2021年10月14日 決算特別委員会
総括質疑
(大要)


1.新型コロナ対策について

・これまでの新型コロナ感染症対策の検証について

【斉藤委員】
 日本共産党の斉藤信でございます。昨年度の最大の課題は新型コロナ対策でありました。最初に新型コロナ感染症対策について知事に質問します。
 第一に、これまでの新型コロナ感染症対策の検証についてお聞きします。
 7月から9月にかけての第5波では、全国的に感染爆発が起こり、80万人以上の感染者が出ました。
 医療崩壊の下で13万5千人が自宅療養を迫られ、8月だけでも250人が亡くなりました。なぜ感染爆発が起こり、医療崩壊を招いたのか。その要因と教訓について示してください。また、新規感染者が急減している要因はどう解明されているでしょうか。

【達増知事】
 全国の状況についてでありますが、感染拡大および減少の要因については、9月27日の国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードによれば、「今回の感染拡大は、デルタ株の影響や夏休みなどの影響によると考えられるが、これまで市民や事業者の感染対策への協力、夜間滞留人口の減少、ワクチン接種率の向上、医療機関や高齢者施設でのクラスター感染の減少などにより、全国的に感染者数の急速な減少が続いている」と分析されているところであります。
 また、感染拡大時の8月25日の同アドバイザリーボードによれば、「公衆衛生体制、医療提供体制が首都圏だけでなく他の地域でも非常に厳しくなっており、災害時の状況に近い局面が継続していることから、医療体制の強化、保健所業務の重点化や支援の強化などが必要である」と評価されていると承知しております。

【斉藤委員】
 感染爆発の要因について私聞いたんですが、私は、菅政権が科学を無視して、専門家の提言を無視してですね、東京オリパラを強行した。病床の確保もせず、PCR検査件数は世界で143番目という検査の軽視、これがもたらしたものではないかと思いますが、いかがですか。

【達増知事】
 新型コロナウイルスについては、やはり新規感染者数にきちんとこだわって、国の基本的対処方針に当初からあったような、ステージであれば、ステージ3になったら社会的な対応を、何かこの、行動制限を、ステージ3、一週間10万人当たり15になったら何かする。そして25以上はもう爆発状態なのだから、そうはさせないというような厳しい検査、そして医療体制、また行政による行動・働きかけというようなことを、早い段階でやっていれば、ああいう風にはならなかったのではないかと考えます。

【斉藤委員】
 感染者が急減していることについて、昨日のアドバイザリーボードはですね、こう言っています。「今回の急速な減少の要因とその(  )などについては、今後の感染再拡大に備えるためのさらなる分析が必要」だと。だからよく分からないということなんですね。だから、私はそういうことを前提にしてですね、必要な対策をとるべきだと。
 次に、県内でも8月は新規感染者が1002人に及びました。17件のクラスターが発生し、ピーク時の入院患者は268人となり、病床使用率は76.6%、宿泊療養者は153人となりました。県内における感染拡大の要因をどう分析されているでしょうか。

【達増知事】
 県内における感染拡大の要因についてでありますが、岩手県においても、アルファ株から、より感染力の強いデルタ株への置き換わりが急速に進んだことに加え、夏休みなどを利用した帰省や旅行等により生じた都道府県をまたぐ人流の拡大などが影響し、これまでに経験したことのない感染の状況となったものと考えております。

【斉藤委員】
 8・9月の県内の感染者は1477名で、それまでの3479名の42.4%を占めました。私はこの教訓をしっかり深めるべきだと。
 その上で、新規感染者の感染ルートはどうなっているでしょうか。無症状、軽症、中等症 1・2、重症患者の状況はどうなっているでしょうか。
 重症患者、死者が少なかった要因をどのように分析しているでしょうか。

【達増知事】
 感染ルートについては、7月下旬以降、学校の夏季休業やお盆の期間において、県外で感染した患者が県内に移動した後に発症し、職場や飲食店を通じて感染したり、帰省による親族や友人等との会食の際に感染するなどの例が多かったものと認識しております。
 患者の状況については、8月にはこれまでのひと月当たり最多となる1002人の患者が確認され、現在集計中の暫定値ではありますが、そのうち、人工呼吸器などを使用する重症患者は0.5%にあたる5人、酸素投与などを要する中等症2患者は4%にあたる40人、無症状の方を含む軽症患者または呼吸不全のない中等症1患者は合わせて95.5%にあたる957人でありました。
 第5波においては、これまでの約3分の1にあたる感染が確認されたわけでありますが、重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患がある方などへのワクチンの優先接種がおおむね7月末までに終了したことを背景に、この期間の患者は主に若年層であったことから、重症患者や亡くなられる方が少なかったものと考えます。

