2021年10月19日 決算特別委員会
千田美津子県議の教育委員会に対する質疑(大要)
・校則問題―文科省通知の受け止めについて
(千田委員)
まず学校での校則問題についてお聞きをいたします。今校則のあり方が社会問題となってきました。校則は教育活動の一つであり本来は学校で決めるものだと思いますけども、しかし子どもの人権問題に直結するという特徴があります。というのも校則で子供の髪型や服装などのいわばライフスタイルを規制する場合、ライフスタイルはその人の基本的な人権に抵触することにつながるからです。そこで何点か具体的に質問をいたしますが今年6月8日付けで文科省が校則の見直しについての通知を出したところでありますけども県教委としてはこの通知をどのように受け止めどう対応されたのかお聞きをいたします。
(泉澤生徒指導課長)
文部科学省の校則の見直しについての通知に関する受け止めについてでありますが、文部科学省から「校則の見直し等に関する取組事例について」の事務連絡を受け、6月10日付けで県教育委員会からも学校の実態に応じた校則の見直し等に対する取組について通知したところでございます。
校則は、社会通念に照らして合理的とみられる範囲で、学校や地域の実態に応じて適切 に定められるものであり、学校種や児童生徒の実情、地域の状況、校風など、学校がその特色を生かし、創意工夫しながら、必要に応じて見直すべきものと捉えているところでございます。
県教育委員会では、本年7月に県立高等学校に対し、アンケート調査を実施したところであり、各学校の実態把握とともに、今後とも積極的に見直すように指導して参りたいと思います。
・県内中学校・高校における校則見直しの状況について
(千田委員)
県教委としても6月10日付で通知に基づいて県教委としての通知を出しまた7月には県立高校に対して調査を実施されたということで前向きに取り組まれているというふうに感じました。それで県内中学校、高校における校則見直しの状況はどうなっているのか把握をされているでしょうか?
(泉澤生徒指導課長)
県内の中学校・高等学校における校則の見直しの状況についてでありますが、先程の文部科学省からの通知を受け、県立学校だけではなく、市町村教育委員会あてにも学校の実態や地域に応じた校則の見直し等に対する取組について通知したところでございます。中学校の実態については、把握してないところでございますが、県立学校の状況については、本年7月にアンケート調査を実施して把握したところでございます。
その結果によりますと、令和になってから校則の見直しを行った県立高等学校は63%であり、見直しを検討している学校は31%という状況でありまして、ほとんどの県立の高等学校が、適切に見直しをした、又は見直しをしている状況だというふうに把握している状況であります。
(千田委員)
市町村教育委員会にも通知を出しているということで、県立高校については答弁あったように令和になってから見直しをしているのが63%、今後見直しを検討しているというのが31%で、かなりのところが見直しをやる方向にあるということがわかりました。市町村教育委員会にも通知を出されて、それによってこれから動きは出て来るんだと思いますが、是非通知を出しっぱなしではなくて市町村教育委員会それらの状況について把握をする必要があると思うんですがいかがでしょうか。
(泉澤生徒指導課長)
委員ご指摘のとおり、各市町村教育委員会の部分についても把握していくということは大事なことかと思いますが、ただそれぞれの設置者がそれぞれ適切に考えて対応しているというふうに認識しておりますのでその部分については今後状況を注視しながら検討してまいりたいというふうに思います。
・県立高校の校則見直しの結果の受け止めについて
(千田委員)
県立高校のかなりのところが最近見直しした、あるいは見直すという答弁がされましたが見直した結果について県教委はどのように感じているのかその受け止めをお聞きします。
(泉澤生徒指導課長)
校則を見直した後の受け止めについてでございますが、児童生徒全員にとりまして身近な校則を取りあげて、児童生徒自らが課題を設定し改善をしていくという過程は児童生徒の主体的に社会に働きかける力とか、自主性というふうなものを育むことができる効果的な活動の一つだと認識しているところでございます。学校を取り巻く社会環境とか児童の状況というのは日々変化するものと捉えておりまして、校則の内容は児童生徒の実状、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、それから時代の進展など踏まえたものになっているか、今後も積極的に見直しを行うよう県教育委員会としては引き続き学校を支援して参りたいと思います
