2021年10月20日 決算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)
・新型コロナウイルスへの県立病院の対応について
【斉藤委員】
新型コロナウイルス感染症病床の確保、病院数と病床数、入院患者を受け入れた実績、重症患者受け入れの実績について、昨年度・今年度それぞれ示していただきたい。
【経営管理課総括課長】
私の方から病床数について述べさせていただきます。県立病院におきましては、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるため、6病院に22床設置しております感染症病床を含め、16病院・約250床の病床を確保しているところでございます。
【医事企画課総括課長】
入院患者、重症患者の受け入れの状況でございます。県立病院におきまして、令和2年度は11病院におきまして224人、このうち、重症者―いわゆる人工呼吸器を装着した患者は6人となっております。令和3年度9月末累計におきまして、15病院において1,067人、このうち、重症者は20人を受け入れてきたところでございます。
【斉藤委員】
県立病院が新型コロナ対策で大変重要な役割を果たしてきたと思います。
それで、病棟を転換して、感染症病床を確保した病院数と病床数はいくらでしょうか。
【経営管理課総括課長】
県立病院において、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる場合につきましては、原則として、6つの県立病院に配置している感染症病床22床において受け入れることとしておりますが、圏域における感染者の発生状況によっては、6つの県立病院に配置している結核病床64床を活用することとしております。
さらに感染が拡大した場合には、簡易陰圧装置などによる感染対策を講じた上で、一般病床に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れることとしてございまして、15病院に約160床の一般病床を確保しているところでございます。
【斉藤委員】
慰労金の対象者数と実績、危険手当の対象者数と実績と実績も示してください。昨年度・今年度。
【経営管理課総括課長】
新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金についてでございますけれども、この慰労金の対象となります職員につきましては、患者の診察に従事する医師や看護師などの職員のほか、診療には直接携わらないものの、受付・会計などの窓口対応を行う職員ですとか、院内の案内など様々な場面で患者に何らかの対応を行う事務職員や調理職員などについても、広く給付の対象とされているところでございまして、令和2年度の県立病院・地域診療センターにおける給付者数は、在職者・退職者等を合わせて全体で7170人となってございます。慰労金の対象となる病院職員はもれなく給付が完了しているところでございます。また、委託事業者の従業員につきましても、各委託事業者を介して給付を完了したところでございます。
職員と委託事業者の従事者数を合わせた県立病院全体の給付額につきましては、16億8800万円余となっているところでございます。
【職員課総括課長】
新型コロナウイルス感染症に係る防疫等作業手当の対象者数と実績についてでありますが、令和2年度全体での支給者数は、延べ2万6012人、総支給額は9234万5000円となっており、令和3年度は8月までの実績となりますが、支給者数は延べ3万20人、総支給額は1億999万9000円となっております。
【斉藤委員】
慰労金が昨年度だけで、感染拡大で大変な状況になっている今年度はそういう措置がなかったと。これも大変残念なことだと指摘をしておきます。
決算状況についてですね、外来・入院が減少しています。その収入減と新型コロナに関わる補助金の状況はどうなのか。
消費税が10%増税になっておりますが、この消費税の増税の影響、累積負担額はどうなっているでしょうか。
【経営管理課総括課長】
令和2年度決算についてでございます。まず、入院・外来収入については、前年度と比較して、入院患者数で8.8%の減、外来患者数で8.3%の減と大きく減少しておりまして、患者減による減収額は、約75億円余と試算しているところでございます。