【斉藤委員】
 私は、岩手でもですね、感染拡大ありましたけれども、最大の教訓・成果は、すべての新規感染者を診察し、入院・宿泊療養で対応したこと。そのために、重症患者を抑えることができたと。こういう風に評価をしております。

・ワクチン接種について

【斉藤委員】
 第二に、第6波を起こさせないために、ワクチン接種をさらに推進することが必要です。
 県全体の接種率、年代別接種率はどうなっているでしょうか。

【保健福祉部長】
 10月11日時点における県内の12歳以上の接種率は、1回目が80.0%、2回目が68.0%と、接種対象人口の7割近い方が接種を終えております。また、10月4日時点、この一週間前ですので、現在もうちょっと接種進んでおりますが、年代別の2回目接種率については、12歳〜19歳までが29.3%、20代が39.9%、30代が42.7%、40代が50.9%、50代が67.3%、60歳〜64歳までが82.3%、65歳以上の高齢者が92.8%となっております。

【斉藤委員】
 65歳以上の高齢者が9割を超えていると。20代(39.9%)、30代(42.7%)、この接種率を高めることが重要だと思います。
 県内で接種率を高めている市町村の教訓と県の対策を示してください。

【保健福祉部長】
 県内の一部の市町村では、限られた医療資源の中、早期に医療機関等と調整のうえ、接種体制を構築してきたほか、接種券を早期に一斉送付し、若い世代の方も早い段階から予約可能な体制を確保するなど、さまざまな調整や工夫に取り組んできた結果、10月3日時点で先ほど申し上げた通り、12歳以上の2回目接種率が9割を超える市町村もございます。
 一方で、年代順に予約を受け付けてきた市町村もありますことから、県内では若い世代ほど接種率が低い状況にあると認識をしております。こうしたことを踏まえまして、県の第3期集団接種におきましては、10代20代の比較的若い層を対象とした先行予約を実施をしましたところ、16歳〜29歳までの予約率は4割を超えている状況でございます。
 また、ワクチン接種の加速化を図るため、モデルナ社ワクチンを活用した集団接種会場の新規設置や、ファイザー社ワクチンの流通、市町村間の調整などによりまして、市町村の接種体制確保を個別に支援をしておりまして、11月末までに希望するすべての県民が2回接種が終えることができるよう取り組みを進めてまいります。

【斉藤委員】
 ワクチン接種の遅れの最大の要因は、国からの供給が7月8月に半分程度に減ってしまったと、ここにあると思いますけれども、そういう中でもすでに全体で90%を超えている市町村も出ています。そういう取り組みにしっかり学びながら、いま9割を目標にして取り組んでいる自治体が少なくありません。そうした場合に、ワクチン供給は85%までということがありましたから、ワクチンの確保・供給が懸念されますけれども、どうでしょうか。

【保健福祉部長】
 9月末時点で、県内に供給されるワクチンについては、モデルナ社ワクチンを含めて10月10日までに12歳以上人口の85%程度に2回接種するのに必要な量が供給される見通しとなり、供給されております。しかしながら、接種の進んでいる市町村では、接種率を9割と見込んでいるところもありますことから、必要なワクチンの確保について国に働きかけ、これまでのファイザー社ワクチンに加え、新たにモデルナ社ワクチンを4万5千回確保する見込みとなったというほか、市町村間でのファイザー社ワクチンの調整も行っております。この結果、県内では、モデルナ社ワクチンを含め、11月末時点で12歳以上人口の92%程度に2回接種に必要な量のワクチンを確保できる見通しとなっているところであります。
 県としては引き続き国に対し、十分なワクチンを供給するよう求めていくとともに、ファイザー社ワクチンの市町村間の在庫調整などを通じまして、市町村の接種体制確保の支援に取り組んでまいります。

