2021年10月21日 決算特別委員会
環境生活部
に対する質疑(大要)


・気候危機打開―第二次岩手県地球温暖化対策実行計画について

【斉藤委員】
 いま気候危機と呼ぶべき非常事態の認識について最初にお聞きします。
 国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、これは8月20日に報告書を出していますけれども、どのように受け止めているでしょうか。

【副部長】
 本年8月に公表されました「IPCC第6次評価報告書」におきましては、「人間活動が及ぼす影響が大気、海洋及び陸地を温暖化させてきたことには疑いの余地がない」と初めて断定しております。
 また、「向こう数十年の間に温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に、地球温暖化は1.5℃を超える」ことや、「極端な高温、大雨の頻度の増加等が、地球温暖化の進行に直接関係して拡大する」ことなど、科学的な知見を踏まえた報告がなされておりまして、改めて、温室効果ガスの排出削減は喫緊の課題であると認識したところでございます。

【斉藤委員】
 第六次評価報告書の中にはこういう指摘があります。「気候システム全般にわたる最近の変化の規模と、気候システムの側面の現在の状態は、何世紀も何千年もの間、前例のなかったものである」と。まさに今本当に非常事態だという。地球の未来、人類の未来に関わる重大問題。当然、国政の最重要課題でありますし、総選挙の争点にもなっていると思います。
 こうした気候危機というべき状況は、日本と県内にどのような深刻な影響を与えているか示してください。

【副部長】
 気象庁の報告書によりますと、日本の気候変動の状況は、年平均気温は100年当たり1.24℃の割合で上昇しており、真夏日、猛暑日及び熱帯夜の日数が増加する一方で、冬日が減少している状況でございます。
 また、大雨、短時間での強雨の発生頻度は増加しております。それから、海面水温は100年当たり1.14℃の割合で上昇するなど、様々な影響が見られるようになっているというところでございます。
 本県におきましても、平成28年の台風第10号、令和元年台風第19号による甚大な被害、それから海水温の上昇によりまして秋サケの漁獲量が極端に減少するなど、県民生活や農林水産物にも深刻な影響を及ぼしていると受け止めております。

【斉藤委員】
 県議会の請願も踏まえてですね、達増知事が2月17日に「いわて気候非常事態宣言」を発しました。私は時宜に適した宣言だと。ただ、ここには「県民とともに、これまで以上に積極的に取り組む」、「県民一人一人が気候変動が差し迫った危機であることを認識して、ともに行動していくために宣言を発する」となっているんですね。まだまだ非常事態としての危機意識というのは県民に浸透していないのではないか。気候危機の非常事態に対して、県民・事業者に対する啓発の取り組みを抜本的に強化すべきと思いますが、どのように取り組まれているでしょうか。

【副部長】
 委員ご指摘のとおり、本年2月に「いわて気候非常事態宣言」を行っております。
 県では、気候が危機的な状況にあるということを、県民が他人事ではなくて「自分ごと」として捉えていただけるように、県民一人ひとりが自主的に行動いただけるようにということで、例えば「いわて環境塾」や「出前授業」など、様々な機会を捉えまして普及啓発に取り組んでおります。
 今後、非常事態宣言から一年を迎えることになりますが、改めまして、宣言の趣旨を県民の皆さんに浸透させて、できる限り多くの県民を巻き込んでいくことができるよう、知事からのメッセージを発したいと考えておりますし、引き続き温暖化防止県民会議などとの連携を図りながら、この危機的な状況にあるということを自分のこととして考えていただけるように県民への啓発に努めて参りたいと考えております。

【斉藤委員】
 それでですね、昨年菅政権も遅まきながらカーボンニュートラルを発しました。しかし自公政権の対策には残念ながら4つの問題点があると。
 1つは、2030年までの削減目標が低すぎる。これは2013年比で46%削減。国連は2010年比で45%以上削減、先進国は5割6割削減を求めています。2010年比で言いますと42%になるんですよ。国連の目標よりも低いものになっている。
 2つ目の問題は、石炭火力の新増設、移設を進めていると。国連は2030年までに石炭火力ゼロを提起しています。
 そして3つ目は原発依存。
 4つ目は、実用化の目途がない新技術を前提にしていると。
 こういう点では、2030年までの取り組みというのは全く不十分にとどまってしまうのではないかと危惧をしますが、いかが受け止めていますか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 国の2030年度までの削減目標でございますが、国では本年4月に、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すこと、さらに50%の高みに向け挑戦を続けることを表明したところでございます。
 また、国では、これらの目標達成や2050年カーボンニュートラルの実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すため、現在、エネルギー基本計画の改定を進めているところでありまして、計画素案において示された政策対応や電源構成につきましては、国の総合資源エネルギー調査会などにおける様々な議論を経て、出された結論であると承知しております。