・県立高校の校則の実態について
(千田委員)
今後とも十分に取り組みを進めていただきたいわけですが、実は共産党として4月に校則問題プロジェクトチームを立ち上げ、6月まで校則アンケートを実施いたしました。その結果、校則をめぐる苦しみや要望が予想以上に深く大きいということが全体としてわかりました。中高生の8割が学校の校則に疑問を思うものがあると答え、例えばツーブロックという髪型がありますが段差ができるような髪型を禁止するとか、それから靴下の色、長さ、ポイント、そしてあるいはコートの色を指定する、そして髪が長い場合、髪を結ぶゴムの色まで指定する等々、かなりそういうところが多いという書き込みがたくさんありました。さらに頭髪や服装の検査が中高生の7割があると答え、同じく7割がその検査がとても嫌だと答えています。その検査の仕方ですが、一列に並ばされて教師2〜3人に囲まれて顔を近づけられたり髪を触られたりしながら検査をされる。それから下着の色まで確認されるのは嫌だとか、以上は全国の例です。膝立ちさせてスカートだけを確認させられるなど具体的な記載がかなりあったようであります。すごく行き過ぎがあるなと感じました。それから校則というのは先ほど答弁がありましたように、みんなで考え、子供たちが自主的に疑問やそういう部分を正していく、そういう取り組みに繋がるんですが、校則について全く説明を受けてないという答えが52%、それから校則をどうやったら変えられるか全く教えられていない、書かれていないというのが69%でありました。非常にあれっという思いがありましたし、またアンケートでは教職員の皆さんにも声を聞いてその9割がおかしいと思う校則がある、あるいは子どもの権利や人権の視点で見直すべきものがあると答えています。
岩手県内の県立高校の校則を見させていただきましたが、髪型をツーブロックの髪型を禁止とか自毛が生まれつき赤いとか届けをしなければいけない、あるいは集会や印刷物は学校長の許可が必要だというふうな様々な規定がまだまだあるなと思いました。服装を細かく規定するのもというのもかなり問題があるなと思うわけです。これらについてはこういう通知を受け、あるべき姿に議論を前向きに進めてもらう、そういうきっかけにしていただきたいわけですが、このような校則の実態をどう考えているかかお聞きします。
(泉澤生徒指導課長)
委員がご指摘された全国の調査結果ということについては、私も認識をしているところでございます。県内各学校の校則につきましても一通り目を通させていただいていただきました。やはり中には時代にそぐわないものもある、というふうなこと、例えばツーブロックとかアフロとかまだ規定がまだ残っているとかいうのがまだあるという認識はしておりますし、また服装指導とかも実施しているとか把握しているところでございます。ただ先ほど答弁申し上げた通り今後見直しを図っていくとか、時代に合わせて進めていくというようなことで取り組んでいる、また規定にはそうなっていますが実際には指導場面では適用しないとかというようなことで、現在の時代に合わせた指導に行っているというふうに認識しているところでございます。校則問題につきましては毎年、年度初めに高等学校連絡指導協議会を開催させて頂きながら、その通知とか児童生徒の主体的な取り組みの推進が図られるよう周知をしているところでございまして、生徒総会などを活用しながら今後そのような問題を検討していくそのように支援して参りたいと考えてございます。
・子どもの権利条約の視点に立った校則問題への取り組みについて
(千田委員)
これから様々見直しが行われるかと思いますが、大事なのはどういう視点で見直しを行うかということだと思います。私はその基本は子どもの権利条約に掲げられた、例えば表現の自由、思想良心の自由、宗教の自由。結社集会の自由、私生活の自由など大人が享受している自由と同じ自由を子どもの権利が規定しているんです。ですから全部が校則にかけるとかではなくて、やはりこの視点に立って校則問題について岩手県教育委員会の指導のもとに、皆で保護者も子供達はもちろんですし、先生も参加してみんなで議論をしていく、そういう校風を作っていくことが必要ではないかと思いますがこの点いかがでしょうか
(泉澤生徒指導課長)
児童生徒にとりまして、身近な校則について話し合う機会を設けることは、校則に関する理解を深めるとともに、校則を自分たちのものとして守っていこうとする態度を養うことにつながるものと認識しているところでございます。