一方で、診療報酬の改定や上位施設基準の取得などによりまして、診療単価が増加したことによる増収額は、約45億円余と試算しておりまして、差し引きで入院・外来を合せた収入額の合計は、前年度と比較して約30億円余減少となったところでございます。
次に、補助金の状況でございますが、令和2年度の補助金収入は、66億6,100万円余で、前年度と比較しまして、61億7,300万円余の増加となったところでございます。
この66億円余のうち、新型コロナウイルス感染症に関連する補助金は、感染対策で支出した経費に対する補助金や、クラスター発生に備えて受け入れ病床を空床にして確保したことによる減収分に対する補助金などにより、62億1,600万円余となっているところでございます。
消費税の影響等でございますけれども、今和2年度の決算額を基に消費税負担額を試算いたしますと、仕入控除できない消費税の負担額などの合計は43億8,900万円余となってございまして、消費税率が1年を通じて8%だった平成30年度決算における消費税負担額の合計が35億5,900万円余でありましたので、差し引き8億3,000万円余増加したところでございます。
また、消費税が導入されました平成元年度から令和2年度までの消費税負担額の累計額は、総額725億円余となっているところでございます。
【斉藤委員】
入院・外来の減少は、新型コロナで受診抑制もあったし、通常の患者の減少分もあると思いますけれども、新型コロナの補助金、とりわけ空床確保の補助金で今年度は20億円を超える黒字になったということだと思います。
そして特に消費税の新たな負担分が8億3000万円ですよね。本当にこの消費税というのは国民にとっても、県立病院・医療機関にとっても経営を圧迫する消費税だということは指摘をしておきたいと思います。
・医師確保について
【斉藤委員】
県立病院の経営計画にたいし、医師の増員、病院への配置状況はどうなっているでしょうか。
あわせて、県立釜石病院の分娩中止にともなう具体的な対策・支援策はどうなっているでしょうか。
【医師支援推進監】
県立病院の経営計画に対する医師増員と病院への配置状況についてでありますが、現行の県立病院等の経営計画(2019-2024)では、令和元年度から令和6年度までの6カ年で81名の増員を計画しております。令和2年度は、常勤医師11名の増員計画に対しまして、配置実績は10名の増員となっているところでございます。また、令和3年度については、常勤医師11名の増員計画に対しまして、9月1日現在で 22名の増員となっているところでございます。医師数が増加している主な要因といたしましては、県立病院で義務履行を行う奨学金養成医師の配置が増えてきているというところでございます。令和3年度は令和2年度と比較して21名増加しておりますし、昨年度も前年比較で23名増加している状況でございます。なお、増加要因となっております養成医師の県立病院への配置につきましては今年度94名が配置されております。特に医師が不足しております県北・沿岸地域の県立病院へは44名が配置されているところでございます。
続きまして県立釜石病院の分娩中止に伴う具体的な対策・支援策についてでありますが、まず、出産時の安全確保のためといたしまして、医師の判断により、県立釜石病院が保有する患者搬送車による搬送、次に、検診と出産が分かれることについての不安解消に向けまして、病院助産師間における情報共有による一体的なサポート、あとは大船渡病院、宮古病院の分娩施設の事前見学を行うこと、さらに妊産婦からの電話相談に対しまして24時間・365日の体制で対応することとしております。さらに、産後ケアの充実に向けまして、新たに釜石病院の施設内でのデイサービス型の産後ケアの提供を行うこととしております。
いずれ安心・安全な出産環境を提供するため、関係機関との連携により釜石地域の妊産婦の不安の解消に務めていきたいと考えております。
【斉藤委員】
釜石病院の関係での支援策なんですけれども、県の支援策は、これ通院経費の支援ですが、ハイリスク妊産婦支援事業、これは県でやるということになっています。搬送は医療局が、病院がやるということですが、ハイリスク以外は市町村単独事業になっているんですね。ここの住み分けはどうなのかと。ハイリスク以外の方の方が実質多いのではないかと思いますけれどもいかがですか。
【医師支援推進監】