【斉藤委員】
 日本共産党はですね「気候危機打開2030戦略」というのを半年かけて、国内外の専門家の提言を踏まえて打ち出しました。2030年までにCO2を最大60%削減すると。省エネルギーの40%、再生可能エネルギーは全体の50%に2030年までに引き上げると。そのための具体的な提起も行いました。
 それを踏まえてですね、岩手県の実行計画についてお聞きします。岩手県の2030年の目標は、先ほども議論になりましたが、2013年比で41%削減。これは国の目標よりも低くなってしまった。これは早急に見直すべきだと思いますがいかがですか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 2030年度の県の削減目標につきましては、2030年度までに2013年度比で温室効果ガス排出量を41%削減することを目標として掲げております。この目標につきましては、国の施策と県独自の施策による削減可能量に森林吸収と再生可能エネルギー導入による削減効果を合わせて設定したものでございます。
 国では本年度、温室効果ガス排出量46%削減の目標達成のために、地球温暖化対策計画の改定を進めているところでございますが、この計画で示される具体的な削減量の内容を精査し、本県の削減目標の見直し等を検討していきたいということでございます。

【斉藤委員】
 時間がないので、私が聞いた質問に簡潔に答えてください。前段はいらないから。見直しを検討するということで、分かりました。
 そこで、現在の41%削減の目標達成に向けた具体的取り組みなんですが、省エネルギー削減の目標と具体的な計画・対策はどうなっていますか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 省エネルギー削減の目標と具体的な取組ということでございますが、温室効果ガス排出削減割合41%の中で、排出削減対策25%がございます。再生可能エネルギー導入による削減効果7%、森林吸収による削減効果9%を合わせての41%でございます。
 この排出削減対策25%の中に省エネルギー削減の部分が入ってございますが、この中では、省エネルギー対策の推進ということで、暮らし・産業・地域における省エネルギー化に取り組むこととしております。
 具体的には、家庭向けの取組といたしまして、住宅用の太陽光パネルや蓄電池設備の共同購入に対する支援など、あるいは事業者向けの取組といたしまして、中小事業者等を対象としましたLED照明、空調設備等の高効率省エネルギー設備の導入への補助などに取り組んでいるところでございます。

【斉藤委員】
 省エネルギーは25%だと。これが高いか低いかという議論は今日はしませんけれども、私はちょっと不十分なのではないかと。そして努力目標ではだめなんですよ、この気候危機は。2030年までの目標というのは必ずやらなくちゃならない。そういう目標です。だとすれば、裏付けのある具体的計画でなくてはならない。
 例えば、施策の推進指標というのを見たんですけれども、省エネ住宅ストック率、これ省エネ住宅の基準がはっきりしないんですね。もう1つは長期優良住宅の割合、これは2025年までしか出てませんけれども、9.3%〜15.0%。住宅用の太陽光発電設備導入件数、これは基準が29145から2025年は38500です。しかしながら2022年というのは全然変わらない29700なんですよね。本当にどこまでやったらどれだけのCO2削減になるのか。あなた方のいう41%の削減、省エネルギー25%の削減になるのか。具体的にどこでどれだけやるという風にして、県民の協力を得なければだめですよ。例えば長期優良住宅、これは国交省もやっています。そして実はもっと新しい国交省が最近10月20日に出したんですけれども、2030年までに新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能、新築戸建て住宅は6割にするとなっていますね。これは新しい提案だと思いますけれども、そういうのを一つ一つ積み上げて、そしてそれを実行するための必要な支援策も示してやることが大事なんだと思うんです。
 もう1つは、何よりもCO2削減の一番大きなのは産業です。県内の産業で、それぞれの企業、どういう目標を持ってやるのかと。イギリスでは国と企業が協定を結んでいます。私はやはり自治体と企業も協定を結ぶぐらいのことをやって、どれだけのCO2削減を2030年までにやるのか。それで裏付けをとらなかったら、これは努力目標にしかならない。そういう目標をしっかりと定めるべきだと思いますけれどもいかがですか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 目標につきましては、実行計画で立てている目標でございますけれども、現在、国においても策定しております計画の内容を踏まえまして、今後検討していきたいと思っております。

