2021年10月18日 決算特別委員会
警察本部
に対する質疑(大要)


・東日本大震災津波からの復興―県警の取り組みについて

【斉藤委員】
 それでは、東日本大震災津波から丸10年の決算となりますので、最初に大震災津波からの県警本部の取り組みについてお聞きします。
 震災直後の人命救助の取り組み、震災遺体の身元判明の取り組みはどうなっているでしょうか。
 今年度予算に、ミトコンドリアDNA型鑑定事業というのが計上されましたが、この取り組みを含めて示してください。

【警備部長】
 人命救助の取り組みについてでありますが、東日本大震災津波では、発災当初、被災地を管轄する警察署の警察官が、避難誘導、交通整理等に当たりながら、被災した家屋に取り残された方や瓦礫に乗って流されている方を救助したほか、警察ヘリで傷病人を搬送するなど、様々な救助事案に対応したところでございます。
 本県警察におきましては、これらの経験を踏まえまして、機動隊は広域緊急援助隊訓練あるいは県の総合防災訓練等、関係機関との合同訓練に参加いたしまして、救出救助技術の向上を図っておりますし、各警察署におきましても、災害装備品の習熟訓練や関係機関との連携訓練などを実施して、救出救助技術の向上を図っているところであります。
【刑事部長】
 震災でお亡くなりになり、身元が判明していないご遺体の身元特定のための取り組みについてご質問を頂戴しました。
 未だ、多数の行方不明者の方々がいらっしゃいますし、現に発見されたご遺体のうち身元が特定されていないご遺体が48体ございます。県警察では、これまで行ってまいりましたご遺族の検体資料の鑑定や、震災行方不明者等相談会のほか、本年度から予算に計上していただきましたミトコンドリアDNA型鑑定による身元特定にも努めているところでございます。

【斉藤委員】
 震災津波の場合には、溺死・即死というのが多かったと思うけれども、人命救助の実績というのはあったのか。
 身元判明のこれまでの実績も示してください。

【警備部長】
 当時救助した人員・人数についてであります。これは正確に集計されたものはございませんけれども、「瓦礫に覆われた水に腰まで浸かりながら救助した」、あるいは「火事が迫る中、倒壊家屋の中にいる家人を救助した」、あるいは「倒壊家屋に残された高齢者を背負って搬送した」など、三十数人の救出・救助者事例については把握しております。
【刑事部長】
 震災身元不明遺体の身元判明状況ということのご質問でございますが、令和3年9月末現在で、収容されたご遺体が4674人でございまして、このうち身元が判明している方は4626人、身元が判明していない方が48人、身元判明率98.97%でございます。

【斉藤委員】
 はい分かりました。
 それでですね、これまでの仮設住宅・災害公営住宅の一人暮らしで死亡した件数、その推移はどうなっているでしょうか。

【刑事部長】
 仮設住宅・災害公営住宅の一人暮らしで死亡した件数と推移についてのご質問でございますが、件数とのお尋ねでございましたけれども、警察といたしましては人数として把握してございますので、これで答弁をさせていただくことをご了解いただきたいと存じます。
 県警察で取り扱ったご遺体のうち、死亡時に、仮設住宅または災害公営住宅に単身居住であったこと、発見場所は、仮設住宅または災害公営住宅に限らず外出先も含むことという定義で人数を把握しております。
 震災発生の平成23年から令和3年9月末までに、仮設住宅で単身居住して亡くなられた方は75人、災害公営住宅において亡くなられた方は94人であります。

【斉藤委員】
 仮設はもうなくなりましたので、ここ3年ぐらいはゼロということでお聞きをしておりました。
 一方で災害公営住宅は、令和3年途中ですけれども15人、令和2年が20人、令和元年(平成31年)が20人ということで、災害公営住宅での孤独死というのはきわめて重要な課題になっていると。

・警察職員の超過勤務について

【斉藤委員】
 警察職員の超過勤務の実態と超過勤務手当の支給実績についてお聞きします。
 一人当たりの超過勤務時間の推移、超過勤務手当の支給はどうなっているでしょうか。