たしかに件数としてはそのようになるかもしれません。実際には、こちらの方で聞いている情報によりますと、他の市町村ではハイリスク以外の方への支援もしているということで、今回釜石市さん、大槌町さんもそれに合わせまして支援をしていただけるということになっていると認識しております。
【斉藤委員】
関係市町村はやむにやまれずやっているので、震源地は釜石病院で分娩中止したということなので、私はハイリスクだけにとどめないで、本来なら市町村へも支援をすべきだと思います。
・看護師の労働条件の改善について
【斉藤委員】
最初に経営計画に対する看護師の増員状況。月9回以上の夜勤の状況と改善の取り組み、いかがでしょうか。
【職員課総括課長】
まず経営計画におけます看護師の増員状況については、令和3年度は計画として9人増を予定していたところですが、配置実績としては26人増ということで、17人の増で推移しているところでございます。
看護職員の月9回以上の夜勤の状況についてでありますが、月9回以上の夜勤に従事した看護職員の数は、令和2年度においては、15病院で、延べ1,112人となっております。また、今年度につきましては、第1四半期までの実績で10病院、延べ576人となっておりまして、令和2年度の同じ時期と比較して延べ212人増加しております。
この増加の要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症患者受入による夜勤体制及び感染症病棟体制の強化のための調整、ならびに、新型コロナウイルス感染症陽性者や感染の疑いがある者との接触に伴う出勤停止者の発生に伴う調整、あるいは、病気休暇等の急な取得などによるもの、と考えてございます。
医療局におきましては、これまでも、育児休業取得者等の代替職員の正規職員による配置、夜勤専従などの多様な勤務形態の導入、採血業務の臨床検査技師への移管などのタスク・シフティング(業務移管)の推進、新たに外部専門家を通じた業務の見直し、病児保育の導入による院内保育の充実などにより、職員の負担軽減を図る取組を進め、離職防止や新採用職員の確保を図るとともに、業務の繁閑に応じ、県立病院間で相互応援を行うなど、看護職員の夜勤回数の抑制に向け、取り組んできたところでございます。引き続き、夜勤回数の抑制に向けた取組を推進していきたいと考えております。
【斉藤委員】
今年度の第1四半期で、9回夜勤は中央病院で145人、大船渡で100人、中部病院で82人、南光で85人、これは新型コロナに対応したということが主な要因だろうけれども、看護師減らされたというところもあるんですよ。そういう状況をしっかり踏まえて、必要な看護師を確保して解決していただきたい。
最後です。超過勤務の実態と解消の対策、年次休暇取得の実績と改善が求められている対象者、その取り組みはどうなっていますか。
【職員課総括課長】
看護師の超過勤務の実態と解消の対策についてでありますが、令和3年度の4月から8月までの看護職員の1人当たりの月平均超過勤務時間数は、10.2時間となっており、昨年度同期と比べまして、1.8時間増加しております。
今年度は、県民を対象としたワクチン接種業務など、例年にない特別な業務に積極的に取り組んでいること、また、新型コロナウイルス感染症患者への対応業務が昨年度より増えてしまっているということで、超過勤務時間増加の要因と考えております。
超過勤務の縮減につきましては、業務の見直しと職員の意識改革が重要であると認識しており、今年度におきましては、超過勤務が多くなる職員と管理者との面談を実施、外部専門家を通じた業務手順の見直しとか業務の平準化の取り組み、会議録作成システムや勤務管理システムの導入、勤務時間管理の適正化につきまして、4月及び9月の2回にわたる通知などを行っているところでございまして、業務の効率化と超過勤務の縮減に向けて、引き続き、様々な取り組みを進めていきたいと考えております。
看護師の年次休暇取得の実績と改善の取り組みについてでありますが、看護職員1人当たりの年間平均取得日数は、令和元年は9.0日、令和2年は8.9日と横ばいとなっております。
年次休暇の取得については、休暇の取得促進についての通知を定期的に発出して、職員の意識醸成を図っているほか、年次休暇の予定を職員に確認するなどして、計画的な年次休暇取得を促しているところであります。
今後もひきつづき、業務の削減や見直しなどの取り組みを進め、年次休暇の取得しやすい職場環境づくりに努めていきたいと考えております。