【斉藤委員】
 それで私が注目しているのは、再生可能エネルギーには電力自給率、現在34.4%ですけれども、これ2030年に65%まで引き上げると。大変意欲的な目標です。この説明はですね、事業計画を踏まえて2025年には53%、2030年には65%となっています。この事業計画の根拠を示してください。

【副部長】
 再生可能エネルギーの導入目標でございますけれども、2019年の現状をおさえまして、以降、太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスと実用化が見込まれるものについて積み上げたというものでございます。

【斉藤委員】
 だからここには「事業計画を踏まえ」て目標を設定したとなっているんですよ。その事業計画を聞いたんですけれども、すぐ出なかったら時間がないので。きちんと水力、太陽光、地熱、示していただきたい。
 そして、1つは全庁的な推進体制をつくる必要があると。住宅であれば県土整備、企業局も関わります。全庁的な推進体制。
 もう1つは、事業者や県民の協力が必要です。いわば啓発のための県民会議ではなくて、実行計画を推進する県民会議、宣言を出した知事を本部長にしたそういう推進体制が必要だと思いますがいかがですか。

【副部長】
 委員ご指摘のとおり、気候変動に対する取組というのは当部に限らず、省エネ住宅であれば県土整備部、産業部門での導入に関しては商工労働観光部と、関係部局と連携して取り組むべき内容でございます。
 県では、現在、地球温暖化対策推進本部を設けてございますが、これまでの定例会での議論でも、来年度の重点施策のテーマとして、グリーン社会の実現を掲げてございます。その取り組みに向かいまして、現在も関係部局で、来年度どういった取組をするかをつめてございますので、そういった中で具体の施策を検討して参りたいと考えてございます。

【斉藤委員】
 気候危機打開は岩手県が全国に先駆けて取り組む、そういう課題だと思いますので、ぜひ私の提案を正面から受け止めて体制を構築していただきたい。

・県央ブロック広域ごみ処理計画について

【斉藤委員】
 進捗状況はどうなっているか。
 実はこの間、新たな焼却場の予定地が決められました。しかしその根拠になったのは、地元住民の意見書でした。ところが、地元の町内会で議論した形跡が全くないんですね。そしてこの地元、土淵地域活動推進協議会ですけれども、こういうことを言っているんですよ。「ごみ焼却施設の焼却方式は、溶融炉方式とすることを絶対的条件に掲げています」と。住民団体が焼却施設のこんな内容まで踏み込んで提案すること自身が異常だと思いますけれども、溶融炉ではお金がかかりすぎると。そして老朽化が早いんです。そういうことについてお答えいただきたい。

【資源循環推進課総括課長】
 まずお尋ねの進捗状況についてでありますが、令和3年3月24日に開催された県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会において、盛岡インターチェンジ付近を整備予定地として選定し、地域住民や関係者に対して、地域振興、まちづくりなどを進めていくことを説明していると承知しております。
 地域住民の合意についてでありますが、委員ご指摘の件については詳しくは盛岡市から聞いておりませんが、地域への説明は、事業主体の盛岡市などが丁寧に説明するものと考えております。
 また、溶融炉方式、施設の規模等については、今後、8市町で協議して決められていくものと認識しています。

【斉藤委員】
 残念ながら地元の町内会に問い合わせをしても、どんな議論をしたか回答がなかった。一部の人たちで合意をつくって、その文書を見てびっくりしましたけれども、「溶融炉が絶対条件」だと。これ何か関わっているんじゃないかと思われるぐらいの中身ですよ。
 私はごみの減量・リサイクルにも逆行すると思うので、これは県も環境アセスもしっかりやってですね、しっかり対応するようにしていただきたい。