2021年10月18日 決算特別委員会
ふるさと振興部に対する質疑(大要)
・コロナ禍における三陸鉄道・IGRの状況について
【斉藤委員】
新型コロナ禍の下での三陸鉄道・IGRの状況と対策についてお聞きします。
乗客の減少、減収について、昨年度、今年度の上半期の状況はどうなっているでしょうか。
【地域交通課長】
新型コロナの影響による三陸鉄道それからIGRいわて銀河鉄道への影響でございます。今年の4月から8月まで、輸送人員につきましては、令和2年度からは横ばいとなっておりますけれども、令和元年度と比べますと、三陸鉄道では46%・22万8千人余の減少、IGRでは16.9%・37万3千人余の減少というような状況となっております。
それから、運賃収入でございますが、同じく令和2年度からは増加はしておりますが、元年度比で見ますと、三陸鉄道では61.1%・1億8千万円余、IGRでは29.7%・1億5700万円余の減少となっておりまして、依然として大きな影響を受けている状況です。
【斉藤委員】
私決算を自覚をして2年度も聞いたのです。いま3年度でしょ。令和2年度はどうだったのかと。
【地域交通課長】
まず、三陸鉄道の乗車人員は、令和2年度12ヶ月間、一昨年度と比べますと30.1%減少しております。
それから、三陸鉄道の旅客運賃収入は、令和2年度、一昨年度よりも44.7%減少しております。
続きましてIGRにつきましては、同じく令和2年度は、元年度よりも14.7%の減少。旅客運賃収入につきましては、令和2年度、令和元年度比、26.5%減少しております。
【斉藤委員】
それで、昨年度の減少、減収というのも大変深刻だったけれども、今年の上半期の方が前々年度と比べるとですね、大幅な落ち込み、これは感染状況がまさに首都圏を中心にした感染爆発ということがありました。県内でも8月感染拡大というのがあってですね、その影響が現れたという風に思います。
そこで、今後の具体的な対応・対策はどうとられているでしょうか。
【地域交通課長】
三陸鉄道・IGRへの対応でございますが、まずは県におきまして、この感染症の大きな影響を踏まえまして、今般、議決をいただきました9月補正予算で、沿線市町村と連携して、運行の維持を支援するための交付金を計上させていただいております。三陸鉄道に対しては1億7400万円、IGRに対しては1億7000万円ということでございまして、今後これをそれぞれ両社に交付することによって、安全かつ安定した運行の維持を支えていくということにしてございます。
【斉藤委員】
昨年度も、おそらく今年度もですね、ツアー企画、こういう取り組みもあったと思いますね。ただ新型コロナの中で、実際にはそうしたツアーが実施されなかったということだと思います。幸い9月以降、感染者数が急減をして、観光地に聞きますと、かなりお客さんも増えていると。ホテル関係なんかは、いわて旅応援プロジェクト、これはもう本当に大きなホテルは数日で割り当てを全部消化するというような状況で、復興防災部で聞いたときに、津波伝承館これまで41万人入館をしていて、意外と団体客は東京方面が多いという回答でした。ですから、今そうした津波伝承館への入館が戻ってきている、増加してきているということも踏まえて、新たなそういうツアーの企画・計画、そういう積極的な施策が必要なのではないかと思いますがいかがでしょうか。
【地域交通課長】
まさに委員ご指摘のとおりでございまして、三陸鉄道は年間を通じた利用促進の取り組みを、強化促進協議会予算等を使って行っております。ただ、上半期におきましては、コロナの影響拡大でだいぶ取りやめにした企画等もございます。
今お話しのありましたとおり、下期に向けて回復も期待されるところでございますので、今上期に実施できなかったものについてですね、下期の方でいかに展開していくかという、そういった企画列車等の企画を練っているところでございますので、そういったところで、下期に向けた利用促進には積極的に取り組んでいきたいと考えております。
【斉藤委員】
やはりこういう時期に間髪入れずに魅力のあるツアーの企画とか、ぜひ打ち出していただきたいし、銀河鉄道については、御所野遺跡が世界遺産になったと。なった途端に感染拡大・感染爆発でしたから、それでも今新たな世界遺産ですので注目度高いし、見応えのある世界遺産なので、一戸町ですので、新幹線で停まれるところじゃないので、銀河鉄道の出番だと思うので、その点も魅力あるツアーの企画・計画などをしっかり打ち出してやっていただきたい。