【斉藤委員】
 ワクチンの接種は大きな効果が出ていますので、早期確実にこれは進められるように県がしっかりとイニシアチブを発揮していただきたい。

・大規模な検査について

【斉藤委員】
 第三に、ワクチンだけでは感染を抑え込むことはできません。PCR等検査を大規模に実施して、新型コロナ感染の根を早期に断ち切ることが必要です。
 シンガポールでは、人口の80%以上がワクチン接種済みですが、9月以降に感染者が急増し10月6日には過去最多の3577人に達しました。日本の人口比だと6万人に当たります。9月の死者数は全死者数の約3割となる40人となっています。県としてこのような事例をどのように把握しているでしょうか。

【保健福祉部長】
 シンガポール保健省の好評に基づきまして、在シンガポール日本大使館からの注意喚起情報によりますと、「10月3日時点において、シンガポールの感染者数は増加し続けており、このまま推移すると、まもなく一日当たり3200人の感染者を超え、10月中旬頃には一日当たり5000人の感染者となる可能性がある」とされています。また、「感染者の大多数は軽症または無症状であり、大多数の方へのワクチン接種が完了しているため」と分析されているものと承知をしております。その後、10月10日時点の注意喚起情報では、「感染者数の増加のスピードを遅らせることができた。しかしながらいまだに感染がピークに達しておらず、感染者数の引き続きの増加に備えなければならない」と公表されております。また、感染防止策については、「軽症者・無症状者を自宅で快方させるための自宅療養プログラムや、自己検査キットにより陽性と判定された無症状の感染者に対する自己隔離措置などが講じられている」と承知をしております。

【斉藤委員】
 シンガポールではですね、全世帯に検査キットを配布して、会社は毎週1回検査していると。こういう検査が感染者を早期に発見しているということもあると思います。
 イスラエルでは、9月に1日1万人を超える感染になりました。ワクチンだけでは感染防止ができないということを私は示しているんだと思います。
 欧米では、「いつでも、どこでも、何度でも、無料で」PCR検査が実施されています。日本ではなぜ実施されないのでしょうか。PCR検査センターを県内各地に設置して、いつでも、どこでも無料で、検査を受けられるようにすべきではないでしょうか。県では「プラザおでって」にPCR検査センターを設置した盛岡市の取り組みをどう把握しているでしょうか。

【保健福祉部長】
 盛岡市においては、無症状感染者を抽出し、市中感染を抑え、少しでも安心できる日常生活を送れるような環境づくりを目的として、PCR検査センターを設置し、9月14日〜10月2日までに延べ541件の検査が実施されたと承知をしております。いわゆるPCR検査センターで実施される検査は、陰性確認等を目的とする、いわゆる自主検査でございます。
 感染症法に基づき県などが行います行政検査は、感染の疑いがある場合に、患者の隔離措置等のために行うものであり、その結果により行動制限を伴いますことから、より厳格な運用が求められるものでございます。現行制度において都道府県が実施することとされているのは行政検査であり、自主検査については、市町村や民間事業者等が自主的に行う任意の取り組みとなっておりまして、財源的裏付けも保障されているものではないことから、今後のワクチン・検査パッケージの運用も見据え、費用負担も含め、国の責任において活用方針を確立し実行するよう、全国知事会を通じて国に要望してまいります。

【斉藤委員】
 私は、国の対策の一番の弱点は、検査を軽視してきたと。今でも軽視している。だから世界で143番目という風になっているのだと思います。
 そこで、抗原検査キットが保育所に12 万回分、学校等にも配布をされています。どう活用されているでしょうか。職場等を含めてすぐに自主的な検査ができるように活用すべきと考えますがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 国が保育所等に配布をいたしました抗原検査のキットについては、原則として従事者等に症状が表われた場合に、医療機関と連携して医師による診療・診断を行うことができる体制の下で使用することとされておりまして、岩手県では9月末までの暫定値ではありますが、1044件しようされております。また、学校については、学校医の指導のもと、検査の実施前や実施後の手順をあらかじめ決めておくことや、保護者から同意書を得ておくことなど、検査実施体制を整備した上で使用することとされており、現在県内の各学校において検査体制等の検討を進められているものと承知をしております。
 発熱等の新型コロナウイルス感染症を疑う症状を生じた場合は、自宅療養をするとともに、早期に医療機関を受診することが基本と考えております。一方、抗原検査キットの活用を通じ、感染を疑われる方が外出することによる感染拡大リスクを低減させる効果等も見込まれますことから、施設や学校に適切な使用を促すとともに、今後のワクチン・検査パッケージの運用も見据え、費用負担も含め、国の責任で活用方針を確立し、実行するよう全国知事会を通じて国に要望してまいります。