小中学校は総合的な学習の時間において、高等学校は総合的な探究の時間において、児 童生徒の主体的な学習を通して、変化の激しい社会に対応して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育んでおりますので、その活動において自らの意見を発表したり、話し合う活動に取り組んでいるところでございます。
今後もそのような様々な機会を捉えながら、児童生徒の主体性や社会性が育まれるよう努めて参りたいと考えているところでございます。
(千田委員)
今の答弁の中で道徳教育とかそういう中で様々な力が育まれているというのはその通りだと思います。ただ県内の校則を見まして、例えば子どもの権利で大きくいえば4つあるわけですが、生きる権利、育つ権利、守られる権利、ここまではいいんですけども、参加する権利という部分でずいぶん多くのところが自由にできないように規定をしております。
そういった意味ではきちんと9月3日付で学校教育室長名で通知が出されており、生徒の主体的な取り組みを促し、PTAに意向調査をしたり、それから生徒や保護者が何らかの形で参加する例や、学校のホームページに校則を掲載することで見直しを促す例もあるというふうに書かれており、良い通知だなと思っています。ですからこれに沿った形できちんと対応していただくことが求められていると思いますが、この点教育長いかがでしょうか。
(佐藤教育長)
委員からご指摘がありました、私どうも7月にアンケート調査をしまして、それを踏まえた調査結果について各県立学校長宛に通知を出させていただきました。具体的に話をさせて頂きますが、校則の内容は児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならず見直しについて生徒の主体的取り組みを促し、そして紹介があった通りPTAに意向調査をしたりするなど、生徒や保護者が何らかの形で参加する例もある他、学校のホームページに校則を掲載することで見直しを促す例もあるということで本調査結果で得られた内容を参考に各学校における生徒指導の充実を図る取り組みをお願いします、と通知しているところでございます。
・教師の多忙化の解消について
(千田委員)
校則の最後に、実は全国的には教職員も生徒も率直に話し合える自由で人間的な雰囲気を学校に取り戻す必要があるんだという指摘があります。そういう中で教職員の皆さんも大変多忙化の中でそういう本来あるべき姿になる必要があるのに多忙化の解消が先だという指摘もあるわけですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
(八重樫参事兼教職員課総括課長)
委員ご指摘のとおり、教職員の多忙化の解消につきましては大きな課題と認識しており、県教育委員会としては、平成30年6月に「岩手県教職員働き方改革プラン」を策定いたしまして、令和2年度までの取組期間において、教職員の負担軽減と健康確保に取り組んできたところございます。
また、今年2月には、新たに令和3年度から令和5年度を取組期間とする「岩手県教職員働き方改革プラン(2021〜2023)」を策定し、教員の時間外在校等時間の縮減などの目標を定めまして、学校における働き方改革の実現に向けた取組を総合的に推進しておるところでございます。
今後も、働き方改革プランに基づく取組を学校とともに進め、教職員が子どもたちと向き合うことのできる時間を少しでも多く確保できるよう努めて参りたいと思ってございます。
・小中学校で暴力行為が増加している原因について
(千田委員)
岩手県が調査した問題行動、不登校生徒指導上の諸課題の部分で気になったのが生徒間の暴力、あるいは暴力が増えているというふうに思います。この現状と増加している原因をどのように分析をされておられるかお聞きをいたします。
(泉澤生徒指導課長)
問題行動等調査で、小中学校で暴力行為が増加している原因についてでございますが、 令和2年度における暴力行為の発生合計件数は564件であり、前年度と比べて43件の増加、どの校種においても生徒間暴力が発生件数の大半を占めております。
この増加につきましては、いじめの認知と相関があると捉えており、いじめの態様の中の軽く叩いたり、蹴ったりという行為について、いじめだけでなく、生徒間暴力としても集計していることによるものと認識しているところでございます。
学校という集団生活における交友関係におきましては、自分の感情をコントロールできずに短絡的な行動で発生しているものが多いと捉えており、教育活動全体を通して他者と共によりよく生きていく基盤を今後も育んで参りたいと思います。