低いのは、補聴器があまりにも高額であるということ、また公的な支援制度が不十分なことであります。欧米では補聴器を医療のカテゴリーとしてとらえ、41デシベル以上の中等度難聴者から補聴器購入に対する公的補助制度が確立されており、一方日本では障害のカテゴリーとしてとらえており、きわめて限定的な対応となっているからであります。しかも厚労省は、難聴は認知症の危険因子の一つに挙げているにもかかわらず、「認知機能における補聴器の効果を検証する研究を推進していく」という段階であります。
世界保健機構WHOは、41デシベル程度での補聴器の使用を推奨し、また、放っておけばさらに難聴になってしまうと指摘し、早期の補聴器への対応に取り組むよう各国に求めております。
加齢性難聴は日常生活を不便にし、コミュニケーションが減り、生活の質を落とすだけでなく、うつや認知症の原因にもなることが指摘をされております。
県単事業の難聴児補聴器購入助成事業は、18歳以上の軽度・中等度難聴者は補助対象外になっており、9割の県民は全額自費での対応になっております。補聴器は1台10万円から50万円を超えるものもあり、30万円を超えないと微調整ができないとも言われています。収入が少ない年金生活者、あるいは生活保護受給者などは負担が大きすぎてあきらめてしまうものです。補聴器への購入支援は、認知症予防や健康寿命の延伸、ひいては医療費の削減にもつながるものです。欧米と比べ遅れている加齢性難聴者への公的支援を国の責任で解決すべきだと思います。
加齢性難聴者への補聴器購入補助は、すでに県内では大船渡市、遠野市、九戸村が独自の助成制度を実施しており、補聴器への助成を実施する自治体が全国に広がっています。
岩手県独自の支援制度を創設することは、国において公的な支援制度を実現させる大きな力になるものであります。岩手県は本年3月、認知症の早期発見をはかること、高齢者になっても安心して住み慣れた地域で過ごせる地域づくりをめざす「いわていきいきプラン」を策定をいたしました。岩手県における補聴器購入への助成はこの「いわていきいきプラン」実践するものであります。
以上の理由で本請願に賛成するものであります。
ご清聴ありがとうございました。