【斉藤委員】
 昨日のアドバイザリーボードでこう指摘されています。「家庭等において、体調が気になる場合等におけるセルフチェックの手段として、抗原検査キットも利用可能となっている」と。12万回分配布されているのに、まだ1044件しか活用されていないと。学校は全然活用されていません。使用期限がきて使えなくなってしまうんですよ。必要なものは検査をして、そして感染抑止の意識を高めていくことが必要だと思いますので、ぜひ活用するということを考えていただきたい。

・病床の確保と医療機関への支援について

【斉藤委員】
 第四に、病床の確保と医療機関への支援について質問いたします。
 第5波は、これまでの数倍を超える感染爆発となりました。今後の病床確保の具体的計画と取り組みを示してください。

【菊池副知事】
 7月の第5波の流行時には、全国的に重症患者が増加し、感染拡大地域を中心に医療の逼迫が生じたことから、本県においても第6波以降、感染拡大に備えた体制の強化が必要となろうと。
 各フェーズごとに用意している病床等については、先ほどハクセル委員へのご回答の通りでございますが、今般、国から「この夏の最大の感染拡大時と同程度の感染拡大が生じることを前提に、各地域における健康観察・診察等の体制、宿泊療養における治療体制、入院等の体制について再検討を求める」通知があったことから、こうした点について、本県医療提供体制検討委員会での議論も踏まえ検討し、本県の病床等確保計画の見直しを行っていく考えであります。
 これに加え、昨日議決いただきました補正予算に盛り込んだ、新たな重症患者受け入れ病床の整備や、宿泊療養施設の拡充、感染症患者に対応するための病床の確保など、引き続き医療提供体制の強化に取り組んでまいる考えであります。

【斉藤委員】
 そうすると、病床確保は、フェーズ3で350床、これで最大時対応されたと。先の補正予算は、350床を必要なときに活用すると、こういうことですね。

【菊池副知事】
 その通りでございます。

【斉藤委員】
 医療機関は、一般診療だけでもぎりぎりの診療体制の中でコロナ患者に対応してきました。全国的に受診抑制の下で1兆円を超える医療費が減少しました。県内の場合はどうなったでしょうか。患者の減少、医療機関の減収、赤字の状況をどのように把握されているでしょうか。医療機関と医療従事者に対する支援が必要ですが、国、県の取り組みはどうなっているでしょうか。

【菊池副知事】
 まず、県内における令和2年度の国民健康保険の医療費につきましては、速報値で新型コロナウイルス感染症が拡大する前の令和元年度の約1042億円にたいし、約1023億円と1.82%の減少が見られております。診察件数を示すレセプト件数につきましても、令和元年度の304万7千件余にたいし、令和2年度は287万3千件余と5.72%の減少が見られたところでございます。
 県内の医療機関の収支の状況につきましては、民間医療機関も含めた状況の把握は非常に困難でございまして、令和元年度の県立病院等事業決算を見ていただきますと、新型コロナウイルス感染症対応に関する補助金等の増加により、令和元年度と比較して約49億3400万円・4.5%増収という形にはなっておりますが、入院患者では8.8%、外来患者では8.3%の患者の減少が見られたところでございます。
 県では医療機関に対する経営支援として、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等を活用し、重点医療機関や協力医療機関等にたいし、空床確保や院内感染防止対策、新型コロナウイルス入院患者受け入れ医療機関が行う危険手当に関する経費への補助などを行っているところでございます。
 医療従事者への支援としては、昨年度はすべての医療機関の医療従事者へ、職員に対する慰労金の支給を行ったところでございますが、令和3年度においては、国では財源措置がなされていない状況にあります。政府予算要望や全国知事会等を通じて、給付の延長を国に要望している状況にあります。
 県としては、新規の医療提供体制を守るために、引き続き医療機関の経営状況を注視しつつ、必要に応じ、国に対しさらに経営支援の要望を行っていく考えであります。

【斉藤委員】
 コロナの入院患者を受けたところは、補助金で黒字になっているんですよ。ところがそれ以外のところは、受診抑制で赤字なんですよ。診療報酬の上乗せも9月で終わりましたから、まさに赤字そのものになっていると。ここを国も、県もしっかりと対応すべきだということを指摘をしておきたいと思います。