【警務部長】
 はじめに、1人当たりの超過勤務時間の推移についてでありますが、月平均1人当たりの超過勤務時間数は、平成28年度は約22.8時間、平成29年度は約19.7時間、平成30年度は約17.8時間、令和元年度は約17.4時間、令和2年度は約16.4時間でございます。
 次に超過勤務手当の支給についてでありますが、月平均1人当たりの支給時間数及び超過勤務時間数に占める支給時間数の割合ですが、平成28年度は約20.0時間で約88%、平成29年度は約17.8時間で約90%、平成30年度は約17.3時間で約98%、令和元年度は約17.3時間で約99%、令和2年度は約16.4時間で100%でございます。

【斉藤委員】
 警察職員の超過勤務時間については、時間を正確に把握して超過勤務手当が若干ずれていたということで何度が指摘をしましたが、ついに超過勤務時間を減らして100%支給されたということは評価をしておきたいと思います。

・捜査報償費について

【斉藤委員】
 この間の捜査報償費の執行額の推移はどうなっているでしょうか。

【警務部長】
 捜査報償費の執行額の推移についてでありますが、平成28年度が1040万7千円、平成29年度が864万6千円、平成30年度が700万1千円、令和元年度が538万円、令和2年度が602万9千円となっております。

【斉藤委員】
 この捜査報償費も繰り返し取り上げてきたものです。これはなぜかというと、領収書が出てこない。どう使ったか分からない。警察の問題が大問題になったときに、裏金の原資ということで指摘をされた経過がありました。答弁のように、1040万円から令和2年は602万円余と、着実に毎年減少してきて、予算は平成28年は1400万円、それが1040万円でした。令和2年は933万円が602万円で、着実にこれも減少・縮小してきたということは評価をしておきたいと思います。
 一方で、各部署ごとに見ますと、捜査第一課が昨年度43万円余増額になっています。捜査第二課も43万円余、組織犯罪対策課が44万6千円余、全体が減少する中でこの3つは突出して増えていますが、何か重大な事案その他あったんでしょうか。

【警務部長】
 捜査第一課、捜査第二課、組織犯罪対策課の捜査報償費が増加した要因についてでありますが、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などの様々な要因によるものであり、執行額の増減は事件捜査を行った結果ですので、その理由については個々の捜査の内容を明らかにすることに繋がりますことから、答弁を差し控えさせていただきます。

【斉藤委員】
 私個々の事件について聞いているんではないんですよ。
 例えば、捜査第一課は令和元年度14万3千円だったのが57万5千円になっている。これまさに3倍以上ですよね。捜査第二課48万円余が91万円、組織犯罪対策課が49万円が93万9千円と。全体が減少している中で、こういう風に2倍3倍と増額するというのは、何か特別なことがあったのではないか。特別な事件があったということですか。

【警務部長】
 繰り返しになりますけれども、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などの様々な要因によるものでありまして、執行額の増減は事件捜査を行った結果でございます。したがって、いま全体が減少しているというお話をいただきましたけれども、増減の理由について一概に申し上げることはできません。

【斉藤委員】
 実際に一気に2倍とか3倍になるというのは普通じゃないでしょう。普通じゃない理由があったということを聞いているだけなんですよ。2倍3倍に増えるような要因があったということを聞いているんですよ。あったんですか、なかったんですか。

【警務部長】
 繰り返しになり恐縮ですが、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などの様々な要因によるものでございます。執行額の増減は事件捜査を行った結果でございますので、その増減の理由について一概に申し上げることはできません。

【斉藤委員】
 この捜査報償費というのはブラックボックスなんですね。領収書も公開されない。私はだから取り上げているので、残念ながらまったくこの点ではまともな回答がなかったと。ただ2倍3倍増えるということは、普通ではないので、それは県民に分かるように、税金を使ってやっているんだから、明らかにすべきですよ。

・警察官の不祥事案について

【斉藤委員】
 昨年度、今年度の不祥事案と処分等の対応はどうなっているでしょうか。

【参事官兼首席監察官】
 昨年、今年の不祥事案と処分等の状況でありますが、令和2年中は、懲戒処分はありませんでしたが、懲戒処分に至らない訓戒・注意については14人を措置しております。
 令和3年は現在までに、懲戒処分は児童ポルノ法違反で1人を戒告に、大麻取締法違反等で1人を免職としております。
 また、懲戒処分に至らない訓戒・注意については7人を措置しております。