・コロナ禍におけるバス・タクシー事業の現状と課題について
【斉藤委員】
次に、新型コロナ禍の下でのバス・タクシー事業の現状、課題についてお聞きしますが、県内バス事業者の新型コロナの影響による売り上げ減少の状況について、昨年度・今年度これも示してください。
【地域交通課長】
まず乗合バス事業者への影響でございますが、県内の主要な乗合バス事業者3社、岩手県交通、岩手県北自動車、JRバス東北、この3社の今年4月から8月までの輸送人員は、対前年同期比で6.4%・39万人余減っております。元年と比べますと37.1%・338万人余の減というような状況です。
それから運賃収入でございますが、対前年同期比で5.7%・7800万円余増えてございますが、令和元年と比べますと、やはり40.8%・9億9300万円余の減少となっております。
それから令和2年度の元年度との比較でございますが、まず輸送人員は、32.4%減少しております。運賃収入につきましても37.9%というような状況でございます。
【斉藤委員】
大変バス事業者も厳しい状況が強いられてきたと。そこで、これについての県の対応策をお示しをいただきたい。
【地域交通課長】
県におきましては、今ご説明したような状況を踏まえまして、乗合バス事業者が今後も事業を継続し、安全・安定運行を維持・確保できるように、この3社に対しまして、6月補正予算でお認めいただきましたバス事業者運行支援交付金、3社合計で1億3860万円を8月中に交付いたしました。
また、新型コロナウイルス感染症の感染機会の低減や利便性の向上等が期待される交通系ICカードのシステム整備に要する経費に対しましても、乗合バス事業者に補助を行っているところでございます。
【斉藤委員】
タクシー事業者の場合についても、この影響額、減少額、そして今後の対策を示してください。
【地域交通課長】
タクシー事業者につきましては、岩手県タクシー協会加盟205社における今年4月から8月までの運賃収入、これは対前年同期比で3%・6800万円ほど増加しておりますが、元年度と比べますと38.8%・15億700万円余の減少となっております。
それから、令和2年度と元年度の比較でございますが、営業収入、令和2年度は元年度よりも33.6%減少しているというような状況です。
こうした状況ございますので、タクシー事業者に対しましても安全かつ安定運行の維持・確保のため、個人タクシー事業者を含みます211社に対しまして、6月補正予算でお認めいただきましたタクシー事業者運行支援交付金、これを9月下旬までに合わせて1億300万円交付をさせていただきました。
今後も引き続き、県民の重要な移動手段である公共交通の維持確保が図られるように、コロナの影響、感染状況や事業者への影響等を注視しながら、適時適切に必要な対応を検討していくことが必要と考えております。
【斉藤委員】
バス・タクシー事業者に対しては、盛岡市も9月市議会で独自の支援策も決めたという風にうかがっております。
・特定被災地公共交通調査事業について
【斉藤委員】
次に、特定被災地公共交通調査事業、これは昨年度まででした。
陸前高田市で7路線、釜石市で4路線、合わせて6000万円余の国の補助があったと思いますけれども、これは昨年度で終了しましたので、今年度どのように実施されているのか。その財源はどうなっているのか示してください。
【地域交通課長】
今お話のございました国の特定被災地域公共交通調査事業、これは本県におきましては昨年度をもって応急仮設住宅がすべて解消されたことに伴いまして、今年度からは、委員のお話のありましたとおり、事業対象の路線がなくなったところでございますが、昨年度の対象路線、陸前高田市の7路線、釜石市の4路線は、いずれも両市において運行が継続されていると聞いております。
ただ財源につきましては、釜石市の1路線については、同じく国の調査事業を活用して路線は維持されておりますが、それ以外につきましては、現在はそれぞれの市の単独事業費で運行がなされていると聞いてございます。