・事業者支援の取り組みについて

【斉藤委員】
 第五に、事業者支援の取り組みについて質問します。
 地域企業経営支援金の申請件数と支給額、これは令和2年度・3年度、示してください。「岩手緊急事態宣言」期間に対応した上限40万円の申請件数はどうなっているでしょうか。

【保副知事】
 まずこの地域企業経営支援金の最初部分、これは令和2年度の第7号補正のものですが、7460事業者・8449店舗に対して、30億9千万円余を支給いたしました。また、第二弾となります令和3年度の第2号補正と第6号補正でございますが、10月1日現在で2810の事業者の3444店舗に対して9億円余の支出となっております。
 その後、いわて飲食店安心認証制度の認証を受けた飲食店に対し、10万円の経営支援金を支給するというものを実施いたしましたが、これについては10月4日現在、1674事業者の1871店舗に対して、1億8千万円余の支給を行っております。
 また、支給上限額を10万円の引き上げにともなう40万円の申請状況、最後のものですけれども、9月13日から受付を開始いたしまして、10月1日までの15日間での受付状況ということでございますが、1640事業者から申請をいただいております。

【斉藤委員】
 いわて旅応援プロジェクト第1弾の実績はどうなったでしょうか。第2弾の予算額は8億5千万円ですが、利用見込み人数はどうなっているでしょうか。第1弾の実績から見ると1.2ヶ月分の予算規模です。12月までとするなら、さらなる補正が必要ではないかと考えますがいかがですか。

【保副知事】
 まずこのいわて旅応援プロジェクト第1弾の実績でございますが、4月16日〜8月14日の宿泊分までということになります。利用実績は延べ45万1千人、予算額およそ36億5千万円に対しまして執行額は約28億円となったところであります。第2弾はいま実施しておりますが、この第1弾の状況を踏まえて推計しますと、およそ14万人の利用が見込まれると考えております。いま委員からもお話ありました通り、この第二弾の事業費がこの14万人から相当いたしますと、割り返しますと、1ヶ月余ということになります。もちろんこれで大丈夫かと言われますとなかなか厳しいのではないかという認識は私どももございますが、基本的には国に対してですね、事業費の増額を働きかけるということでありまして、この国の新たな需要喚起策に関する情報をいち早くつかみながら、積極的に対応していきたいと考えております。

【斉藤委員】
 私が調査しましたら、すでに10月早々でもう割り当て終了しましたと、こういうホテルが少なくありません。1ヶ月もたないのではないかと。ですから、やはり財政調整基金とか臨時創生交付金の残額なども使って、やはりつないでいくということが必要だと。これは指摘だけにとどめておきます。


2.東日本大震災津波からの復興の課題について

・被災者の医療費等免除について

【斉藤委員】
 次に、東日本大震災津波からの復興についてお聞きします。
 第一に、被災者の医療費免除の取り組みの成果を被災者の命を守る立場でどう今後に生かしていくかという間題であります。
 岩手県保険医協会が実施した被災者アンケートでは、非課税世帯で、国保世帯で「負担が発生した場合、通院できない」24.2%、後期高齢者では17.7%となっています。知事は「被災者が経済的な理由により必要な医療が受けられないことがないよう、支援を行ってまいります」と答弁されました。具体的にどう必要な医療を確保するのでしょうか。

【達増知事】
 一般質問でも答弁した通り、医療を必要とする方が適切な医療を受けられることが重要と考えておりまして、具体的には、高額医療費制度の活用や生活福祉資金による貸付、被災者の置かれている状況によっては生活保護による医療扶助の活用等も含めて、被災者一人一人の状況に合わせた支援を進めてまいります。
 また、新たに失業等で収入が著しく減少した場合や、世帯主の死亡などにより一部負担金を支払うことが著しく困難であると認められる方については、申請により国保等の医療費の一部負担金の免除や減額等を受けることができることになっており、こうした制度の活用も積極的に周知してまいります。
 さらに、今回の医療費免除の終了について、市町村社会福祉協議会や、民生委員・児童委員等に広く周知し、今後の受診に不安を抱えている方の把握に努めるとともに、そのような方々をさまざまな制度を通じ、手厚くサポートできるよう支援の取り組みを強化してまいります。
 県としては、復興事業は終わっていない、いよいよ正念場であるという意識を持って、今まで以上に市町村や関係機関、いわて被災者支援センターの専門家と連携しながら、困窮している方、医療を必要としている方に寄り添って支援してまいります。