【斉藤委員】
 大麻取締法違反で逮捕され免職となったと。本当に大変重大な事案だったと思います。この点について、この事件の経過と、県警としてどのようにこれを受け止めて教訓としているかを示してください。

【参事官兼首席監察官】
 ご質問の事件につきましては、本年7月上旬、他県警からの違法薬物の購入者の情報提供を受け捜査を開始したもので、警察本部に勤務する職員が、盛岡市内の自宅において密売人からインターネットで大麻用の植物片を購入した疑いにより、麻薬特例法違反で本年7月30日逮捕されました。
 さらにその後、所要の捜査結果、自宅において乾燥大麻を所持していた事実が明らかとなったことから、大麻取締法違反で本年8月19日再逮捕されたものです。なお、同職員については9月3日付けで「免職」としております。
 本件を受けまして当県警といたしましては、非常に遺憾に感じているところで、直ちに全職員に対して薬物事犯に対する指導教養の徹底と職員の身上把握の徹底について、本部長通達を発出しておりますし、様々な会議等の機会において指示、教養を実施し、同種事案を含めた非違事案防止を図っております。

【斉藤委員】
 この間の覚せい剤・大麻に関する検挙状況、どうなっているでしょうか。

【刑事部長】
 この間の覚醒剤・大麻に関する検挙状況というご質問でございました。直近、令和2年でございますけれども、覚醒剤取締法違反の検挙人員は24名でございました。
 それから、大麻取締法違反の検挙人員は令和2年14名でございました。

【斉藤委員】
 10月5日の新聞にも、覚せい剤取締法違反で一人逮捕されております。この覚せい剤・大麻、こういう疑惑が訴えられたときに、県警はしっかり捜査するんですね。

【刑事部長】
 まさに警察の役割として、犯罪があると思料するときはこれを捜査するものでございます。なお、それは法と証拠に基づき、適正に捜査するものでございます。

【斉藤委員】
 それで、私が繰り返し取り上げてきた岩手医科大学の元教授の覚せい剤疑惑事件、これは覚せい剤を打たれた女性が週刊誌が告発した事件です。公に告発した事件です。そして、その時の捜査の責任者である刑事部長が、こともあろうに岩手医科大学に翌年再就職、天下りするという事件で、これはゆゆしき事態だと取り上げてきました。
 改めて聞きますが、この岩手医科大学元教授の覚せい剤疑惑事件は、捜査したのでしょうか。しなかったのでしょうか。

【刑事部長】
 委員ご質問の岩手医科大学元教授の覚醒剤疑惑についてでございますけれども、個別の事案につきまして、捜査しているか否か、あるいはその捜査状況等具体的な事柄について答弁は差し控えさせていただきます。
 なお、先程も申し上げましたとおり、一般論として申し上げますが、警察は犯罪があると思料するときは、法と証拠に基づいて捜査をするものでございます。

【斉藤委員】
 6年も7年も経って、捜査したかしないかも答えられないということは捜査しなかったということでしょう、逆にいくと。だいたい今までのようにちゃんと24件、去年だって検挙しているわけでしょう。だいたい打たれた人が告発しているときに、あなた方は逮捕もしない、捜査もしなかったでしょう。捜査したらいっぺんで分かる事件だったのではないですか。そしてそれは、翌年に捜査の責任者が、該当する医科大学に再就職するなんておまけが付くから、これは癒着ではないかと疑われても当然のことではないですか。
 県警本部長にお聞きします。県警本部長、全国の警察を回っているでしょう。こんな事例ありますか。何年経っても、捜査したかもしないかも分からない。そしてそこに当時の責任者が再就職するなんて事例、全国にありますか。

【警察本部長】
 繰り返しになるんですけれども、いかなる先行報道がございましても、警察は特定の人物について捜査しているか、否か、現在進行形ですね。また過去におきまして、捜査をしたか、していないか、これについてですね、逮捕報道を除くと、公にすることは適切ではございません。やったか、やっていないかということについてはお答えできないということに尽きてしまいます。このことについては、大多数の県民の方々のご理解を得ているものと認識しております。
 続きまして、再就職についてでありますが、こちらにつきましては関係法令に照らして違反行為等認められる事実はなく、ご指摘は当たらないものと認識しております。

【斉藤委員】
 事実として、この元教授は3月末で退職をされた。認めたということですよ。
 終わります。