【斉藤委員】
陸前高田市の7路線、釜石の4路線、この釜石の1路線だけは国の補助事業の対象になったということですが、結果的には市単独で必要な路線を継続しなければならないと。国の復興に対する姿勢が問われているんだと思うんですよ。10年経って「復興が終わり」という発想で対応されているのではないかと。先日、新しい総理大臣が岩手にも入りましたけれども、復興道半ばということで、私はそういう必要な公共交通の確保に引き続き国がしっかり財政的にも責任をとるということを強く求めていただきたい。
それから先の議論で、災害公営住宅を結ぶ公共交通確保調査の結果について答弁がありました。改めてこの状況と、この調査結果の中でかなりの部分、96.6%が確保されているという結果でありましたけれども、民間の定期路線なのか、市単独のデマンド交通などで対応しているのか、そういう中身も含めて示していただきたい。
【地域交通課長】
まず、調査結果の概要を改めて申し上げますと、普代村を除く沿岸11市町村の災害公営住宅、それから防災集団移転地を対象として昨年4月1日時点の調査を行いました。それに基づいて直近の状況も反映させた結果によりますと、災害公営住宅等294箇所のうち284箇所で何らかの公共交通が確保されている状況となっております。
この調査では、災害公営住宅等の敷地から、バス停は約300メートル、鉄道駅は2キロメートル以内にあれば公共交通が確保されているという定義でございます。バス停に関しましては、路線バスもありますし、市町村が運行している地域内公共交通もあります。そういったものがあれば、まずは確保されているということでございますし、鉄道駅につきましては三陸鉄道が運行するもの、JRが運行するものがあれば、確保されているというような定義でございます。こういった定義でございますので、公共交通が確保されている284 箇所の中でも、すべてのそこに住まわれている方々のニーズを満たしているものではないとは思いますが、ただ一定の定義の下では多くの場所で何らかの公共交通が確保されている状況となってございます。
【斉藤委員】
それで、民間の定期路線、そして市独自にデマンド交通などの路線、この内訳は分かりませんか。
【地域交通課長】
いま手元には、公共交通が確保されているかいないか、先ほど申し上げた定義に合っているかどうかという数字しかございませんので、民間ベース、市町村ベースという細かい数字については申し上げられません。
【斉藤委員】
私が被災地に行くたびに首長さんからもお話をお聞きしますと、本当に96.6%確保されているというニュアンスではありません。それ以上に、危機感を持って、災害公営住宅や、防災集団移転事業というのは高台ですから、そもそも今まで交通路線のなかったところに集落を形成しているというのがほとんどですので、私はきれい事ではないのではないかと。そしておそらく、かなり、先ほどの議論にあったようにデマンド交通などで支えている、維持しているというのが実態ではないのかという感じをいたします。
やはり災害公営住宅も防災集団移転もですね、今までとは違って、市の中心部というよりは郊外、高台、こういうところですから、ぜひこういう調査をしたらその中身もしっかり把握をしてですね、やはりこれを市の財政だけで対応していくというのは大変なことだと思います。必要な国の新しい事業を導入するとか、地方創生と言ってもそういう手当が大事なのであって、そういうことでしっかり今後対応していただきたい。最後に部長にお聞きして終わりましょう。
【ふるさと振興部長】
被災市町村の公共交通の維持確保につきましては、復興後の持続的かつ利便性の高い交通体系が構築されるまでの間、引き続き、支援が必要だと思っております。
今年度の政府予算要望におきましても、被災市町村における持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向けた支援について要望しているところでございます。具体的には、被災者が新たな生活拠点に定着するまでの間、国庫補助要件の緩和でありますとか継続、補助上限額の拡大等を要望してございます。
今後とも国に対して継続的な支援を要望するとともに、市町村とも連携しながら、被災市町村における公共交通の維持確保に努めてまいります。