【斉藤委員】
 残念ながら今の制度では、課税世帯は4月以降免除が打ち切られました。「通院できなくなった」国保で12.7%です。後期高齢者で10%です。すでに通院できなくなっているんですね。
 そこで私は、こうした被災者の実態を県が調査して、把握して、必要な医療が受けられる具体的な体制を講じるべきだと思いますがいかがですか、知事。

【保健福祉部長】
 実際、受診にお困りの方々をきちんと把握していくということは、我々も必要だと考えています。まず、地元で、保険者であり、また例えば健康診断などの実施主体であり、そして地元で一番さまざまな福祉制度を通じて、地元でお困りの方を把握している市町村ときちんと連携をしながら把握に努めていくとともに、先ほど知事がご答弁申し上げました通り、市町村社会福祉協議会や民生委員・児童委員等にこうしたことについて広く周知をいたしまして、今後の受診に不安を抱えている方、こういった方をきちんとこうした制度につなげていただくように、また行政の方にも伝えていただくようにという形で、把握に努めてまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 「誰ひとり取り残さない」というのは、具体的に現実の問題なんです。ぜひ実態調査をして、必要な手立て・対策を考えていただきたい。

・災害公営住宅の家賃問題について

【斉藤委員】
最後の質問です。災害公営住宅の家貨問題。
収入超過者の家賃軽減で、「よりきめ細かい家賃体系の導入など、入居要件の見直し等により取り組んでまいります」との答弁がありました。被災者の収入基準を引き上げることを検討していると受け止めましたが、どういう内容で、いつから実施する見通しか、具体的に示してください。

【菊池副知事】
 災害公営住宅の家賃問題についてでございます。
 まず一般論として、公営住宅制度は住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で賃貸等をすることにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的として行われておるものでして、入居世帯の収入状況に応じた家賃とすることや、公署により整備しているため、いわゆる民間賃貸住宅よりも低い家賃としていることから、入居資格等の検討にあたっては、民間住宅の状況にも考慮する必要がございます。行政の立場としては、収入超過者という方は、一定の収入があると認められる方であり、通常であれば民間賃貸住宅等への転居を促すべき対象となるものでございますが、民間賃貸住宅の供給状況や家賃水準の把握など、丁寧な対応が求められると考えております。
 また、県の家賃軽減対策として、平成30年に家賃の上限を設定する措置をとったところでございます。ご案内の通りです。多くの市町村が同様の措置を講じるなど、市町村営災害公営住宅の軽減対策にも影響を及ぼす可能性があるということで、市町村からも意見をうかがっているところでございます。
 さらに、これも一般論で、軽減対策として言えば、東日本大震災津波の重大性に鑑みた今回の措置でございますが、一方で他の災害による被災者などとの均衡にかかる取扱いとなるということもありますので、さらなる軽減対策となる収入基準等の見直しにあたっては、災害公営住宅入居者のみならず、一般の県営住宅を含めた入居者や住宅困窮者の状況も把握したうえで、慎重な検討を進めるべきものと考えております。

【斉藤委員】
 収入超過者がいま何人いて、どうなっているか示してください。

【菊池副知事】
 詳細な数については、部局審査等にご答弁させていただければと思います。

【斉藤委員】
 私通告している質問なんだから、そして本会議で答弁あったことについて聞いているんですよ。
 収入超過認定が104世帯、すでに収入超過が39世帯、あわせて143世帯。104世帯は高い家賃を請求されて、この災害公営住宅から出ざるをえないことになっているんですよ。10年間これを放置していいのかと。これが問われているんですよ。収入基準の引き上げを考えるんだったら、来年度から少なくとも、こういう方々が救われるような対策が必要なんではないですか。

【菊池副知事】
 見直しについては検討を進めているところでございまして、先ほどご答弁したような状況も重要な背景・要素となりますので、そこら辺もよく勘案しながら市町村と関係者等の意見もうかがい、見直しを進めていきたいと考えておりますのでよろしくお願いします。

【斉藤委員】
 よろしくというわけにはいかないんですね。
 来年度から新たな対策を講じるとすれば、12月議会で条例改正をやって、4月から実施と。こういうテンポでやるべきじゃないですか。

【菊池副知事】
 先ほどご答弁した通りのですね、見直しを進めておりますので、ご了解をいただければと思います。